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【統一地方選シリーズ3】市町村議会議員のなり手不足の解消は報酬のアップが自然 - 区長が議員となり市町村議会は夕方に開催も一つの手 - 19.04.19

<あまりの低報酬が市町村議員のなり手不足の根本原因>
 なり手不足の問題は、市町村議会こそ深刻である。信毎は以下のように報じている。
 全国町村議長会検討委員会報告書では、議員のなり手不足の原因は低報酬であるとしている。報酬月額が264,000円以上の93議会の無投票の割合は10.1%であったのに対し、176,000円未満の184議会では37%に上ったと言う。長野県内58町村議会の議員報酬は平均171,497円(全国平均は213,738円)、最高は軽井沢町の262,000円、最低は下伊那郡売木村の120,000円だった。
 これでは専業町村議会議員はやっていけず、経済的にゆとりのある者しか立候補できまい。あまりにも低すぎるからだ。

<大都市名古屋と長野県の小さい市町村のあまりに大きい報酬格差>
 長野県でみると長野市は議員報酬60万6,000円、政務活動費8万5,000円であり、十分すぎるぐらいである。河村名古屋市長は国会議員並みの名古屋市議の歳費を下げている。財政事情が良いことから年額約1600万円という法外な報酬だったからだ。議員の再高額と最低額の報酬格差は、都道府県議会で1.5倍、市議会で3.9倍、町村議会で4.0倍と大きな開きがある。また特徴的なものとして、福島県矢祭町の3万円の日当制がある。
 しかし、財政事情が芳しくない長野県では長野市のような大きな市以外、例えば人口5万人ぐらいの市では市議も報酬だけではやっていけない。その証拠に2019年には小諸市(人口4万2,344人)、須坂市(5万731人)では市議選が初めて無投票となっている。ちなみにこれらの市の歳費はそれぞれ33万3000円、35万5000円である。なお、全国平均は406,134円、最高は金沢市と東大阪市の700,000円、最低は夕張市の180,000円である)これでは40万円近くの高給を取っている人が市議選立候補に二の足を踏むのはむべなるかなである。

<総務省は「過疎地議員手当て」で40万円の議員報酬を確保すべし>
 私のよく知る某村の村議会議員は、東京の研究会等にも熱心に通って研鑽に余念がない。某市の市議会議員もカラー刷りの市議会報告を頻繁に作成しては有権者に配布している。20万円前後の報酬では足が出るのは当然である。つまり、出費覚悟の完全なボランティア精神で議会活動をしているのだ。しかしこれはみんながみんな真似のできることではない。2011年民主党政権時代には地方議会議員年金も廃止されている。
 ただ、こうした厳しい現実を見て嘆いていては何も進まない。
 名古屋市等と過疎市町村の財政格差はふるさと納税ごときではとても是正されない。総務省も合併ばかり推進するのではなく、例えば合併のしにくい人口2万人以下の過疎地の市町村には40万円ぐらいの議員報酬が出せるように「過疎地議員手当て」でも創設すべきではないか。かつて長崎県小値賀町では、50 歳以下の議員に限り報酬の引上げを行うなど工夫がみられている。国は地方の事情を勘案した思い切った支援が必要である。このままでは定数削減、低報酬、なり手不足の負のスパイラルが続き、地方自治の危機となり、地方がますます衰退していってしまう。

<思い切って区長を市町村議会議員にするのも一案>
 このような小さな市町村の場合、解決策の一つは、集落の区長が町村議会議員を兼ね、町村議会は夕方6時か6時半からにすることだ。こうすると全員が昼間の仕事を持ちながら議員を続けられるようになる。この場合は議員の数が多くなるけれども、もともとボランティアに近い区長報酬にちょっと上乗せすればすむことであり、財政事情を悪化させることにはならない。これはもう北欧諸国では実行されている。総務省の研究会でも議員の兼業・兼職制限を緩和して、多選の非専業的議員が夜間・休日を中心に運営する「多数参画型」議会の創設を提言している。
 つまり多くの住民に議員になってもらい、住民の声がより市町村行政に反映させられるのである。簡単にいうと直接民主制である。これは長野市のように37万7,249人もの人口を抱える大きな市の場合は導入できない。

<人口減で窮した高知県大川村で進む兼業禁止の緩和>
 人口約400人の高知県大川村が、定数6の村議会議員のなり手もないことで、2年前から今年の統一地方選前に村議会を廃止して地方自治法で認められた「村総会」を始めようとしていた。この点では王滝村が先輩で、2005年に総会を設ける条例案が提案されたが否決されている。
長野県の山村と同じく1960年代には6000人以上いた人口がガタ減りし、高齢化率44%の悩み多き村である。総務省は認めなかったが、今年になって議会が存続する方向に動き出した。
 地方自治法が、地方議員となる自治体から仕事を請負う法人の役員などを禁止しているが、請負いの定義が不明確であった。条例で兼職規定に該当しない法人名を村長が毎年公表することで決着した。3月には森林組合や第3セクターの公社などが対象外になると公表した。懸念された村議選も移住者等新人3人が立候補し、現職4人とともに争うことが予定されている。おまけに移住者も増え、ベビーラッシュも招いているという。

<長野県でも現場の市町村議会で改革が進む>
 信濃毎日新聞は、3月以降統一地方選、特に市町村議会の動きについて精力的に報じていた。
 既に飯島町が3月17日(日曜日)に初の休日議会を開いている。2019年度一般会計予算を審議する予算特別委員会に12人の全議員が参加、10~80代の16人が傍聴した。17年3月の町議選が8年ぶりの無投票だったことから、町民に議会への関心を高めてもらい、議員のなり手を増やす狙いもあった。
 3月21日、無投票の回数が全国最多の4回という生坂村をはじめとする常連無投票8町村(2回以上)の動きを報じている。小布施町は小渕晃委員長の下、議員のなり手不足の検討会を立ち上げ、アンケート調査を行なうなどして議会カフェ等の具体的提案をまとめている。
 また、3月25日には、1面トップで15~18年度に議案修正30件と11~14年度と比べて倍増していると報じている。県議会が知事案件の否決・修正がゼロで、なまくらな状況が続いているのに対して市町村議会は活性化しつつある。

<「議員のなり手不足は深刻」(4/17信毎の見出しそのもの)>
 これらの一連の動きにもかかわらず、長野県内では、27町村議選のうち12町村議選が無投票となってしまった。事態は深刻である。小布施町では、小渕議員等の奮闘もむなしく、3回目の無投票となってしまった。この経緯は全国で23%も無投票になった町村議選の典型例として4月18日NHKのニュースウォッチ9でも全国放映された。
 こうした中、初めて定員割れとなった山ノ内町では、心を洗われる町議の動きが目を引いた。某町議は一度引退を決意したものの無投票を避けなければという思いから後継探しに奔走したが実を結べなかった。そこで止むを得ず立候補の準備を進めたが、ギリギリの段階で1人定数不足、自分が出馬して選挙になるならと思ったが、それもままならず出馬を取りやめたという。この某議員は12年前私の要請説得に応じて中野・下高井郡区となって初選挙に出馬してくれた山本良一氏である。地方政治への思いは変わることがなく、頭が下がるばかりである。統一地方選第2弾は是非選挙戦に入り、投票率のアップにつながってほしいものである。