« 【漁業法シリーズ5】北欧のエネルギーの地産地消は(洋上)風力発電で決まり - 漁業法改悪で日本の海岸に見苦しい洋上風力発電が林立するおそれ - 19.09.08 | メイン | 【台風19号水害シリーズ1】日本の山川海(自然)も怒っている- 地球温暖化がもたらした大型台風は今後通常化するおそれ-19.11.08 »

一刻も早いワクチン接種が必要ではないか- 政府の対応は口蹄疫と比べると後手だらけ -19.09.16脱稿-

 通常国会の後半、私は出入国管理法の改正により肉製品を持った者を空港や港で入国拒否(上陸拒否)することを目指したが、立憲民主党の法務委員会の筆頭理事が1ヶ月も法案の議論をせずにほったらかしにしておいた。挙句の果てに、最後の段階になって賛成できないと言ってきて、せっかく準備して与党にも相当根回しをしたのに成立させられなかった。
 もっと感染力が強く、今でもワクチンのないアフリカ豚コレラの侵入が心配であり、一刻も早く上記の法律を成立させ、中国人観光客がウイルスを持ち込むのを防がなければならないと思っている。
付記:9月中旬、恐れていたとおり、韓国でアフリカ豚コレラが発生した。韓国のほうが近いし、いつ日本に上陸するかわからない。

<止まらない国内感染、とうとう長野でも発生>
 ところが、今まで豚コレラを抑えきれず、9月14日にはとうとう長野県畜産試験場でも感染が認められ、349頭を殺処分しなければならなくなった。

歯がゆいばかりである。6月17日のブログ「豚コレラ・アフリカ豚コレラは水際でくい止める以外になし」で、2010年の口蹄疫のような大量殺処分を繰り返してはならないと主張したが、残念ながら国内感染はとどまるところを知らず、既に13万3000頭余が殺処分されている。2010年の教訓が全く生かされていない。
 安倍首相はわざと「悪夢の民主党政権」と言い、民主党政権時代の政策はことごとく失敗したかのようになじる。しかし、私は2010年6月農林水産副大臣を拝命した翌日に宮崎県に飛び、「口蹄疫現地対策本部長」として、口蹄疫を鎮めることに全力を挙げ、7月17日には大切な種牛の殺処分に立ち合い帰京した。つまり、1ヵ月半で終息させたのである。
 それに対し、史上最長になんなんとする安倍政権の下、昨年9月9日に26年振りに発生した豚コレラはいまだ収束の気配すらみせていない。明らかに対応の不備・怠慢である。

<口蹄疫と豚コレラの類似と相違>
 違いはどこにあるのか。我が民主党政権は早期にワクチン投与の決断をし、と早期の終息に成功した。勿論、そこまでしなくてもという反対論もあった。大事な種牛は例外にすべしといった現実的な要望もあった。しかし、口蹄疫の発生した地域でも、また周りの発生していない地域でも、予防的にワクチン接種をした。そして、手厚い補償措置を講じ、再開にあたっても援助措置を講じた。
 豚コレラは豚とイノシシだけだが、口蹄疫は(蹄が偶数に分かれる)偶蹄類の動物に共通であり、牛も豚も山羊も殺処分の対象となった。深さ7mの穴を堀り、次々患畜を埋めていく光景が、いまだ私の脳裏には焼きついて離れない。だから、豚コレラの感染を止めるべく、前通常国会で水際対策を講ずる法律改正をせんとしたのだ。
 口蹄疫と豚コレラは同じように感染力が強く、致死性が高いのも共通である。また、多分二つとも国内で発生したとは考えられず外部からウイルスが持ち込まれたことにより発生している。ただ、違いもある。前者は2000年に92年振りに発生し、それから10年後の発生だった。しかし、ワクチン接種の前例はなかった。それに対して後者は1992年以来の26年振りの発生であり、かつては飼育豚へのワクチン接種が広く行なわれていた。そして長年かけてワクチンを使わない防疫体制を確立してきていた。こうしたところに政府がワクチン接種をためらう理由がある。

<ワクチン接種をためらう理由>
 第一に再びワクチンを打ってしまうとそこから脱却して再び清浄国になるのにかなりの年月を要するからである。第二に非清浄国となると輸出入に影響してくるからだ。ただ、日本からの輸出などほんの僅かにすぎない。いくら農産物輸出1兆円を目標に掲げているからといって、僅か数10億円の豚肉輸出を続けるために国内養豚農家を犠牲にすることはない。一方、非清浄国になると多くの非清浄国が日本に輸出攻勢をかけてくる心配が生じてくる。第三に、ワクチン接種だと豚コレラにかかった豚肉も流通することから、人には感染しないといっても(豚肉を避ける)風評被害が生じてくる。第四にワクチンを接種しても効果には個体差があり、接種しても感染する豚が出ることもある。第五に接種後に感染すると食欲不振などの症状が出ず、発生に気付かずウイルスがはびこってしまうおそれもある。

<公共機関での発生と関東での感染で局面が変わる>
 政府は対策として養豚業者に飼養基準を守れ、衛生管理を徹底しろと指導してきた。長野県では養豚農家が消毒や豚舎の改修を実施するために豚の早期出荷を奨励し、支援してきた。しかし、今回の長野県畜産試験場のようにその範を垂れるべき公共機関からも豚コレラが発生したのだから、もう防ぎようがないということである。岐阜県に隣接した長野県だけでなく、遠く離れた埼玉県でも発生した。長野県の場合は、感染経路はイノシシだと容易に想像がつく。これに対して埼玉県は、国内の感染豚の肉製品か非清浄国の肉製品か、あるいは野生イノシシか経路が不明である。今や関東にまで拡大したのであり、このままいくと今の11府県から全国に拡がっていくことは時間の問題である。

<ワクチン接種を急ぐべき>
 日本は6割7割が山である。臭いの問題から今や養豚農家は大半が人里から離れた所に存在している。つまり、野生イノシシがすぐ隣りに来る場所なのだ。だから、政府はウイルスを媒介する野生イノシシへの経口ワクチンの接種(ワクチン入りの餌の散布)の拡大を打ち出してきている。しかし、こんな小手先の対策は効き目が限られている。幸いにして感染した豚とワクチン接種して抗体ができた豚とを検査で区別できる「マーカーワクチン」も存在する。それであればワクチン接種をためらう第一の理由である清浄国への復帰に支障が生じない。養豚農家はいつか自分の農場の豚も殺処分させられるのではないかと不安におののいている。このまま放置されたら2010年の宮崎県の29万7,808頭を追い抜く大惨事になりかねない。
 今や決断の時である。関係府県も養豚農家の大半もワクチンの接種を望んでいる。
(付記:9/20報道によると農水省もやっと地域を限定して、ワクチン接種をする方針を固めた。)