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【台風19号水害シリーズ3】千曲川の洪水を防ぐには川を流れやすくするしかない。-川の掘削・浚渫、大滝ダムの撤去、二つの狭窄部の改修が必須- 19.11.22

<究極の解決法地球温暖化防止>
 今回の洪水は大型台風が引き起こしたものであり、元凶は地球温暖化である。之をストップするしかない世界はパリ協定でこれに歯止めをかけようとしているが、日本はナマクラな態度を取り続け、トランプ大統領は脱退を口にしている。安倍首相は、友好国としてトランプ大統領に釘をさすべきだが、その気配は微塵も感じられない。
私は、この国会から5度目の環境委員となった。ささやかだが、地球環境問題の解決に力を尽くしたいという思いがあるからである。ただ今回は当面のことに焦点を当てる。(全議員活動の1/3を環境委に所属しており、外務4回、農水2回を凌いでいる)

<最も簡便なのは川床の掘削・浚渫>
 千曲川の洪水は大雨が降る度に、数十年に1回ぐらい起きている。これを防ぐために、いくら堤防を嵩上げしても、あるいはほとんど役に立たないダムを造っても完全に防ぐことはできない。
 まず計画的に川床の掘削・浚渫をこまめに行うことである。上流から土砂が流れてきて下流に溜まるのは自然なことである。玉砂利は土木工事には欠かせない。掘削・浚渫を認めていた頃、土手を崩したり橋梁を危うくするまで掘削・浚渫しすぎたため禁止されてしまった。厳重な規制の下に認めていくべきである。
 これをした上で、やはり天下の宝刀、堤防の整備が必要である。11月4日に一緒に視察した大熊孝新潟大名誉教授等によると堤防地盤の沈下が越水の原因の一つになり、注意が必要だという。越水しても被災しないような堤防の強化が欠かせない。

<あったにこしたことのない道路より治山治水を優先>
 かつて民主党政権時、普通の堤防よりも10~15倍コストがかさむ「スーパー堤防」(高さの30倍の幅を持つ高規格堤防)を事業仕分けで廃止した。一理あることだった。その後多摩川、淀川等都市部に限定して復活している。
 かつての洪水の常襲地帯だった立ヶ花狭窄部の大俣は、輪中型堤防で囲まれ、今回はびくともしなかった。きでちんとした堤防で洪水は防げるのだ。だから、私は同じ公共事業でも道路よりも活山活水を重視すべきだと思っている。招待がくる○○期成同盟では、道路よりも堤防の期成同盟に出席し「あることにこしたことがない道路よりも堤防を」と同じ挨拶をすることにしている。

<西大滝ダムの撤去>
 数十年単位の長い眼でみたら森を整備し、棚田・水田を守り、その保水力の維持に努めるべきである。そんな悠長なことを言っておれないとなると、もっと即効性のあることを考えなければならない。
 川床の掘削・浚渫の次に簡便で理に適っているのは、川の流れを自然の流れに戻すのが一つであり、もう一つは思い切って流れを変えることである。
 前者でいえば、長野・新潟県境(県境から13km上流)で流れを止めている西大滝ダムを撤去することである。もともと140mあった川幅の両岸をコンクリートで固めてしまい、土砂の流れを止めている。豪雨時には流速も低下し、上流で洪水をおこす一因となっている。戦時中の1939年、電力需要に充てるという国策のために下流の宮中ダム(1938年)とともに造られた。前者は東京電力に、後者は国鉄そしてJRに送電される。そして、人間が住む下流63kmにわたり、減水区川が生まれるという先進国にはありえない状況がずっと続いている。(日韓で元徴用工判決を期に関係がいまだかつてないほど悪化している。実は戦時中のこの突貫工事にも導水管の掘削に多くの朝鮮人が徴用され、百人超の犠牲者を出している)

<何の役にも立たなかった浅川ダム>
 あまりにも強烈だった穂保の破堤で忘れられているが、実は決壊と丁度同じ頃浅川排水機場付近で内水氾濫が始まった。ところが、水を貯めない穴あきダムの浅川ダムは、その名の通り貯水効果はゼロで、最大体積7.8m3の水がただ通過しただけだったのだ。(「週刊金曜日 19.10.25 千曲川決壊と北陸新幹線車両が浸水したワケ」(まさのあつこ))大きなダムで貯水量が源流の水位を下げるぐらいでないと、ダムは洪水防止にほとんど役立たないことを浅川ダムは証明してくれたのである。ところがこのことはもともと役に立たないことがわかっていたのか誰も触れていない。

<鮭の遡上する川に戻す>
 また、県境にある西大滝ダムを撤去すれば土砂が自然と流れるようになり、人工的に川底の掘削する必要性が少なくなる。山の生態系を変え、水田を放棄し、水路をコンクリート化し、ダムを造りと、我々はあまりにも自然を変えすぎたのである。この二つのダムにより、かつては数万匹遡上した鮭も通れなくなり、昔の生態系をこわしている。一応魚道は設けられているが、形だけであり遡河性魚(鮭のような遡上する魚)がどんどん遡上できる仕組みにはなっていない。ダムの撤去により鮭も遡上するようになる。昔は、新潟県の宮中ダムもなく、鮭が普通に千曲川を遡上していたのである。大熊新大名誉教授にいただいたメールには、今年は宮中ダムの11月4日までの鮭の遡上数は355尾を超えたという。西大滝ダムは11月2日で3尾である。
 これを機会に一気に自然を取り戻す必要がある。この件は『ダムは国を壊す』(今本博健京都大学名誉教授著)に詳しい。SDGsが叫ばれる今、二つのダムを撤去すべきなのだ。

<洪水をおこす流れを変える>
 次に考えられるのは、洪水が起こらないように流れを変えることである。
 江戸に城を造った徳川家康は利根川の洪水から江戸を守るため銚子に流れを変えている。いわゆる利根川東遷事業である。400年前に洪水防止事業に手をつけ、その後も着々と続けたのである。当時の土木技術は今と比べ話にならない。それでも当時でも世界一の人口を抱える大都市となった江戸を守るため心血を注いだのである。
越後平野は信濃川により運ばれた土砂が堆積してきた沖積平野であり、洪水が頻発し悩まされていた。16世紀末から分水の話が出ては消えた。1924年ようやく大河津分水路が竣工され、1931年に開始した。またその後も試行錯誤を続け1972年に河口から10km上流に関屋分水路が造られている。このため、上流の千曲川流域では度々水害に見舞われるが、越後平野も新潟市も免れているのだ。

<二つの狭窄部の同時改修>
 これにならって長野県の千曲川では、立ヶ花の狭窄部、そして次は飯山の戸狩の狭窄部をなくすしかない。この二カ所の掘削工事は同時に行わなければならない。費用は嵩むが、国民の命と財産を守るのは国の責務であり、何よりも優先して取り組まなければならないことだ。
 ただこれにより更に下流の新潟県は洪水の危険が多少ますが、上記分水路を拡張するなどの手立ても一緒に講ずれば、千曲川の治水が達成されることになる。

<防衛も大切だが防災も同列に論ずべし>
 上記二つの狭窄部の工事には多額の予算が必要である。しかし、何十年かに1回住宅も畑もメチャクチャにされるのを防ぐことが先である。例えば、今国家プロジェクトとしてリニア新幹線の工事が進行中である。これまたあったにこしたことはないが、必要不可欠でもない。総工費は9兆円だという。必要な理由の一つに南海トラフ地震があった時に、止まってしまう東海道新幹線の予備として必要だという。それなら千曲川の河川改良こそ防災にすぐ必要なのだ。そして予算は何十分の一か何百分の一ですむことではないか。
 安倍首相は侵略してくる国から日本人の生命財産を守ることにはことのほか熱心だが、災害から守ることも同列に扱ってもらわないとならない。オスプレイは1機100億円以上となり諸経費を含めると200億円を超えるという。「遠い防衛」より「近い防災」に先に手をつけても罰は当たるまい。