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2020年2月28日

55年体制→99年体制(自公連立)→20年体制へ(政権交代可能)- 政権交代の狼煙(のろし)は山本太郎や長野からあげるしかない -20.02.28

<自公連立が最長政権をつくった>
 政治の大先輩石井一元自治大臣から著書『つくられた最長政権』が届いた。政治家の本はどんな駄本でも(?)一応は必ず目を通し、感想も述べることにしているが、石井本は一気に読み終えた。タイトルから察しがつく方も多いと思うが、石井は安倍政権が桂太郎内閣を抜き史上最長になった理由は自公連立にあるとして、全く政策の違う党が政権維持のためだけにくっついている「99年体制」と命名し、筆鋒鋭く攻撃している(自公連立は1999年にはじめられた)。特にそれを仕組んだ野中広務を悪し様に書いている。自民党を一緒に飛び出したものの新進党を突然解党した小沢一郎も、役職にこだわらないと褒めている以外酷評しきっている。その一方で同志として政治改革、小選挙区制の導入に力を尽くした羽田孜の役割についてほとんど触れていない。政治家としては仕方ないが、自分の業績に力が入り過ぎ、その意味では少々客観性に欠ける。しかし、政権維持のために全てを捨てて妥協する自民・公明両党の赤裸々な姿勢が浮き彫りにされており、いつもバラバラの民主・民進系の野党には教訓に溢れた書物である。

<自公連立政権を見習わない愚>
 そして、私はこれを頷きながら読み進めるうちに、我が野党側のふがいなさ、心の狭さに腹立たしくなるばかりであった。自公は政治的な融和性などどこかに忘れ去り、ひたすら政権維持のために結束して20年もたつ。それなのに我が党はずっと政策的にも近いのに、やれ国民民主党だ立憲民主党だとこだわっている。もともと同じ党なのに歩み寄ろうとしない。いや同じ党だったからこそいがみ合っているのかもしれない。
 私は17年秋の選挙後に民進・希望・立民の3党統合に向けて全力を挙げて取り組み、力尽きてしまった。その後体調を崩し、しばらくこうした動きには口を挟まないできたが、体調が回復したこともあり、年末年始の統合騒動の際は津村啓介、奥野総一郎が中心の、統合すべきというグループの会合に顔を出した。小選挙区で当選したのは私一人(下条みつが一度参加している)だった。選挙の弱い比例区復活組が中心だったので、自分の再選のために統合を主張するのかと批判する者もいたが、私の参加でそれが少し薄まる効果があったかと思う。
 具体的にみると、比例枠が11人に過ぎない北陸信越ブロックは、1%政党では1人も復活できないだろう。そうした中で、大政党になり枠を多くせんとするのは当然にもかかわらず、両党の幹部にはそういう気配が見られない。我々は、政権を奪取するために全てのこだわりを捨てなければならない。そのいい見本が石井の力説する自公連立99年体制なのだ。

<山本太郎との自然な出会いと意気投合>
 国会は明けても暮れても桜を見る会等のスキャンダルだらけであり、問題の新型コロナウイルスへの対応ですら片隅に追いやられている。国民からは安倍政権とともに国会も見放されつつあるのは当然である。 
 そうした中、私に2月15日(土)に中野で恒例の国政報告会を舟山康江、山本太郎の2人のゲストを迎えて開催し、翌16日(日)には長野で、国民民主党長野県連大会と立憲民主党と合同の「新政信州」の新春交歓会を開催した。忙しい週末だったが、実りあるものであった。
 山本と篠原の取り合わせに、おやっと思われる方が多いと思うが、偶然仲良しになっただけのことである。
 山本が参院選に当選してすぐ、日本が遅れてTPP会合に参加後初の閣僚会議がブルネイで開かれた。そこに一緒に行き、行動を共にしたそれだけのことである。その後も、衆と参と活動の場が異なり、それほど頻繁に顔を合わせたわけではない。ただ、反TPP・反原発は二人とも筋金入り、政治は弱者のためであり、そのためには一肌脱ぐ、常に捨て身の姿勢でことに当たり、下手な妥協はしない。とまあ、俗に言う似た者同士なのだ。

<消費減税を立て板に水で解説>
 「れいわ新選組」の結成を、私は暖かく遠くから眺め拍手喝采していた。山本は見事二人を当選させ、本人の個人票は100万票近くとなり、2019参院選では最多の個人得票数である。今は馬淵澄夫と二人で消費減税の勉強会を主催し、全国ツアーでどこでも満員の盛況を呈しているという。
 今の政界で一番注目されている山本・れいわ代表に、北信州の片田舎に来ていただいた。ちょっとした手違いで皆さんへの告知が1ヶ月しかないという突貫工事だったが、300人余に「アップルシティー(JA中野市の会場 最大400人収容)」に集まっていただいた。れいわ人気を支える若者がもともと少ないため、私の支持者が中心のこじんまりした会合となったが、よどみない話に聞き入った。
 「山本太郎が皆さまからのご質問に何でもお答えいたします!」という奇抜な演題。質問に対して用意されたパワーポイントで立て板に水の返答、という珍しい進め方に聴衆はあっけにとられた。消費減税がどうして必要か、わかりやすく語りかける姿は見事というしかなかった。

<山本太郎に見える光明>
 野党統合に反対する者は、旧民主・民進の流れを汲む二党が合併したところで新党感は少なく、ワクワク胸が躍ることはないとのたまう。事実その通りだろう。しかし、別々だったら国民からはもっとそっぽを向かれてしまう。
 民主党の3年3ヶ月の政権運営のまずさが野党の負の遺産になっているとよく言われる。今や立憲・国民のイザコザの負の遺産のほうが鮮烈で大きくなっている。国民はごまかしのすぎる安倍政権に呆れ果てて野党への期待が高まりつつあるが、一丸となって安倍政権に向かわない両党、特にリーダーシップが発揮できない党首にうんざりしていると思われる。世論調査で安倍内閣の支持理由に、他にいないからというのが多いことがこの事実を如実に物語っている。
 そうした中で野党側の唯一の光明は山本太郎である。文藝春秋2月号の『「消費税ゼロ」で日本は甦る』(P.94~104)で山本太郎の政策は詳細に述べられている。見事な論文である。今のところ誰一人として正面切って反論を書いていない。思い切りのよい政策で国民を惹きつけてやまない。政治的手法も見事である。

<新政信州は野党統合の先がけ>
 我が長野県は永田町のイザコザにもかかわらず、とっくの昔に両党も入った「新政信州」を立ち上げ、2019年県議選そして参院選を戦い、羽田雄一郎が小松裕に14万5千票の大差をつけて当選している。そして、今回の16日の県連大会で不肖・私が羽田の後の県連代表を拝命した。今まで羽田孜、北沢俊美と大物永年代表が続き、その後を羽田雄一郎が継いだが、他県連並みに輪番にしていくことにしたまでのことである。
 同じ日に、新政信州の新春交歓会を開催した。「ホテル国際21」の大会場が久しぶりに熱気で包まれた。羽田、下条、私と3人の国民民主党議員は愛知県に次いで多い。そこに立憲民主党の杉尾秀哉が加わって壇上に並び、北沢元防衛大臣とともに政権交代に向けて突き進むことを宣言した。

<長野から政権交代の狼煙(のろし)を上げ、2020年体制を築く>
 永田町は、栄華を極めた安倍官邸もさくら、後手後手に回る新型コロナウイルス対策、そして違法な黒川東京高検検事長の定年延長等で相当ガタついている。しかし、対する野党はビシッとしない。我々国民民主党の3人は、台風19号災害対策が盛り込まれた補正予算には反対せず、下条と私は採決を欠席し、羽田は増子輝彦(同じく被災地の福島選出)とともに賛成している。我々3人は事に当たり毅然とした態度で臨んでいる。
 野党統合でも、社民党もれいわも巻き込み、あるいはその他の党とも手を組み、安倍政権打倒のために邁進していくつもりである。石井の言葉をもじれば、政権交代のできる「20年体制」を作らねばならない。

2020年2月 5日

【新型コロナウイルス感染症シリーズ1】厳格な入国拒否で日本国民の生命・財産を守るのは当然- 国境を越えた感染症の侵入は水際で防ぐしかない - 20.02.05

<入管法でいの一番に感染症患者の入国を拒否>
 1月下旬、各紙に一斉に「入国拒否」の文字が踊った。法律的に実は「上陸拒否」で入国管理難民法第5条を根拠にしている。まだ航空機による移動がそれほどなく、船による移動が大半だった頃の法律であり、そのまま改正されずにきているからだ。
 しかし、上陸拒否(以下は、「入国拒否」で統一する)の内容をよく見ると、法制定時の14号に枝番が3つ途中で付け加えられ、計17項目が規定されている。そしてその第1号が指定感染症条項であり、「指定感染症の患者又は感染症の所見のある者」の入国を拒否できることになっている。その他に犯罪者、麻薬等を所持した者と具体的な規定が続くが、いの一番は、今回の新型コロナウイルス感染症のような危険な病気の侵入を防ぐことが規定されている。

<かつて感染症が国を滅ぼした>
 今やすっかり忘れられているが、歴史を紐解くと国家や町や村が滅んだ原因は、外敵の攻撃などよりも原因不明の感染症だったことが多いからだ。このことは今でも北朝鮮の対応に垣間見える。公衆衛生体制が整っていないためだろう、国家非常防疫体制をひき、ドル箱の中国人観光者の入国を禁止しているという。国家存亡の時ととらえているからである。
 今まで、入国管理難民法が一般国民に取り沙汰されることはほとんどなかったが、18年秋の臨時国会で外国人労働者受け入れを巡って対決法案になった。今は過度な自由化、グローバリゼーションを抑制しなければならないものを、漁業法、水道法とともに自由化なり民営化という古ぼけた二十世紀の理念で惰性で改悪してしまった。
 その同じ法律で、武漢のある湖北省という特定の地域を限定して入国拒否の措置をとるのは初めてのことである。片や外国人労働者として野放図に受け入れる規定があり、片や日本に都合の悪い者は入れないという規定も混在している。WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言したのを受けて、2月1日から施行された。WHOも日本国政府も後手後手に回った。

<後手に回る日本の対応>
 こういう緊急予防には初動態勢が重要であるが日本の対応は甘くドタバタした感がぬぐえない。
 私が最も驚いたのは、政府が武漢の邦人をチャーター機で帰国させた第一便の中で、2名が検査を受けるのを拒否して、そのまま自宅に帰ったことである。その時は、法律的には今回の新型肺炎は指定感染症に指定されておらず、外国人すら入国拒否はできない状況だった。8万円の航空運賃も政府が負担するというのに何という我がままか。

<法の趣旨に沿った超法規的措置は許される>
 私はこの2人にどういう事情があったか知らないが、こんなことが許されるのは、軟弱な日本だけではないだろうか。
 各国一斉に自国民の武漢脱出を手助けし始めたが、帰国後は全員潜伏期間とみなされる2週間隔離している。オーストラリアは1500km離れたインド洋のクリスマス島、米・仏は軍事施設に収容している。考えられる常識的対措置であり、法律的根拠は定かではないが、いってみれば超法規的措置である。日本の場合、国民のために感染症法と検疫法、入国管理難民法等既存の方の趣旨に沿って運用すればよいのだ。

<国民全体の命を救うことが一番の人権重視>
 こうした強制措置には人権上の問題があるとすぐ反論されるが、感染症が更に拡大して何人もの人が命を落とすことのほうが、よほど重大な人権問題である。帰国(あるいは入国)に当たり、ウイルスを保持しているかどうか強制的に検査したり隔離するのは、まず第一に本人の命を救うためであり、次はその家族や接する人々の危険を減らすためである。指定感染症に指定する政令施行により、2月1日からやっと患者に入院を勧告したり、就業制限したりできるようになり、従わない場合は、罰則や強制入院も可能となった。当然のことである。
 ただし、ハンセン氏病の例にみられるような差別につながってはならない。既にカナダでは保護者が中国人を学校によこすなという動きを始めたというが、明らかに行き過ぎである。こういうことを誘発しないためにも、国が責任を持って規制措置を講じなければならない。

<感染症緊急事態と憲法改正は無関係>
 私が今なぜこういう主張をするかというと、邦人保護という事態を奇貨として自衛隊の海外派遣をむやみに正当化したり、緊急事態条項による憲法改正の動きに結びつけようとする危険な動きが出て来るからである。案の定、伊吹元衆議院議長が、憲法にいざという時の緊急事態条項を加えるべきだと言い出し始めている。災害時に皆が動転している隙をついて一気にいかがわしい制度を導入させんとする、いわゆる「ショック資本主義」(惨事便乗型資本主義)の一種である。
 安倍政権の森・加計問題から桜を見る会にみられるとおり、書類を改ざんしたり捨てたり、次々と詭弁を並べたてゴマカシするような政府を信用するわけにはいかない。感染症への対応は既存の法律で足り、もし不備があったら一つ一つ修正していけばよいだけのことだ。憲法改正は、こんな時ではなくきちんと冷静に議論して進めなければならない。

<豚熱対策にも入国拒否が必要>
 実は私は昨年夏、豚熱(豚コレラ)とアフリカ豚熱の水際対策に入国拒否が一番有効だと考えていた。[ しのはら孝ブログ 2019.6.18 : 豚コレラ・アフリカ豚コレラは水際でくい止める以外になし 参照 ]。数か月後に「入国拒否」がこれだけ問題になるとは思わなかった。国民民主党は既に肉製品所持者を入国拒否すべきという法案を提出している。人の感染症も家畜(動物)の感染症も同じく水際で防ぐしかなく、一番手っ取り早いのは入国拒否なのだ。

<恐ろしく広い一般規定の入国拒否は緊急事態にのみ許される>
 正直言って入国管理難民法第5条の17項目は、ごった煮規定である。政府は湖北省発行の中国旅券所持者と2週間以内湖北省滞在者の一時入国拒否は14号「日本の利益を害する行為を行う恐れがある者」による閣議了解を根拠としていると言う。新型肺炎の症状がない者は1号で入国拒否できないからである。
 恐ろしく広い一般規定であり、ほっておけば誰でもどんな理由でも入国拒否できることになる。しかし、何とか既存の法律で対処しようという姿勢は一応納得できる。ところが、私が12月5日の農林水産委員会で肉製品の所持者を入国拒否する前述の規定の追加を迫ったのに対し、義家法務副大臣が「14号でできるので、項目の追加は考えていない」と答弁している。これには納得がいかない。

<水際措置は早くしないと間に合わない>
 2002年日韓ワールドカップ共催の時に、フーリガン対策で枝番5号の2が追加された。この結果上陸を拒否されたのは65人に及び、欧米の大会とは異なり大暴動は一切起きなかった。日本の警察が事前に入国拒否を海外に向け広報したことが見事な抑制的効果を発揮したからである。フーリガンは日本の厳しい入国管理に恐れをなし、高い旅費を棒に振るのを避けるためもあり、日本に向かうのを躊躇したのである。つまり、肉製品を持っていったら日本では入国拒否されるとなると、中国人観光客は持ってこなくなり、同じような抑制効果がある。
 ところが、昨年末カルロス・ゴーン被告が関西空港からまんまと脱出に成功したため、日本の出入国管理に疑いの目が向けられている。ここでは入国管理を厳格に行い、さすが日本という名誉を挽回しないとならない。
 日本は法治国であり法律的制度は一つ一つ変えていくべきである。新型肺炎やアフリカ豚熱の侵入を防ぐためには、その場凌ぎの閣議了承などではなく入国管理難民法第5条に枝番を二つ追加して将来に備えるべきだ。