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2020年3月27日

【新型コロナウイルス感染症シリーズ2】【政僚シリーズ9】危機管理対応ができない安倍官邸の病巣- 経済政策の悪乗りで新型コロナウイルス対策をやられたらたまらない -20.03.27

 ここ1~2ヶ月マスコミは新型コロナウイルス一色である。水際対策という非常に部分的な問題について一度2月5日のブログで触れただけなので、あまり論議されない日本の対応の問題点を探ってみる。

<子供も親も困らせた非常事態宣言>
 子供はコロナウイルスに強いことがわかってきたが、子供を通じて高齢者に感染したら多くの死者が出てしまう。国民の生命を守るためには一斉休校といった思い切った措置があってもいいと思っている。しかし、それをするならまずは中国人入国禁止等の国境措置が先である。新型コロナウイルスの侵入を漫然と許し、今なお中・韓からの入国は一部地域からのみの入国禁止であり依然全面的な入国禁止はしていない。そうした中での日本全国の学校の休校である。バランスが欠けており子供たちや親や教育関係者にだけしわ寄せがいくのは考えものである。
 その後、事態がより深刻化している欧州諸国でも一斉休校の措置がとられたのであまり批判されなくなったが、やはり危機管理対応としては問題だらけである。何よりも、関係者の意見を全く聞かずに官邸だけで決めているのが恐ろしい。萩生田文科相も反対したと伝えられているが、官邸の「政僚」の後押しで決まったという。働き方改革とか女性の輝く時代といいながら、働いている母親が困ることなど全く念頭になかったようだ。

<唐突すぎる一斉休校>
 後手後手に回った対応への批判にたまりかねたのか、安倍首相が先頭に立って突然一斉休校と言い出した。雪祭りの中国人観光客から感染が広まってしまった北海道では、緊急事態宣言も仕方あるまい。しかし、感染者のいない県や発生県であってもほとんど感染リスクのない、いわば天然の隔離空間のような中山間地域まで、一斉に休校にしなければならない理由は見当たらない。子供の教育を受ける権利を奪うことなのだ。万が一にも、やっているという政治ポーズが優先されただけならあるまじきことである。
 私の母校・長丘小学校は統合され今年度で廃校になり、最後の卒業式を迎える。その後、春休みに入らず授業を再開してもよくなったし、遅ればせながら卒業式ができる学校も増えたと思われるが、人生の節目の思い出を奪った責任は重大であることを政府は決して忘れてはならない。

<見事な台湾の水際対策>
 私は、日本よりずっと「濃厚」な往来をしている台湾がなぜ新型肺炎騒動から逸れているか疑問に思っていた。そして目にしたアエラの『新型コロナ"神対応"連発で支持率爆上げの台湾』(2/29)で目を見張る台湾の迅速な対応を知った。初期の迅速な対応の概要を簡単にまとめると以下のとおりである。
 12月31日 中国からWHOへ最初の報告が行われた(中国に邪魔され台湾はWHOのメンバーではない)。台湾のCDC(疫病対策の中心)が、すぐ検疫強化を指示。
 1月3日 CDC緊急事態会議、12/11以降の武漢からの直行便7便の乗員乗客633人の検疫を実施、以降ずっと検査を続ける。(× 日本は正月休みで全く動かず)
 1月7日 武漢への海外渡航警戒レベルを1(注意)に引き上げ(× 加藤厚労相が記者会見で初めて言及)
 1月15日 感染者が1人も出ていないのに法定感染症に指定(× 日本は2週間遅れの1/28に指定感染症に指定)
 1月24日 中国への団体旅行を一時停止(× 日本は渡航禁止せず)
 1月25日 湖北省へレベル3(渡航中止勧告)、中国全域をレベル2(警告)に引き上げ(× 日本は1/24に湖北省全域をレベル3渡航中止勧告)
 1月31日 CDCはマスクを中央政府の管理下に(2月6日以降、マスクは健康保険カードにより、1週間に2枚購入可能)。(× 日本はマスク不足に全く手を打たず、後に店頭から消える)
 2月2日 高校以下の教育機関で冬休み2週間延長。11日予定の始業は25日に延期。(× 日本は3週間遅れの2/27に休校要請)
12才以下の子供を持つ保護者が看護休暇を取れるようにする。もし雇用主が給与を支払わないと処罰(× 日本は2/27休校に数日遅れて慌てて対応を付けたす)
 2月5日 中国全土を渡航中止(× 相変わらず何もせず)
 2月6日 中国人の入国禁止(× 日本はいまだ入国禁止せず) 

<経済対策に偏り危機対応が忘れられている官邸>
 中国がおこがましくも日本と韓国からの入国者は先に2週間の隔離をしだした。本末転倒である。米は1月下旬に中国便を止め、3月14日には中国人の入国を禁止した。それを日本は2月1日に湖北省,浙江省からの入国を禁止しただけである。
 政府はかなり遅れて3月5日にやっと中国・韓国からの入国者に2週間隔離・停留の方針を打ち出した。
 日本政府のウイルスに対する危機管理はなっていない。イタリアでは3月21日に1日あたりの死者数が700人を超え、第二次世界大戦以来最大の危機となっている。安倍官邸の言う危機は、外敵の攻撃といったことしか想定していないのかもしれない。

<官邸あって省なし>
 かつて橋本行革の時に「省あって国なし」と言われ内閣機能の強化が謳われた。それが今は度が過ぎてしまい、言ってみれば「官邸あって各省なし」になってしまった。更に内閣人事局を通じて、各省の人事にも介入し出し、今や検察にまでその手が及んでいる(政僚シリーズ 8参照)。
 このように官邸は巨大化し、今や権力を欲しいままにふるっている。一斉休校に至っては専門家の意見も聞かないばかりか、萩生田文科相の意見にも聞くことなく決められたという。いくら緊急事態とはいえ、学校現場を知る文科相をすっ飛ばして決めるのは明らかに行き過ぎである。安倍長期政権に取り入れられ、長年にわたり官邸にいる「政僚」が思い付きで国策を動かしている。その弊害が一挙に噴出したのが、今回の新型コロナウイルス対策である。

<台湾は感染症の専門家が指揮、日本は官邸の思い付き提案で大混乱>
 台湾が見事に対応できたのは2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の時に84人が亡くなっており、その反省から機敏な対策を打てたという。そして先頭に立ったのはそのときの経験者たちであり、感染症対策の専門家である。
 そもそも安倍官邸は、官邸の人員配置が「日本を世界で1番ビジネスのしやすい国にする」という安倍首相の考えに基づき、経済に偏った人的配置になっているからである。全てが「経済成長、経済成長」と拡大路線で固めてきているので、入国規制・縮小等に対応できる体制や感染対策の知識を持つ専門家等、いざという事態に対応できる者は皆無だった。和泉首相補佐官とコネクティングルーム云々と週刊誌を賑わす大坪審議官とやらではとても対応できまい。何より国民が信用しない。
 政務秘書官も広報官も経済産業省の元官僚。彼等が思い付きで対策を打ち出している。ポイント還元とか、ちゃちな経済対策のノリで国民の生命にかかわる事を決められてはたまらない。
 だだ救いは、日本の医療体制がしっかりしていることから、今のところマスク不足ぐらいで、重症化による死者がそれほど増えず、医療崩壊に至っていないことである。

<この期に及んでまだ経済重視>
 台湾の中国依存度なり、濃厚接触度合いは日本のそれを上回る。しかし、経済的損失を度外視して、2/5に中国への渡航を禁止し、2/6には中国人の入国を禁止している。ところが、中国から部品が入らなくなることを怖れて日本は一切そういうことをしなかった。今もしていない。
 日本は中国のサプライチェーンなしに経済が成り立たなくなってしまっているのだ。日本人の生命・財産を守るならば、憲法改正で自衛隊の役割を明記するなどということではなく、ウイルス対策を全面に押し出して、経済が少々混乱しても中国との往来を止め、日本人の命と健康を新型コロナウイルスから守るのが先だったのだ。

2020年3月 4日

<政僚シリーズ8>長期政権の膿が噴出した黒川東京高検検事長定年延長-政僚を検察にまで及ばす驕りは許されず- 20.03.04

<欧米社会では公職トップの任期は2期8年が常識>
 アメリカでは大統領も州知事も、或いはロサンゼルス市長も2期8年までと任期の上限が決まっている。権力は腐敗していくからである。その極みは日本の政治史上最長の政権となった安倍政権に如実に表れている。私は、あまりこうしたことだけを追及したくなかったが、予算員会分科会で私のスタイルで森雅子法相に質問した。
 私は、余人を持って代え難しという場合、定年延長はあっていいと思っている。日本は定年が決められているが、アメリカ社会では大学教授などには定年がない。今の民主党の大統領選候補選びを見ても、サンダースの78才を筆頭に有力候補の大半は70代しかも後半で、現大統領のトランプも73才である。更に、マレーシアのマハティールは92才であり、激務の国のトップも務まるのだから、私は定年延長があっても何もおかしくないと考えている。

<検察官には検察庁法適用が当然>
 しかし、検察官の定年は検察庁法に63才と決められている。かつ1981年の改正で国家公務員に60才定年制がしかれた時の想定問答に定年延長ができないとしていた。ところが、安倍政権は法律を学んだものには常識である特別法(検察庁法)が一般法(国家公務員法)に優先するというルールを踏みにじり、法律を無視して違法に黒川東京高検検事長の定年延長をしたのである。
 自民党は三角大福中の派閥闘争に明け暮れた反省から、総裁の任期は3年、最長で2期6年までと定められていた。安倍政権が長く3期目もありそうだったことから、3期9年に延長した。その後で、安部首相を3期目の総裁に選んだ。自民党は節度をもってルールを先に変えているのに、それを政府はしゃぁしゃぁと解釈を変更して任期の延長をしたのである。
<極めて妥当だった塩飽審議官の定年延長>
 私は、農林水産省時代国際部対外政策室長の時(1989~91年)に、塩飽二郎という立派な審議官の下、文字通り鞄持ちとして世界各地を飛び回り、年11回も海外出張をしたことがあった。
 国際交渉はボトムアップではなく、トップダウンつまり交渉者同士のやり取りで決するのでトップの力量が鍵を握る。日本のように2年かそこらでクルクル変わっていたら交渉がうまく進まない。日本のコメの自由化問題が急を告げていた頃であり、塩飽審議官は農業交渉のグループの中の顔役になっていた。農林水産省は昔は国際関係をそれほど大事にしてこなかったため、国際分野での人材育成を怠ったのであろう、代わる適材は見当たらなかった。ガット・ウルグアイラウンドの真っ最中なのに、塩飽審議官が60才で定年になり困ったものだと思っていたところ、余人を持って代え難しということで定年が1年余延長された。
<消えた私の第二の塩飽の夢>
 塩飽審議官は学生時代に結核を患い、3年か4年療養生活を強いられたので同期より年長だった。艱難辛苦を乗り越えられたのだろう、威張って大声を張り上げることなどなく、洒脱な人格者だった。今思い起こしてみると塩飽審議官にお仕えした2年間は、私にとって最高の役人時代だった気がする。
 つまらぬ告白をすると、私もいつか塩飽審議官のように余人をもって代え難し、という国際交渉のプロになろうと秘かに決意した。ところが、望み通りにはいかないのが世の常、国際分野の幹部との声はかからず、いつの間にか政界に身を置くことになってしまった。羽田元首相の政界進出の強い勧めに8年間も応じずにいた理由の一つは実はここにあった。
<検察にまで政僚を跋扈させんとする安倍政権>
 もし黒川東京高検検事長が、例えばカルロス・ゴーンの問題を扱っており、今後も国際問題がからむ複雑な案件を引き続き担当するためにやむをえないといった具体的な理由があるのならば、定年延長にも理はあると思う。それでもルールには従わなければならない。
 政界で後継候補を探すのは至難の業であり、なかなか適当な人は見当たらない。だから、安直に2世3世議員が増えていく。しかし、霞が関あるいは裁判官や検察の法曹界では優秀な人材は目白押しであり、代わりはいくらでもいる。それを安倍内閣は自分に近い者を検事総長にしようとしているのである。検察は時の政権をも起訴する権限を持っていることから、公平性、中立性が要求される。
 ところが驕る安倍政権は、検事の人事にまで平然と介入し、私が再三にわたって警鐘を鳴らす政僚の跋扈がついに検察組織にまで及ばんとしているのだ。
 可哀想なのはこんな騒動に巻き込まれた黒川氏である。ただ、もし黒川氏が本当に検察のエースだとしたら、違法な定年延長など辞退して、検察の意地を示してほしいものである。
<アメリカでもトランプ大統領が司法介入、辞任要求騒動に発展>
 安倍首相のやることはトランプ大統領に似ていることが多い。海の向こうでもトランプ大統領が盟友ロジャー・ストーン被告の求刑を巡り、ツイッターで不満を述べ、それに従った形となったことから、バー司法長官が「職務を遂行できない」と不満を述べた。一方、4人の担当検事は抗議の意味で担当を降り、更に元職員1100人がバー長官の辞任を要求する騒ぎとなっている。その要求書の中で、司法省は政治に関係なく正義を守るための適切な行動を促している。やはり、同じことが起こっても、アメリカには自浄作用があるのに、日本は少しも反省がみられない。
<支離滅裂迷答弁>
 森法相の答弁や説明はもう滅茶苦茶・支離滅裂である。例えば元々65才定年制にしようと検討しており、それを先取りして解釈を変更したと言い訳しだした。確かに65才といっても昔と今では元気さが違うし、方向は理解できる。しかし、ルールを改正してからやるべきであって、先取りしてやるということなどあり得ない。完全な後付けであり、麻雀でもあるまいし許されることではない。この他にも、国家公務員法が適用される、法解釈を変えた、口頭決裁した・・・と信じがたい答弁が続いた。この件は、多くの同僚が追及していたので詳述は避ける。
 私は、何よりも法相の答弁に誠実さの一かけらもなかった事に驚いた。なぜなら7年前テレビ入りの予算委員会で、特定秘密保護法担当大臣に質問した時にはオドオドしており、あまりいじめるのはよくないと思い止めたくらいであった。ところが、7年経ち悪い方向に成長し、ふてぶてしくなり白々しい答弁を平然とするようになっていた。嘘に嘘を重ねる弁解は聞くにたえない。2月26日の法相不信任案提出は必然である。
<対策本部会合欠席からも森法相辞任は当然>
 新型コロナウィルスの水際対策として、現在入国管理難民法5条第14号でもって外国人の入国を拒否している。「日本の利益及び公序を害するおそれがある者」を上陸(入国)拒否できるという第14号は、そもそもテロリスト等の入国を防ぐ事を想定している。それを場当たり的に、この規定による閣議了解という際どい理屈で外国人の上陸(入国)を止めている。当日、(2月25日)毎日新聞もそのことを問題視し、14号で対応するのではなく、ちゃんと法律を整えるべきだと詳細に報じた。
 ところが、2月16日に森法相は新型コロナウィルス対策本部の会合をすっ飛ばして、地元福島県の書道展の挨拶に出かけて欠席した。小泉環境相、萩生田文科相も地元行事で欠席したが、森法相こそ出席が必須の関係閣僚だったのだ。イスラエル等は日本人の入国を明確に拒否しており、上陸拒否は国際問題にもなりつつあるのだ。それにもかかわらず大臣の欠席を許す、安倍政権の危機意識の低さはここにも現れている。そこで「さぞかし、いっぱい立派な書をみてこられただろう。それならば立派な書で以って辞表を書いていただきたい」といつもの嫌味で質問を締めくくった。