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【新型コロナウイルス感染症シリーズ7】(マイナンバー1)なぜマイナンバーを使わないのか-マイナンバーと直結した口座があればすぐ給付できるのに- 20.04.29

 4月30日異例ずくめの補正予算がこれまた珍しく全会一致で成立する予定である。今までも災害対策の補正予算は全会一致であったこともあるが、相当揺れに揺れた大型補正予算にもかかわらずである。それだけ急いでいるからである。だから、特に急がれる10万円の特別給付金は速やかに給付をしてもらわないとならない。
 しかし、問題点は今からでも検証しておかなければならない。
 

<一律10万円より困窮者に30万円が理に適う>
 すったもんだした挙句、前代未聞の政府与党による補正予算の組替えで1人当たり10万円の一律給付が決まった。野党が喚き、公明党が乗り、二階幹事長が動き大逆転したのだ。国民の声だと口を揃えているが、本当だろうか。世論調査で、本当の困窮世帯に30万円を給付するのと国民一人に一律10万円を給付するのとどちらがよいかと問うたならば、平均的日本人は前者を答えるのではないだろうか。貰えるものは貰っておこうという姿勢はあるにしても、別に収入も減っていないなら困っている人を優先的にという心ある日本人も多いと思うからだ。布マスク2枚の全家庭配布も同根である。その一つの証拠に、国民の一連の対策に対する評価はさんざんであり、7~8割は満足していない。
 麻生財務相は、リーマンショックの定額給付金1万2000円は、貯蓄に回ったりして景気対策という意味での効果がなかったと毛嫌いする。事実その通りだろう。ただ今回の30万円給付はそもそも困窮者の救済を目的としていた。これが一律10万円になると困窮者の救済という性格がより薄められて「特別定額給付金」と似たように呼ばれている。今は景気対策は横に置いておいて、生活なり暮らしを優先すべきなのだ。そういう意味では、約1300万世帯(5300、世帯の2割)が対象となる30万円給付するほうが理に適っていたのである。

<農業者戸別所得補償と10万円給付の差>
 30万円も10万円も、収入減に対するものであり、民主党政権で導入した「農業者戸別所得補償」の全国民版なのだ。農業者戸別所得補償は、農民も歓迎し、今も野党のマニフェスト等の公約では農政の柱にいつも登場する。それなのに今回の所得補償がうまくいかないのはなぜか。
 農業者戸別所得補償の場合は、農地は動かないし面積もわかっている。何を作っているか誰にもすぐわかる。そして、元になる作物価格、作付面積等の基礎データが揃っており、ごまかしがきかない。
 米でいうと10aあたり1万5000円、麦で3万円といった具合で所得補償した。だから農民に手続き上の負担を強いることもなく、不公平感も生じない。地方自治体の窓口の農政坦当者も残業せずにすむことになる。
 それに対して、30万円の場合給付の元になる所得が捕捉されておらず、誰に給付したらいいかを決められないからだ。

<米麦等生産者への給付は困窮者への30万円の給付と同じ>
 農業者戸別所得補償は全農家が対象ではない。国民に不可欠な主要食料すなわち米、麦、大豆等、狭隘な農地では競争力がなく、生産コストが販売価格を上回っている作物を生産してくれている農家に対するものである。利益の上げられる果樹や野菜を作ったり、和牛を飼育している農家には行かないのだ。つまり選ばれた一握りの農家であり、今回の例で言えば、30万円の対象者である困窮者といってよい。ところが後者の問題は、一体誰が本当の困窮者か区別がつかないので、収入減を示す書類の提出が求められ、給付までに時間がかかりすぎることである。すぐ必要なのにスピード感がないし、困窮者にそんな煩雑なことをさせられないため、あえなく葬り去られてしまった。
 一律10万円給付は農家なら大規模だろうと小規模だろうと何を作っていようが、どの家畜を飼育していようが構わずに誰でも所得補償するという荒っぽいものである。こんな愚策には経済界や都市部から、農業過保護論が一斉に吹き出すだろう。それを10万円の一律給付は国民が一様に歓迎し、マスコミも批判しないのは、私には不思議でならない。

<忘れ去られているマイナンバーの活用>
 だとすれば問題は本当の困窮者をどう決めるかということだけだが、やりようがないのだろうか。いや、マイナンバー制度がある。今回の休業補償に合わせて敢えてわざと使えば、評判の悪い「納税者番号制度」である。2016年から、日本国民全員がマイナンバーを持っている。社会保障、税、災害対策に使うことになっている。ところが問題は、市区町村の交付するカードを持っている者は15%しかおらず、ほとんどは紙の番号通知書のままタンスに眠っているだけだ。住民票の取り寄せ、ネットでの確定申告、パスポートの新規発行などの使いみちがあるが、肌身離さず持ち歩く理由が見いだせないのでしかたないのかもしれない。

<米・仏のマイナンバー>
 私の古い体験で言うと、1976年アメリカ留学をした時に、身分証明書をもらった。拙い英語しか話せない日本人留学生に、入国管理のおばさんは「このsocial security number (社会保障番号)はあなたがアメリカで一生使うものなのだ」と2度3度念を押されたことを覚えている。そして、アメリカの行政手続きはまさに社会保障番号をもとに速やかに行われる仕組みとなっている。そして今回も日本と大体似ており1人当たり最大1200ドル(13万円)の支給は、社会保障番号を持つ個人の銀行口座に直接振り込まれる。3月27日関連法成立後約2週間後に始まり、4月15日には8000万人に届くという。
 フランスでは社会保障なり福祉政策がしっかりしている。その根元の所得の捕捉がある。例えば親の所得によって給食費等にも差が設けられている。
 こうしたことは納税ばかりでなく、諸々の手続きが全てこうした番号を基に行われている。私は日本もこうした仕組に早く変えるべきではないかと思う。

<国民一人ひとりの収入も捕捉し給付手続きを簡素化すべし>
 私は深く関わっていないから、正直なところ今回の給付にマイナンバーがどのように役立てられるのかよくわからないが、導入から4年も経つのに政府が活用に力をいれてきた気配が感じられない。悪夢の民主党政権がやり出そうとしたこと故、意図的に手をつけなかったとでもいうのだろうか。そういえば同じく民主党政権下でできた新型インフルエンザ特措法(以下特措法)もいくら適用をせかしても応じず、改正してやっと使いだした。そして、緊急事態宣言の下の休業要請や要請に従わないパチンコ店の公表は元々の特措法に拠っている。
 マイナンバー制度は、元々民主党政権が給付付き税額控除制度と一体で導入しようとしたものだ。消費税の逆進性を補うため、低所得者からも徴収するが消費税負担額をあとから給付するのに使うはずだった。もしも、マイナンバーと口座が繋がっていたら、今回のように緊急の時には指定された口座にたちどころに振り込むことが出来たはずである、

<社会保障には収入捕捉が不可欠>
 2009年の定額給付金では審査不要でも3か月かかった。それを地方自治体の6月定例議会を待ったり、2月~6月の収入が住民税非課税水準以下とか半減したという書類を揃えていたのでは、どれだけ時間がかかるかわからない。常識的考えて夏までかかる。その間に収入減により家賃も払えず食事にも事欠き干上がってしまう困窮世帯も出て来る可能性もある。だとすれば手間がかからず収入を捕捉するのはマイナンバー直結の納税であり、払い込みもマイナンバー直結の口座ではなかろうか。その導入を怠った政府の怠慢である。(続く)