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【新型コロナウイルス感染症シリーズ12】なぜ台湾・韓国がコロナ対応に成功し、日本がダメなのか- ①有事は法制整備も形式だけで準備なく、②野党がダメで政治に緊張感がないから -20.05.14

<東アジアの隣接国は見事なコロナ対応を見せる>
 台湾も韓国も日本より中国に近い。特に台湾は地理的に近いだけでなく、交流もずっと濃厚である。それなのに二国とも見事に対応し「台湾モデル」「韓国モデル」と世界から注目され、後者は苦戦を伝えられた総選挙でも圧勝する要因となり、文在寅大統領は「K防疫」と呼び自賛している。他にももう一国、中国と国境を接するベトナムが対応が早く被害が広がっていない。
 そうした中、日本一国だけが死者が少ないものの今一つピシッとしていない。なぜなのか根源的な原因を考えてみた。

<コロナ対応を戦争に例えるが、有事対応ができたのか>
 米独仏のトップは推し並べて新型コロナウイルスの対応を戦争に喩えている。だとすれば、まさに国家の一大事であり、有事にほかならない。そして日本を除く隣接二(三)国は見事に対応している。それに対して、2015年安保法制を強引に通し、有事法制を整えたと自負している安倍政権は、実際には全く心構えができていなかったことになる。安保法制を反対する勢力に対し、平和ボケしていると批判していたが、今回の後手後手の水際対策をみると、ボケていたのはどちらかと言いたくなる。

<ウイルスへの防御体制は軍事的な防御体制に通ずる>
 世界中がもがき苦しみながらも国を挙げてまさに総力戦で対応しているというのに、日本だけがのほほんとして手をこまねいていたのである。新型コロナウイルスは目に見えない大敵である。見えないという点では放射能と似ている。違いは、後者は原発によほど近づかない限りすぐ命を落とすことはないが、前者は容態が一変してすぐに死に至る人が続出するということである。
 原発事故や得体の知れないウイルスに抗することができない政権は、軍事的なイザという時も同じように対処できないだろう。そういう意味では、安倍政権なり自公政権のこれまでの安全保障政策は形式的だけで実際には役だっていないといってよい。官邸直属の国家安全保障局や危機管理官室は未曾有の危機に対応できているのか疑問である。官邸でのさばる経産官僚が、経済政策を同じ感覚で対応せんとしているだけで、とても危機感が感じられない。

<独立独歩で対応せざるを得ない台湾>
 中国船舶が台湾海峡を往来しいつでも有事であり、韓国は
コロナにやられ重病という噂も立っているが、何をしでかすかわからない金正恩の北朝鮮と境を接している。この緊張感の差が歴然と出たのではなかろうか。つまり危機をずっと背中に背負っている国とアメリカ頼みで形だけこだわっている国との違いである。
 台湾は哀れ、2016年の蔡英文政権誕生とともにWHO総会へのオブザーバー参加もままならなくなっていた。そして22ヶ国と外交関係があったのが、中国の猛攻勢により7ヶ国減り15ヶ国なっている。だから、武漢の奇妙な肺炎の情報もWHO経由などではなく自ら収集せざるを得なかった。ただ言語も同じであり、台湾人100万人が中国に暮しており、中国情報の収集能力は抜きん出ている。だから武漢の肺炎でも、逸早くヒト・ヒト感染も疑い、12月にはWHOにもその旨警告のメールを打っていたという。

<豚熱にもコロナにも機敏に厳しく対応>
 豚熱(豚コレラ)について、生ぬるい日本と異なり完全防御体制をひき、空港で豚熱発生地域の肉製品を持ち込んだ者には初回罰金72万円、2回目360万円も課され、即時に罰金を払えない場合は本国に強制送還するという厳格な態度で望んでいる。そして今回を人間に被害を与えるウイルスにも同じことをしているだけである。準備ができていたのだ。
 1月になってすぐに休み返上で対策会議を開き、1月23日には武漢の都市封鎖に伴い、武漢からの入境手続を禁止し、2月6日に中国在住中国人の入境を禁止している。
 武漢便で帰国する航空機に乗り込み、体温測定し、PCR検査も断行、隔離したのだ。台湾は、新型コロナウイルスに対してすぐさま戦闘態勢に突入したのだ。
 更に私がもう一つ感心するのは、日本と比べても選挙への熱狂振りが段違いで1月の熾烈な総選挙の期間中も、対応の手を緩めていなかったことだ。政権は責任を持ってあたり、役人はきっちり仕事をしていたのである。安倍首相は1月上旬から中旬にかけて夜の会合ばかりで、何一つ指揮官としての対応をしていない。これでは、死者一桁の台湾と697人(5月14日現在)の日本の差が生じても仕方あるまい。

<韓国はコロナ対応で与党が有利に>
 真剣度がちがう。これは韓国とて同じである。朴槿恵前大統領は、304名の修学旅行中の高校生が死亡したセウォル号沈没事故への対応で国民的批判の対象となった。政治家、特にトプは危機への対応で力量を測られる。文在寅大統領はコロナ対応で救われることになった。
 4月の総選挙前、玉ねぎ男とあだ名がついた曹国前法相のスキャンダルもあり、支持率は下がり2月末も42%と劣勢を伝えられていた。ところが、感染者のうち軽症者を別途収容したり、アプリを使って濃厚接触者の追跡をしたりが、国民に受け入れられ終わってみれば与党の圧勝だった。日頃から有事への心構えができているからである。4月半ばには支持率は59%に上がり、更に今は71%と歴代大統領の中では最高の支持率となっている。

<欠ける政治の緊張感>
 日本がダメな二つ目の理由は、政治に全く緊張感が欠けているからである。
 安倍一強政権が続き、10年前なら即刻政権交代すべきモリカケ問題、桜を見る会といった、見苦しいスキャンダルも切り抜けんとしている。政権から引きずり降ろされるという危機感がないから政治が荒っぽくなり、このような有事の対応も杜撰になってくるのだ。

<緊張感をもたらす二大政党制が必要>
 台湾(民進党、国民党)も韓国(共に民主党、未来統合党)も典型的二大政党国家である。下手なことをしているとすぐ政権交代である。韓国の大統領の任期は5年で再選はない。両国とも有権者の支持率のアップダウンもことのほか激しい。だから政治に常に緊張感が漂い、失敗が許されないという厳しい政策対応を求められている。蔡英文総統は地方選の敗北の責任を取り民進党の党首の座を下りており、一時は支持率が25%を切っていた。ところが、今は世界から称賛される台湾モデル対応で、過去最高の74%である。
 日本では野党が提案型野党だなどと言い、思い付きの政策を並べ立て、我が党が先に提案したことだなどと自慢している始末である。これでは政治が緊張するはずがない。野党の役割は一にも二にも政権与党の追求でなければならない。だらしない野党の一員として本当に忸怩たる思いである。
 やはり羽田孜の目指した二大政党制は正しいのだ。

<だらけた政治の弊害がコロナ対応にも出てしまう>
 情報公開をきちんとしてなければ、台湾人や韓国人も納得しない。きちんと説明責任を果たさなければ国民はついていかない。それこそ国民に寄り添う政治をしないと、政権を失う危険が常につきまとっている。台・韓ともトップが真剣に国民に語りかけている。
 ところが自民一強、安倍一強の日本では情報は隠し(モリカケの改ざん)、説明は棒読みで済ませている。これでは国民は政府を信頼せず、政府内との距離が縮まらない。だから世界各国では政権の支持率が上がっている中、日・米・伯だけが下がっている。国民の目は確かなのだ。