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<政僚シリーズ9> 安倍政権7年8ケ月の功は国際的な認知、罪は官邸に巣喰う「政僚」の跋扈 -次期総理はこれを断つべし- 20.09.09

 第二次安倍内閣の7年8ヵ月は長いといえば長いが、アメリカの大統領の大体が2期8年やっていることから比較すれば、やっとアメリカ大統領並みの権威あるトップになったともいえる。安倍総理がそれに足る総理であったかといえば疑問を呈せざるを得ないが、世界の首脳と伍していくには、そこそこの継続が必要である。メルケル政権は15年続いており、プーチン政権はもっと長い。

<長期政権は国際的には歓迎すべき>
 5年続いた小泉政権の後に1年程度の任期の政権がずっと続いた。安倍、福田、麻生、そして民主党政権になってもほぼ1年ずつ鳩山、菅、野田と続いた。そのためサミットでは前の総理の名前で呼ばれることもあったと実しやかに言われていた。それほど日本は政治的に不安定な国と見られていたが、霞が関の官僚が国を支えていたからもっていたとも言われている。

<長期政権を予測した篠原質問>
 第二次安倍内閣発足後1年たった2013年10月21日の予算委員会で私は総理への質問を次のように閉め括っている。
 「総理、頑張っていただきたいと思います。ちゃんとこれを肝に銘じて安倍スタイルでやっていただきたいと思います。正々堂々とやっていただきたいと思います。ちょっと見ていると総理がくるくると代わるのはやはりよくないです。絶対に長くやっていただきたい。あまり長くやっていただかず次の総選挙あたりまでやっていただくのが我々野党としては都合がいいのですが。しかし、見ていますとちょっと慢心がおありになるような気がします。我が党の3年間、それが過ぎたようになって不安になってくるのです。総理はちょっと民主党的な総理になりつつあるのではないかなあと心配になっているのです。そのようにならないでもらいたいということをお願いしまして私の質問を終わらせていただきます」

<短命第一次安倍内閣の反省の上に立った第二次内閣>
 この質問について同僚議員から「なぜ長くやっていただきたいなどと言うのだ」と問われた。「次の総選挙あたりまで(あと3年ぐらいは)やって、その後は政権を我々に戻せと言っているだけのことだ。いずれにせよ私は長期政権を予測したが、それが倍の7年8ケ月になった。
 この頃はまだ慢心はなかった。なぜならば2006年の思い上がったお友達人事はやめ、5人で争った総裁選の候補者も、病気がちな町村を除き、石破、石原、林は閣内に取り込んでいた。第一次安倍内閣が瓦解した反省の上に立っていた。
 民主党的総理は、総理になったら何でもできると勘違いして失敗(沖縄基地の県外移設、消費増税、TPP解散)していったが、我が党の総理の二の舞になるなとの警告だった。もう一つの意味合いは、大衆に迎合してグラグラするということだった。これも自分の党をコケにしていると批判されたが、紛れもない事実だから仕方ない。

<内閣人事局の弊害>
 新聞各紙が功罪をいろいろと書いている。功のほうは新聞に任せることにしても、罪のほうは野党議員の一人として言っておかなければならない。
大きな罪は、政策の決定スタイルを安倍官邸一強により相当変えてしまったということである。橋本内閣の時から始まった内閣官邸機能の強化はほぼ完成した。その一つに指定職(部長、審議官)以上の人事は内閣が決める内閣人事局がある。民主党政権でも推進していたが、私は反対していた。しかし、自民党政権で実現してしまった。そう大した影響はないだろうと高を括っていた。
 しかし、欧米先進国とは異なり日本が恐ろしい忖度社会であることを見誤っていた。官邸がちょっと注文を付ける。それに反対する官僚がいたとする。すぐに左遷される。官僚はポストがなかったら仕事ができない。だからそれを恐れて官邸の意向を窺い始める。窺うだけではなく官邸の意に沿った政策立案しかしないようになる。長期政権の過程で完全に定着してしまった悪循環である。残念ながら、これまた私の予測したとおりになってしまった。

<霞が関に人材が来なくなる>
 そして最悪なのは、支持率を高めるためアベノミクスで「経済の安倍」を演出し、やたらと積極的な政策をする経産省の役人を側用人として登用したことである。私はこれらの人たちを政治的官僚すなわち「政僚」と呼び、ブログに<政僚シリーズ>で批判し続けている。
 霞が関の官僚は可哀相である。その証拠に、国家公務員の上級試験を目指す志望者が減り、特に東大生の合格者が少ないと報じられている。給料は安くても日本国の政策立案の一翼を担わせてもらうのであれば、夜中まで働かされるブラック省庁であっても構わない、自分の一生をそこに賭けよう、と官僚になろうとする者もいる。しかし、ちょっと官邸の意に沿わなければ左遷されて一生浮かび上がることができないとなったら、誰だって敬遠する。私などはおかしいものはおかしいという気質なので、安倍政権下だったらとっくの昔に左遷され、役所を去っていたであろう。

<政僚が経済重視で子供を犠牲にした>
 官僚は、常に官邸の意向を忖度して仕事をすることになる。このことが最も変な形で表れたのは、2月27日の一斉休校である。安倍政権はコロナ対策として水際措置を含めほとんど何もしていなかった。教育政策は重く、そう簡単にいじれるものではない。それを思い付きで済ませる経済対策と同じノリの、経産省出身の官邸政僚の進言で突然一斉休校を宣言したという。他の国は緊急事態宣言で外出禁止をしたときに休校をしている。それを、日本は経済への悪影響を恐れ4月7日までズルズル引き延ばし、やっている感を出すためだけに子供たちを犠牲にしたのである。
ここまで経済に拘る歪んだ政権は世界にも類例がない。
 長野県の過疎地、天然の隔離施設のような場所、そんなところまで休校しなくてはいけないはずはなかった(ブログ『地方は工夫しながら一刻も早く授業を再開すべし』20.5.5)。最もチグハグになったのは、4月の新学期に文部科学省はもう休校を止めて新学期を始めようとしていた。タイミングが悪くその時に感染者数が増えたので、非常事態宣言が4月7日に出されることになった。休校の解除ができずにそのまま続けることになる。挙句の果てにどさくさに紛れて9月入学の議論に進み、野党もそれに乗るという失態を曝け出した。

<サヨナラしたい安倍一強政治>
 私は次の総理には安倍一強官邸政治を止めてもらいたいと思っている。つまり、規制改革会議、国家戦略会議、そしてそこに巣食うイケイケどんどん学者、評論家あるいは、財界人が、例えば農政や医療について生半可な知識しかないにもかかわらず、適当な思い付きを言って、それを各省庁に向けて指示を出し従わせるという非常に歪んだ政治を止めてもらいたい。
与党の政調・部会も昔と比べて影響力がなくなっている。何万票も背負った政治家よりも一部の官邸の取り巻きが政治を動かす構図は大きい間違いをしでかすことにつながり、危険なこと極まりない。
 その前に国会軽視である。しかし、これについては野党がだらしないからであると反論されると、ぐうの音も出ない。我々野党が頑張るしかない。

<各省の政策立案が妥当>
 かつて、省あって内閣はなかったとか言われた。権力のある某省など局あって省なしとも言われた。しかし、専門的知識と経験のある各省が知恵を働かせ、一生懸命に政策を練り上げていけばいいのであって、官邸がいきなり命じてあれをやれこれをやれと言うのは確実に歪んだ政策になってしまう。与党で練り、国会で議論してより良いものに作り上げていかなければならない。 だからこの際、官邸に○○会議だの○○委員会と設けてやる仕組みを止めて、各省のそれぞれの審議会できちんと議論し、どうしても官邸が口出しをしなくてはならないものだけを官邸がやるという従来の仕組みにするのが正しい途である。