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長期政権で膿だらけの自民党 - 桜を見る会、吉川貴盛元農相のスキャンダルは政権交代以外に止められず -20.12.16

 桜を見る会を巡る疑惑は安倍総理の退陣もあり、一旦は終息しかかった。韓国は大統領が退陣しても容赦なく追及し続けるが、日本社会は優しく、公職を辞すとまあいいかと許してしまうことが大半だからだ。しかし、今回は少々違っており、臨時国会も閉会に近づきつつある11月23日、東京地検特捜部が安倍総理の公設第一秘書から任意で事情聴取をしていたことが、あろうことか政府寄りの讀賣新聞によりスクープされた。

<安倍内閣が黒川検事総長になぜこだわったのか>
 なぜ日本では異例の政治への介入捜査が行われたか、後から時系列的に何が起きたかを振り返ってみると、いろいろなことがわかってくる。
安倍内閣は定年延長をしてまで黒川弘務検事総長に相当執心した。なぜそこまで黒川弘務にこだわるのか当時はよくわからなかった。
 桜を見る会、それより前のモリ・カケにしても同じであるが、事実なら明らかな法律違反である。だから安倍内閣は捜査の手が伸びることを極度に恐れ、検事総長も是が非でも自分の言うことを聞く検事総長にしたかったのではないだろうか。

<検察は三権分立と行政の狭間にある>
 三権分立で、行政・立法・司法は独立していなければならないが、検察だけはちょっと変わっていて、法務省(行政)の傘下にある。そのため検事の一部のエリートは法務省にも出向法務行政も経験し、特に終盤になると刑事局長・法務次官・検事総長というのが定番のコースとなる。
 私は、京大法学部を出たが、同級生もゼミの同期もあまり役人はいない。多くが法曹界に行ったが、裁判官、弁護士ばかりで検事は身近には一人もいない。多分行政的な立場を潔しとしない姿勢がそうさせたのだろう。端からアンチ政府なのだ。
 そうした中、役人になって20年弱経ちOECD代表部出向中に、在仏フランス大使館(以下仏大)に法務省からの出向者でいかにも検事らしい者に出会った。黒川に代わって検事総長になった林眞琴である。
( 余計なことを言えば、警察庁からも検察と警察はリヨンに国際刑事警察機構があるために出向していた。同じビルの上部がOECD代表部で、下部が仏大で二人とはたまに顔を合わせることがあった。後者は一期目の安倍総理の秘書官、二期目以降内閣情報室長、そして今国家安全保障局長の北村滋である。OECD代表部員にフランス政治情勢のわかりやすい講義をしてくれたが、有能振りはすぐに見分けがついた。安倍総理が重用するのもむべなるかなである。 )


<思いがけず瓦解した黒い企み>
  普通の政治家が愛想の良く、言うことをきいてくれそうな黒川弘務を検事総長に選ぶというのは納得がいく。ところがSNS上で「#(ハッシュタグ)」が走り回り、後付けで定年延長の格好付けをしようとした検察庁法も通らず、挙句の果てに黒川はマスコミに注目されている中、新聞記者たちとの賭け麻雀であえなく辞任していった。安倍政権は黒川検事総長にして、追及をしないようにしてほしかったのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。
案の定、桜問題は再浮上し、今4,000万円のホテルへの支払いとか色々なことが言われ、安倍総理も事情聴取に応じると報じられている。

<追及を逃れるための病気退陣では?>
前回、安倍総理が突如退陣した2007年のことをほとんどの人たちは忘れているが、農業者戸別所得補償により29の1人区のうち23を野党側が取り、自民党は6議席しか取れなかった。その結果、衆・参のねじれが生じ、参議院は野党が多数を占めたのである。これもあって、潰瘍性大腸炎という体調不良があった安倍総理は、秋の臨時国会の所信表明演説をしただけで翌日突発的に退陣した。傍目に見ていても憔悴振りがよくわかった。
 それに対して今回は、そうした感じは受けなかった。一部のマスコミの報道によると、検察の手が伸びてきているというのを察知した安倍総理が先手を打ち、持病の悪化を理由にして退陣した。そして、国会での追及などをはねのけてくれる、云わば一心同体であった菅官房長官を総理にというレールを敷いたともいわれている。
 ただ、その後の安倍総理の元気な姿や、見計らったようなタイミングでの今回の問題の再浮上に、これらの報道もあながち間違いでないような気がしてならない。

<追い打ちをかけた吉川元農相の500万円受け取り>
 そこにまた降ってわいたのが吉川貴盛農水相の大臣室での500万円の受け取りである。職務権限がある農林水産大臣であり、事実なら明らかにあっせん罪と収賄罪である。自民党議員は不祥事発覚と病気入院のタイミングが一致しがちだが、吉川元農相も同様入院し、取材ができなくなった。党の役職を辞任にとどまらず、議員も辞職に追い込まれた。アキタ・フーズという鶏卵の会社の会長であり、鶏卵業界のドンが、OIE(国際獣疫事務局)から発した国際飼育基準を緩めてくれと要望し、その関係で受け取ったとみられている。(12/24修正)

<世界に遅れるアニマル・ウェルフェア>
 あまり馴染みがないかもしれないが、欧米ではAnimal Welfare, Animal Right(動物の福祉、動物の権利)などと呼ばれ、動物にも生きる権利があり虐待的な飼い方はしない、残酷な殺し方はしないといったことが当然のことになっている。例えば、スイスでは1982年に鶏のケージ飼いが禁止され、EU各国でも1羽当たり○○㎡が必要といった基準が設けられている。ところが、日本はそういう点では効率一点張りで、1番アニマル・ウェルフェアを無視した飼い方になっている。アキタ・フーズの会長は、そんなことをしたら経営が成り立たないのでやめてくれと、吉川農林水産大臣に要請していた(この点は日本の歪みを象徴しており、これこそ大切な点なので別途詳細に述べる。)。
 また、私は2004年4月8日の衆議院本会議において、民主党時代の鳥インフルエンザ絡みの議員立法提案理由説明を行ない、日本の非鶏道的飼育の問題を指摘している。それから16年を経て、やっと問題になりだしたのだ。

<長期政権の膿>
 こうしたことは一体なぜ起こるのか。答えは簡単である。自民党の長期政権の故である。長く政権にいると業界との接触も濃密になりすぎていく。新型コロナウィルス同様に過剰な密は避けなければならない。アメリカのように2期8年、あるいはトランプ大統領のように4年でガラッと変わるとなると、そういういかがわしい関係は断ち切れることになる。だからアメリカ大統領も州知事も2期8年までと期限が切られている。私はこれに倣って日本も政令市の首長・知事等は2期8年以内にすべきだと思っている。日本では大臣は1年か2年で交代するにもかかわらず、群がる人たちがいる。

<政権交代しかこの手の事件を根絶できず>
 今後捜査が進むにつれ、多分芋づる式に関係者が出てくるのではないかと思う。かつて撚糸工連事件というのがあったが、これもまた別の事件を捜査しているところから発覚して、政治家の逮捕という大事件に発展した。今回も河井克行前衆議院議員が自民党養鶏議員連の役員であったことから献金を受けていて、妻河井案里参議院議員の1億5,000万円の資金の流れを追っている特捜部が家宅捜索したところ、吉川農相の不祥事が明るみになった。全く同じ構図である。
この構図を断ち切るためには、早く政権交代をして我々が政権の座に就く以外にないと思っている。