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2021年1月29日

【予算委質問報告2】コロナ禍の国会審議改革案 -国会でも蔓延を防ぐため検査を徹底、次に密を避ける工夫が必要― 21.02.02

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21年1月26日予算委員会質疑資料はこちらから
【予算委質問報告1】より続く

<PCR検査を有効に活用する先進国>
 そこで私は世界各国が1日当りに感染者数の何倍PCR検査をしているかを比較した。(パネル・表 PCR検査数累計より算出した各国の1日当たりの検査数平均)
 表の1日当たりのPCR検査数平均は、各国が発表している累計のPCR検査数をその間の日数で割ったもので、いわばこれぐらいは毎日コンスタントに検査出来てきていたかの数字になる。
 日本の1月20日の感染者数は、5,384人、PCR検査平均は15,990件で日本はたったの3倍になる。それに対して1月20日に、17万7,000人の感染者がいたアメリカは、約5倍の平均84万9, 000件の検査をしてきており、イギリスは約6倍、ドイツは約10倍の検査をしてきていると推計される。このように各国では徹底したPCR検査が行われているのだ。つまり、日本では無症状の感染者が市中に多くおり、これが経路不明の感染者の増につながっている。

<PCR検査は水際対策に次ぐコロナ対策の基本>
 検査をすれば全てうまくいくということではないが、オーストラリアの場合が理想的に動いているような気がする。感染者数は9人だけれども、1日当たりのPCR検査数は2万8,000件。2,978倍のPCR検査してきた実績があるということだ。なかなか検査を受けられない日本とは真逆で、PCR検査へのアクセスを出来る限り容易にして、多目に検査して無症状の感染も割り出して、隔離しているから感染者が少なくて済んでいるのだ。
 台湾は感染者6人、ベトナムは1人。このことを今更あげつらっても仕方ないが、当初二カ国とも徹底的な水際措置を講じたから、今現在も一桁の感染者しか出ていない。それにもかかわらず検査はきちんと行ってきている。

<中国は武漢のロックダウンの反省からPCR検査を徹底している>
 北京では大興地区で英国型の変異株が発見された。英国型の場合は致死率も高いし感染力もずっと高いと言われており、中国政府は、その大興地区の2万4,000人を自宅待機としロックダウンした。その一方で近隣の155万人に一斉にPCR検査をしている。他に河北省の石家荘市(長野市の姉妹都市)でも感染が拡大しており1千万人近くがPCR検査をしているという。
 これを日本に当てはめるとしたら、静岡で英国株の感染者が2人出た時に、近隣の数万人にPCR検査をしないとならないが、とてもそんな体制になってはいないし、そういう姿勢も見られない。日本は当初からなぜかしらPCR検査を軽視し続け、今やワクチンでごまかそうとしている。

<4日に1回PCR検査をしているウィ-ン・フィルハーモニー>
 ウィ-ン・フィルハーモニーがPCR検査を徹底している。音楽大使として世界各国で演奏活動しているが、4日に1回全楽団員がPCR検査をし、どこかのパートの人が感染した場合は、直ちに次の人を補充しているという。チャーター機で世界各国に乗り込み、貸切バスで会場に行き、他の階との接触のない団員だけのホテルのフロアを持つといった細心の細心を払って演奏活動を使い続けている。
 また日本でも、日本相撲協会が初場所の前に900人の協会員全員の検査をしている。行司、床山、呼び出しまで全員である。

<徹底した検査で感染者を割り出し、隔離すれば外出規制や営業規制などしなくてすむ>
 PCR検査はピンからキリまであるようだが数万円。抗原検査は、立憲民主党国対に常備されているのは2500円。新型コロナウィルスが厄介なのは、20代から50代の無症状患者が多く、感染を知らずに出歩いて高齢者や基礎的疾患のある者に移すことである。だから、蔓延を防ぐには一にも二にも検査により感染者を特定し、動き回らせないことだ。
 既に各国で行われているが、検査証明書なり非感染証明書を持った者は自由に出かけられるようにする。また飲食店が十分な感染防止策を講じていたら営業できることにしていくべきである。中途半端に規制を緩めては感染拡大を招き、後追いで第何波だと緊急事態宣言を発出して自粛を繰り返していては、経済的打撃が大きくなるだけである。このあたりで発想の転換が必要である。
 検査に必要なお金は、営業を止める補てんと比べたらそれこそ微々たるものである。ワクチン・ワクチンと騒ぐ前に、検査の徹底を急ぐ必要がある。そういう点では、政府が3月から都市部で不特定多数を対象に無償PCR検査を開始し、感染状況把握を目指すというのは、歓迎すべきことである。コロナ対策の要諦は、1に水際対策、2に検査の徹底、3に病床の確保である。ワクチンはその次のことである。

<国会がクラスターにならないための方策>
 ウィ-ン・フィルハーモニーや相撲協会もきちんとPCR検査しているのである。国会でも検査を徹底してしかるべきである。もしも閣僚が数人欠けたらどうなるのか。あるいは予算委員会でクラスターが発生したらどうなるのか。機能は停止してしまう。
だから、コロナ禍でも約1カ月続く予算委員会は次のように改革したらよいのではないか。
 ① 委員は毎週審議の始まる月曜日朝に抗原検査をして陰性を確かめてから審議入りする。秘書や国会職員も同じように率先して検査を徹底し、国会にクラスターが発生するのを防ぐ。
 ② 国会議員は週末にはPCR検査をきちんとして、陰性を確かめてから地元に帰る。
 ③ 首相、財務相、官房長官以外は、質問通告を受けた者だけの出席ですむようにする。

<与野党相討ちの「密」削減策>
 また与党と野党が両方とも嫌がる2つの提案をするつもりであったが、委員や閣僚の席の間隔を相当広めに取られていた。
 ④ 1つは応援者の入室禁止である。野党は困るが静かに議論できることになる。かつては壁のほうに応援者の席がずっとあったが、その椅子はほぼ取り除かれ、私が提案しようとしたことはもう実行されていた。 
 ⑤ 次に答弁する閣僚が困ることだが、秘書官も入れず、メモ入れも耳元のささやきもできなくし、政治家同士の質問者と大臣(政務三役)だけで議論することである。更に政府参考人(役所の幹部)も余程でないかぎり同行させない。
 ⑥ 憲法第56条1項で、本会議は1/3以上の出席と定数が決められ、委員会は国会法で過半数と決められているが、この際特別に暫定的にそれを下回る定数にして密を避ける。しかし、だからといって一般的な会議と違うので国会の議論にはオンラインはなじまない。

 菅首相は国家戦略特区が大好きである。今回のコロナ国会を「特区」国会とし、今のやり方がうまくいったら全てに適用すると言うことをやってもよいのではないか。
 1月22日から、予算委の答弁台の前にアクリル板を設けて飛沫感染を防いだり、水差しをペットボトルに変えたりと少しは気を使い始めたが、とてもこの程度では感染防止はできない。

<河野大臣への「判で押した答弁」禁止と率直な審議に「範」を垂れてほしいという要請>
 時間が15分ばかりで尻切れトンボに終わってしまい、TVで中継を見ていた者は河野行革担当相に何を聞いたのかわからなかったと思うので、最後にここに私の言おうとしてことをまとめておく。
 菅首相は、デジタル担当大臣、ワクチン担当大臣とカタカナの担当大臣もお好きなようだ。それなら、小泉環境相がしていた国会改革担当も、ダイエット・リフォーム担当大臣として置いていただきたい。
 行革担当相の河野大臣はハンコを禁止したが、ハンコを気にするのだったら、「答弁は控えさせていただく」といった「判で押したような」無味乾燥な答弁することこそ禁止してほしい。この予算委員会の座席は少し間が空いたとはいえ「濃密」だけど、議論は「薄っぺら」だ。率直な発言を続ける河野行革担当相を日本のトランプと持ち上げ、自ら「範」を垂れて、議論こそ濃密になるようにしていただきたい。

【予算委質問報告1】羽田議員追悼質問報告 ‐PCR検査体制が整っていたら助かっていた‐ 21.01.29

 1月26日、私は3年ぶりに予算委員会の質問に立った。羽田雄一郎参議院議員の無念を晴らさねばならなかったからである。たった15分間であったがパネルを3つ作り質問に臨んだ。
21年1月26日予算委員会質疑資料はこちらから


<国会周辺はとっくの昔からステージⅣで緊急事態宣言が必要>
 まず私はいかに国会が危険な状態にあるかということを表で示した(パネル・表 国会関係者、東京都、全国の感染者・死者数比較)。
国会議員は既に9人が感染している。710分の9である。この割合を東京や全国と比較すると、感染者が相当多い東京都の1.9倍、全国と比べると4.5倍である。これを我が長野県と比べると、国会議員は約12倍の感染者ということになる。
 このように国会議員の感染リスクが元々高い理由は、 ①東京と地方を頻繁に往来している、②本会議や委員会は密になる、③人と会わなければ政治は上手く回らない等ある。だから、予算委員会でクラスターが発生するという危険も潜んでいる。坂本哲志地方創生担当相が、陽性者の石原伸晃元自民長幹事長と会食したことが判明し、25日小川純也委員から予算委員を欠席すべきじゃないか、と嫌みを言われていた。あながち大げさなことではなく、予算委員会がクラスター化する恐れがあるということだ。

<東京では症状があるのに2日後しか検査してもらえない>
 そうした中で羽田議員は感染し亡くなってしまった。
 羽田議員のことについては追悼文は書いたが、経緯についてあれこれ言うのは控えていた。今回はパネルで時系列をきちんと示し、いかにひどい状況かということを理解していただくことにした。
 東京でPCR検査ができていないということだ。前夜38.6度の高熱を発するという症状が出ていた羽田議員は二日後しか検査できなかった(パネル・表 東京都と長野県のPCR検査 比較)。その羽田議員が亡くなった時に車の運転をしていて、心臓マッサージから救急車の手配までして相当濃密に接触した東京の秘書は、保健所から「濃厚接触者」と認定されたにもかかわらず、三日後にしか検査ができなかった。奥さんはなんと1月2日の年明けでないと検査ができず、それまで自宅待機ということになっていた。この間に羽田議員と同じく急激に悪化していたらと思うとゾッとする遅れである。石原元幹事長が陽性となり症状もないのに即入院したことについて、「上級国民」(国会議員だから)と批判されているが、羽田議員のPCR検査の二日後という実態をどうみたらいいのだろうか。

<東京はPCR検査もままならず医療崩壊しているのか>
 中川俊男日本医師会会長や尾崎治夫東京都医師会会長はよく言っているとおり、東京都はもう医療崩壊しているのかもしれない。もし羽田議員が25日にすぐ検査ができていたら、肺炎が生じていたことが直ちにわかっただろうし、すぐ入院しECMO人工肺等の治療ができ、亡くなることはなかったのでないかと私は思っている。
 25日の予算委の審議でコロナ陽性で自宅待機中に亡くなられる人、これから療養施設で亡くなられる人は哀れだということが盛んに言われていた。それは当然であるが、羽田議員は、検査を受けて自宅待機やホテル等での療養という手当をされている人たちのずっと手前の段階で息絶えしまったのだ。PCR検査さえしてもらえず、自分がなぜ調子が悪くなっているのかも分からず「俺、肺炎かなぁ」と言ったのが最後の言葉になった。なぜこうなってしまったのかという疑問を呈さずにはいられない。

<東京の12分の1の長野では無症状なのに直ちに検査>
 長野県連では12月23日に常任幹事会で30人ほどの会合を持ち、羽田議員の濃厚接触者じゃないかと疑われていた。手前味噌になるが私が27日夜から関係者の自宅待機や検査を指示し、この結果を全て公表している。後から上田保健所から「濃厚接触はいない」とお達しがあったが、私も羽田議員の地元秘書も下条みつ議員も、長野・上田・松本で、28日(羽田雄一郎議員の亡くなった翌日)午前中に、自主的に念の為の検査をしていた。そして翌日29日に、私と下条議員は陰性だということが分かった。長野駅から幹事会の会場まで5分ほどの送迎をした羽田議員の地元秘書は、陽性で直ちに入院ができた。無症状であったが、医師から入院を勧められている。羽田事務所の関係者だからとったことではなく、ごく普通のことである。
 長野県は無症状であるにもかかわらず直ちに検査ができ、しかも入院できている。それに対して東京都では羽田議員は典型的症状があるにもかかわらず、検査も遅らされ亡くなっている。これは行政なり政府の怠慢のせいと断定できる。

<田村厚労相の言い逃れ答弁>
 一体PCR検査はどうなっているのか、田村厚生労働大臣に問いただした。田村大臣は「4月は検査が一日1万件位しかできなかったが、今は一日約14万件できる。PCR検査は6万~7万件、抗原検査は1万7,000件位しているので、合わせると7万~9万件の検査をしている」と述べた。しかし私はそんなことは信用できない。それだけ検査できるのであれば、症状が出ている羽田議員や濃厚接触者である東京の秘書が二日も三日も待たされるはずがないのだ。

<PCR検査を増やさずにいたツケが回って来た>
 我が国ではPCR検査体制の不備が指摘されていた。
 20年春ごろは病床が満杯になるのを防ぐためにわざとPCR検査をせずにいて、陽性の数を少なくしようとしていたと言われていた。その当時は陽性であればただちに入院していたのである。ところが途中から病床が満杯になり、軽症者は自宅療養あるいはホテルを借り切って施設療養と言うことに切り替わっていった。日本は病床不足から、PCR検査はクラスター中心になり、かつ濃厚接触者に限り、更に有症状の者に限定していた。濃厚接触者でも無症状の場合は、PCR検査を待つ状態となり、自宅待機をさせられるだけとなっていった。
 いくらでもPCR検査体制拡充する期間があったのに、相変わらずPCR検査の体制が少しも整ってこなかった。

<フェイク情報による羽田議員自己責任論はあまりに酷い>
※故人の名誉のために、おかしな指摘には反論しておく
① 愛煙家:羽田議員は、酒もタバコもたしなまない。小さい頃喘息でやせていたという。だから喉に悪いタバコは一切吸っていない。
② 基礎的疾患:糖尿病、高脂血症、高血圧があり、そのために急死した。私も身近にいるが、正直どの程度のものか知らない。政治家の持病は極秘個人情報である。ちょっとした病気ですぐもう長くないといったネガティブキャンペーンが始まるからだ。ちょっと太り気味の者は、胸に手を当てたらすぐわかるはずだ。人間ドックでイエローカードが出されているはずだ。私は、羽田議員がそれがために体調が悪く疲れやすいといったことは見たことがない。私は体重63Kg伸長178cm、私がへばっている横でいつも元気だった。
③ 自ら早く検査に行くべきだった:その通りだ。しかし、いつも周りの者に気を配り、自らの我を通すことを押さえてきた羽田議員は、東京では感染者も多く自分よりひどい症状の者がたくさんいるだろうと慮って、二日間待ち続けていたのである。私はこの優しい人情を察すると、今も涙が止まらない。②のとおり、丈夫だったのだ。だから我慢したのだ。すぐへばる私なら、病院に押しかけて検査してもらっただろう。
私は、このような故人への中傷は許すわけにはいかない。ご冥福を祈るばかりである。

2021年1月26日

21年1月26日予算委員会質疑資料

21年1月26日予算委員会質疑資料

2021年1月25日

【明日1/26】TV中継のお知らせ 「国会中継 予算委員会」 -21.01.25

今国会の予算委員会で、しのはら孝が質問に立ち、地上波でテレビ中継されます。
ぜひご覧ください。

放送日 : 1月26日(火) 9:00~9:15 予定
放送ch : NHK総合
番組名 : 国会中継 予算委員会

2021年1月 1日

令和3年 地元各紙新年号への寄稿文 -21.01.01

地元の各紙新年号への寄稿文
『 コロナ禍は人類に価値観の根本的転換を示唆している(北信ローカル様)』、
『 何が「不要不急」なのか(長野経済新聞様)』、
『 緊急時対応の大切さを(長野建設新聞様)』 を以下に掲載いたします。

『コロナ禍は人類に価値観の根本的転換を示唆している』 北信ローカル様(元旦号)

 一時代の常識が次の世代では非常識に変わることがある。
 例えば、都市への人口集中は資本主義社会では必然であり、抗えないものと決めてかかってきた。文明の発達も余裕のある人たちが一箇所に集うことにより都市文明が生まれたからに他ならない。ところが、今や人類の半数以上が都市部に住み、なかんずく海岸部の大都市に人口の多くが集中している。経済的に見たら集中が効率的であり、社会基盤の整備にしてもバラバラに造るよりも一箇所にきちんとしたものを造ったほうがコストは少なくてすむし、恩恵を受ける人も多数にのぼるからである。
 しかし、大きな落とし穴があった。感染症の蔓延である。ビル・ゲイツは、5年前に人類の危機は核戦争よりも正体不明のウイルスによる感染症によりもたらされる可能性が高い、と指摘していた。そればかりでなく、ミリンダ(妻の名)・ビル財団はWHOにも多額の寄附をして、感染症の研究にも資金援助をしてきている。世の中の先を見通せる人はいるのである。
 感染者の思いがけない拡大に悩まされたのは、ニューヨーク、ロンドン、東京等の大都市ばかりである。便利さの追求の果てにできあがった見知らぬ他人と接触をするのが当たり前の近代都市は感染症には全く無防備であることが証明されたのである。
 そうなると、人には滅多に会うこともなく過ごせる地方や過疎地の方が、ずっと安全だったのである。だから、古代の人々はわざと離れて住んでいたのかもしれない。
我々人類は21世紀末にもこの地球に生き残るためには濃厚・濃密接触を避けるべく、地方に分散して生きていかなければならないかもしれない。




『何が「不要不急」なのか』 長野経済新聞様 新春特集号(長野経済新聞・建設タイムズ合併号)

 コロナ禍の中で頻繁に「不要不急」が使われた。あらゆるスポーツ、音楽会等芸術関係、そしてもっと影響が大きかったのは、飲食業・観光業である。必要か不要かは、人間が暮らしていくのに必要かどうかが分かれ目で、食料品店、薬局、医療関係者、交通機関従事者等はエッセンシャルワーカー(基幹的労働者)として位置付けられた。
 こうした中、目の敵にされたのがパチンコ店やである。小池都知事が初期の頃連日呟いた「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の類である。特にパチンコ店の営業は厳しく制限された。しかし、台と睨めっこしているだけのパチンコがクラスターになった例は殆どなく、魔女狩りの対象にされただけであった。これも絶対に必要なものではないが、ウサ晴らしに必要不可欠な遊びになっている人には、なくてはならぬものだろう。

 第三次産業は、日本のGDP大半の72%を占めている。その中の各種サービスは、元来人の暮らしを豊かにするためのものであり、生きて行く上で必ずしも必要ではないものもある。その一方で、本当に必要なもの、例えば食料を生産する農業とか子供の面倒をみる保育や高齢者や病人の介護とかは軽視されている。気がついてみると日本の経済は、生きることから遠く離れたことで回っているのだ。

 では、サービス業は「不要」なのかといわれればそうではない。例えば、文化・芸術・スポーツ、そして旅行や外食等、人々の生活の潤いのために不可欠なものである。ただ「必要不急」なものとして今は我慢せざるを得ないだけである。
 今、この「必要不急」の仕事に携わる多くの人たちが苦境に立たされているが、私たちに出来ることは何だろうか。感染のリスクのあり、現場に行くのは控えざるを得ない。それならば、側面的な応援、例えば文化・芸術ならコンテンツや物販を買い、旅行・飲食は、県内旅行や宅配の利用等と微力ながらも何かしら出来るのではないだろうか。

 コロナ禍は、ぜいたくを極める現代人に、もっと謙虚に生きよと警告を発しているのかもしれない。しかし、人間にはある程度の遊びも必要である。我々は、今夜の一杯、美味しい郷土料理、お気に入りの歌手の歌、ご贔屓のお芝居、ナイターの興奮を守るため、協力する時ではなかろうか。




『緊急時対応の大切さを』 長野建設新聞様(新年号)

 2020年1月隣国台湾政府は正月休みを返上して中国の武漢の怪しい動きへの対応を協議していた。台湾は中国の反対でWHOからは阻害され、感染症の情報が入ってこない。そのため独自で情報収集するしかない。前代未聞の感染症により死者も出ていることをキャッチし、直ちに防疫措置をとり、中国本土との交流を禁止した。

 それに対して我が日本は、中国の低賃金目当てのサプライチェーンの寸断により部品が入ってこなくなることを恐れていた。安倍政権が待ち望む4月の習近平の来日も控えていた。
 もう一つ、東京オリンピックの開催という問題もあった。そのため。一切国境措置を講ずることなく放置した。そして、何も手を打たないという批判に対して、2月27日苦し紛れに発したのは突然の一斉休校だった。
 幸いにして、日本の医療制度は他国と比べてひけをとらず、今傾斜の奮闘により西欧諸国と比べると感染者数も死者も低く抑えられている。しかし、対応を誤ったことは紛れもない事実である。その結果、史上最長を誇った安倍政権は7年8カ月で終止符を打った。
 水害対策でもそうだが、緊急時の対応如何で全てが決まることを物語っている。
 私はこれを機会に、いざという時にどう動くか、常日頃から頭の訓練をしておかなければなるまい。2021年は、あたふたとせずにいれることを願ってやまない。