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【政僚シリーズ12】政権交代で政僚の跋扈を断つしかない -相変わらずの政官財の癒着は許してはならず- 21.05.14

 どこの役所にも業界との癒着というのは少なからずあるが、旧運輸省の交通行政をめぐる許認可行政や建設業界をめぐる汚職事件も、最近ほとんどみられなくなっている。自ずとルールができていったのだろう。民間企業にも国民に指弾されるようなことをしては企業イメージを損なうということで自浄作用が働いたのだ。

<新興利権にはルールがなく、不祥事が起きやすい>
 一時、文部科学省が大学行政をめぐり不祥事が続いた。更に「科研費」と呼ばれる大学への補助金が増えたが、新興補助金でありルールが確立していなかったために不正が続出し、それが取り沙汰された。科研費は額こそ少額だが、そこに小さな利権が生じて、新参者が群がったのである。規制改革会議が我が物顔でいるが、規制をなくして参入自由になった分野に群がる新たな規制利権が生じることになる。
 ところが、新興分野にはルールができていない。その典型が通信・放送行政をめぐる利権であり、農林水産省でいえば、新興の畜産業界、しかも、中でも牛や豚でなく大幅に企業化が進んでいる鶏卵・養鶏(ブロイラー)業界である。

<アキタフーズの法外な献金で私にも嫌疑が?>
 私の出身省の農林水産省にも吉川貴盛、西川公也二人の贈収賄がらみの事実が明らかになった。二人とも1800~1900万円の金をアキタフーズからもらっていたが、西川公也は内閣参与は権限がないということで起訴もされず、大臣時の吉川貴盛の500万円だけが贈収賄に当たるとされ、議員を辞職した。そして、私の盟友松木謙公の北海道2区の補欠選挙に繋がった。
ここでなんと私もアキタフーズからお金をもらっているのではないか、と真面目な有権者から嫌疑をかけられることになり驚いている。私は畜産局に勤務したことがなく、国際獣疫事務局(OIE)の指摘の非鶏道的飼育は止めるべきだということを農林水産省の現役時代から言ってきた。だからそんな男にアキタフーズが近づいてくるはずなどない。しかし、農政に深く関わっている政治家ということだけで白い目で見られるとは、誠に迷惑千万な話である。

<世界から白い眼で見られる鶏卵・養鶏業界>
 日本の鶏を巡る業界は、変貌が目まぐるしい。1960年代には350万戸が、庭先で鶏10羽そこそこを飼っていたが、今や卵もブロイラーも両方とも3000経営体ぐらいに集約され、大規模化が進み何万羽を超える大企業ばかりとなっている。鶏卵業界でいえば、業界第一位が埼玉県に本社を構えるイセ食品であり、二位が広島のアキタフーズである。耕種農業と異なり、狭い国土という制約を受けないからであり、これが卵は物価の優等生と言われる最大の要因なのだ。一般には全く知られていないが、いずれも世界一の飼養規模である。鳥インフルエンザで一農場〇万羽の殺処分ということで国民にも知らされているはずだが、日本のマスコミで異様な飼育状況が問題にされたことは皆無である。
 鶏(動物)の権利など全く無視したひどい飼い方がなされており、それが国際獣疫事務局(OIE)の目に留まり、止まり木を設ける、鶏一羽の面積を広めるなどの改善を求められた。しかし、そんなことをしていたら大規模企業経営は成り立たない。そこで慌てた鶏卵業界のドン、アキタフーズの秋田善祺が与党農林族に助けを求め、贈収賄事件に発展した。悪いことに官僚を巻き込んだ接待という余計な尾ひれもついてしまった。
 つまり、経済効率だけを考え、動物への思いも慈悲への配慮もなされていない世界で一番卑しい国に成り下がっているのだ。残念なのはそれに気づき修正しようとする動きがほとんど見られないことである。

<長期政権の膿・政官癒着は政権交代で是正するしかない>
 恐ろしいことに、この一件は、もしも河井案里の公職選挙法違反で明るみにならなかったら、表に出ずに終わっていたのである。20年7月に家宅捜索が行われ、その中からアキタフーズから河井克行への献金事実が明らかとなり、芋づる式に吉川、西川につながっていった。日本養鶏政治連盟から菅への政治献金もあったことがわかっている。つまり、政府・与党はアキタフーズと濃厚・濃密な関係にあったのだ。長過ぎる自公政権の膿が吹き出している点では、総務省の過剰接待と同根である。

<真面目な農林水産省と不真面目な総務省>
 一つだけ、私の勤めていた農林水産省はなかなかきちんとしているなぁと思った記事(読売新聞3月16日「15~19年度の会食届け」)があった。
 国家公務員倫理規程で、負担が1万円以上の会食の場合は届け出なければならないというルールができている。15~19年度の5年間で、農林水産省が413件という群を抜いて多い。つまり農林水産省の役人は真面目にきちんと届けを出していた証左である。考えるとすぐにわかることだが、農林水産省の相手の業界は1人に7万円も出せる企業はほとんどあるまい。それにもかかわらず、きちんとルールを守っているのである。
 それに対して、総務省はこれだけ明らかになったにもかかわらずたった8件だった。総務省では1万円以下にして少額の割勘分を払うことにより倫理規程逃れをすることが常態化していたのだろう。武田総務相は、省内に接待による行政への影響を調べる検証委員会を設置するなどと、ボケたことを述べていたが、メンバーを全て第三者とすると方針変更した。しかし、それでも簡単には是正されまい。何度も述べているように一番の近道、そして究極の解決は政権交代なのだ。

<お粗末なコロナ対策は官邸の政僚の跋扈が根本原因>
 コロナ対策の最初のつまずきは、20年2月27日の突然の一斉休校である。次が茶番のアベノマスクである。いずれも経産省出身の政僚の入れ知恵という。規制改革会議や国家戦略特区有識者会議は、また間接的だが、教育の専門家でもないし、公衆衛生の専門家でもない側用人の思い付きが、そのまま政策になってしまったのだ。
 古き良き霞ヶ関の時代に官房副長官(事務)となって政府の縁の下の支えとなった、石原信雄(1987~96)や古川貞二郎(1996~2001)といった抑制の効いたいかにも日本的な官僚ではなく、ハッタリの多い政僚が官邸に巣食っており、混乱に拍車をかけている。
 政僚の跋扈の歪みは、権力を握った政治家と官僚の接点である官邸に最も如実に現れている。これを正さないと日本はあらぬ方向に向かってしまう。PCR検査も先進国では最低、ワクチン接種も最も遅い日本の哀れな姿は、国家の質の低下の証左なのだ。

<政治改革より先に官邸の暴走を止めないとならず>
 私は、日本の政治を変えるのに協力してくれと羽田孜元総理に誘われて55歳で政界入りした。しかし政界での改革、つまり二大政党制を目指している間に、いつの間にか官邸が肥大化し、その暴走が止まらなくなっていることに気がついた。だから2014年からこの政僚シリーズを書き始めた。そして、20年9月9日の「政僚シリーズ10」で、安倍後継総理は官邸に巣食う政僚の跋扈を断つべしと書いた。ところが、構図は変わらないどころかひどくなっている。経産官僚は去ったが、前回シリーズで指摘したとおり、総務官僚がはびこり始めたが頓挫した。しかし、竹中平蔵、高橋洋一といった昔の名前が動き始めている。司令塔が危ういのは変わらない。
 ただ、日本は大体が大きな事件があった時にそれを契機として変わる。だから永田町も霞ヶ関も、この一連の不祥事をきっかけに真っ当な方向に変わってほしいと思っている。

5/14訂正:業界第一位が石川のイセ食品 → 業界第一位が埼玉県に本社を構えるイセ食品