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2021年5月21日

【政僚シリーズ13】規制緩和による経済活性化は時代遅れの極み -規制改革会議、国家戦略特区会議を廃止しないなら、環境規制強化に使うべし- 21.5.21

 内閣が明らかに肥大化している。それは「政官要覧」という政治家と官僚の名簿をまとめた厚い3センチほどの本の中の内閣のページを見るとよくわかる。20年前の2001年秋は号は、内閣官房13ページ、内閣府24頁に過ぎないが、20年後の2021年には内閣官房86頁、内閣府54頁、6.6倍と2.3倍となっている。定員でみても内閣は01年の2,800人から34%増加し、3,764人となっている。第2次安倍内閣の発足した13年(3,157人)と比べても2割増えている。

<何人いるかわからない(?)内閣府の特命担当大臣>
 その結果、内閣府に"○○担当大臣"が何人も誕生し何がどうなっているのかわからなくなっている。その下に○○担当室が次々に設置されてきた。
その8人の大臣と担当を挙げると以下の通りとなる。
・平沢 勝栄 復興大臣(福島原発事故再生総括担当)
・小此木 八郎 国家公安委員会委員長(国土強靱化担当、領土問題担当)【防災、海洋政策】
・河野 太郎  行政改革担当大臣(国家公務員制度担当 ワクチン担当)【沖縄及び北方対策、規制改革】
・坂本 哲志  一億総活躍担当大臣(まち・ひと・しごと創生担当)【少子化対策、地方創生】
・西村 康稔  経済再生担当、全世代型社会保障改革担当(新型コロナウィルス感染症対策担当)【経済財政政策】
・平井 卓也  デジタル改革担当(情報通信技術(IT)政策担当)【マイナンバー制度】
・丸川 珠代  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当(女性活躍担当)【男女共同参画】
・井上 信治  国際博覧会担当(知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)【消費者及び食品安全、クールジャパン戦略】

<橋本行革の趣旨から逸脱する内閣の肥大化>
 そして5月1日には、デジタル庁の設置が決まり、子供対策が大事だからということで子ども庁ができんとしている。まさに「子供騙し」である。子供庁などは「子供家庭省」ということで、民主党時代に我々がさんざん主張したことであるが、役所を造ればうまくいくということではない。大半が内閣官房や内閣府の下に置かれ、また担当大臣が一人増え、その下に○○担当室が増えることになり、ますます内閣の組織は肥大化し、内閣全体が複眼化し機能しなくなってしまう。省益を探求する各省から、垣根のない内閣へ権限を大幅に移してきた結果、身動きがとれなくなっているのだ。

<何でも屋の内閣委員会>
 その弊害は委員会にも及び、内閣委員会はいま最も忙しい委員会になっている。ちょっとでも他省庁に関わったりする法案は、内閣委員会で審議される仕組みになってしまった。
例えば、今国会だけで閣法は12本あり、以下に挙げる通りである。他委員会でもよさそうなものを私が( )に書いてみる。

・新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(厚労)
・原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案(経産)
・子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案(厚労)
・デジタル社会形成基本法案(総務)
・デジタル庁設置法案(総務)
・デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(総務)
・公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(財金)
・預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(財金)
・ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案( )
・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(法務)
・重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(国交)
・国家公務員法等の一部を改正する法律案( )

 2法を除くと他の委員会審議でもおかしくないものが多い。

<仕事のない内閣参与の乱造>
 内閣機能の劣化は、内閣参与の人事にも表れている。内閣参与は、かつては外務省の事務次官等がOBになっても外交を特命を帯びてやっていただくために、例えば北朝鮮問題、拉致被害者担当の参与が一人か二人いただけだったが、民主党内閣の鳩山内閣のときに18人にもなり、菅内閣の時も原発関係者を突然6人内閣参与に任命した。その後内閣参与が乱発され、安倍内閣ではなんと落選議員の救済措置として、荒井広幸、西川公也が内閣参与に命じられている。西川は例のアキタフーズ事件で辞任している。こういったものも内閣の肥大のおまけである。アキタフーズ事件で西川内閣参与が何の権限もないと起訴されなかった。それでは一体何の権限で何をしていたのだろうか。しらなかったということに他ならない。

<高橋洋一内閣参与にみる官邸の乱れ>
 そこにいろいろ物議を醸してきた高橋洋一内閣参与が、コロナ感染状況を「この程度のさざ波」「これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートして大波にもまれている。森ゆう子参議院議員の国会質問を事前にネットで拡散させるなど、いろいろあったというのに、菅内閣になり新たに任命された。こんな政僚が再び官邸にはびこったのでは、官邸は迷走、暴走を繰り返すばかりである。
 竹中平蔵、高橋は、競争原理に固執し、新自由主義を押し進める人達である。ところが、現下の最大の重要施策は、コロナ対策であり、中心は緊急事態宣言に代表されるように、徹底した移動規制、営業規制を中心とする経済規制である。感染症の防止は規制なしには成り立たない。
 コロナを教訓として、今後は競争原理ばかりを重視することなく、人間の欲望を押さえ、皆がささやかな幸せをつかめるよう、協同の力で社会を成り立たせていく方向を模索しなければならない。

<規制強化しなければ地球環境は守れない>
 世界の最重要課題である地球温暖化防止もCO2の排出規制しないことには始まらない。気候温暖化を防止し、プラスチックゴミをなくし、自然公園を守る(いずれも環境省が今国会に提出している法案に関係する)ための会議を新しく設け、そこでどう規制したら地球環境を守れるか決めていくべきである。
 規制改革は何も緩和だけではない。必要な規制は山ほどある。効率一点張りは改め、生産から消費そして廃棄までいかに環境に優しくするかという生産システムや、生活スタイルが求められている。いわゆるグリーン・リカバリー(緑の復興)である。

<規制改革会議→国家戦略特区を規制強化の手段に使ったら(皮肉)>
 今週審議入りするプラスチック関連法案は、いい頭の体操になる。日本は2006年にレジ袋の有料化をしようとしたが、コンビニ業界をはじめとする流通業界の反対で潰れ、2020年7月1日からようやく有料化された。仏、伊、インド、南ア等、製造さえ禁止している国もあるというのに、あまりに遅い。内閣が総力を挙げてこれこそ思い切り規制を強化しないとならない。
 未だビジネスの参入規制を解いて経済活性化などという古めかしい理論で動いている国はない。この本元である規制改革推進会議と国家戦略特区有識者会議は、時代遅れの際たるものであり、廃止してしかるべきである。もし規制改革会議、国家戦略特区会議を廃止しないというなら、規制を強化して日本を美しくもっと真っ当な国にするように舵を切る本部にしていったらいい。
 自然公園法も既に成立しているが、私は小泉環境相への質問で、自然公園内で自動販売機設置禁止の規制を提案した。例えば志賀高原を特区として試してみて、全国に広めたらよい。

2021年5月20日

PCR検査足りず、ワクチン接種遅れ、医療体制支援不足 -菅政権の失政で日本のコロナ対策は泥沼化- 21.05.20

<PCR検査をほったらかしにして接種に走る日本>
 羽田雄一郎参議院議員が日本のPCR検査の体制の不備により命を奪われている。インドでは今も新規感染者が膨大な数に上っているが、1日あたり30万人の新規感染者がいるということを仮定するとその少なくとも5倍が検査を受けているということになる。つまり1日あたり150~200万の検査体制がインドにはできているということである。日本は1日あたり10万人の検査体制さえもできていない。
 そして検査体制の不備をそのままほったらかしてワクチン接種に走っている。ところがそのワクチン接種もちっとも進まない。そこに変異株が徐々に増え、大阪などは病床が足りず医療体制が危機的状況にある。

<ワクチン接種は万能にあらず>
 私はかねてから、きちんと検査をして感染者を割り出して隔離し、それ以外は何も心配なく経済活動するという形が1番良いのではないかと思っていた。最近言われ出した「ワクチン接種証明書」を「PCR検査証明書」でも使うということである。つまり検査体制を整えれば、皆が疲れ果てるロックダウンなどといった事はしなくて済んだのだ。それが今、まずはワクチンを接種して感染の恐れがないようにして経済活動を自由にできるようにする、という方向に動き出している。
 しかし、ワクチン接種をしたところでウィルスは変異するし、変異ウィルスにはまた新たなワクチンが必要になり、結局イタチごっことなる。だからワクチン接種の終わった段階でもPCR検査はしなければならず、検査体制の確立は今も必要なのだ。

<ワクチン開発に金を注ぎ込まなかったツケが回ってきた>
 日本は新しい薬の製造では、アメリカ等外国の特許に頼っており、世界をリードするような薬はほとんど出来上がっていない。薬学部を4年制から6年制にしたまではいいが、国は研究費をケチり、企業も研究開発投資の手を抜いてきたというのが実態である。
 それに対してアメリカは立派で、薬の世界上位10社のうち5社がアメリカであり、医療機器でも同じように上位10社のうち7社はアメリカが占めている。つまり医療が世界的に重要になってくるということを見越して、軍事産業と同じように、国が相当テコ入れしてきたのである。だからファイザー、モデルナ、ジョンソン&ジョンソンといった大企業が世界にワクチンを提供しているのだ。
 他の先進国もアストラゼネカ(英)、キュアバック、ビオンテック(独)、バルネバ、サノフィ(仏)と、自国でワクチンを製造している。ここに中・ロも加わり、変異株の侵入を許した優等生国・台湾も7月末には自国で開発中のワクチンを提供できるという。こうした中、日本は基礎研究にお金をつぎ込まなかったツケがここで回ってきているのに、いまだなんの改善策も見られない。

<ワクチン接種の結果を実験するイギリス>
 研究開発の遅れを今嘆いても始まらず、最も緊急なことはワクチンを確保して接種することである。ところが必要なワクチンも確保できず日本は遅れに遅れている。
 一方イギリスは、2020年の夏から接種会場の確保に向けて協議を進め、地域の診療所や病院だけでなく、教会、博物館、競馬場、クリケット場まで設置されている。ずっと前から準備に怠りなかったのである、イギリスでは変異株が猛威をふるっているが、5割近くの人が少なくとも1回のワクチン接種が終わり、政府はそうした中、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしで普通の会合を開いたらどうなるか実験までしている。イギリスの著名な歌手が一同に介する音楽祭「ブリット・アワード」の開催(5/11)を許可し、陰性を証明した観客を会場に入れ、どの程度の感染があるかを調査している。悪化する状況に手をこまねいているだけでなく、ワクチン接種と並行して新たなコロナ対策を模索しているのである。

<地方自治体に丸投げする政府と工夫する地方自治体>
 そうした中で政府は焦り、7月末までに高齢者のワクチン接種は終了と言いだしている。そこで5月13日木曜日に加藤久雄長野市長と小林良清保健所長に野党合同ヒアリングにオンラインで参加していただき、長野市の状況をお聞きした。長野市の場合は65歳以上の高齢者にすでにワクチン接種の申し込み用紙が発送済みであり、有資格者の9割が接種を希望することを見込んで計画を立てている。加藤市長は総務省から7月末まで終了してほしいという要請があったと正直に答えていたが、どうも総務省は相当なプレッシャーをかけているようだ。言ってみれば市町村に丸投げであり、市町村が独自に考えていろいろ接種の仕方を考えざるを得なくなっている。
 ところが私の現住所地の中野市からは、さっぱり申し込み用紙が送られてこない。聞くところによると中野市の場合は、とりあえず85歳以上を先行してみて、その後に次のグループというふうに順を踏んでやっているようである。人口の少ない自治体では既に高齢者の接種が終了したところもある。どこも現状に合わせて苦労しているようだ。

<コロナ対策も今だけ金だけの愚かな日本>
 なぜこうなったか。理由は簡単である。Go toトラベルなりGo to イートの経済対策などに金をつぎ込み、本当のコロナ対策、医療関係のコロナ対策をしてこなかったからである。このようなドジなことをしてきた因果が今、如実に現れており、東京・大阪・愛知だけじゃなくて、今や緊急事態宣言は京都、兵庫、福岡、北海道、岡山、広島と、おそらく人口の3分の2位を占めるまでになっている。蔓延防止重点措置も10県に広がっている。
 菅政権のドタバタはとどまるところを知らない。つい先日も専門家の意見を取り入れ一日で重要決定を覆し、緊急事態宣言を北海道・岡山・広島に広げることに変更した。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の中で基本的対処方針分科会がこれだけ影響力を持つのは珍しいことである。コロナの感染拡大のスピートが予想以上であり、聞かざるを得ない状況になっている証拠である。
 切羽詰まった菅首相は、大規模接種センターへの自衛官の医官、看護官の動員を持ち出した。しかし、それに対して河野克俊・前統合幕僚長が危機管理がなっていないと怒りをぶちまけている。これほどさように政府の対策は乱れ狂っているのである。

<ワクチン接種も進まない国でオリンピックなどできるのか>
 いずれにしろ日本のコロナ対策はPCR検査が全く進まずワクチン接種が遅れ、飲食店だとか旅行業界には支援をしたけれども、肝心の医療体制への支援を後回しにしてきた。そのツケが今回ってきているのである。
 このような中でオリンピックなどできるはずがないが、オリンピックオリンピックと言って景気を下支えしてきたのであり、中止となると経済も政権も持たなくなる。折しも20年度のGDPが戦後最大の4.6%の減と発表された。だから政府はこの期に及んでもオリンピックは中止しないと言っているが、国民は冷静に見ており、世論調査ではオリンピック延期、あるいは中止すべきという声が7割に及んでいる。また、NYタイムズ(5/11)は、日本でのワクチン接種が2%に満たず、金、金、金 の危険な茶番はやめるとき、と指摘している。
 このままではとてもじゃないが日本のコロナは終息せず、オリンピックどころの話ではない。

2021年5月14日

【政僚シリーズ12】政権交代で政僚の跋扈を断つしかない -相変わらずの政官財の癒着は許してはならず- 21.05.14

 どこの役所にも業界との癒着というのは少なからずあるが、旧運輸省の交通行政をめぐる許認可行政や建設業界をめぐる汚職事件も、最近ほとんどみられなくなっている。自ずとルールができていったのだろう。民間企業にも国民に指弾されるようなことをしては企業イメージを損なうということで自浄作用が働いたのだ。

<新興利権にはルールがなく、不祥事が起きやすい>
 一時、文部科学省が大学行政をめぐり不祥事が続いた。更に「科研費」と呼ばれる大学への補助金が増えたが、新興補助金でありルールが確立していなかったために不正が続出し、それが取り沙汰された。科研費は額こそ少額だが、そこに小さな利権が生じて、新参者が群がったのである。規制改革会議が我が物顔でいるが、規制をなくして参入自由になった分野に群がる新たな規制利権が生じることになる。
 ところが、新興分野にはルールができていない。その典型が通信・放送行政をめぐる利権であり、農林水産省でいえば、新興の畜産業界、しかも、中でも牛や豚でなく大幅に企業化が進んでいる鶏卵・養鶏(ブロイラー)業界である。

<アキタフーズの法外な献金で私にも嫌疑が?>
 私の出身省の農林水産省にも吉川貴盛、西川公也二人の贈収賄がらみの事実が明らかになった。二人とも1800~1900万円の金をアキタフーズからもらっていたが、西川公也は内閣参与は権限がないということで起訴もされず、大臣時の吉川貴盛の500万円だけが贈収賄に当たるとされ、議員を辞職した。そして、私の盟友松木謙公の北海道2区の補欠選挙に繋がった。
ここでなんと私もアキタフーズからお金をもらっているのではないか、と真面目な有権者から嫌疑をかけられることになり驚いている。私は畜産局に勤務したことがなく、国際獣疫事務局(OIE)の指摘の非鶏道的飼育は止めるべきだということを農林水産省の現役時代から言ってきた。だからそんな男にアキタフーズが近づいてくるはずなどない。しかし、農政に深く関わっている政治家ということだけで白い目で見られるとは、誠に迷惑千万な話である。

<世界から白い眼で見られる鶏卵・養鶏業界>
 日本の鶏を巡る業界は、変貌が目まぐるしい。1960年代には350万戸が、庭先で鶏10羽そこそこを飼っていたが、今や卵もブロイラーも両方とも3000経営体ぐらいに集約され、大規模化が進み何万羽を超える大企業ばかりとなっている。鶏卵業界でいえば、業界第一位が埼玉県に本社を構えるイセ食品であり、二位が広島のアキタフーズである。耕種農業と異なり、狭い国土という制約を受けないからであり、これが卵は物価の優等生と言われる最大の要因なのだ。一般には全く知られていないが、いずれも世界一の飼養規模である。鳥インフルエンザで一農場〇万羽の殺処分ということで国民にも知らされているはずだが、日本のマスコミで異様な飼育状況が問題にされたことは皆無である。
 鶏(動物)の権利など全く無視したひどい飼い方がなされており、それが国際獣疫事務局(OIE)の目に留まり、止まり木を設ける、鶏一羽の面積を広めるなどの改善を求められた。しかし、そんなことをしていたら大規模企業経営は成り立たない。そこで慌てた鶏卵業界のドン、アキタフーズの秋田善祺が与党農林族に助けを求め、贈収賄事件に発展した。悪いことに官僚を巻き込んだ接待という余計な尾ひれもついてしまった。
 つまり、経済効率だけを考え、動物への思いも慈悲への配慮もなされていない世界で一番卑しい国に成り下がっているのだ。残念なのはそれに気づき修正しようとする動きがほとんど見られないことである。

<長期政権の膿・政官癒着は政権交代で是正するしかない>
 恐ろしいことに、この一件は、もしも河井案里の公職選挙法違反で明るみにならなかったら、表に出ずに終わっていたのである。20年7月に家宅捜索が行われ、その中からアキタフーズから河井克行への献金事実が明らかとなり、芋づる式に吉川、西川につながっていった。日本養鶏政治連盟から菅への政治献金もあったことがわかっている。つまり、政府・与党はアキタフーズと濃厚・濃密な関係にあったのだ。長過ぎる自公政権の膿が吹き出している点では、総務省の過剰接待と同根である。

<真面目な農林水産省と不真面目な総務省>
 一つだけ、私の勤めていた農林水産省はなかなかきちんとしているなぁと思った記事(読売新聞3月16日「15~19年度の会食届け」)があった。
 国家公務員倫理規程で、負担が1万円以上の会食の場合は届け出なければならないというルールができている。15~19年度の5年間で、農林水産省が413件という群を抜いて多い。つまり農林水産省の役人は真面目にきちんと届けを出していた証左である。考えるとすぐにわかることだが、農林水産省の相手の業界は1人に7万円も出せる企業はほとんどあるまい。それにもかかわらず、きちんとルールを守っているのである。
 それに対して、総務省はこれだけ明らかになったにもかかわらずたった8件だった。総務省では1万円以下にして少額の割勘分を払うことにより倫理規程逃れをすることが常態化していたのだろう。武田総務相は、省内に接待による行政への影響を調べる検証委員会を設置するなどと、ボケたことを述べていたが、メンバーを全て第三者とすると方針変更した。しかし、それでも簡単には是正されまい。何度も述べているように一番の近道、そして究極の解決は政権交代なのだ。

<お粗末なコロナ対策は官邸の政僚の跋扈が根本原因>
 コロナ対策の最初のつまずきは、20年2月27日の突然の一斉休校である。次が茶番のアベノマスクである。いずれも経産省出身の政僚の入れ知恵という。規制改革会議や国家戦略特区有識者会議は、また間接的だが、教育の専門家でもないし、公衆衛生の専門家でもない側用人の思い付きが、そのまま政策になってしまったのだ。
 古き良き霞ヶ関の時代に官房副長官(事務)となって政府の縁の下の支えとなった、石原信雄(1987~96)や古川貞二郎(1996~2001)といった抑制の効いたいかにも日本的な官僚ではなく、ハッタリの多い政僚が官邸に巣食っており、混乱に拍車をかけている。
 政僚の跋扈の歪みは、権力を握った政治家と官僚の接点である官邸に最も如実に現れている。これを正さないと日本はあらぬ方向に向かってしまう。PCR検査も先進国では最低、ワクチン接種も最も遅い日本の哀れな姿は、国家の質の低下の証左なのだ。

<政治改革より先に官邸の暴走を止めないとならず>
 私は、日本の政治を変えるのに協力してくれと羽田孜元総理に誘われて55歳で政界入りした。しかし政界での改革、つまり二大政党制を目指している間に、いつの間にか官邸が肥大化し、その暴走が止まらなくなっていることに気がついた。だから2014年からこの政僚シリーズを書き始めた。そして、20年9月9日の「政僚シリーズ10」で、安倍後継総理は官邸に巣食う政僚の跋扈を断つべしと書いた。ところが、構図は変わらないどころかひどくなっている。経産官僚は去ったが、前回シリーズで指摘したとおり、総務官僚がはびこり始めたが頓挫した。しかし、竹中平蔵、高橋洋一といった昔の名前が動き始めている。司令塔が危ういのは変わらない。
 ただ、日本は大体が大きな事件があった時にそれを契機として変わる。だから永田町も霞ヶ関も、この一連の不祥事をきっかけに真っ当な方向に変わってほしいと思っている。

5/14訂正:業界第一位が石川のイセ食品 → 業界第一位が埼玉県に本社を構えるイセ食品

2021年5月13日

【政僚シリーズ11】政僚が成れの果てに政治家並みに入院、更迭 -総務省に見る官僚の劣化は内閣人事局が根源- 21.05.13

 菅内閣発足後初の国政選挙が自民党の全敗に終わった今、どのマスコミも総務省疑惑を取り上げることはない。菅内閣への強烈なNOのサインの主な原因はコロナ対策の不備だが、根底に古くからある「政官財」の「三密」の癒着に対する不信も大いに貢献しているはずなのだ。連休中に推敲した政僚シリーズを連載してお届けすることにした。

<飲み会を断らず、飲み会で潰れていった皮肉>
 3月1日、山田真貴子・内閣広報官が菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から7万4千円超の接待を受けた問題で辞表を提出した。
 高級なフランス料理店で、たくさんのステーキを食べても、いくら高級な海産物料理を食べても1人当たりの食事代はなかなか73,400円にまで至らない。7万円は普通の家庭の1ヵ月の食費代に相当する。高額な原因は、おそらく「飲み会を絶対断らない」山田にふさわしい「飲」に原因があったのだろう。山田には、"女性として初の総理秘書官"とか"女性として初の内閣広報官"とか、"女性として初"が付きまとった。そして女性の後輩官僚達に「飲み会に誘われたら断らない」ことを出世の秘訣として伝えている。うまく出世し、官邸の華やかな記者会見に花を添えていた。なかなか見事な成功事例である。ところが、その断らなかった飲み会で墓穴を掘ったのは皮肉である。

<政僚の成れの果てを、総務官僚の乱れにみる>
 山田はこの接待を追及されると入院し、報道陣の追及を避け挙句の果てに辞職していった。スキャンダルに追われる政治家の逃げる手口と全く同じである。官僚ではなく、政治的官僚に成り下がった「政僚」の哀れな姿である。後述する韓国だと追及の手は緩むことはないが、我が日本は辞職するともう後追いしない優しい国である。

<官邸主導の内閣人事局人事が官僚のやる気を奪う>
 私はこの政僚シリーズで、かねてから霞ヶ関の危機、劣化を指摘してきた。山田や谷脇康彦総務省審議官は政治家に近づき、それに媚びへつらい、その見返りとして栄達を極めていった政僚たちの到達点である。総務官僚の官邸すなわち菅義偉官房長官そして総理への過度な忖度により、霞ヶ関が10年前20年前と比べ、かつての国家のために働く官僚の機能を失いつつある現実が白日の下に曝された。
 しかし、これによって霞ヶ関の全ての役人が彼等と同じだと誤解されては困る。なぜならばもともと少しでも何かの役に立ちたいと、国家公務員になっている人達が大半である。紙切れ一枚であちこちの部署へ行かされ、パワハラ上司にも仕え、家庭を犠牲にしながらブラック企業(役所)で長時間の残業に耐え、黙々と仕事をしてきている。そうした中でごく一部が権力を握った政治家、なかんずく官邸だけを見て、その寵愛(?)を受けて出世していき、大半のまじめな官僚のやる気を失わせているのだ。

<安倍・菅長期政権の最大の失敗は官僚人事への過度な介入>
 1997年の橋本行革から始まった官邸の機能強化は、2014年の内閣人事局の設置を経て、7年8ヶ月の強すぎる安倍・菅官邸を生み出し、今その膿が一挙に出て崩壊しかかっているのである。私は、安倍・菅政権の最大の失敗は、政僚の跋扈を許し、なおかつ森友学園では佐川宣寿理財局長に嘘をつかせて政権を守った代償に出世までさせるようにしてしまったことにあると思っている。一方、加計学園の獣医学部新設に異を唱えた前川喜平事務次官は半年で追われている。かくして国家の機能がマヒしかかっており、それがコロナ対策でも全く体をなさず、日本を大混乱に陥れているのである。

<昔からある電波利権>
 放送法に基づく電波の許可に放送業界が群がり、枠を巡って許可が欲しいので接待攻勢をかける。田中角栄も実はこの電波利権をモノにしてのし上がったと言われている。
そこに総理の息子、菅正剛が登場した。国会審議で総理の息子は接待要員ではないというが、日本人の奥ゆかしい風土からしてヒラメ官僚や政僚がなびくのは当然である。かくして総務省の通信・放送行政関係者は、皆ズブズブの接待漬けになり、次期事務次官間違いなしと言われた谷脇は定年を延長して事務次官になる予定が3月に退職することになり、退職金の支払いも延期されている。因果応報である。
 総理の息子の話は断れない、などともっともらしいこと言い責任逃れをしていたが、むしろ政僚が積極的に近寄ったと言えよう。また、仕事の話はしていない、などと嘘をつきながら、文春にバラされるとあっさり認めている。嘘つきは財務省の佐川理財局長と同じく、ヒラメ官僚・政僚の共通の悪い性癖である。

<霞ヶ関に蔓延する「政僚病」>
 最近、森友問題を巡り、赤木文書がようやく俎上に上がり始めた。自死した真面目な官僚の最後の言葉であり、真実を明らかにし、責任者を追及しなければならない。
 武田良太総務相も参院予算委で「記憶がないと言え」と指図している。鯛と同じように頭から腐り始め、閣僚にそして政僚に感染している。最初はそんな発言はしなかったと嘘をつき、最後には「無意識で口に出た」と認めている。恐ろしいことに無意識のうちにいかがわしい指示が出てしまうほど菅政権は堕落してしまっているのである。

<官僚の中に勝ち組と負け組を作ってしまった内閣人事局>
 しかし、官僚の世界では2~3年で人事異動があり、また人事をする秘書課長や事務次官も同様に代わるので、公正さが保たれていた。それが内閣人事局の出現で、同じような官僚だけが出世する仕組みが定着してしまったのだ。ずっと同じ権力者がいて、そのグループだけが人事をし、権力を握っているとなると歪んでくる。これは多選市長や知事の下の地方自治体でよく見られることだが、とうとう霞ヶ関も同じに成り下がってしまった。それと同時に活力を失いつつある。
 菅義偉首相のように総務大臣を一度やって、その後官房長官になり、8年間以上ずっと権力の中枢にいるために総務省に「菅帝国」が出来上がった。総務省は菅官邸の方ばかりを向き、その輩だけが出世するという典型的な悪い図式が出来上がったのである。まさに政権の私物化である。しかし、天網恢恢疎にして漏らさず、今回の過剰接待が明るみになり、一気に崩壊しつつある。少しでも早く元に戻さないとならない。

<韓国なら国民・マスコミが総攻撃する政治家の身内の優遇>
 韓国の政界は、日本とは比較にならないほど政争が激しい。また、政治家のスキャンダルにも厳しい追及が続く。なかでも日本以上に激しい受験競争を反映し、チョ・グク法務相の更迭にみられるように、国民は情実入学などを許しておかない。そうした中、菅総理の長男正剛の東北新社入社、そして過剰接待、放送法が規定する『外国資本の比率を20%未満』に抵触する不祥事である。韓国なら確実に総辞職ものである。ところが、国会も空転せず、マスコミも大して騒がないでいる。この国は、どうもタガが緩んでしまっている。官僚に厳しく、息子に甘い菅総理こそ叩きまくっていいと思うが、野党もマスコミもどうも腰がひけている。チェック機能はどこかに消えてしまったのかと、野党の一員として忸怩たる思いである。

<内閣人事局の廃止>
 内閣人事局は廃止しないと日本は破滅に向かってしまう。なぜならば、改革人事局に人事を握らせることにより、官僚は政治にモノが言えなくなってしまっている。そしてこれが時の政権の権力維持、そしていびつな政権運営に繋がり、更に政策のミスに繋がっている。これが見事体現されたのが、一連のコロナ対策のミスの連続であり、由々しき事態と言わねばなるまい。13府省庁23法案の度重なるミスもここに原因がある。

※5/14訂正:「放送法に抵触する外資の25%超えという」→「放送法が規定する『外国資本の比率を20%未満』に抵触する」