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【21年通常国会質問報告シリーズ3(6月7日倫選特委)】コロナ感染症により外出自粛要請を受けた人に郵便投票により投票権を回復 -濃厚接触者は救われず、投票に行けない実態は置き去り- 21.06.16

<4月25日投票の国政選挙で矛盾が露呈>
 新型インフルエンザ特措法(44条の3)で、コロナに感染した者は外出自粛要請を受け、14日間外出できないため、その期間に選挙が行われると投票できない。国家権力が国民の大事な権利の一つである投票権を奪っているのである。このことは早くから分かっていたが、顕在化したのは4月25日の3ヶ所の(北海道2区、長野・広島の参議院地方区)国政選挙の時である。我々のもとにも北海道からなんとかしてほしいと陳情書が送られてきていた。
 総務省は政府のルールの下の対応方法を通達で指示し、長野県でも4人の感染者が選挙管理委員会(以下「選管」)が対応で投票している。しかし選管関係者は感染の恐れがあり、負担が大きすぎるため、法律的に別の方法を手当することが必要となっていた。

<突然始まった各党協議>
 そこで考えられたのが郵便投票である。我々立憲民主党は準備しつつあった。ところが、突然自民党がやりたいと言い出し、5月25日と27日の二日間にわたって「倫選特(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)」の理事を中心とした関係者の各党協議が行われた。そこで私は立憲民主党・自民党・国民民主党等の法案の要点対照表を作り、議論の収束に役立てた(別表『コロナ療養者の投票権の確保について(比較表)』参照)。そして出来上がったのが特例郵便投票法(略称)である。
 保健所が外出自粛要請をする際に陽性者に文書を交付する。陽性者は(感染者で保健士は「特定患者」と称する)その文書を提示して、選管に郵便投票をしたいと申し出る。それに応じて選管が郵便投票用紙を送り、特定患者はそこに候補者の名前を書き入れ選管に送り返すというものである。郵便の往復にそれぞれ2日かかり、投票日の4日前までには申込みをすることが条件となっている。一般の人よりもその分制限されるが、概ね同じように投票の権利を行使できることになる。

<なりすまし投票という不正の防止が不可欠>
 郵便投票は、トランプ大統領が不正の温床として大反対していたことからわかるように、「なりすまし投票」つまり本人に成り代わって投票するという極めて単純な不正が起こりうるので、極めて限定的にしか認められていない。日本では重度の障害者と要介護5の者しか認められていない。いずれも障害者手帳と保険証の中に明確に記載されていて、特定できる。
 陽性で病院に入院している人たちは既に公職選挙法49条で病院長の管理の下で投票できることになっている。ところが、入院できず自宅療養あるいは宿泊療養を強いられている人達の投票権がほったらかしになっていた。宿泊療養者はホテルに数十人、あるいは数百人の単位でいるので、そこに投票所・投票箱を持っていくという事もできなくもない。現に4月25日はそういう対応もしていたが、これを一般化するには膨大なコストや手間暇がかかってしまう。そこで保健所から送られる外出自粛を求める文書を持つ者のみに限定して、特別郵便投票を認めることにした。

<コロナ感染者は次々に変わり、別の人が対象になる>
 今現在(6月上旬)も対象者は、自宅療養者が3万5,000人、宿泊療養者は1万人にのぼり、更に海外からの帰国者がホテルに待機し約1万5千人あり合計5万人が対象となると見込まれている。ただこの数は新型コロナ感染症の蔓延具合により刻々と変化する。例えば、第3波の前は自宅・宿泊療養者は約5,000人に過ぎなかったが、一気に数倍に膨らんだ。コロナ感染者は常に対象者が変わるということだ。

<残された陰性の濃厚接触者の投票権の回復>
 ところがもう一つ、同じく外出自粛要請される濃厚接触者が対象にならないという問題が残っていた。陰性の濃厚接触者は陽性者の5倍いると言われている。
 私は保健所は濃厚接触者にも国が費用を出す行政検査を義務付けていることから、そのリストを持っているのだから、そこに「外出自粛要請はしているけど、郵便投票できますよ」と連絡すればよいだけの話である。ところが、厚労省は長野市や上田市のように、リストを作っていればできるが、作っていない所が多いと言い訳し、総務省も個人情報の保護のため保健所のリストをそのまま利用できない、などと逃げていた。そして最後は厚労省は投票は不要不急の外出ではないから出かけてよいと返答した。

<顔の知られた濃厚接触者ほど投票所に行けない>
 加藤長野市長はだいぶ初期の頃濃厚接触者の1人として全国ニュースにも登場した。市長としての任務があるから市庁舎に出勤しようとしたが、それはやってはならないということで自宅で外出自粛していた。もし、この間に投票日を迎えたとして、加藤市長が「投票は不要不急の外出に当たらないから」といって投票へ行けるだろうか。隣は何をする人ぞと無関心の都会と異なり、田舎の濃密な社会では絶対に無理である。だから地方の濃厚接触者は事実上投票の機会を奪われてしまっており、問題を残したままである。

<都議選に合わせた稚拙な突貫工事>
 ところがもう一つ、公布後5日以内に施行があまりに早すぎるという大問題が残った。
 前述のように、いずれにしろちゃんと知らせなかったら郵便投票ができることを知る由もない。だから有権者へは周知徹底は期間をいくら長く置いても最初から無理なのだ。しかし、基本的事務を担当する保健所や選管は新しい郵便投票の仕組みを承知しないと混乱が生じてしまう。我が党の内部の議論で5日では短すぎる、罰則規定もあることもあり、3ヶ月後に施行すべきという修正案を出し、原案には反対するということになった。
 しかし、日本の人口の約1割1400万人の関わる都議選である。投票権の回復が早ければ早いほどよく都議選に合わせることにも一理ある。

<篠原案による合理的修正案>
 私の具体的な提案を参考までにわかりやすく箇条書きで示しておく。
(1)保健所は少なくとも自らが中心となって行う行政検査ではその対象者は分かっているので、必ずリストを作成する。(そもそも国が費用を出すのだからリストがあって当然)
(2)行政検査対象リストを一括して選管に送る。
(3)選管は全行政検査対象者に、申請すれば郵便投票ができる旨を通知する。(申請を自主性に任せていたら、この制度を知った人達だけしか救えないという不平等が生じてしまう。現実的にみて本法の制度がいくら報道されても、残念ながら、郵便投票ができるということを記憶している人は少ない)
(4)これにより、保健所の業務はかなり軽減するが、逆に選管の仕事は増えてしまう。しかし、感染におののきながら宿泊療養施設に投票箱を持って行ったり、外の投票所に有権者を送迎するよりずっとましである。

 共同通信が6月12日、郵便投票の対象拡大について都道府県選管に尋ねたところ、6割が前向きだったと報じている。本制度が有効に働くことを願ってやまない。