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2021年6月19日

【21年通常国会質問シリーズ1】 プラスチックゴミは地球環境を汚す元凶 -資源の再利用を超えて生産・利用を禁止するほかなし- 21.06.19

<EUは使い捨てプラスチックの流通を禁止せんとしている>
 EUは19年6月、海洋ゴミの削減・使い捨て文化からの脱却等を考えて、使い捨てのプラスチックの流通を21年夏までに禁止する法律を成立させた。しかしながら、コロナ禍の中で、宅配・持ち帰りの食品容器が増え、また感染対策から再利用可能なカップの持ち込みが禁止されたことから、プラスチック業界は衛生や消費者の健康を優先し流通禁止を1年延期するよう要請している。ところがEU委員会は受け入れず、加盟国は国内法の整備中である。

<世界中から嫌われる使い捨て漁網>
 プラスチックゴミでは、日本でマイクロプラスチックの海洋汚染問題が大きく取り上げられるようになった。私は水産庁に3回、計8年務め、留学も米ワシントン大学海洋総合研究所と海に関わる仕事をしていた関係で、海の汚染はなんとかしないと大変な目にあうと気になっていた。漁業界の中でも、捨てられた漁網に首を突っ込んだ魚や亀や海鳥が死に、重くなって底に沈み、それが朽ち果てるとまた上がってきて何回もそれ送り返すことから、海洋生物にとって最大の敵は捨てられた漁網なのだ、と批判されていた。

<その漁網を遥かに凌ぐ悪物、マイクロプラスチックゴミ>
 日本列島が4つすっぽり入る大きさの太平洋ゴミベルト地帯というのがあり、大半がプラスチックでしかも漁網が大半だという。ところがその漁網を遙かに凌ぐ大問題が、回収のすべのない小さなマイクロプラスチックである。それが、今後も増え続け、2050年には魚の総量よりもプラスチックの総量の方が上回ると予測されている。
 プラスチックは海に毎年800~1200万tも捨てられており、生物を傷つけ魚を汚染させ、それを食べる人間も有害物質を相当体の中に溜めてしまっている。

<世界の有識者は早くから警告を発していた>
 そうしたことから20118年のカナダ・シャルルボワのG7では、海洋プラスチックゴミについて大議論になった。トランプ大統領がトルドー・加首相の批判に反発して、首脳宣言を承認せず、日本もそれに同調してしまった。しかし、それを受けて19年に開催された大阪G20サミットでは、大阪ブルーオーシャン・ビジョンで海の浄化を大々的に宣言している。

<日本の"燃やすだけ"はリサイクルにあらず>
 今回プラスチックを再利用する法律(「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」)が成立したが、日本のプラスチックゴミ問題は深刻である。2019年の統計によると、有効利用率は85%に過ぎず、891万t排出されるゴミの61%は、ただ燃やされているだけである(サーマルリサイクル)。マテリアルリサイクルと呼ばれる、「もの」として利用されているのはわずか22%に過ぎない。ちなみにEUは33%に達しており、欧米ではプラスチックを燃やす事はリサイクルとみなされていない。

<プラスチックゴミの輸出もできなくなる>
 だからプラスチックゴミ問題は、地球温暖化・気候変動に次ぐ(あるいは並ぶ)世界の一大問題になっている。
 日本にはそれに加えて差し迫った特殊な問題がある。2017年末までは日本は中国に毎年150万t近くのプラスチックゴミを輸出していた。ところが中国は2013年からグリーンフェンス政策を導入し、輸入の規制を強化し始め、飲み残しペットボルト等を段階的に輸入禁止し、17年末に全面禁止に踏み切った。中国はPM2.5に代表されるように環境問題が深刻であり、気候変動問題についてはオバマ大統領と手を握ってパリ協定を合意に持っていく役割を演じるなど、環境問題の解決に真剣である。日本はそれでもマレーシア等他の東南アジアの国に輸出せんとしているが、これは2021年からバーゼル条約の改正が行われ、汚れたプラスチックゴミの移動が制限されることになり、野放図に輸出することはできなくなる。

<日本の経済重視・環境軽視は恥ずかしいかぎり>
 日本は、相変わらず経済を重視し、こういったゴミ問題に手をつけてきてなかったと言ってよい。消費者も便利さに慣れ切って、欧米の抑えの効いた消費者と異なり、利用を控えたり環境運動に身を入れる者はいまだ少ない。例えば2006年にスーパー等の包装のプラスチックは禁止する動きがあったが、生産者の反対でつぶされており、実現したのはそれから14年後の2020年である。他の国では、イタリア・フランス等ヨーロッパはとっくの昔に禁止しており、驚いたことに、インド・ルワンダ・南アフリカ・チュニジア・ケニア・ハイチ・パナマといった発展途上国も、禁止しているのである。

<質の悪さはCO2による温暖化よりも上>
 世界中で言うとプラスチックは約4億t生産され、排泄されているのは2.8億t、日本は一人当たりプラスチックの使用が38kgで、アメリカに次いで2位であり、このままいくと2050年には4倍に膨らむと予測されている。バイオプラスチックに代替すればいいと言う人もいるが、陸上では土の成分で分解されるバイオプラスチックも、海に行けば全く分解されないという問題があり、根本的解決にはならない。
 世界史的視点から見ると、主要な物づくりの原材料で時代区分もできる。石器時代、鉄器時代、そして今を言うならコンクリートとプラスチックの時代ともいえる。また、「人新世」と呼ばれる時代区分もあり、人類が地球上を独占的に闊歩している。レジ袋は便利と言えば便利で、日本では5兆枚も使われているそうだが、やはりこういった便利さだけを追求して使い続けるのは地球環境的視点からも許されない。

<製造中止が最善の道>
 スターバックスは2020年にプラスチックのストローも禁止している。サンフランシスコではペットボトル水はもう売れなくなり。そのかわり学校や公園では給水器を置いているという。
 日本は何かと言うと3R(Reduce、Reuse、Recycle)でリサイクルである。2000年の容器包装リサイクル法から始まり、家電・食品・建設・自動車・小型家電と続き、次このプラスチックもやはり資源再利用リサイクルといった精神で貫かれている。何もしないよりはましだが、私はやはりもう利用禁止していく以外にないと思っている。要は原発廃止、石炭火力発電をやめていくというのと全く同じなのだ。悪臭は元から絶たないとならない。

<環境重視で生き方まで変える欧米と無頓着な日本>
 一人当たりのプラスチックのゴミの排出量は、総量でもアメリカ・中国に次ぐ量であり、やはり世界に向けて襟を正していかなければない。それには生き方自体を変えなければならない。
 欧米ではベジタリアンやヴィーガンが増えている。ところが日本ではそういった動きはほとんど見られない。動物愛護から発している面もあるが、地球環境問題の解決のための自制という面もあるのだ。よく言われるように、牛肉1kgに穀物13~14kg、豚は7~8kg、鶏肉は3~4kgで、牛のゲップがメタンガスを排出する。それが地球温暖化には、CO2の4倍も危険なのだ。
 だから牛に穀物を食べさせ迂回生産した牛肉を食べるのをやめようというのがベジタリアンで、乳製品、卵、蜂蜜など動物由来のものは一切食べないというのがヴィーガンである。そして専門のレストランができるまでに広まっている

<日本人も昔の価値観を思い起こせば簡単なこと>
 衣服の世界でもエシカルユーズ(倫理的に使う)・使い捨てせずに長く着るということをしていこうという動きが多く見られている。よくよく考えてみたら形見分けをしておばあちゃんの和服をまた孫が着るというようなことは、日本ではとっくの昔から行われており、元々の日本的生活に戻るにすぎない。
 日本人も地球環境問題では覚醒しなければならない。しかし、もとを正せばそれほど難しいことではない。

2021年6月16日

【21年通常国会質問報告シリーズ3(6月7日倫選特委)】コロナ感染症により外出自粛要請を受けた人に郵便投票により投票権を回復 -濃厚接触者は救われず、投票に行けない実態は置き去り- 21.06.16

<4月25日投票の国政選挙で矛盾が露呈>
 新型インフルエンザ特措法(44条の3)で、コロナに感染した者は外出自粛要請を受け、14日間外出できないため、その期間に選挙が行われると投票できない。国家権力が国民の大事な権利の一つである投票権を奪っているのである。このことは早くから分かっていたが、顕在化したのは4月25日の3ヶ所の(北海道2区、長野・広島の参議院地方区)国政選挙の時である。我々のもとにも北海道からなんとかしてほしいと陳情書が送られてきていた。
 総務省は政府のルールの下の対応方法を通達で指示し、長野県でも4人の感染者が選挙管理委員会(以下「選管」)が対応で投票している。しかし選管関係者は感染の恐れがあり、負担が大きすぎるため、法律的に別の方法を手当することが必要となっていた。

<突然始まった各党協議>
 そこで考えられたのが郵便投票である。我々立憲民主党は準備しつつあった。ところが、突然自民党がやりたいと言い出し、5月25日と27日の二日間にわたって「倫選特(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)」の理事を中心とした関係者の各党協議が行われた。そこで私は立憲民主党・自民党・国民民主党等の法案の要点対照表を作り、議論の収束に役立てた(別表『コロナ療養者の投票権の確保について(比較表)』参照)。そして出来上がったのが特例郵便投票法(略称)である。
 保健所が外出自粛要請をする際に陽性者に文書を交付する。陽性者は(感染者で保健士は「特定患者」と称する)その文書を提示して、選管に郵便投票をしたいと申し出る。それに応じて選管が郵便投票用紙を送り、特定患者はそこに候補者の名前を書き入れ選管に送り返すというものである。郵便の往復にそれぞれ2日かかり、投票日の4日前までには申込みをすることが条件となっている。一般の人よりもその分制限されるが、概ね同じように投票の権利を行使できることになる。

<なりすまし投票という不正の防止が不可欠>
 郵便投票は、トランプ大統領が不正の温床として大反対していたことからわかるように、「なりすまし投票」つまり本人に成り代わって投票するという極めて単純な不正が起こりうるので、極めて限定的にしか認められていない。日本では重度の障害者と要介護5の者しか認められていない。いずれも障害者手帳と保険証の中に明確に記載されていて、特定できる。
 陽性で病院に入院している人たちは既に公職選挙法49条で病院長の管理の下で投票できることになっている。ところが、入院できず自宅療養あるいは宿泊療養を強いられている人達の投票権がほったらかしになっていた。宿泊療養者はホテルに数十人、あるいは数百人の単位でいるので、そこに投票所・投票箱を持っていくという事もできなくもない。現に4月25日はそういう対応もしていたが、これを一般化するには膨大なコストや手間暇がかかってしまう。そこで保健所から送られる外出自粛を求める文書を持つ者のみに限定して、特別郵便投票を認めることにした。

<コロナ感染者は次々に変わり、別の人が対象になる>
 今現在(6月上旬)も対象者は、自宅療養者が3万5,000人、宿泊療養者は1万人にのぼり、更に海外からの帰国者がホテルに待機し約1万5千人あり合計5万人が対象となると見込まれている。ただこの数は新型コロナ感染症の蔓延具合により刻々と変化する。例えば、第3波の前は自宅・宿泊療養者は約5,000人に過ぎなかったが、一気に数倍に膨らんだ。コロナ感染者は常に対象者が変わるということだ。

<残された陰性の濃厚接触者の投票権の回復>
 ところがもう一つ、同じく外出自粛要請される濃厚接触者が対象にならないという問題が残っていた。陰性の濃厚接触者は陽性者の5倍いると言われている。
 私は保健所は濃厚接触者にも国が費用を出す行政検査を義務付けていることから、そのリストを持っているのだから、そこに「外出自粛要請はしているけど、郵便投票できますよ」と連絡すればよいだけの話である。ところが、厚労省は長野市や上田市のように、リストを作っていればできるが、作っていない所が多いと言い訳し、総務省も個人情報の保護のため保健所のリストをそのまま利用できない、などと逃げていた。そして最後は厚労省は投票は不要不急の外出ではないから出かけてよいと返答した。

<顔の知られた濃厚接触者ほど投票所に行けない>
 加藤長野市長はだいぶ初期の頃濃厚接触者の1人として全国ニュースにも登場した。市長としての任務があるから市庁舎に出勤しようとしたが、それはやってはならないということで自宅で外出自粛していた。もし、この間に投票日を迎えたとして、加藤市長が「投票は不要不急の外出に当たらないから」といって投票へ行けるだろうか。隣は何をする人ぞと無関心の都会と異なり、田舎の濃密な社会では絶対に無理である。だから地方の濃厚接触者は事実上投票の機会を奪われてしまっており、問題を残したままである。

<都議選に合わせた稚拙な突貫工事>
 ところがもう一つ、公布後5日以内に施行があまりに早すぎるという大問題が残った。
 前述のように、いずれにしろちゃんと知らせなかったら郵便投票ができることを知る由もない。だから有権者へは周知徹底は期間をいくら長く置いても最初から無理なのだ。しかし、基本的事務を担当する保健所や選管は新しい郵便投票の仕組みを承知しないと混乱が生じてしまう。我が党の内部の議論で5日では短すぎる、罰則規定もあることもあり、3ヶ月後に施行すべきという修正案を出し、原案には反対するということになった。
 しかし、日本の人口の約1割1400万人の関わる都議選である。投票権の回復が早ければ早いほどよく都議選に合わせることにも一理ある。

<篠原案による合理的修正案>
 私の具体的な提案を参考までにわかりやすく箇条書きで示しておく。
(1)保健所は少なくとも自らが中心となって行う行政検査ではその対象者は分かっているので、必ずリストを作成する。(そもそも国が費用を出すのだからリストがあって当然)
(2)行政検査対象リストを一括して選管に送る。
(3)選管は全行政検査対象者に、申請すれば郵便投票ができる旨を通知する。(申請を自主性に任せていたら、この制度を知った人達だけしか救えないという不平等が生じてしまう。現実的にみて本法の制度がいくら報道されても、残念ながら、郵便投票ができるということを記憶している人は少ない)
(4)これにより、保健所の業務はかなり軽減するが、逆に選管の仕事は増えてしまう。しかし、感染におののきながら宿泊療養施設に投票箱を持って行ったり、外の投票所に有権者を送迎するよりずっとましである。

 共同通信が6月12日、郵便投票の対象拡大について都道府県選管に尋ねたところ、6割が前向きだったと報じている。本制度が有効に働くことを願ってやまない。

2021年6月 2日

【21年通常国会質問報告シリーズ2(5月20日倫選特委)】小さな生坂村の大きな実験は大成功に終わる -議員のなり手不足対策として55歳以下の若手の報酬を18万円から30万円に- 21.6.2

<何処も同じ過疎山村の悩み、人口減少と村議のなり手不足>
 4月25日参議院長野地方区を含む、3つの国政選挙が行われたが、同じ日に長野県の小さな村生坂村の村議会議員選挙も2001年以来20年ぶりに行われた。国政選挙の後に開票され、人口がわずか1,739人の村なのですぐに終わり、2人の新人議員も誕生した。
 生坂村は長野県の中ほどに位置する東筑摩郡の北西部にあり、面積は39平方キロメートルで、長野県の市町村の中では5番目に小さな村である。ご多分に漏れず人口減少が甚だしく、20年前(3,274人)から半減した。このため議員定数も1981年の12人から4人減り8人になっていた(別紙『小さな生坂村の大きな実験』参照)。

<起死回生の55歳未満、30万円議員報酬>
 生坂村はこの状況に手をこまねいていたわけではない。長崎県小値賀(おぢか)町では若手の立候補がなかったため、50歳以下の若手の議員報酬だけを高くする条例を作っていた。ところが、それにも関わらず若手の立候補がなかったので3年でその条例も廃止されてしまった。生坂村は、議会改革検討会を設置し、50歳以下の村民にアンケート調査で引き上げへの賛否と、希望する額を聞いたところ、4分の3以上が賛成し、30万円が最多だった。それを受けて村議会が2020年12月、定例会で全会一致で「55歳以下の若手に限り18万円の報酬を30万円にする」という条例を可決した。小値賀村の試みにならったのだ。村の将来を真剣に考える藤澤泰彦村長と村議の見事なタッグマッチである。

<若手議員優遇の怪挙(?)が快挙を生む>
 私が2003年初当選の時、総理も務められた羽田孜衆議院議員(当時当選12回)と1期生の私が全く同じ議員歳費というのには、わかってはいたが少々驚いた。一般社会では経験を積んだものの給与が高い。それを逆に若手だけ優遇するというのだ。そして迎えた久方ぶりの村議選では、小値賀町と違い、定数8に対して9人立候補、久方ぶりの選挙となり、投票率も79.8%という高率だ。
 ノースアラバマ大学卒の37歳の会社員(男性)と、新聞店を経営しPTA会長も経験し神田外語学院卒の44歳(女性)の2人の55歳未満の新人が2位と4位で上位当選した。47歳の現職と合わせて3人が支援対象者となった。女性も元々1人いたので、1人増で8人中2人が女性というなかなか立派な構成になっている。つまり若手議員の議員報酬アップの効果が十分にあったのである。

<村会議員の報酬では食べて行けず>
 市町村の議員のなり手が少ないのはどこの地方自治体も抱えている大問題である。その理由の一つは議員報酬が月額20万円にもならないことにある。つまり功成り名遂げて余裕のある人でないと月額20万円そこそこの議員などやっていられないのだ。だからどこの自治体も、議員というと年金収入もある地元の有力者の60代70代が大半を占めるということになる。ところが、それも高齢化が進み、農林業(典型的自営業)の衰退により議員になれる人が急激に減ってしまっている。このような状況の中では、少しでもよいが若手にも議員になってもらわなければならない。
 地方自治体の議員報酬には相当の格差がある。市で一番高いのは京都市の96万円、一番低いのは財政が破綻した北海道夕張市が18万円、村で一番高いのは原発からの収入がある茨城県東海村が36万700円、一番低いのが東京都御蔵島村の10万円とかなり格差がある(別表『市町村における議会議員の報酬月額上位・下位3団体』参照)。
 町村議会議員でみると、議員総数は1万834人、平均年齢は64.4歳。一番多い年齢構成は60代で43.1%、次は70代が31.3%、そして40代以下は9.6%(1,039人)にすぎない(別表『926町村議会の実態』参照)。議員報酬の平均月額が21万340円となっている。40代以下の町村議会議員1,039人の平均報酬を21万円とすると、30万円にするためには9万円が必要である。一ヶ月の追加必要額は1,039人× 9万円=9,351万円。そして期末手当も含めると16か月分として計算すると年14億9,616万円で済むことになる。この金額がそれほど大したことがないというのは、地域おこし協力隊の予算の185億円(2020年)と比べるとよく分かる。国が積極的にこの生坂村方式を援助すべきである。
 地域おこし協力隊のように外から来る人を援助するのも必要だが、その町にその村に住んでいる人たちが暮らしていけるようにお金をもっと出すべきである。つまり、村に残っていて議員になろうという人たちにこそ先に支援すべきだということである。私は武田良太総務相に早急に手を付けるべしと促した。

<土・日、夜間に市町村議会を開催し、兼業議員もなりやすくする>
 他に議員のなり手不足ということでいうと、会社員はとてもじゃないが仕事を休んで議員などできないという問題ある。これを直すには、北欧の地方自治体でもやっていることだが、会議を週末の土・日あるいは平日の夜間に開いて、兼業でも市町村議会議員ができるようにすることである。こうすると自営業者や農家でなくとも誰でも議員になれることになる。進んでいる一部の国では、公務員でも現職のまま議員に立候補できる仕組みもある。

<思い切って数多くいる区長を市町村議員にし、広く議論>
 もっと広く地方の直接民主制ということを考えると、集落ごとにいる区長がそのまま市町村議会議員となり、議会で地方の問題を議論して政策を決めていくことも考えられる。総務省の研究会の報告書は、小規模市町村の議員のなり手不足対策として、「集中専門型」と「多数参加型」の二つを提示しているが、後者にあたる。
 今どき地方で車なしでは生きていけない。上記の週末土日あるいは平日夜間開催でも、議員は一斉に車で集まることができる。議員報酬など少なくとも奥ゆかしい区長さんたちは不平は言うまい。元々集落で生きていける人たちだからである。ただ、こうなるとそれこそ集落の重鎮が区長に選ばれており、若者は入る余地がなくなる。また通常区長の任期は一年のため、若干修正を要する。
 まずは試験的にやってみることである。そうしてうまくいけば、中規模以上の市町にも応用できるものと思われる。

<意外にネックとなっている兼業(請負)禁止>
 この他に大きな市町では考えられないが、意外と阻害要因になっているのは、兼業禁止(請負禁止)である。国会議員は国の補助事業を受けている企業からの政治献金が禁止されているが、基本的考え方は同じである。いわゆる口利きをして補助事業を持ってきて、その見返りに献金させるという構図を断つためである。地方自治体議員の場合は、自分の商売なり仕事を市町村から受注してはならないという趣旨である。ところが、小さな市町村では大きな企業もないので役場が一番巨大な組織となり、ずば抜けていいお客様である。それが議員になった途端市町村役場にものを買ってもらったり、土建会社だと公共事業を受注してはならないとなると、それこそ商売上がったりになってしまう。
 利益相反には気をつけなければならないが、このルールを緩和してやるのも大切ではないかと思われる。
 生坂村は長崎県小値賀町と違って成功したのであり、これを全国でぜひ広めていってほしいと思っている。

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