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2021年10月29日

電話のご意見報告(2) 21.10.29

前回に引き続き、ご意見をいただいた方のメモ(秘書が書き留めたもの)を、プライバシーにかかわる部分を削除してご報告いたします。(10月27日午前中までのもの)

1回目はこちら

【立憲民主へのご意見】
・立民党が政権交代を果たしたいなら枝野代表を変えなければ多くの支持を得られない。人格的に評価されていない。
・モリ・カケ・サクラの様な長期政権の歪みがもたらす弊害をどのように起こさないかという方策を示す事が、批判ばかりという批判をされないと思う。
・民主党政権時の期待裏切られたので入れる気持ちはない。
・官僚がきちんとものを言わない忖度政治、野党もこの状況を打開せよ。
・野党は自分勝手な主張をやめてまずまとまる事。自民党を見習え。
・風は追い風だと思うが、がんばれ。
・前に政権をとったときみたいな同じヘマはしないでほしい。
・まずは政権を取らなければ政策云々をいっても仕方ない、枝野にも玉木にも働きかけてもっと大きな塊を作ってほしい。
・党の中枢で頑張ってほしい。上層部の顔ぶれが変わっていないから支持率あがらないのでは。
・連合の言いなりになっている立民は情けない。愛知出身。昔の愛知のトヨタ労組の言いなりになっている社会党のようである。党議拘束はやめたほうがいい。党首ではなく地元の方を向いた政治家が増えるべきである。
・政権取らなければ政治への意見要望を言っても仕方がない。

【政治への一般的批判】
・国政に対する要望として「腐りきった現行の体制を、全てひっくり返してもらいたい」「政権交代しか方法はない」とのこと。
・党間の争点見えない。
・各党とも耳ざわりの良いバラマキを言っているが、子供に将来のツケを回しているだけ。自分は給付金はいらない。昔の質素な生活に戻ればいいだけ。

【コロナ】
・コロナ対策として雇用の確保。
・篠原さん大好き。コロナ対策しっかり。
・コロナで疲弊した飲食・観光業の復活を、長野県は観光立県。
・(会社経営者)社長は子供に譲ったが今でも現場に出たり会計をみている。コロナ禍で設備投資が見込めず業況厳しいが、補償金はもらっていない。(特定定額給付金の)10万円給付も寄付した。以前篠原さんが来た時の名刺をまだ持っている。10代の頃から裸一貫でやってきたので世襲政治家は嫌い。子供2人には篠原さんに入れるよう言ってある。
・コロナで東京にいる孫と2年も会っていない。
・コロナを終息させることも大切であるが、経済をどのように復調させるかも重要である。経済対策も併行させてもらいたい。
・感染率が急減した今こそコロナ対策が一番と考える、この状況に油断してはいけない。

【年金社会保障】
・特にないが年金上げてほしい。
・厚生年金もらっているが増額してほしい。
・昔と比べると高齢者は安心して老後を過ごすことができていない。一部の富裕層と多くの生活困窮者で構成される社会になってしまった。大企業の内部留保だけが増大して、庶民には富が分配されなかった。多くの国民が幸せを享受できる社会へと変えていってもらいたい。(80代)
・介護サービス年々細っている。(借りたいものが借りられない)須坂市中野市信濃町に比べ長野市は特にひどい。市の担当者は厚労省の指針をタテに改善しようしない。サービスを受けられない自宅難民が今後急増する。何とかしてほしい。
・子供食堂に関心がある、親の格差が教育面にも影響し構造的な歪みが生じている。
・弱い立場のものを助けてほしい。
・遺族年金では生活が厳しい。
・孫がいるので子供への予算を確保してくれる政治であってほしい。
・必ず篠原さんに入れる(投票する)。高齢者に寄り添った政治になるようにと期待している。いつかはわざわざ自宅まで挨拶に来てくれたが(17年8月)、そこまでしてくれなくても支持している。

【選挙へのご意見】
・世襲を批判したら良いのではないか。絶対、負けてはいけない。
・世襲批判をしろ 広島県はみんな世襲だ。長野県もそうなってはダメ。テレビ等があるとき、端的に指摘すべき。負けてはならない選挙だ。
・北野建設出身なので市長は荻原。若林ではダメ、見識のある人に任せたい。
・2回ほど来てもらったが普段から多忙で会えなかった。近くに住む娘夫婦にも投票するよう言ってある。
・今回は選挙に行って自民党を負かす。
・コロナ禍につき集会は開催せず、感染症対策を最優先とした方針につき、十二分に理解できる。篠原さんが直接訪問してくれたことを覚えている。
・相手候補はフットワークで確かに支持を拡大している。2年前自分の所にも支持の依頼にきた。安倍は嫌いなので断った。
・篠原さん、絶対当選させなきゃいけない。それと3区は裏切者を落とさなきゃいけない!自分は裏切者は許せない性分なのだ。
・野党共闘良いことだ、政権用の人材必ずいる。今回は飲食業やコロナで苦しんだ若い層の投票率が上がるのではないか。
・何としても絶対当選してもらいたい。
・街宣車を3,4,5区に、応援弁士を呼ばないはコロナ対策律儀すぎだ。自身も観光施設の経営をやっていて思うが、あまり悠長なことは言ってられない。スレスレのスレをいかなきゃいけないんだ。出来る限りの支持の拡大はします。
・「共産党から電話による投票依頼が来た(24日午後)。立憲民主党が先にならなくてはダメではないか。」とのお叱り。応援している。
・80代の高齢で杖をつきながら30分近くかけて投票所に行かねばならない。もう投票は止めようかと思うが野党共闘のため何としても行くので、そちらも頑張ってほしい。以前篠原さんが来た時本人とは思わずかなり文句を言ってしまった。
・期日前投票に行って篠原さんに投票してきた。比例代表の投票において党名の略称が立憲民主党と国民民主党がともに「民主党」になっており大変紛らわしいので変更すべきだ。
・アベノミクスは全く国民の生活を豊かにしていなかった。長野県内5選挙区のうちいくつを野党で占めることになるであろうか。期待している。
・街頭演説を聞きたかった。自民党の出鱈目にはあきれ果てる。共産党と組むことには違和感を覚えるが、政権交代のためにはやむを得ないか。
・応援している。相手候補はかなりお金をかけているようだ。対して活動が地味に見えてしまって大丈夫かな、と思ってしまう。
・投票してきた。略称「民主党」について質問あり。
・若い人の投票率が上がらないのは残念だ。新聞を読む人が少なくなっているのではないか。
・連合と共産党の関係でとやかくいわれないようにしてほしい。今回の選挙で政権交代できなくても、大事なのは与野党伯仲だ。立憲はその責任を果たしてほしい。モリカケや桜、今回の麻生発言など、自民一強を正さなければならない。
・今日(26日)の信毎の宣伝を見て悲しくなった。松井孝治【私にとって立憲は終わった】ゴミみたいな政党がいくつあっても仕方ない、まずまとまって政権をとってから意見を戦わせればよい。主人はいつもテレビに向かって文句ばかり言っている、外に出て人に向かって話せと言っているが。市長選も誰に入れてよいのか分からない、周囲は若い人が良いと言っている、荻原健司はスポーツばかとは言わないが頼りない感じ。
・3区、5区も取ってほしい。1区、比例復活許すな。
・若夫婦含め4票は大丈夫、昨日のテレビも見ていたがもう少し元気さと必死さがほしい、篠原代議士の地であることは分かるが。
・元長野県議後援会幹部 地元での相手候補の評判は決して高くない。26日投票済。
・圧倒的な勝利を!
・秋山郷に一回くらい声を聴かせなきゃだめだ。
・当初より応援している、自分と同じくらいの年寄だが、もう1~2期体に気をつけて頑張ってほしい。
・前回の選挙では立憲民主党が嫌だということで無所属で出られたと聞いている。それを聞いたときは「篠原さんの足元は大丈夫なんだろうか。それだったら共産党に入れようか。」とも思った。今回は一緒になっていると聞いて安心して投票できる。

2021年10月28日

電話のご意見報告(1) 21.10.28

コロナ禍での選挙、私は感染者を出さないため濃厚接触を避けることを主眼に展開することとした。

① 従来中心になっていたミニ集会も大規模集会も一切しない
② 県外の応援弁士もなし
③ 朝礼、会社訪問等もなし
④ 街宣車に付き人も乗車せず密を避ける
⑤ 街宣車から降りての街頭演説も回数を減らし、前もっての動員はなるべく避ける
⑥ 事務所開き、出陣式、開票集会も密を避け、少人数で行う
といった大原則の下行っている。

その上で
① 慣れない街宣車に乗り政策を訴える
② 秘書等が中心となり、ボランティアの方々を含めて支持者に電話する
③ 政策のご意見をいただいた方には、私が直接返事の電話をする(対応しきれないのは、選挙後に対応)

せっかくなので、ご意見をいただいた方のメモ(秘書が書き留めたもの)を、プライバシーにかかわる部分を削除して2回に分けて報告する。(10月27日午前中までのものを数項目に分類してまとめた)
初めての試みであるが、一方向の街宣に比べてミニ集会を行わず双方向のコミュニケーションになっていると思われる。
非常に参考になるものが多く、今後の政治活動に役立てたいと思っている。

【与党自民党、政権批判】
・自民党大っ嫌い一票入れます。
・安倍長期政権のゆがみが出ている、安倍・菅の強圧的の態度は子供への教育上問題がある。桜を見る会は完全に法律違反、息子・孫たちにも薦める。
・2票しかないが必ず入れる、安倍の噓に我慢できない(消費税と拉致被害者)。
・自民党腐っている、昔の中選挙区のように党内の競争がないせいだ。枝野にしっかりするよう言っておいてくれ。
・新聞報道にあったが自民党に過半数を取らせてはいけない。立民党を含めた野党が頑張ってくれないと今後が不安。自民党に好き勝手をさせてはダメ。
・自民党長期政権で好き勝手にやっている。
・やりたい放題の自民党政権にはもう任せられない。二大政党制のようなお互いに切磋琢磨して国民のための政策を提案できるような形にならないといけない。政権交代を果たして健全な政治を取り戻してほしい。
・噓つきとごまかしの自民党をなんとかしてくれ、総裁選の時自主投票の意味を尋ねた子供がいた(投票とは自主投票ではないのか)。
・安倍一強長期政権で自民党員も言わなくなっている。真っ当な民主主義を取り戻せ。
・安倍が影の総理をきどっている間は自民党の悪行は止まらない、政権交代しかない。
・与党が元気よくてダメだ。
・国会での自民党勢力が強すぎる。与野党の勢力を拮抗させて、一党独裁の状態から脱却すべき。
・現行の自民党政治は酷すぎる。今、篠原さんに望むことは自民党候補に必ず勝ってもらいたいということのみ。
・自民党のウソこそを懲らしめてくれ。3年前の失敗を繰り返すな。
・やりたい放題していた安倍を人として許さない、それだけは伝えておいてくれ。
・自民党はモリカケ、さくら、賭けマージャン、まったく責任取らないし捕まらない。国民には我慢を強いながらやりたい放題だ。みんな忘れてしまっている。先生に自民党の悪事をもう一度うたってもらって、絶対勝ってほしい。
・自民党200議席割ってほしい、安倍・麻生の不誠実な対応が嫌い、各議員の意志が派閥の理論で捻じ曲げられている状況に、自民党のホームページに4回抗議した。議員定数の見直しは与野党ともに及び腰、重複立候補などは廃止してもらいたい。国民が納得する大幅な見直しをしてもらいたい。
・安倍・菅を引き継ぐ政治や嘘をつく政治はダメ。自民を倒すため、頑張ってほしい
・自民にこのまま任せてはいけない。篠原さん絶対に当選させなければいけない。
・安倍のモリカケ他何とかしてもらいたい、モヤモヤして胸が晴れない
・安倍夫婦A級戦犯 野党共闘について、共産は別としても何故一つの政党にまとまれないのか。作っちゃ消え、政治ゴッコよくない。
・不正を見逃さないでもらいたい。モリカケ、桜、賄賂、酷すぎる。岸田が総裁選で約束していたことは既に反故にされている。自民党には全く期待ができない。不正を正してもらいたいというのが最も大きな願い。
・安倍が好き勝手な政治をやってきた。そろそろ自民党以外の党に変えなければだめ。篠原さん頑張って。

【農業】
・果樹と水田で3反歩やっている、高齢な小規模農家に使える補助金がほしい。休耕田を組合で集め補助金をもらいいい加減な運用をしている所もあるのではないか。(種まきと稲刈りしかしない)
・今年春の凍霜害で古里・長沼地区は売上が1/5、1/8になった。農家への補償を検討してほしい。
・元農協職員。退職して農業をやっており農業委員も経験。現在の農政では大型化、法人化を条件とされているため〇〇の農業は救われない。小規模の我々のような農家こそ環境と地域を守っている。大規模になれば利益に追われとても他のことには目を配れないだろう。細々とやっているが、遂に退職金もすべて赤字につぎ込んでしまった。農政の方向性の転換をしてもらいたい。是非とも政権をとって、前回の二の舞いにならないようにふんどしの紐を締めなおしてもらいたい。
・果樹農家、りんご凍霜害 ブドウはまあまあだった。
・農家の高齢化、担い手不足、耕作放棄地問題には更に取り組んでもらいたい。水路があり、機械が入ることができる優良農地でさえ担い手がおらず、70~90歳代が耕している。子育て、地球温暖化などにも要望はあるが、まずは農政。農政が「NO政(政策なし、政策ゼロ)」になってしまわぬようにしてもらいたい。
・2反歩の農地を所有しているが手をつけられない、後継者問題を含め農業政策に頑張ってほしい
・農地をたくさん持っているが、市街化調整区域で手が付けられない。

【その他の案件】
・丹波島道路、橋の渋滞解消に向けどうぞよろしくお願いいたします。
・①学校教育特に道徳について親も含めて教育しなおした法がよい。 ②世襲か何か知らないが能力の劣る国会議員が多すぎる(政治家の地産地消チラシ送付)。
・給与を上げてほしい(株だけ上がっている)。
・子供たちが将来受け取る年金が心配、経済のシステムはよく分からないが儲かっている大企業から拠出する訳にはいかないのか。
・篠原さんに対して新たに望むことは特段なし。今までのような政治姿勢を継続してもらえればそれだけでご満足とのこと。
・国内経済が潤うような政策を実行してもらいたい。
・私は高齢なので名前を言わない。投票所が目と鼻の先にある○○小学校ではなく、歩けば30分もかかる△△小学校なので、投票には行けない。
・中山間地域出身 4~6月で亡くなった人もいるが人口が30人減少している。中山間地域の疲弊は政治の問題だ。高齢化で、地区の役員の成り手不足、若い人はそうした煩わしさを嫌い、外に出て行ってしまう。
・初当選以来の熱烈支持者 相手陣営からもTELきた 「世界金融資本に日本を売り渡す政策はやめるべきだ 簡単に外資を参入させるべきではないのでは」
・①米余りは米飯給食の増加で解消を。 ②憲法と尖閣での問題はどう考えるか。 ③党首討論で志位委員長が尖閣の国有化を問題にしたが、根拠を世界に発信すべき。 ④外国人の参政権は今も認めるのか
・ブログの犬の話に昔を思い出した。

2021年10月27日

選挙の様子

選挙の様子を動画にまとめました。
よろしければご覧ください。
しのはら孝 動画一覧ページ(YouTube)

2021年10月26日

「表紙を変えても中身を変えなきゃ変わらない」の語源 -今 必要な伊東正義に続く政治家- 21.10.26

 岸田首相へのバトンタッチについて、「表紙が変わっただけで中身は変わらない」と新聞各紙も言い、私も言い、あちこちでこの言葉が使われている。ところが、この言葉はどこで使われた言葉か知ってる人は数少ない。

<伊東正義の発した名言から>
 1989年、竹下登首相がリクルート事件で退陣し、政治不信が渦巻いていた。伊東正義(元官房長官・外相)が、自民党の大物政治家の大半がリクルート株に汚染され、世間の批判を一身に受けた時に、無縁でいた大物政治家が伊東だった。当時の自民党はまだ自浄作用があったのだろう、伊東に総裁になってくれと党内が一致した意見で頼むことになった。ところが、それに対して伊東は「本の表紙を変えても、中身を変えなければ駄目だ」という言葉を発して宰相の座を断った。
 総理になりたい人だらけの中で、総理を引き受けないという立派なこの政治家がどういう政治家だったのか、この機に紹介しておきたい(以下は私が主として松本清張の官僚論と、後述するが翁久次郎官房副長官から直接聞いた話が出典である)。

<満州で大平正芳と出会う>
 伊東は14年福島県会津若松の生まれ育ちで、36年東大法学部卒業後農林省に入省し、63年退官直後の総選挙に出馬し、当選9回を重ねた。農林(水産)省出身の政治家という点では私の大先輩に当たる。恥ずかしながら、昨今の「格差」同様とても格が違う。以下、[括弧]で私との比較を述べる。
 人生は偶然が左右する。伊東は間もなく興亜院に出向し、満州で大蔵省から出向していた大平正芳と同僚になる。名前が「まさよし」ということもあり気が合った。入省は同期だが、大平は苦学生故、4歳年長だった。戦時中に帰国するも空襲で焼け出され、大平の自宅に仮寓する。交友が深まったことがわかる。

<筋を通す会津人>
 農林省では会津人の本領を発揮し、豪腕を持ってなる河野一郎農相(太郎の祖父)を相手に臆することもなかった。今だと内閣人事局にすぐ飛ばされるが、河野農相はうるさい奴と思いつつ「政治家向き」と評価していた。そうした激しい性格が災いし、3回大左遷され、特に東京営林局長から名古屋営林局長に左遷された時はこれで終わりかと思われていた。ところが、人物鑑識眼の優れた人がいたのだろう、農地局長等に戻り事務次官まで登りつめている[私も2回大左遷されており、優等生官僚とはみなされなかった]。
 大平は池田勇人蔵相の秘書官を務めた縁で、52年政界入りしていた。そして、伊東は大平の誘いで政界入りし、池田派(宏池会)に所属したが、最初から「俺は大平派だ」と称し、池田も仕方ないと苦笑いするしかなかった。

<伊東が兄貴分で大平に意見する>
 こうした仲だから大平政権下で伊東が内閣を支える大番頭・官房長官となった。二人の信頼関係から当然の人事だった。
 大平はいわば役人道を極めることができず、多分後ろめたさがあったのだろう、農林省のトップとなり大組織の動かし方を知る伊東に内閣の要となってもらったのだ。この関係は 内務省を早々に辞めた中曽根康弘首相と警察庁長官後政界入りした。後藤田正晴官房長官にも当てはまる。3年3ヶ月の民主党政権の運営のまずさは、首相の器もさることながら、官房長官にしかるべき者をつけなかったことも原因である。
 私は大平内閣の後を継いだ鈴木善幸内閣の時に内閣・総合安保担当室に出向した。翁久次郎副長官(元厚生事務次官)が続投し、かつ総合安保担当室の担当だった。そして首相直轄の組織であり、長官から直接指示をいただく立場にあった。その折、私に伊東・大平の友情関係を話してくれた。
 二人のマサヨシの友情関係ほど美しい友情関係を見たことがない。意外なのは総理は大平さんなのに圧倒的に伊東さんが上の兄貴分で、総理に伊東さんがあれこれ意見を言い、それで動いていた。それは人となりをみていて仕方ないと思ったという。

<池田首相に料亭政治を辞めさせたのだから、大平にもゴルフやめよと直言>
 大平は池田内閣の官房長官を務めていた。池田はもともと広島の造り酒屋の生まれで大の酒好きで料亭に入り浸り、いわゆる「料亭政治」と批判されつつあった。それに対し、総理になったのだから料亭政治はやめろと直言、池田はそれに従った。
 伊東は大平に対して、あんたが池田に対して料亭政治をやめろと進言したのだから、ゴルフなどやめろと詰め寄った。大平は渋々従わざるを得なかった。
 大平首相は一旦はやめたが耐えきれずに再開した。恐いのはうるさい大番頭伊東である。いつの日からか官房長官用にゴルフの日程を抜いた週末日程が作られ、届けられることになった。
 ある時、翁官房副長官に「大平は止まっている球だがちゃんと打てるのか」と聞いたという。大平は官邸の懇親会のソフトボール大会で、ピッチャーがバットに当てようと一生懸命に甘い球を投げるにもかかわらず空振りして当たらなかったからだ。副長官は冷や汗をかいたが、ゴマカシは伊東にはとっくにバレていた。見て見ぬ振りをしていたのだ。
 伊東は東大の野球部のキャッチャーであり、スポーツに長けていた[私も野球は大好きでそれなりにできる]。

<庶民感覚を忘れなかった飾らない政治家>
 伊東はゴルフを一切しなかった。農地転用や国有林野の払い下げなどで不祥事が乱発していたこともあり、ゴルフなどに手を染めることはなかった。伊東は日本の貴重な国土(農地・林野)を潰して遊び呆けるのが許せなかったのである[私も同じ思いからゴルフとは無縁である。ただ、嫌われるので今まで言ったことがない]。
 伊東は汗かきだったため、官邸の中でも腰にぶら下げた手拭いで汗を拭きながら仕事をしていた。よく見かけた普通の庶民の振る舞いである。これには流石官邸の職員たちもまいり、懇請し腰の手拭いはやめてもらった。

<大平首相の急死で鈴木内閣の外相、日米同盟の解散で衝突>
 ところが、政治は一寸先が闇である。四十日抗争を経て80年福田派、三木派の本会議欠席により、大平内閣不信任案が可決、いわゆるハプニング解散により衆参同時選挙が行われた。大平首相は選挙期間中に急逝し自民党は大勝した。
 伊東は総理臨時代理を務め、その後も加藤紘一等が総裁に担ごうとしたが固辞し、田中角栄元首相が推す鈴木善幸が総理となった。伊東は外相に就任している。ここでは日米同盟の解釈を巡り揉め事があったが、伊東は外務省の立場を守り筋を通している。

<ミスター・クリーン>
 その後、中曽根内閣で政調会長、竹下内閣で総務会長と党三役の一角を務めた。そして89年、リクルート事件で竹下内閣が退陣し、上記の名言が世に知れることとなった。
 伊東は、自民党内の実力者でありながら、清廉潔白で金権政治には無縁な人であった。生活の質素さでは、土光敏夫 第二次臨時行政調査会長が有名だが、伊東も全く同類で、雨漏りする家に住んでいた。同郷の渡部恒三(衆議院副議長・通産相)は東京佐川急便事件でも自民党幹部で金をもらわなかったのは伊東と渡部だけだと述べている。

<正義を貫いた伊東への後藤田の賛辞>
 その後、後藤田正晴に請われて自民党政治改革本部長に就任したが、94年5月の葬儀では後藤田が弔事を読み、「あなたは政治家の中では珍しい愚直なまでの潔廉漢でもありました。こうした姿勢を貫き通したことに、私はすがすがしさ、美しさすら覚えます。党内にはそういうあなたを煙たがる空気もありましたが、この潔癖さこそがいまの政治に最も大切なことだと思います。」と述べている。
 伊東はまさにその名の通り「正義の」政治家だったのだ。伊東が生きていたら、モリカケ・桜・黒川・河井、二つの汚れ川(吉川・西川)、菅元首相の息子の総務省過剰接待と続く汚れきった政治に怒り狂うことは間違いない。そして27年後の今も、第二の伊東が望まれる政治状況に変わりがないのは嘆かわしい限りである。

2021年10月24日

コロナ対策は命を守る安全保障である -「検査と隔離」、「国内生産維持」、「研究開発投資」、「ワクチン安全保障」- 21.10.24

 選挙期間中で非常に忙しいが、時間が許す限り争点になっている事についての報告をさせていただくことにする。

<コロナ感染者数減少の理由がわからない!>
 今なぜかしら急速にコロナ感染者数が減っている。しかし有権者はコロナ対策に一番関心が高いと思われる。専門家も減少の理由についてはほとんどわかっていない。一般的に言われているのは、 ①ワクチン接種が進展したこと、 ②医療崩壊して自宅療養者が亡くなるという報道があったりして人々の移動・行動が抑制されていること、 ③医療施設や高齢者施設のクラスターが減少したこと、などがいろいろ挙げられるが、本当のところ確定的な原因はわかっていない。
 コロナ感染者数が減少した原因がわからないということは、今後第6波が訪れたときに、その理由がわからないということに通ずる。

<各党の対策に大差なし>
 各党がコロナ対策については同じようなことを言っている。
 まず自民党は、①入院の受け入れを二割増やす。 ②ワクチン接種は11月早期に完了し、3回目の接種も視野に入れる、 ③ワクチン接種証明をしてイベント・旅行・飲食を実施してもよい等である。③番目は後述するが、私が最初から主張していたことである。
 立憲民主党は ①水際対策をきちんとして全入国者を対象にホテルで10日以上隔離すること、 ②PCR検査をもっと多くしやっていくこと等を主張している。共産党も無料検査を主張している。各党にそれほど差は見られない。

<感染防止は「検査と隔離」が鉄則>
 2010年、農水副大臣の時、口蹄疫の蔓延を防ぎ収束するため・現地対策本部長として宮崎に2ヶ月滞在し、徹底した検査と隔離が重要だと痛感した。新型コロナウイルスも全く同じで、まず検査と隔離が重要だと思っている。例えば国営法の徹底も隔離の延長線上にある。
 この点について日本は非常に軟弱である。きちんとした法律を何も定めていない。ドイツではマスクを義務化する法律の制定に対してベルリンで大デモが行われ、逮捕者が何人も出ている。ところが、日本はすべて「要請」ですませ、きちんとした行動抑制をする法律を制定する気はない。政府は従順で真面目な国民気質にあぐらをかいて責任を果たしていない。

<検査パスポートが外出自粛・移動制限より安上がり>
 第5波では8月20日2万5,000人も感染者が出ていた。その後ワクチン接種も進んだが、ワクチンは万能ではない。いち早くワクチン接種を完了し、成功事例と言われていたイスラエルでは7月から再び増加が始まり、ワクチン接種効果が減っていることは明らかである。日本も一時的にワクチン接種効果があったとしても、数ヶ月経つと同じようになることは目に見えている。また、イギリスでは諸々の規制をほとんど解除した結果、今現在(10月21日)も感染者が5万1,484人に増えており、今後どうなっていくか分からない。イギリス政府は何の対策も講ずる気配がないが、医療関係者はマスク着用の義務化や在宅勤務などを求めている。数ヶ月後の日本の姿かもしれないのだ。だからコロナ収束など先の先のことである。
 コロナ対策として私は一に検査、二に検査だと思っている。つまりPCR検査あるいは抗原検査をし、それに加えてワクチン接種も行う。そしてこの3つの証明書で陰性が証明されたならば外出や移動を自由にするということである。検査費用がかかるだろうが、移動を自粛し旅行や飲食をするなと押しつけ、飲食店や観光業界に大打撃を与えるよりはよっぽどマシである。

<感染拡大防止も環境保全も規制以外に手立てはない>
 それには徹底した検査とともに、検査で陽性になった者は出歩かないこと、つまり隔離が必要である。小泉政権以来、規制緩和と言い続けてきているのに、やたらと経済活動を押さえつけているのは大矛盾である。外出自粛など規制の最たるものではないか。今のような自粛・自粛も、どこに明確な基準があるのかわからず、いつまでも許されることではない。法律で基準をきちんと決めて抑制的に強制力を持って対応することが必要である。
 感染症の防止や、環境の保全は規制以外では成り立たないということを自公政権はわかっていないのだ。前述の通りドイツでは21年から公共の場(公共交通機関や店舗)での医療マスクの着用を義務付けている。「法と秩序」とか格好のいいことを言いながら怠慢以外の何物でもない。

<専門家の遊軍を造る>
 その次に大事なことは、医療体制の拡充である。今回のような猛威を振るう感染症はめったに起こるものではない。だから専門家が少ないのは仕方がないことである。ただ、これからはいざというときに備えて専門家を育成し、通常は他の専門分野をやっていても、一番の専門は感染症対策だという医師を抱えることである。そうした医師にもきちんと高給を与えることである。つまり、いわゆる診療報酬の問題であるが、常日頃ない感染症の専門家などはあちこちの病院で抱え込むことができないから、政府が工夫を凝らし、いわば遊軍(いつでも出動できる者)のような専門家を用意しておく以外ない。

<長期的研究開発投資>
 それから日本は圧倒的に研究開発投資が遅れたことを反省しなければならない。未だもって日本でワクチンが出来上がっていない。先進国の中でこのような遅れをとっているのは珍しいことである。薬学部を6年にしたりと準備は整っていたはずなのに、長期的観点に立った研究投資を怠ってきたのである。今このままのケチな科学技術振興予算では、今後は日本からノーベル賞受賞者は輩出できないと散々言われているが、医療の分野でも同じことが起きていたのである。
 食料が典型であるが、日本に必要なのは絶対に国内生産で維持するのだという決意が必要である。通常時は無駄があるかもしれない。安く外国から買えたらその方が簡単かもしれないが、今回のワクチンのように外国から持ってきたりすると供給が途絶えたり、いつ来るかわからなかったりして遅れをとることになる。効率一点張りで基礎的な分野への長期的投資を怠ってきたことが今回の結果を招いているのだ。

<軍事安全保障の前に「ワクチン安全保障」>
 それから最後に感染症病床の問題である。感染症病床は2000年に2,396床あったものが2019年には1,188床しかなくなっているという。感染症指定医療機関にも常勤医師の専門家の医者がいるのは35%ということである。つまりこういったウイルス性の感染症についての準備体制は全く整っていなかったのだ。これも猛省しなければならず、地域医療再編構想で公立・公的病院のベッド数を減らすなどということはもってのほかである。むしろこの反省に立ってベッド数に余裕があることは当然、と考え方を変えていかなければならないと思っている。
 小泉政権以来医療費の削減ばかりが叫ばれ、例えばその結果保健所がメタメタに減らされて対応が遅れることになった。国民の命に関わる分野では通常時の無駄はある程度やむを得ないのだ。自公政権は敵基地攻撃能力などと軍事安全保障にばかり向かっているが、ワクチンも食料ももっと先に整えなければならない安全保障なのだ。医療、教育、研究開発にはある程度の無駄が必要なのであり、それを承知の上で対策を講じていかなければならない。

2021年10月 3日

【歪んだ畜産シリーズ4】 まともな畜産業の復活は牛乳の地産地消・旬産旬消から始める -消費側から畜産の正常化を促す- 21.10.03

<地元の酪農家が新鮮な牛乳を小中学校の学校給食に届ける>
 畜産業のあまりの変容に嘆いてばかりいても始まらない。私は地産地消・旬産旬消が一番望まれる酪農を健全な姿に復活させるのも一つの考えではないかと思っている。
 つまり、学校給食や病院等の業務食に不可欠の牛乳を身近で生産し、近隣の学校給食、病院食に優先して新鮮な牛乳を届けることである。長い輸送によるCO2の排出も抑えられ、すぐ飲むもので冷熱費も少なくて済み、健康にもよい。一石何鳥にもなる。1960年農家戸数が606万戸もあったころは、水田酪農を各地で展開できただろうが、2020年175万戸と3分の1以下に減った今では同じ手法には無理がある(表 農家戸数の推移)農家戸数の推移.pdf。小・中学校を抱える市町村が前面に立って公的援助を行い、中規模の酪農家を育成して維持するしかない。これはかつて乳牛を飼った経験のある団塊の世代以上が生き残っている間にしないと手遅れになる。もちろん国が積極的に支援し、全国展開するのだ。
 子供たちが新鮮な牛乳にありつけるなら、学校給食が少々高くなっても保護者は許容するであろう。第一学校給食費が月5,000円前後、すなわち一食250円というのはあまりに安すぎる。一方ではカラオケに行き下手な(?)歌を歌って数千円も支払っているのに、日本の親も関係者もどこかおかしいのではないか。次世代を担う子供たちの食費にはもっとお金をかけてもバチは当たらない。

<有機農業推進の核になる>
 当然、余計な抗生物質の投与はなるべく避けるなど、有機酪農に向けていく必要がある。そして狭い牛舎で飼うのではなく、広々とした牧場でのびのびと草を喰むという飼育に徹し、子供たちにも度々乳搾りの現場や子牛の出産を見せて、情操教育に役立てることである。今北海道で広まっているやたらと乳量拡大を図る200頭を超える大規模な酪農(いわゆるメガファーム)は日本の目指すべき方向ではない。
 更に堆肥は近隣の野菜農家に分けて使ってもらい、有機農業を給食用食材として推奨してもらうことである。まさに地域循環であり、SDGsの見本となる。美味しい卵、元気な豚の肉と良い連鎖反応を起こしていくしかない。
 私は約40年前の1980年代から異端児扱いされながら有機農業を唱道してきた。農政の本流は我々が政権を担った時もほとんど無視し続けてきた。それを政府は突如100万haの有機農業とか言い出した。それには有畜複合農業が手っ取り早い近道である。アキタフーズ事件の真の原因を見極めるとともに、有機農業への転換の一環として畜産業を正常な姿に戻していくことにも真剣に取り組んでいかなければならない。

<欧米で増え続けるベジタリアン、ビーガン>
 畜産業が変わるには、その背景にある日本人の食生活スタイルも変えてもらわないとならない。いや、もっと言えば消費者側でいかがわしい畜産物を拒否して、流れを変えるのである。
 日本はカレー・トンカツ・スキヤキ等外国の料理をうまく取り入れて、日本型食生活をより豊かなものにしてきた。そうした工夫とおもてなしの精神の究極の成果ともいうべき東京五輪の選手村食堂は、700種類の献立を揃え大好評だったという。
 ところが、欧米では2000年代以降急激に増えているベジタリアン、ビーガンが日本ではほとんど見られない。菜食主義者(ベジタリアン)は2000年代当初はアメリカでも僅か1%ぐらいだったが、2017年には2.5%の2,500万人に増え、特に若者の間に浸透している。EU諸国では、ドイツ・イタリアは10%に達し、オーストラリアもオージービーフの国なのに11%、スイスは14%に達している。

<なぜ菜食主義者が増えるのか>
 世界には忌避する食べ物があり、各民族が独特の風習を持っている。文化人類学者マービン・ハリスの『食と文化の謎』(1988)を読み、目から鱗だった。ヒンズー教は牛肉を食べず、イスラム教は豚を忌避していることは良く知られているが、他の忌避を紹介するとともにその理由を大胆に説いてくれた。それをもじれば、肉食文化の国で、肉のみならず、牛乳、卵、ハチミツまでも忌避する人(ビーガン)が急激に増えているのだ。
 それは一体なぜなのか。一つには、極めて合理的実利的理由、つまり健康上の理由がある。肥満気味の人が多く、死因の第一位が心臓病であり、肉食は過ぎると高血圧、高脂血症に直結するからだ。

<環境への配慮が食べ方を変えている>
 次に多くの人が「食と環境」の関係を考えて、肉食を止め始めているのである。誰にもわかることで言えば、家畜の糞尿過多は土壌を劣化させる。それどころかオランダの過密飼育をする地域では糞尿の臭いが都市部にまで広まってしまっている。だからEUではとうの昔から1頭の牛の糞尿を処理するには○㏊の農地が必要という基準を設け、その範囲内で飼育する者には補助金を出している。いわゆる環境支払いである。豚・羊・鶏にも適用されるLivestock Unit(家畜単位)から計算され、過密飼育を規制し避けている。「密」がいけないのは、何も新型コロナ感染症だけではない。
 牛のゲップはメタンガスであり、CO2をはるかに上回る温暖化要因となる。人間用に本来の餌でない穀物を多く与える不自然な飼い方をしている。日本の霜降り牛肉などその典型的悪例である。地球環境を汚す迂回生産は少なくし、植物性の食べ物にとどめようという動きである。最近話題になり始めた「代用肉」もその延長線上にある。
 つまり、OIEの勧告は、欧米先進国の国民の考えの中にある変化の基調を体現しているに過ぎないのだ。ところが、日本は国も国民も9割の人がビーガンという言葉すら知らない。SDGsバッジをつける人が多いが、実効が伴っておらずこの分野では世界の孤児になりつつある。
 家畜が消えた長野県の北信地方は何十年もの間、家畜由来の堆肥が田畑にほとんど入っていない。日本はかつて2千万トン、今でも1千4百万トン、アメリカから飼料穀物を輸入し、農家と呼べない経営体が、まるで動物工場のようにそれを卵に肉にそして牛乳に加工しているだけなのである。おおよそ自然の状態ではない飼い方に堕してきたのだ。だから、我々が食べているのは人間の食味に合わせてやたらと脂肪分を多くした奇形牛、奇形豚、奇形鶏という異常な動物の肉を食べているのだ。そのため南九州の一部がオランダと同じ状態になりつつある。

<消費側から畜産業の正常化を促す>
 CO2の排出を減らす世界では、石炭火力への投資を行わなくなりつつあることと同じように、動物の福祉への配慮を求める企業の動きも見られる。例えば、2005年にアメリカのスーパー・ホールフーズがケージ飼いの卵を拒否して平飼いだけしか扱わなくなり、その後カリフォルニア州がケージ飼いを禁止した後、一挙に平飼いの卵しか扱わない食品企業が増えた。外食のマクドナルド、スターバックス、ホテルのヒルトン、食品大手ではネスレ等、既に実行に移したところもあるが、少なくとも宣言して企業の姿勢を示している。こうした動きを受けて、2025~30年にかけて欧米先進国から鶏のケージ飼いが一掃される可能性がある。
 消費者の力は絶大である。消費者がそっぽを向けば生産者はそれに合わせないとやっていけなくなる。望むらくは、日本人の消費者がもっと自らの健康も意識した上で、動物や家畜やペットの健康、さらには環境すなわち地球の健康に配慮した生き方に変わっていくことである。世界共通の課題、気候変動対策への対応と全く同じで個々人の第一歩から始める以外にない。

2021年10月 2日

【歪んだ畜産シリーズ3】犬の放し飼い禁止もいずれ世界から批判される -日本の供養の精神を復活して動物に優しく- 21.10.02

<放し飼いの犬も悪さはしなかった>
 小学生時代の私の飼い犬テス(私のイニシャルT・Sからとった)は、今と違い放し飼いが許されていた。一応夜は鎖に繋がれていたが、私が学校から帰ってくると一緒に畑に行ったり遊びに行った。家の屋敷の中だけでなくそこら中を自由に走り回っていた。
 ところがテスには悪い遊びがあり、その一つがにわとりを追い駆け回すことだった。もちろん、鶏が大騒ぎして逃げ回るのを楽しんでいるだけで噛み殺したりはしなかったが、祖父は鶏が恐がって卵を産まなくなると怒ってテスをどこかにくれてしまった。僅かばかりの卵だったが、貧しい農家にとっては大事な収入源だったからだ。

<家の中で飼われ、リードでつながれて虐待(?)される日本の犬>
 欧米での動物の権利、動物福祉の動きは、1964年英のルース・ハリソンの著書"Animal Machine"から始まったと言われている。続いて1975年ピーター・シンガーの「動物の解放」が影響を与えた。①飢え・渇き②不快③痛み・外傷・病気➃恐怖抑圧からの自由、そして5番目の「通常の行動様式を発現する」自由が唱えられた。EU等のケージ飼いの禁止もこの5番目の自由の確保からきている。
 狂犬病予防の観点から犬の放し飼いが地方自治体の条例で禁止されている日本の犬には、この5番目の自由が全くなく虐待を受けていることになる。自由に歩き回るという犬の通常の行動様式を抑圧しているのだ。ドイツの一部の州では犬をつないで飼うことが禁止されている。その他子犬は8週齢まで母犬から離してはならないとされ、当然つながれることがない。フランスの三ツ星レストランには人間の子供は入れないが、訓練された犬は入店できるのだ。
 ところが、1960年代後半以降日本では、テスのような放し飼いはできなくなった。この結果、犬の小便の臭いが消え、鳥獣害の被害が拡大していることを14年前の予算委員会の質問で指摘し、中山間地域では犬の放し飼いを認めるべきだと力説したが一向に改善されていない(しのはらブログ 2007年3月1日予算委員会「地域間格差問題」集中審議報告(その5)07.03.14)。

<いずれ日本の犬の虐待が追及される>
 犬や猫のペットは核家族化や1人暮らしの増加とともに増え、2008年にピークを迎えその後減り続けている。(表「犬・猫飼育数の推移」)犬・猫飼育数の推移.pdf
 減ったとはいえ、2020年犬は849万頭、猫の964万頭と猫のほうが多く飼われている。そうした中で唯一褒められるのは、40年前の1979年には犬98万頭、猫12万頭の殺処分がされていたのに、関係者の努力で2019年にはそれぞれ5,635頭、2万7,108頭と激減していることである。(表「犬・猫の殺処分数の推移」)犬・猫の殺処分数の推移.pdf
 1960年には、単独世帯数は372万世帯にすぎなかったが、2015年には1,842万世帯と5倍に増え、1世帯当たりの平均が4.14人から2.33人に減っている。日本人は急速に孤独な暮らしをするようになった。その一つの救いがペットであり、子供や家族の代わりに愛情を注ぐようになったのだ。(表「単独世帯数及び1世帯当たり人員の推移-全国」(1960年~2015年))単独世帯数及び1世帯当たり人員の推移.pdf
 ところが、可哀相に犬は家の中で飼われ、リードにつながれて散歩に連れていってもらわないかぎり、外を歩き回ることができない。人間(飼い主)の都合しか考えていないのだ。
 世界動物保護協会(WSAP)は世界各国の保護度合を評価しているが、日本は総合評価Eで畜産動物はG評価と、先進国中最低である。日本の養鶏がOIEから勧告を受けたとのと同様、ペット犬の扱いについてWAPから厳しい指摘を受けるのは時間の問題である。ペット犬の愛好家が、日本の現状を自ら改善していくことをなぜしようとしないのか、私は不思議でならない。自分の愛玩だけを考えて、犬の権利や福祉に目を向けようとしていない。イギリスの東部の動物園は、13頭のゾウをケニアの群れに渡して自然に戻している。このような動きが世界中で見られるというのに、日本はあまりに無頓着である。

<福島原発事故で置いてきぼりにされた家畜やペット>
 チェルノブイリ事故の被害は、ウクライナ、ロシア、ベラルーシの三国の境界地帯にあったため、ベラルーシの農村地帯のほうが汚染度合は高かったと言われている。当時ベラルーシ政府は近所の農民に速やかに避難しろと命じていたが、農民は家畜も同伴し、数日かけて歩いて避難している。もちろん家畜など置いて、放射能が漂う外気に接しないようにして移動すべしと命じたが、その命に従わず家畜も一緒に歩きながら移動してしまっている。
 日本では福島第一原発事故の際、飼っていた牛もペットの犬猫も置き去りにせざるを得なかった。なぜなら、道路は避難する車で埋まり、とても家畜やペットを連れて行く余地はなかったからだ。そのため鎖につながれた乳牛は、柱をかじりながら餓死し、放たれた牛やペットは放射能を大量に浴びて野生化していたのである。その野生牛が民家に入り込んで荒らすなどの事態を重視した政府は、牛の殺処分を命じた。こうした牛の数は1,700頭にも及んでいる。馬頭観音で役に立った馬や役牛を供養してきた日本人は動物や家畜に対する慈しみが大きく、農民の気持ちを考えると身につまされる。そして残された家畜やペットの末路には涙を禁じ得ない。

<中山間地域から犬の放し飼いを復活>
 日本は、家畜の飼い方を変えるだけではなく、国際社会から批判される犬の飼い方も改善していくことを考えなければならない。動物愛護については劣等生の日本の一石二鳥の解決策は、犬の放し飼いを鳥獣被害に悩む中山間地域から認めることである。
 犬の嗅覚は、人間の比ではない。最近の研究によると猪のほうが上であり、更にその上を行き水辺の臭いまでわかるのが象だそうだ。だてに鼻がやたら長いのではなく、ちゃんと機能が備わっていたのだ。野生動物も臭いが行動の元になっており、縄張りがある。残された小便や大便で他の動物の縄張りを知り近づかないのだ。
 つまり、猿も猪も鹿も鼻で嗅ぎ分けて、犬の活動範囲には足を踏み入れない。だからかつて日本の山村ではどこでも犬を飼っていた。

<オオカミの復活も一理ある>
 増えすぎた鹿が幼木を喰いちぎり、日本の山を荒らす原因となっている。生態系バランスを元に戻すためにオオカミを復活させるべきだ、という考え方もあり、「日本オオカミ協会」は真剣に取り組んでいる。その前に、オオカミの尿を輸入して畑に撒いて、鳥獣の追い払いができるか効果の程を検証している人もいる。前述の臭いで追い払おうというものだ。
 「『コロナ禍で起きたウッドショック』21.08.02」で指摘したとおり、中山間地域は丸太・製材の輸入自由化で生きていけなくなっている。そこに追い打ちをかけているのが鳥獣害の被害である。京都のお寺でもあるまいに、電気柵を設けていてはコストが上がってやっていけない。だからただの犬の放し飼いで防止すべきなのだ。
 今42の都道府県に犬の放し飼い禁止条例があり、ない県も全市町村に条例があり、日本中で禁止されている。そうした中、福島県だけが「山間へき地等において、人、家畜、耕作物を野獣の被害から守るために飼い犬を使用するときには、けい留義務を免除されている。まずこれを全国に広めるべきである。そして、その延長線上で、飼い主がきちんと犬を訓練し、放し飼いできるようにすることである。

<ペットショップはワシントン条約違反の温床にもなっている>
 話が長くなるのでやめるが、ペットショップでいとも簡単に犬を買うことができることにも問題がある。もう一つ、狂犬病の予防接種の徹底は見事だが(ワクチン接種は義務ではない)、それなら欧米にみられるように飼い主の講習を義務付けるのも一案である。犬にだけしわ寄せがいっており、人間も飼い方を改めなければならない。
 50年前までは、犬は放し飼いだったのだ。それを一罰百戒で、狂犬病予防という一点のために犬を虐待し始めたのである。要は供養の精神を思い出し、動物や家畜への対応を昔に戻すだけのことで、欧米と同じになれば批判されないで済むのだ。

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