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麻生自民党副総裁の「うまい米は温暖化のおかげ」発言を糾弾する -農業に冷たい自民党政権のボロが出た-21.11.1-

<人口減少の農村を捨てる自民党>
 自民党政権の牙城は相変わらず地方の農村である。我々が2009年に民主党で政権をとってそれが少々崩れつつあるが、農村を多く抱える都道府県では強い。特に西日本では自民党議員が跋扈している。とは言いっても全国的に見ると安倍政権からあるいはその前の小泉政権から、農民・農村を基盤にした自民党という形が崩れつつある。自民党は明確に人口の多い都市部に媚びて、人口減少の続く農村を捨てる(あるいはないがしろにする)姿勢を打ち出し始めている。それを露骨に出しているのが、身を切る改革が売り物の維新である。構造改革路線ないし規制改革路線であり、更に安倍政権になって農政を軽視し出したことが目につくようになった。

<大臣人事に現れた農政軽視>
 人気取りのために小泉進次郎が農林部会長、農政には全く無縁の当選3回の元経産官僚の齋藤健が農林水産大臣に就任している。かつての自民党では素人の大臣は一人もいなかった。それでもまだ安倍元首相は、「はっと驚くような美しい田園風景を守る」とかいう美辞麗句を多用して、農民・農村を重視している振りだけはしていた。

<農民出身なのに農業・農村に冷たかった菅前首相>
 ところがそれを引き継いだ菅政権はそういった発言すら一切なかった。
 菅前首相は美談風に秋田の農家の生まれで、高校卒業後東京に飛び出し、苦学生として法政大学を出た、と宣伝された。農業が嫌で農村を飛び出しただけあって、所信表明演説でも、農政では農産物輸出について触れただけである。また農林水産大臣人事に農業軽視の極めつきの事例が現れている。野上浩太郎農林水産大臣は、農林水産委員会など一度も所属したことはないばかりか、富山県出身の参議院議員であるにもかかわらず、農林部会すらほとんど出席したことがなかったという。
 厚生労働大臣にプロの田村憲久が2度目の就任をしたり、厚生労働族の後藤茂之が就任するのと比べると、農政軽視が目立つ。

<麻生副総裁のトンデモナイ発言>
 そこに降って湧いたのが麻生副総裁のとんでもない発言である。10月25日、応援で訪れた小樽市で「北海道の米がうまくなったのは、農家のおかげですか。農協のおかげですか。違います、温度が上がったからです。」と言ってのけている。「かつて言われたまずい米の代表の言葉、"厄介道米"と言われていた、それが今や"おぼろづき"や"こちぴかり"で輸出している。」と適当なことを言っている。多分北海道に行く前ににわかレクチャーを受けたのだろう。

<クラーク博士の等の稲作否定に対してもひるまず米作りを始める>
 北海道の米作りは大変な苦労の連続であった。何よりも北海道開拓の当初は開拓使顧問団のケプロン、札幌農学校長のクラーク博士も「北海道は米には向いてない。」と断じていた。そうした逆境の中で農民は米を作りたいという思いを捨てずに頑張っていたのである。
 篤農家の中山久蔵が「赤毛」という品種で苦労して米作りを始めている。それから幾多の農家、研究者等が努力を続けてきたのである。稲作が始まった地・北広島市は、1873年を記念の年として中山久蔵の米作りの歴史をまとめたわかりやすいビデオを製作している。
 今、なんでもアメリカの制度に迎合して派遣法を全産業に適用したり、大規模店舗規制法を廃止してスーパーマーケットをどこにでも造れるようにしたりと、やれとも言われないことまでアメリカに倣っているのに比べると、日本の伝統を大事にする姿勢は見事というほかない。

<北海道の寒冷地稲作を中国に伝えた原正市>
 米への執着は中国人も同様である。日本で米が余り始めた1980年、技術者原正市は、中国に赴き、寒冷地北海道の稲作指導で収量を2倍にし、洋財神(外国から来て懐を豊かにしてくれる神)と感謝された。2002年までの21年間に1522日も中国におり、数々の賞をもらっている。北海道は世界に通用する技術を確立し、中国にまで広めたのだ。江沢民が訪日の折、原は面会している。北海道の寒冷地稲作技術は何かとギスギスする日中の絆になっているのだ。
麻生副総裁はこんなことを知るはずもなく、北海道の農業に心血を注いだ先人たちを冒涜した。当選3回の同僚の衆議院議員は性交同意年齢引き下げを巡る内部会合での発言を問題視され離党し、今回立候補も取りやめた。それと比べて選挙応援という公衆の面前でのこの妄言の方がずっと罪が重いのではなかろうか。

<相次ぐおいしいコメ・ブランドの品種>
 その後も北海道の努力は延々と続き、1988年、北海道に合う"きらら397"ができ、2011年にはマツコ・デラックスの"ゆめぴりか"のCMが功を奏して北海道米が広まっていった。今や北海道は新潟県に次ぐ水稲作付面積10万2,300ヘクタールを誇り、生産量も7.7%とこれまた新潟に次いで2位となっている。栽培面積の平均は全国では1.80ヘクタールだが、空知や上川を中心に北海道の平均は9.52ヘクタールとなっている。果樹や野菜と異なり、機械化による大規模栽培が可能なのだ。
 その後も"ななつぼし"、"おぼろづき"といった優良品種がおいしい米の代表として登場した。自主流通米制度からも排除されていたのはかなり昔のことで、今や北海道米はおいしい米にランクされている。麻生発言はそれを貶めたのである。

<世界に類例を見ない見事な開発の歴史>
 明治の外国人指導者たちの指摘は常識的に見れば科学的根拠があった。もともと米は亜熱帯の原産なのに、日本海側は積雪量が多く寒く、石狩川の周辺は泥炭層が多く、土壌改良から始めなければならなかった。それをたゆまぬ研究と血のにじむような思いで、150年の間に大農業生産地を造り上げたのである。
 よくデンマークの寒冷地農業開発が世界の優良事例としても出てくるが、北海道は150余年の間に人口10万人から562万人も擁する地に発展し、人口はデンマークの一国(580万人)に匹敵するまでになった。あまり特筆されないが、北海道こそ世界に類例がない優良事例である。

<岸田首相の初外遊、COP26(グラスゴー)に冷水>
 折しも岸田首相は英グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、11月1~2日に行われる首脳会合の一部に出席するため初外遊する予定だという。そうした時に飛び出した麻生副総裁の国際的に恥ずかしい限りの発言である。
当然外国メディアも日本の元首相のズレた見識に驚き批判的に報じている。英タイムズは、岸田首相が出席を明らかにしているにもかかわらず、総選挙直後でもありどうするか迷っているともつけ加えている。米ニューヨークタイムズも英タイムズと同じく、過去に物議を醸したヒトラー関連発言や日本は単一言語の単一民族とした発言も紹介しつつ、地球温暖化にもいいことがあるという非常識な発言に驚きを隠さない。気候変動対策の取り組みに不熱心な日本の象徴的発言ともいえる。このままだと岸田首相はグラスゴーで日本のCO2排出削減への消極的態度と相まって嫌味を言われ、何度目かの化石賞をもらうのは必定である。

<温暖化防止に本格的に取り組まない無責任な日本>
 世界の政治の中心は環境であり、なかでも気候変動が最重要とされている。G20でも2日目の議題は気候変動対策である。先のドイツの総選挙では第3党の緑の党が躍進した。第1党の社会民主党との連立交渉が続いているが、そこの中心課題も気候変動対策である。ところが、日本では今回の総選挙では全くテーマになっていない。せいぜい原発対応ぐらいである。
 私は環境委員会に8年在籍し、農政に力を入れている。その2つの分野にまたがる大失言はとても看過できない。
 とてもではないがこのような幹部を抱える自民党に農政も任せられないし、気候変動対策も任せられない。やはりこの総選挙で政権交代に持っていかなければならないとますます決意を固くした。