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2022年7月24日

【ウクライナシリーズ⑦】 プーチンの核の脅しに屈してはならず - 核共有から核保有へと飛び跳ねる危険な日本 - 22.07.24

<卑劣にも核兵器を脅しに使う>
 今回の戦争で、特筆しなければならないのは、プーチンの核使用の脅しである。2月24日の突然の侵攻の翌日すぐに、ロシアは最も強力な核保有国の一つだ、いつでも核を使う用意ができている、とTV演説で述べ、実際に核使用の警戒態勢に入るよう命じている。
 戦争を開始して間もなくチェルノブイリ原発の研修棟を攻撃した。これはいざとなったら原発を破壊するぞという脅しである。さすがに原発には手を出していない。ロシア自体も放射能汚染されるからである。

<攻撃されない原発を楯に軍事基地化する巧妙な戦法>
 ところが、6基ある欧州最大規模のザポリージャ原発には、500人を超すロシア軍部隊が入り込み、軍事基地化したという。つまり、原発を破壊すると大事態になることから、それを恐れる敵に攻撃されないと踏んでの狡猾な手法である。
 危うい原発を人質にした、絶対に攻撃されない軍事基地の完成であり、今までにない原発の悪用である。原発の近くで本格的な戦闘が行われなかったことから、軍事の専門家も原発の危機管理者も想定外の展開である。やはり原発は安全保障には鬼門である(「経済安全保障より原発安全保障が先」22.03.25)。

<潔すぎたウクライナの核廃棄>
 ウクライナには旧ソ連時代から引き継いだ多くの核兵器(世界第3位)があったが、1991年独立の3年後、ブダペストの覚え書きにより、ウクライナの主権の尊重とひきかえに核を廃棄している。私は2005年外務委員会でキーウを訪問し、ウクライナ政府と意見交換した折、核兵器を持っていた国なのにそれを廃棄した勇気ある国なので、今後は二度と原発事故を起こさないためにも、原子力発電所を廃止したらどうか、と意見をぶつけている(「霧の中のチェルノブイリ」 2005.11.8)。他のエネルギー源がないので無理、核兵器は平和な時代にはいらない、とつれない答えだった。
 それから今、プーチンが核兵器で脅し、それを恐れたアメリカがウクライナに直接介入しないでいる。だとすれば、ロシアといえども核兵器を持ったウクライナの報復を恐れて少なくとも2022年の侵攻はなかったかもしれない。よもや兄弟国(とロシアは言っている)のロシアからこんな形で主権を奪われるとは予想してなかっただろう。今になって核兵器は手放すべきではなかったと後悔しているかもしれない。

<厳格な日本の非核三原則>
 ここに故安倍晋三首相が言い出した「核共有(Nuclear Sharing)」の理屈がある。しかし、岸田首相は、2月28日の参議院予算委員会で、即座に非核三原則(持たず、造らず、持ち込ませず)から認められない、と否定している。ウクライナ侵攻の連日の報道、北朝鮮の度重なるミサイル発射実験等により、日本国民は防衛力の増強、なかんずく防衛費のGDP1%から2%への倍増等までは支持する人はいても、核兵器となると拒否反応のほうが強い。後から起きた福島原発事故の記憶は薄れたのか、原発の再稼働容認派が増えているが、日本国民は広島・長崎を忘れていない。福島原発事故で直接亡くなった者はいないのに対し、原爆で命を落とした者は、広島約32万人、長崎約18万人の合計約50万人と多く、その後遺症にずっと悩まされている者が多くいるからである。

<「持ち込ませず」をゆるくしたのが「核共有」>
 反核運動が吹き荒れた頃、アメリカの原子力戦艦や原子力潜水艦が、横須賀港等に寄港することに反対のデモが繰り広げられた。核兵器を搭載していたら「持ち込ませず」のルールに反するからである。米側は当然ないというが、その証拠は我々にはつかめない。
 アメリカの核の傘に守ってもらうなら、何も日本の外からでなく、日本の近くにいる艦船や潜水艦に守ってもらってもよいだろう、という考えが生まれてくる。ドイツをはじめとしてNATO諸国では核共有は昔から認めている。いやむしろ常識になっている。

<核共有は核拡散防止条約にも反する>
 既存の核保有国は、これ以上核保有国を増やさないことに躍起になっている。しかし、インド、パキスタン、北朝鮮、そしてイスラエル、イランも核兵器を持っていると疑われている。このようないわば荒っぽい国と違い、日本は国際的な監視下にあり、核保有国にはなれそうもない。そこで、都合よく登場したのが「核共有」である。核共有は、NATO加盟国のうち、米英仏を除く核兵器を持たない国が、アメリカの核を保有して、運搬等使用に必要な航空機を所持したりすることであり、核の傘のより現実的な一歩踏み込んだ対応である。独、白、伊、葡、トルコ等がこの形をとなっている。
 しかし、自国は持ってなくても、アメリカの核を使うことを宣言するようなものであり、我が国の非核三原則のみならず、核拡散防止条約(NPT)にも反することになる。それよりも唯一の被爆国として核兵器は厳然と拒否しながら、ちゃっかりアメリカの核の傘の下あるいは核共有で守られるというのは、かなり自分勝手なことなのだ。ただそんな理屈に合わないことが許されるのは、後述するように、日本に核兵器を持たれるよりはましだという現実的な対応が故である。特にアメリカは日本に通常兵器はいくら装備しても歓迎するが、少しでも核兵器に手を伸ばしたら許しておかないだろう。

<プルトニウムを必要以上に持つことを許されない日本>
 使用済核燃料から出るプルトニウムは、核兵器の原料に転用できる。世界から、日本は核兵器を造る技術力がある国とみられており、世界から日本が核兵器を持たないように厳しい目が向けられている。中国等近隣国からは特に警戒してみられている。そのため、利用目的のないプルトニウムは持たないようにして、削減することを世界に示している。
 その一方で、いつでも原爆は造れるぞという姿勢を示すためにも、一定量のプルトニウムを保持する必要があり、そのためにこそ日本は原発を維持しなければならない、という倒錯した原発容認、原発製造能力維持派が存在する。こんなことだから日本は世界から疑いの目で見られている。
 つい先頃も、日仏政府間で使用済み核燃料について2023年度から26年度までに「ふげん」からの搬出を完了させる合意が成立した。プルトニウムはフランスで民生用燃料として使われる見込みである。海外で保有しているプルトニウムは、2020年時点で、37.2tもあり、うち15.4tがフランスにある。哀れな日本はこうして世界に核兵器を造る意志がないことを示し続けている。

<アメリカを信用するな、というエマニュエル・トッドの指摘は行き過ぎ>
 日本は核兵器から距離を置くことに神経質なまでに拘っている。そうした中で、エマニュエル・トッドは月間文春5月号で、「ウクライナの戦争の責任はアメリカとNATOにある」と断じ、更に日本に自立するために核武装せよと勧めている。
 トッドは言う。「アメリカにとって、戦争はもはや文化やビジネスの一部になっている。なぜなら、戦争で間違いを起こしても世界一の軍事大国アメリカの国民は侵略されるリスクがないからだ。だから間違いを繰り返す。このようなアメリカに頼り切っていては、日本も危ういので、手を出させないように自ら核を持って自立すべきだ」と。つまり、友好国アメリカを信用しすぎるなという警告である。
 一つの考え方であるが、アメリカに依存せず自立せよといっても、辺野古一つ拒否できない国にそんな決断ができるはずもなかろう。国民も世界も日本の核保有など望んでいない。日本は何よりも戦場化を防ぐために地道に賢い外交を続ける以外にない。

2022年7月23日

【ウクライナシリーズ⑥】 新東西冷戦に対してバランスのとれた外交が必要  -東(中・ロ)と西(米・欧)の狭間で国益を追求する- 22.07.24

<ウクライナはやはり非NATOの中立で行くしかない>
 国のトップはいつの世でも国民の生命を守ることを最優先しなければならない。しかし、ゼレンスキー大統領の発言からはロシアに対する敵対心や国民を鼓舞する声は聞かれても、国民を守る姿勢が伝わらない。
 ウクライナは地政学的に可哀想な位置にある。西と東の境界線上にあり、両方から援助を受けるといったコウモリもできず、どちらかに属することもできないのだ。だから初めからNATOになど触手を動かさず、中立国として生きる以外に途はないと思われる。アメリカの国際政治の有識者が唱える通りなのだ。だから今の段階でもウクライナはロシアからの圧力によってではなく、自ら中立を宣言し、国土再生を目指した方がよい。日露戦争は双方が消耗しきった時にルーズベルト大統領が仲介し、戦争が終結した。今回もどこかの首相なり国が仲介に乗り出す外に停戦の見通しは立たない。

<今の時点での妥協はむずかしいが、命を守る視点が必要>
 ただ、今回の侵攻でウクライナ国民の反ロ感情は高まり妥協するのは容易なことではない。ゼレンスキーも世界のTVで格好をつけるのはやめて、屈辱を受けて不人気になってもウクライナ国民の命と暮らしを守ることを優先すべきである。しかし、俳優として大衆の「ウケ」を重視してきた芸能人大統領にはあまり期待できそうもない。
 ロシアは意地でもドンバス地方を手放さないであろうし、ウクライナがNATOに入らず中立を保つと約束しない限り、攻めることはやめそうもない。ロシアは一度獲得した領土は二度と手放さない国という定評がある。プーチンはピヨトール大帝(1682~1725)の領土拡大にならったロシア帝国を目指しているともいわれている。ウクライナをネオナチとこき下ろした今は、敗北は受け入れられない。しかし、長引くと国民が困るだけである。アメリカの軍産複合体をすでに十分喜ばせたのだから、仏・独の仲介ででもこの辺で一挙に和平に向かってほしいものだ。この戦争は、ロシアが全土を制圧する軍事力もなく、ウクライナも完全に押し返す力もなく、どちらかが完全に負けるという解決はありそうにもないからである。

<アメリカはイラクを裏切り、今度はウクライナを犠牲にしている>
 また一方で、ウクライナ国民は米英を中心とする西側諸国が、ウクライナを真底からは守ってくれないことに気づき、反米感情が一気に高まる可能性もある。ミアシャイマーが指摘するとおり、米英は高性能の兵器をウクライナに援助し軍事顧問団を派遣し、公然とウクライナを武装化していたのである。だからウクライナは米英は味方で、自分達を守ってくれると信じていた。それなのにロシアが侵攻すると、軍事顧問団は一斉にポーランドへ逃げ出してしまった。
 イラン・イラク戦争の時も、アメリカがイラク(サダム・フセイン)の味方をして、せっせと武器を供与してきた。ところが、1990年のイラクのクゥエート侵攻、2011年9月11アメリカ同時多発テロ事件を経て、ブッシュ大統領がイラクを悪の枢軸と名指しして批判し、イラクを攻撃した。つまり、イラクを切って捨てたのだ。フセイン大統領は、まさかアメリカが敵になるとは考えていなかったともいわれている。

<冷え切った日ロ関係>
 世界と足並みを揃えるためにしかたがなかったとはいえ、日本は対ロ経済制裁にはことごとく協調した。まさにアメリカ追随である。安倍首相は結果的にはプーチンに適当にあしらわれていたとはいえ、日ロは友好的な関係が続いていたが、今回一挙に崩れ去った。そのため、北方四島への墓参やビザなし交流は、できなくなるだろう。辛うじて続くのは、ロシア産魚介類の大輸入国日本と、その見返りに北方四島周辺での操業が認められる漁業関係だけかもしれない。日本との漁業交渉では、「互恵的な協力の分野であれば、協力しないわけではない。実利的に対応していきたい」として、4月のサケ・マス交渉にみられる通り、協議をしていく姿勢をのぞかせている。
 ロシアのガルージン駐日大使は、5月28日の共同通信とのインタビューで、日本の制裁は非友好的であり、日本との平和条約交渉は不可能だと言明している。ロシア政府は既に3月21日、北方領土問題を含む条約交渉を中断、北方四島の共同経済活動の非継続を発表しているが、それを追いかけることになる。

<漁夫の利を得る中国>
 2022年6月5日、バイデンはニューヨークタイムズに、改めてウクライナへの派兵を否定する寄稿をした。同盟国ではないウクライナの紛争には直接介入しないというのだ。しかし、これだとプーチンはますます安心してウクライナだけ相手に侵攻を続けてしまう。
 アメリカにとっては、ロシアよりも中国が最大のライバルである。ロシアにかまけている余裕はないはずなのに、なぜプーチンを刺激し、ウクライナの紛争を引き起こし長引かせているのか理解しがたい。このドタバタで得をしほくそえんでいるのは中国である。
今や中国の経済力はロシアの10倍に達しており、アメリカを抜くのも時間の問題である。日本にとっても貿易比率は23.9%、対米14.7%と中国の比重が大幅に上回っているのだ。

<今後は先鋭化しかねない新東(中・ロ)西(米・欧・日)冷戦>
 日米欧と中ロの東西両陣営の対立が先鋭化してきている。
 この紛争後は世界の政治では、アメリカとロシアの対立が後退し、中国が台頭して東西対決は、米中が中心になる。ロシアと中国は、アメリカと対立する国々との関係強化に乗り出し、NATOに対抗する形で上海協力機構(SCO)を活用し出すに違いない。SCOには、旧ソ連諸国ばかりではなく、インド・パキスタンも加盟しており、イランも加入手続きを進めている。こうして中・ロ側につく反米枢軸ができあがりつつあり、米欧日の同盟とくっきり対立の構図が浮き上がってきている。中国は、太平洋島嶼国の取り込みに余念がないことから、アメリカのハリス副大統領がフィージーで開催された太平洋諸島フォーラム首脳会議(7月12日)に参加している。
 5月24日首相官邸で開かれたQuad(日米豪印戦略対話)の首脳会談は、共同声明ではロシアの名指しの批判は盛り込めなかったものの、4カ国で中ロをけん制できたものと思われる。中国はAUKUS(米英豪安全保障協力)を含む、西側に警戒心を強めてくるのは確実である。

<日本は米中に狭間でバランスのとれた外交が必要>
 そうした中、岸田首相は、NATOの会合(6/28~30)に出席した。日本はまさにアメリカと中ロの狭間に取り込まれてしまっている。日本のアメリカべったりの動きはいくら予想されたとはいえ、ロシアからすると度が過ぎたことから、サハリンでも痛い目にあっている。だからといってロシアに妥協すると、中国が香港・台湾で高飛車に出てきかねない。そのため米英に足並みをそろえて対ロ強硬路線を堅持している。これでは日本の対ロ関係はおいそれと回復できまい。遠いヨーロッパの紛争に無関心なのはよくないが、太平洋に面した日本がNATOに出掛けるのは行き過ぎであり、一歩引いて冷静に対応すべきである。
 また、これからは米中対立の中で、あまりにアメリカに肩入れし過ぎることなく、軍事はアメリカでも経済は中国とアメリカの双方を意識していかなければならない。ロシアと中国とでは日本にとって経済の比重が大きく異なり、米中が対決したら日本はやっていけまい。そういう意味では、資源もなく経済的にも自立できない日本は米中ロに限らずバランスの取れた外交で生き残っていくしかない。

2022年7月22日

【ウクライナシリーズ⑤】日本がウクライナと同じくアメリカの代理戦争で戦場化するおそれ- 歯止めのかからない日本の浮かれた軍事国家への道 -22.07.22

 岸田政権は、ウクライナ侵攻に乗じるかのように敵基地攻撃能力(改め反撃能力)、防衛費をGDPの2%に引き上げ、核兵器禁止三原則に風穴をあける核共有、武器輸出禁止原則もとっぱらう、自衛隊を明記する憲法9条改正、と勇ましくなりすぎている。

<台湾有事には動くという危ういバイデン発言>
 もし中国が台湾に手を出した時にアメリカがどう振る舞うか。故安倍晋三元首相は台湾有事は日本有事であり、日米同盟で一緒に対応すると明言してはばからなかった。
 5月23日の日米首脳会談でバイデンが「台湾有事には動く」と発言し、ホワイトハウスが火消しに回っている。アメリカの公式見解は「台湾自らの防衛努力を支援する」であり、ウクライナと同様に直接手を下さないで、背後で糸を引く逃げ腰の態度に終始する可能性が高い。それを日本では「最高の失言」などと有頂天になっている者がいる。
 日本は逆に台湾有事に巻き込まれないようにしなければならない。中国が台湾に侵攻すれば、台湾がウクライナと同じく戦場化し、米中の代理戦争が行われることになる。それが日本にも飛び火し、米中代理戦争の場が日本にまで広がるおそれがなきにしもあらずなのだ。

<アメリカはウクライナ同様に台湾に直接介入はしない可能性大>
 バイデンの台湾防衛発言は三度目であり、言わば確信犯である。日本での発言となると失言では済まされなくなる。中国は反発し台湾は謝意を表明した。バイデンはロシアの侵攻を防げなかった反省から、中国を牽制せんとしているのだろう。ウクライナへの派兵を度々否定し、6月5日ニューヨークタイムズに改めて同趣旨の寄稿をしているのと好対照である。しかし、ウクライナでの腰の引けた対応を見るにつけ、台湾有事の際にもアメリカ軍の参戦が直ちにあるとは思えない。現に台湾はアメリカのウクライナへの対応からしてアメリカの援軍をあまりあてにしないようになってきている。

<アメリカが介入した場合は、日本も参戦し戦場化する恐れ>
 アメリカがバイデンの言うとおり、中国の台湾攻撃を放置せず台湾を守ろうとする時には、日米安保条約6条(極東条項)により基地は提供する義務がある。更に、日本が我が国への武力攻勢に至る恐れがある「重要影響事態」と認定した場合、自衛隊は米軍への補給や輸送を担えることになる。米船舶が攻撃されれば、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」になり、集団的自衛権が行使できることになる。もし、中国が日本の米軍基地をミサイル攻撃の標的にした時には、敵基地攻撃能力ないし反撃能力を持ち出さなくとも、自衛のための戦いをしないとならない。
 かくして、台湾有事にアメリカが参戦すれば、法律上も日本も参戦し、日米台対中国の戦いとなり、日本も戦場化する可能性が高いのだ。

<世界のウクライナ支援、ロシア非難が中国の台湾侵攻の歯止めになっている>
 バイデンの台湾有事への関与発言は、ウクライナに介入しないというメッセージが強くなりすぎたことへの反省かもしれない。なぜなら、アメリカの軍事的行動への強い拒否感が、プーチンにはアメリカの腰のひけた姿勢と映り、その後の侵攻に拍車をかけた可能性が強いからだ。そしてこのままアメリカの弱腰の姿勢、すなわち不介入の状態が続くとなると、ロシアだけでなく、中国も積極的に現状変更のための軍事的行動すなわち台湾併合といったことをしかねないからだ。
 しかし、幸いなことに全世界のロシアの侵略への猛烈な風当りとウクライナへの同情支援に恐れをなした中国は、うかつに台湾に攻め込んだらどうなるか思い知ったところであり、当面行動を起こせないだろう。経済制裁の行方もしかと見守っており、中国はいわばウクライナの様子見といったところだろう。
 その意味では、ウクライナの結果は今後の世界に重要な意味を持ってくる。もし、ウクライナの独立が保たれなければ、再び弱肉強食の時代となり、大国の横暴が繰りかえされることになる。逆だと、今のリベラルな国際秩序が維持されることになる。民主主義社会にとって、ここが正念場である。

<日本はアメリカの軍産複合体の願ってもない上客>
 次に、中国が問題の尖閣諸島に手を出したら、アメリカは日本の味方をしてくれるのかという、かねてからの日本の重大関心事がある。中国は無人島で日本を刺激するようなことはするはずもないと思うが、一部の人たちはそれを煽って日本の軍備増強を急ごうとしている。
 アメリカないしバイデン、そして軍産複合体にしてみたら、日本は飛んで火に入る夏の虫である。ウクライナばかりではなく、東アジアに金持ちで武器をどんどん買ってくれる国があり、その国日本が「防衛費をGDPの2%にまで上げる」などと言い出してくれているのだ。ウクライナへの武器援助にはアメリカの税金が使われているが、日本であれば自国の金で大量に買ってくれるのだ。
 そしてこのようなことは、戦場化する恐れのないアメリカ(の軍産複合体)は大喜びするが、中国や北朝鮮は警戒して侵攻の口実としてしまうかもしれない。そればかりでなく、日本に侵略された歴史を持つ東南アジア諸国も反発することは必至である。

<アメリカの代理戦争で東アジア全体が戦場化する恐れ>
 ロシアは、ウクライナには米軍基地などなく、ただNATOに加盟するかもしれないというだけで侵攻した。ところが、日本には既に日米安全保障条約があり、韓国には米韓相互防衛条約がある。日韓とアメリカは一体なのだ。沖縄を中心に日本中に米軍が配備されている。中国ばかりではなく北朝鮮にも十分に攻撃の大義名分を与えている。ややこしくなるので省くが、韓国も巻き込まれることになり、東アジアが一気に戦場化してしまう。つまり、東アジア全体が巨大戦場化する恐れがあるのだ。
 6月10日のシンガポールのアジア安全保障会議(シャングリア・ダイアローグ)の基調講演の中で、岸田総理は「ウクライナが明日の東アジアかもしれない」と述べ、外向けには警鐘を鳴らしている。同時に、必要なのは日本国内に向けての軍事突出への歯止めである。日本一国だけで突っ走るのではなく、NATOに代わるQUAD(日米豪印戦略対話)、AUKUS(米英豪軍事同盟)等で協力して中国に対峙するのが順当である。その意味では日韓が徴用工問題や慰安婦問題で対立している時ではない。日米韓の中国や北朝鮮に対する抑止力が試される時を迎えている。

<沖縄だけが悲惨な戦場化したが、本土は未経験のため警戒意識が低い>
 日本は第二次世界大戦に敗れはしたものの、県民の4分の1、約20万人が犠牲となった沖縄以外は戦場にならなかった。6月23日ウクライナの内戦状態の中、77年前を思い起こし沖縄慰霊の日が開催された。もちろん、広島・長崎に原爆は落とされたし、東京大空襲をはじめとして、あちこちで民間人も巻き添えになった。旧ソ連や仏・独・伊等も、国土の中で戦った経験があり、その悲惨さを承知している。中間地帯にあるウクライナは古くから各国の凌ぎを削る場所で、多くの血が流されBloodlands(流血地帯)とも呼ばれている。それに対して、島国日本の多くの日本人はどうも日本の戦場化などあり得ないと甘く見ているような気がする。もっと自らの危険を悟らなければなるまい。

2022年7月21日

【ウクライナシリーズ➃】ウクライナ戦争で得をしているのはどこか-軍産複合体がアメリカのウクライナ対応を操るー22.07.21

<ウクライナ対応は支持されるも国内政策は不人気のバイデン政権>
今のアメリカは非常に平和な状態にある。アメリカ人の血がどこでも流されていない珍しい時だからである。
 ウクライナの抵抗戦が、国際社会でもアメリカでも正しい戦争と受けとめられ、経済制裁、6兆円にも及ぶ軍事支援は、分極化するアメリカでも党派を超えて70%を超える支持を受けている。バイデン大統領は外交委員会のトップを務め、外交が不得手なオバマ大統領を支えた副大統領の経験を活かしているといえる。しかし、こうしたウクライナ危機の下でもコロナ対応や深刻なインフレへの不満は大きく、政権の支持率は40%前後に低迷している。アフガン撤退で失った信頼をウクライナを支援し続けることで取り返さんとしている気配さえも感じられる。

<立花隆流分析>
 私は今は亡き立花隆から教わった方法で物事を考えることが多い。彼に直接会ったのは島根県の農業団体の冬の講演会で一緒になり、ずっと話し込んだ一回だけである。それをきっかけに彼の膨大な書物の一端を貪るように読んだ。立花は「誰が得しているかということをまず考えろ」、それから「どこで誰が何を言ってどう動いたか時系列に紐解いていくと本質がわかる」というのだ。私は以後立花隆流の分析をしてきている。。
 全く余談になるが、彼の本名は橘隆志と名前は同じタカシで、農本主義者橘孝三郎の一族の出であり、「農協」という本も出していた。そうしたことから私には最後には農業を扱った長編を書きたいと語っていた。立花は科学、中でも生物学が好でその延長なのであろう、エコロジストでもあり、私と根源的価値観ではつながっていた。

<穀物農家も石油・天然ガス業界もそれほど利益は上げていない>
 今回誰が得しているか考えてみると、一つには穀物農家なり、穀物輸出国が思い浮かぶ。ウクライナとロシアを足すと世界の小麦の3分の1の輸出をしている。それが輸出できなくなり、アフリカや中近東の飢餓が増えている。穀物価格はうなぎ登りになっており、小麦やトウモロコシの輸出国であるアメリカの農家が儲かり、アメリカが得することになる。ただ、アメリカの農家には戦争を起こすまでの力はないし、穀物など値が上がったところで儲けはそれほど多くはない。
 次に世界屈指の産油国ロシアの石油を輸入しない経済制裁が行われており、石油価格も上昇し、日本のガソリン価格も大きな影響を受けている。これで潤うのは中近東の産油国とシェールガスや天然ガスの輸出国であるアメリカである。しかし、このくらいの値上がりは1973年の石油ショックのようによくあることであり、何も戦争という手段が必要となるわけではない。

<最も得をしている軍産複合体>
 それではウクライナ戦争で他にどこが一番利益を受けているか。明らかに軍需産業である。アメリカは自国で戦わず、援助と称して次々に武器をウクライナに供与している。軍需産業にとってみればありがたい事である。
 アイゼンハワー大統領は1961年の退任時に、軍産複合体(MIC)といういかがわしいグループが、アメリカを突き動かしたと演説した。それから70年後もその状態が続いている。バイデン政権のブリケン国務長官もオースティン国防長官も生粋のネオコンであり、オースティンは、巨大軍事産業レイセオン・テクノロジーズの取締役をしていた。更にその証拠には携行可能な対戦車ミサイル「ジャベリン」製造元のロッキード・マーチンとレイセオン・テクノロジーの株価は急上昇している。

<バイデンの息子のウクライナ疑惑封じという個人的メリット>
 植草一秀は月刊日本4月号で、ロシアのウクライナ侵攻により①ロシアを悪の権化にできる。②軍事支出拡大の大義名分になる。③米産天然ガスの高値販売が可能。④大統領支持率の回復。⑤息子のウクライナエネルギー企業脱税疑惑捜査を封印する。とバイデンにとっての5つのメリットを挙げている。誰が得しているかという立花の教えからみると、バイデンのアメリカこそ利益を受けているとみてよいことになる。

<米ロ直接対決、第三次世界大戦化は最初から回避>
 もともとアメリカがロシアのお膝元での直接対決を避けるのは目に見えていたが、電話会談での明言は素直な本音だった。そして今いろいろ武器を供与しているが、ロシアのモスクワに届くような攻撃的武器、例えば長距離ミサイルなどは一切供与していない。つまり核保有大国同士の直接対決は避けているのだ。もちろんアメリカ軍は兵士を送り出すつもりなど皆無である。それでは全面対決になり、第三次世界大戦になりかねないからだ。核戦争になったら相手国ならず自国も破壊されることは明らかであり、NATO加盟国でもなく直接介入は絶対にないことから、プーチンは安心してウクライナを攻撃できることになる。

<アメリカの代理戦争をするウクライナ>
 一方、アメリカは自らの手を汚さずというより、自国の血を一滴も流すことなく、自国の武器を大量に使わせて、ウクライナに代理戦争をさせていると見てもよいことになる。アメリカは自国の軍需産業に利益を与えながら、強敵ロシア(の特に軍事力)を弱めることができる。アメリカは、これを機会にロシアを二度と侵攻できない国にたたきのめそうとしているかもしれない。西側にとって好ましいことであり、今後先鋭化する中国との対立に備え、その重要な同盟国・ロシアを弱体化できるのだ。
 ここまでくると、かつてソ連をアフガニスタンにおびき寄せて疲弊させたのと同じことを、ウクライナでしているという、陰謀論的解釈も可能となる。

<停戦・休戦よりも長期戦を目論むアメリカ>
 ウクライナ国民も世界も望むのは、一刻も早い停戦である。ところが、アメリカは、一部のNATO諸国と結託して早期の停戦すら阻んでいる気配もみられる。正義の名の下、せっせと武器を送り込みウクライナを支援しており、ウクライナを少しでも長く戦わせようとしている。消耗戦に持ち込めばロシアが損をすると踏んでいるのである。
 バイデンは、ウクライナが独立国として存続し徹底抗戦することを支持している。つまり、紛争の長期化を図っているのである。バイデンは、対中国との対決に意を注いできたが、いきなりウクライナに軸を移し、ウクライナと過去最大規模の軍事演習を行い、更に180基のジャベリンを配備した。プーチンを誘惑しただけでなく、対抗するための準備も怠らなかった。
 これに対抗して、10月から11月にかけ、プーチンはウクライナの国境周辺に10万人ほどのロシア軍を進めて、軍事訓練(演習)をしている。
 ジョンソン英首相は、2014年のクリミア半島への甘い対応の二の舞は御免だ、とアメリカのこうした強硬姿勢を支持している。また、ソ連に併合されて辛酸をなめているバルト三国もポーランドも早期停戦には反対している。

<仏独伊等は早期停戦の途を探る>
 ところが、天然ガス等のエネルギーでロシアに依存する仏独伊等欧州大陸諸国は早期停戦の途を探っている。特にマクロン仏大統領は、プーチンと電話会談を続けており、6月13日には仏独伊の3首脳は侵攻後初めてウクライナ入りした。ゼレンスキー大統領は、プーチンは誰かの意見を聴くとは思えないと対話に否定的な考えを示したが、マクロンは会談後、ロシアとの協議を続ける方針だと強調した。仏独はアメリカのイラク侵攻にも反対しており、同じ構図になりつつある。しかし、バイデンはウクライナの強硬路線を支持し、和平交渉には組みしようとしない。
 このように、西側諸国間でもウクライナの停戦をめぐって思惑に違いがみられる。

2022年7月19日

【ウクライナシリーズ③】ウクライナ戦争はアメリカが自重すれば回避できた-強すぎる同盟NATOは前世紀の遺物かもしれず-22.07.19

<ワルシャワ条約機構の解散とともにNATOは解散すべきだった>
 米ソ冷戦が終わった1991年、ソ連が解体しウクライナを含む14か国が独立、ポーランド、チェコスロバキア等の東欧諸国も自立し、ワルシャワ条約機構(WTO)は解散した。同時に進行していた東西ドイツの統一交渉の過程で、アメリカはNATOを東方に拡大しないと何度も言っていた。
NATOは1948年ソ連の拡大に対応するため12か国により設立された軍事同盟であり、一国が攻められたら助け合う集団的自衛権が中心となっている。今回の混乱を考えると、この時に米ソ対立でできていたNATOも解散しておけば、今日の混乱は起きなかったのだ。それを存続させただけでなく、次々と拡大してきた。これではヨーロッパの国際平和は保てなくなって当然である。

<NATOはそれほど重要視されていなかった>
 ウクライナのNATOへの接近がプーチンの懸念を増大させ、侵攻の要因となったとこは事実であるが、ロシアも領土拡大の野心の言い訳の一つにNATOを使っている節もある。戦争に絡む外交的発言は所詮そういうものであり、どっちもどっちなのだ。
 ロシアは一時自らもNATOに加盟するとも言っており、NATOをそれほど拒否していたとも言いがたい。更にTPPをはじめとする同盟を嫌ったトランプ大統領は、2018年のNATO首脳会議では、NATOからの撤退を言い出さんとしていたことが、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)から明らかにされている。バイデンもウクライナのNATO加盟を一時延期する意向を示した時もあった。NATOもウクライナとロシアの紛争に関与しないと強調していた。仏も独もウクライナのNATO加盟を真剣に考えていなかったし、EU加盟も反対していた。つまり、それなりの均衡が保たれていたのである。

<多くの有識者は米・NATOの東方拡大に警告を発していた>
 アメリカでもケナン(cf:封じ込め作戦を提唱)、マトロークといった外交官、ミアシャイマー(元空軍軍人、シカゴ大教授)、コーエン、キッシンジャー等が、NATO拡大はロシアとの関係を悪化せると反対していた。モノの分かった人には分かっていたのである。ミアシャイマーは、昔も今もアメリカがウクライナのNATO加盟を認めずにいたら、ロシアのウクライナ侵攻は起こらなかったと力説している。そして、アメリカないしバイデンのこうした態度を、アメリカ法の民主主義を世界に波及させることを目的とする「リベラル覇権主義」と称して糾弾している。中東でも失敗し、またウクライナでも失敗しかかっており、事実かもしれない。

<ミンスク合意>
 2022年2月24日、ロシアがウクライナに突然侵攻したわけではない。ウクライナは2014年夏、ドンバスを奪い返そうと戦いを仕掛けて、それに対してロシアが介入して親ロ勢力を援助している。これによりウクライナは大打撃を受け、仏と独の仲介により2015年2月、2回目の停戦合意協定が結ばれ、親ロ勢力に事実上の自治権を認めることになった(「ミンスク合意」)。
 2019年ドンバスの戦争を終わらせ、ミンスク合意の履行を公約に掲げたゼレンスキーが地滑り的勝利で大統領に選出された。ゼレンスキーはロシアとの和平を掲げていた。しかし、大統領に就任後ウクライナ東部の親ロシア勢力に強い自治権を付与する合意は履行せず、逆に西欧やアメリカから軍事支援を求める方針を示した。これにプーチンは激怒した。その挙句、ゼレンスキーはNATO加盟に突き進んだ。

<アメリカがおびき出したプーチンのウクライナ侵攻>
 2021年4月、ロシアがウクライナとの国境に兵力を増強した後、プーチンとバイデンの初めての会談が行われた。その時に会談決裂が予想されたが、形式的にはロシア軍は国境から撤退した。ただ相当数が残り、ドンバスはほぼロシアに統合された形が残った。こうした中でプーチンはアメリカが手出しはしないとみて、着々とウクライナ統合を進めたのである。つまりバイデンはプーチンの魂胆を承知で見逃していたともいえる。だから、数日前から、プーチンがウクライナに攻め込むことを予告した。エマニュエル・トッドは文春5月号でこの点を厳しく指摘している。
 2021年9月 ラブロフ外相はNATOの境界を1997年以前に戻せという最後通知をしたが、それができるとは思っていなかっただろう。12月には、ロシアはアメリカにウクライナのNATO加盟を認めないと要求し、ウクライナにミンスク合意を履行せよと訴えた。バイデンは電話会談で「ウクライナが戦場になってもアメリカは介入しない」と言明した。プーチンを誘い出したと言われるのはこのためである。

<アメリカも南北アメリカに社会主義政権を認めず介入しており、一方的ロシア非難の資格はない>
 アメリカとて繰り返し西半球を他の大国が立ち入らないようにすると宣言し、現にニカラグアのような小国の革命にも介入し、社会主義のサンディニスタ政権を打倒そうとしていた。これを見てもロシアがウクライナに固執するのを糾弾する資格はない。近隣に敵対国ができるのを嫌うのは共通なのだ。
 世界はかつてブッシュが北朝鮮、イラン、イラクの三国を悪の枢軸と呼んだと同じく、ロシアのウクライナ侵攻を絶対悪として糾弾し、リベラル諸国はこぞって経済制裁をしている。しかし、私はどうしてもロシア・プーチンを一方的に悪と決めつけることには賛成できない。イラクには大量破壊兵器など存在せず、アメリカの言いがかりにすぎなかったのは周知の事実ではないか。
 アメリカが関わる国際戦争案件は、実はそんなことばかりの繰り返しなのだ。奇襲の代名詞となっている。真珠湾攻撃とて、ヨーロッパ戦線への介入に反対するアメリカ国民を戦争に駆り立てるがために、わざと見逃していたとも言われている。戦争を巡る駆け引きであり、一方的善も一方的悪も存在しない。

<ロシアのとんだ誤算 北欧2か国のNATO加盟>
 ロシアの侵攻に恐れをなしたフィンランドは、1,300㎞にわたって国境を接しており、今までの中立を捨ててNATOに近づくことになった。NATOによる集団的自衛権が必要だという世論が急速に高まったからである。加えてスウェーデンもNATO加盟で足並みを揃えた。
 6月28日フィンランド、スウェーデンの北欧2か国のNATO加盟に反対していたトルコが加盟支持に変わり、手続きを開始した。ウクライナのNATO加盟阻止のための侵攻が、逆に北欧2か国のNATO加盟を促す結果となったのは皮肉としか言いようがない。こちらはアメリカが主導したのではなく、駆け込み寺よろしくNATOに保護を求めたのである。
 首脳会議ではロシアを重大で直接的な脅威と位置付ける一方、中国への対応も初めて明記した。日本の岸田首相も初めてNATO首脳会議に参加した。また、ロシアをにらんで現行4万人の即応部隊を30万人強に大幅拡大し、欧州東部での軍部をさらに拡充すること、ウクライナへの包括的支援拡大や軍の近代化への協力等に合意した。
 ロシアはこれに警戒する一方、2か国のNATO加盟は問題ないと認めざるをえなくなった。イギリスは有事の際には両国に軍事支援することで合意している。かくして、欧州の安全保障の基盤が揺らいでいる。

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