参院選週間報告 (菅前代表(農林漁業再生運動本部長)の農業観)

7月12日記

(解説:時間があるときは、菅前代表の農業観を1月13日の党大会の演説を引用し、紹介しています。民主党2004年度定期大会)

民主党の農業重視路線は、菅前代表の農家に対する考え方から出ています。私もよく知らなかったのですが、菅さんは、都会生まれの都会育ちのませた少年が市民運動を通じて市川房枝さんと出会い、いつの間にか最大野党の党首になったと思われているはずです。しかし、菅さんは、高校2年、17歳の夏まで山口県の宇部市で生まれ育った、田舎の価値観を持った人なのです。大半の皆さんは固定したイメージでみてしまっていると思いますが、実像は違うことがままあります。

政権交代が目前になり、菅さんは自分の趣味を出し始めたのではないかと思います。1月13日の党大会で、原稿を読む大演説をしました。そこで、農政重視を宣言し、参院選に向け、農業再生プランを作り、農山漁村を再生し、活性化することが、すなわち日本の再生に他ならないと訴えました。

「曲がり角」(Turning Point の直訳)で、21世紀の日本の進むべき道は、明治以降の近代化の過程の延長にあるのではなく、むしろ江戸時代のスローライフ的なものにあるのではないかとまで言い切っています。江戸時代を地方分権の時代と捉え、稲作中心に栄え、平和で文化的だったとし、明治以降の中央集権、効率重視と大量生産・流通・廃棄の時代は21世紀の目指すべき道ではないとしています。そして、「地産地消・・・日本の農産物を食べ、木材を使うことがひいては日本の自然をまもり、農山村を子育てに適した地域として復活することになります。」と結んでいます。

私の著書「農的小日本主義の勧め」、「第一次産業の復活」、「農的循環社会への道」のいずれかをお読みいただいた方はすぐピーンとこられると思いますが、私の目指すべき日本の姿と似ているのです。

菅さんは、本会議の代表質問は、原稿なしでやります。市民運動から始まり、ずっと問題点を指摘することをしてきたので、攻撃が得意なのです。ところが、自らの抱負・経綸を話すのは、慣れておらず、原稿がないとだめなのだろうと思います。私などは逆で、質問とかはしたことがないので、とてもメモなしではできませんが、「日本の農政」、「食べ物の安全性」、「21世紀の日本の進むべき道」といったテーマなら、1時間でも2時間でもメモなしでできます。

菅さんが日本の将来の道を具体的に党大会のような公の場で明らかにされたのは、初めてだと思います。

私は、菅さんの言いたいことがよく理解できました。たぶん聴衆もそうだったと思いますが、・・・・・・文章にするといま一つで、大学入試の小論文だと不合格かもしれません。(笑) なぜかというと、地産地消から一挙に農山漁村を子育てに適した地域と言うのは、あまりにも論理が飛びすぎています。どうも菅源太郎さんの子育てに失敗したという気持ちがあるのではないかと思います。(笑) 脈絡からすると、少子化が問題で、そのためには、かつてのように農山漁村を子どもを産んで育てやすい環境にしたいという願いがあるようです。

菅さんは農山漁村をまわり始め、私も1月以来、数回随行しました。

菅さんは、本気で農山漁村の再生を願っています。ですから、代表を退いた後も、農山漁村再生運動本部長としては留任していただきました。

そして、それが岡田新代表にも引き継がれ、マニフェストの8つの項目の3番目に農林漁業再生プランが入り、プレス民主の号外も出されることにつながっています。

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