信越トレイル発足式 挨拶

私は、小山前飯山市長にお誘いを受けましてこの発足の会合に関わりました。また、自然の山をトレッキングするといったことは、私の趣味に属することなので、会合に出席させていただいております。

せっかくの機会ですので、ちょっと具体的な提案をさせていただきたいと思います。

山というと危険な山に登ることが、眼に浮かびますが、自然の中を歩くことこそ基本だと思います。ヨーロッパでは、トレッキングといった山の中というより農山村の村々ないし里山を歩くことが中心です。その典型がスイスです。

しかし、スイスアルプスの山歩きは、実は山歩きでなく、牧場歩きです。農家は私有地である牧場を観光のために開放しているのです。

もしスイスの山々が、木に覆われていたら、スイスアルプスは木の陰に隠れてよく見えません。牧場があるからこそそこから山々が見えるのです。山岳酪農は棚田と同じく条件が悪く効率がよくありませんが、何とかやっていけてます。それは、直接支払いという補助金が政府から下りるからです。観光業者も牧場を開放してもらわないと、観光客が来ないことを知っています。だから観光収入の何割かは、山岳酪農家に回ってもよいと認めています。

今、信越トレイルができあがり、関田山脈の尾根がトレッキングのルートになります。しかし、本当の身近なのはこの里にある北信の農山村の中、里山こそ向いているのです。田んぼの中をあぜ道を、アスパラ畑の横を歩いているのです。そして泊まる所は農家民宿です。登山靴など履かなくともスニーカーで回れるトレッキングコースです。フランスには、ちょっとした農村には、1日コース、3日コース、1週間コースと地域に入ったトレッキングコース、サイクリングコースがあります。それだけ国民が農村の景色を楽しんでいるのです。ですから、都市住民も農業の大切さを、農村の大切さを理解し、日本のように都市と農村のギスギスした関係はありません。

今日のおめでたい信越トレイル発足に当たり、心ある皆さん方に次のステップとして、もっと身軽な里地里山のトレッキングコースを作っていただくことをお願いして、私の挨拶とさせていただきます。

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