アクセスの機会均等で、過疎の解消・地方の活性化を

篠原 孝

―郵便事業と公共掲示場の機会均等を他の社会資本にも広める―

 今回の準備で、ポスターの枚数を計算していて、意外なことに気が付いた。
 長野1区内の公営掲示場は1498箇所で、栄村には53箇所ある。ところが、この数を人口按分すると、栄村は7箇所にすぎない。ちなみに、小布施町は31箇所で人口按分とほぼ同数、長野市、須坂市は人口按分数よりも少ない。
 掲示場は、その地域の有権者が日常生活の中で目にすることができる場所に設けられている。どこに住んでいても選挙に関してはアクセスの機会が保障されているのである。
 長野市の芋井地区は、10軒あれば、うち4軒が廃屋、6軒は高齢者の世帯である。ここでは、信濃毎日新聞は各戸には配達されず、公民館の前の郵便箱にまとめて届けられ、それを取りに行くようになっている。配達に時間がかかりすぎ、採算が合わないため宅配されないのである。しかし、ここでも郵便は、公民館前の郵便箱ではなく、きちんと各戸に配達されている。
 それでも芋井地区には、小学校・中学校があるが、小田切地区では廃校となってしまった。また、県立高校再編整備計画では、飯山市は現在の4校のうち3校を統合し、2校に半減することが検討されている。
 このように、学校の統廃合が進んだり、市町村合併により、役場が遠くなったりすると、ますます生活が不便になり、過疎がどんどん進む。携帯電話は通じず、テレビの電波も届かない。驚いたことに、ナビゲーターも手を抜いて過疎地は入っていないものもある。病院も遠く、店も少ない。何から何まで不便なのだ。
 過疎地でも、選挙の公営掲示場と同じように、生活や教育の便について、平地と同じアクセスが保障され、どこにでも住めるようにしなくてはならない。

 ヨーロッパの条件不利地域で過疎がそれほど進まず、田舎で堂々と生きている人が多く、農村のほうが美しいのは、社会資本の整備が充実しているからにほかならない。

 8月24日、民主党の郵政民営化賛成派の河村たかし前議員が、私の応援のため、中野市と栄村に来てくれた。国会の議員会館で隣室の河村さんは、先輩議員として私にいろいろとアドバイスしてくれるが、その一つに選挙活動は自転車でやれというのがあった。愛知1区、大都市名古屋の中心部が選挙区なら、そのほうが効率いいかもしれないが、長野1区は違うことを説明してもなかなか理解してもらえなかったが、今回、実際に栄村まで来て、「日本にはいろいろなところがある」とわかってもらえた。栄村とて、もっと山深い秋山郷に行くと、さらに1日かかる。自転車で一回りできる都会派議員には、過疎地域のことなど全く理解も想像もできないことだろう。

 郵政民営化問題は、過疎地域に住む人々が生活できる権利の保障という深い問題をかかえている。経営が成り立たないのを見越して2兆円の地域貢献基金とやらで補助することになっているが、それが民営化と言えるのか。それなら素直に国が責任を持って取り組む公的サービスと言うべきであろう。ここにも小泉郵政改革のまやかしがある。

 8月28日の読売新聞に、平日1日あたりのテレビ視聴時間が長いほど、自民党へ投票したい人割合が高く(「3時間以上」の層の57%が自民党で、「30分未満」は、民主党34%、自民党32%)、長時間視聴者ほど自民党の「刺客作戦」がお気に入り(「30分未満」は支持、不支持が各50%、「3時間以上」は72%が支持)との調査結果が掲載された。しかし、長野県は、女性就業率も高齢者就業率も1位であり、昼間のんびりテレビのワイドショーを見ているような暇な主婦もお年よりもいない。長野県の有権者が賢明な選択をすることを期待している。

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