外務委員会で質問に立ちました

10月7日

今回の解散は、いろいろな問題を隠した郵政民営化一本の目くらまし解散でした。しかし、その陰に隠れて、一番問題になってしかるべきなのは、山積みの外交問題ではないかと思います。国連改革、イラク問題、北朝鮮問題、中国・韓国問題、BSE等目白押しです。

私は、この特別国会から、外務委員会と環境委員会に所属していますが、10月7日の外務委員会では、イラクへの自衛隊の派遣・撤退問題一本に絞って質問しました。

イラクからの撤退の準備、理屈づけをすべし

イラクからこれまで撤退した国はサウジアラビア、スペイン、フィリピン、オランダ等と13カ国あります。さらに、ブルガリア、ウクライナも公式に撤退を表明しています。また、新聞報道では、イギリス、オーストラリア等も06年5月には撤退するのではないかと盛んに報じられています。日本は余り世論が動いておりませんが、本家本元のアメリカやイギリスでは、世論調査でも反戦が広がり、反戦の新聞広告やデモも見られ、世論が動き始めています。

撤退についても、日本の場合はアメリカへの配慮が付きまといます。もう一つ違うのは、日本の場合は治安維持に手をかさず復興支援だけをしていることです。治安が回復され、次に復興支援がもっと必要になってくるというときに帰ってくるというのは、理屈としてはなかなか難しいのではないかと思います。つまり、復興支援にはゴールがないわけです。

しかし、日本もそろそろ撤退の準備をしなければならず、少なくとも突然戻っていったというような批判を受けないように理屈づけというのは考えていかなければなりません。

軍服を着ても銃は撃たないことを国際世論が評価

日本が出ていくときは、近隣諸国の中国や韓国は心配したはずです。しかし、日本が自衛隊を海外に派遣したものの、憲法九条を頑なに守り抜いて武器を一切使用しないということについては国際世論は非常に感心したのではないかと思います。

外国の論調では、「日米関係が、従来の父と子(ファーザー・チャイルド・リレーション)から対等の関係になってよかった」(フランシス・フクヤマ氏、『フォーリン・アフェアーズ』)。「日本の軍隊は一発も弾を撃たずに成功している」(『ニューヨーク・タイムズ』)等がありました。

そして、もっと客観的な立場からおもしろい記事として、オシャム・ダウォード氏がフランスの『今日の軍隊』(05年3月号、日本の『セキュリタリアン』8月号に転載)があります。「日本の存在が異彩を放つ、アメリカ軍は占領者というイメージをなくすために一生懸命になっている。それに対して日本は軍服を着ながらそういうことなく役にたっている。こういう国際協力というか駐留のやり方もあったのだ」というふうに大きな評価を得ています。

武力を行使しない自衛隊を世界にPR

私は、自衛隊の武力行使を伴う海外派遣などもってのほかと思いますが、今回の「武力を使わない自衛隊の活動」は国際的には日本の律儀さを印象付け、まさに禍転じて福をなすことになったのではないかと思います。世界は日本が海外において武力を全く使わないことを評価しているのです。日本は、偶然にも国際的に認知されたこの姿勢を今後も貫きとおし、武力によらない国際協力と平和外交に徹していくのが懸命な途です。

最後に、外務委員会の委員になった国際政治学者の猪口邦子さん(水産庁企画課長時代に海洋法制度検討会の委員になっていただき、その後も農林水産政策研究所長時代に顧問会議のメンバーになっていただくなど旧知の方です)に、健筆を振るって、日本の自衛隊の好ましい行動を世界中に広めていただきたいとお願いして、質問を締めくくりました。

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