浅川治水問題について −自然の川に戻すことも一案−

浅川治水問題の協議会に6月と11月の2回来賓として出席し、問題の根の深さを痛感した。私はエコロジストの端くれとして発電用つまり経済効率、経済目的のためだけにダムを次々に作ったりするのはあまり好ましくないことではないかと思っている。アメリカではダムはムダということで新規のダムはもう建設せず、生態系復活のため老朽化したダムは壊していく方針がとうの昔から打ち出されている。しかし、発電用の大きなダムと災害防止用、洪水防止水用の小さなダムというのは別である。なぜかというと発電は原発・火力発電その他代替措置がある。それに対して災害や洪水防止のためのダムというのは、その正反対で他に代替ができない。知事の気持ちと住民の気持ちの折衷案を考え**の途を探る必要がある。

県の案は田子と檀田に大きな遊水地を造るということだった。しかし、地図を見て千曲川と並行する形で北に浅川が流れていることに気がついた。貯水池と遊水地の能力を聞いてみるとそれぞれ9万トンとか7万トン程度、それならばということで妥協案として思いついたのが並行して北側に流れる浅川をそのまままっすぐと千曲川につなげる放水路の建設である。すなわち「遊水河川」「遊水放水路」が考えられないか。例えば巾20m、高さ3mの川を3km造れば18万tになる。

遊水池はダムとどう違うのであろうか。見るも無残な人工の大きな池、それを普段は野球場として使うという案がいわれているようだ。蒸し風呂のような深くほったところで野球をやってもそれほど楽しくないのではないか。それならば環境を大切に知事の理想にも合う見事な河川、両側をコンクリートなどにせず、片側は桜並木、片側は松並木にし、河底・河床は誰でも散歩できるようにし、子ども達が遊べるようにして使えばいいのではないか。丸太で川をせき止めて泳げるようにするなど、いわば「親水川」にしたら良いのである。

そもそも浅川はまっすぐ長沼のあたりで千曲川につながっていた。毎度洪水が起こるので300年程前に人工的に川を北に延ばして鳥居川と同じところで千曲川に合流させたものだと後で知った。人間の浅知恵で人工的に変な川を作ったがために洪水が起こっていたのである。人工川を造ったことから洪水がはじまったのである。だから、この洪水を防ぐために最も簡単なことは、300年前の自然な川の流れに戻すこと、それに尽きるのではないか。

浅川問題は知事と住民の間にのっぴきならない対立を残しこのままでは解決できず、解決の兆しがほとんどない。こうした問題は日本の河川の何処にでもある問題である。ダムが造られては土砂がたまる。河川の砂利の採取は禁止されているところは大半で,つねに土砂がたまりにたまっているということである。つまり、何処の河川も天井川にはなりつつあり、大きな河川の土砂を定期的に取り除くことをしなければ洪水の危険は徐々に増えていきつまり動脈硬化、徐々に進行するのと同じ状態になっているのではないかとおもわれる。自然との共生を考えねばならないがすぐ身近にも題材はあるのである。みんなで一緒に解決策を考えていかなければならない。

戻 る