地産地消から循環社会へ

謹賀新年

私がおぼろげながら日本社会の経済成長一点張りに疑問を感じはじめ、今から20年前「農的小日本主義の勧め」にまとめた。そして、その手段として、その地で生産したものをその地で消費するのが最も理に適った生き方ではないかと思い、「地産地消」という四字熟語を使い始めた。何のことはない、地場生産、地場消費を縮めたものであり、昔から使われる適地適産が頭にあったからだ。

嬉しいことに、今やあちこちで使われ、パソコンの用語検索も5万件を超えるほど使われるようになった。その象徴でもある直売所はあちこちに置かれ、中野市農協管内でも7ヶ所の売上高が3億に達せんとしている。  

ただ、その一方で食糧の輸入はますます増え続け、国籍不明、生産過程不明の食べ物が我々の間に入ってきている。やれ自由貿易協定だ、競争だと相変わらず暴走を続ける日本には方向変換の兆しは見られず、農業・農村・農家は息も絶え絶えである。そのため、農地の耕されず遊休化し、若い後継者の不足は深刻化している。

小泉首相は、郵政事業はこのまま放っておくと郵便は少なくなり、またなくなるから郵政民営化が必要だと言い、かつての盟友に刺客まで送り込んでまで実現させた。一方とうの昔からどうにも立ち行かなくなった農業はほったらかしである。地方からみると郵政改革などより農政改革が先であろう。  

しかし、国に頼ったりするのはやめ、身近で考え、実践しようというのが地産地消である。つまり、需要は近くにあり、作ろうと思えば作れるのだ。これが、木にもいき、家も近隣の県産材で建てるようにすればよい。そしてその次の行先は地域通貨であり、循環社会なのだ。

政治は理想を国民に示し、その実現に努めなければならない。21世紀は既に5年過ぎた。新しい理想の構築が必要である。

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