外務委員会で外務省の機構について質問

今回は、外交の体制の整備と外務省の組織体制のあり方について、私が農林水産省からパリのOECD代表部へ出向した経験を踏まえて質問しました。

冒頭に、国際政治学者の故・高坂正堯京都大学教授の「文明の衰亡するとき」という著書から引用させてもらいました。ヨーロッパの小国ベニスがその衰退期においても小国ながら500年間も繁栄し続けた要因は、類まれな外交にあります。残念ながら日本をみますと、海に囲まれてその必要がなかったのか、外交下手で、今もそのような努力や隣国への配慮はなされてきませんでした。

そこで、日本国を代表する外交官の能力、特にコミュニケーションの能力をどのように高めていくか、について質問しました。

外務省は、「今現在42カ国語の専門家がおり、使われている国の数・人口・我が国との関係などをもとに人数を変え、最近ではアラビア語や中国語等々の専門家を増やしています」とのことでした。

「アラビア語や中国語といった言語は特殊言語と見なされるため、英語も研修するが、一方、フランス語・ドイツ語・スペイン語などの研修では英語の研修の機会が充分に与えられていないのはおかしいので、英語研修の機会を与え、英語研修者には逆にスワヒリ語等の言語をやらせたら」と提案しました。これは、OECDのスペイン語研修の同僚の嘆きを伝えて改善を迫ったものです。

また、「外務省では、環境問題とか安全保障問題などテーマ別の専門家の育成を図るべきではないか」と質問したのに対し、麻生外務大臣からは、「篠原委員のご指摘は全く正しい。外務省としてもプロの養成に積極的に取組んで行きたい」と非常に前向きな答弁がありました。

それから、「多くの省庁が国際機関へ出向させているのに対して、英語からして人事交流が一番容易なはずの外務省はたったの七名しか出向させていない。日本が外交の場で活躍するには、金だけ出して口を出さない、と言うのではなくて、専門家を養成して、常に国際機関に日本の優秀な外交官を送るべきではないか」と質しました。これに対しても、再び麻生大臣が答弁に立ち、「外務省として、国際機関にもいい人材を提供していくつもりだ。」とこれまた積極的な答弁をされました。

最後に、市町村に出向させて市町村政の全体を見させる農林水産省の研修の実態を紹介しながら、外務省も外交官をアフリカや中南米の小国に派遣して、その国の政治全体をみるような研修をすれば、国際機関の長も経験できるようなトータルな人材育成になるのではないかと、と提案しました。また、外務省の中には、語学、安全保障、地球環境のプロを育成しているものの、それだけで全てに対処できるわけではなく、細かいところは各省庁に任せ、外務省はその上に立つべきであるとの提案も行いました。

これらについても外務省から「大変共鳴」を感じると言う答弁がありました。

今回は外務省の組織機構についての質問でしたので、意見の対立というより、共によりよい組織を作るためにどうすべきか、という前向きな提案になったと思います。

戻 る