農林水産委員会で独立行政法人問題を質問

3日連続の国会質問の2日目は、農林水産委員会で、『独立行政法人に係る改革推進するための農林水産省関係法整備法案』の質問に立ちました。

小泉内閣の一連の独立行政法人改革の中で、農林水産部門の独立行政法人も組織改革が求められています。

民主党は、現在の行政組織は見直すべきと考えていますが、今回の独立行政法人改革には、反対しています。

その理由は、そもそも国が責任を持って担うべき行政の役割までも否定して、独法化し、非公務員としているからです。組織改変には大局的視点が必要ですが、今回も改革には、例えば国は農林水産行政をどうするか、といった視点が欠如しているように思われます。

また、「官から民へ」のかけ声はよくても、官のチェックが届かなくなるため、天下りの温床になったり、会計のチェックが甘くなる懸念があったり、と問題が多いのは確かです。

法案の中で、試験研究機関の独法化が取り上げられましたが、そもそも大企業が携わっているわけではない農林分野で、試験研究などは国が責任を持って果たすべきです。

しかし、実は全ての都道府県にも農業試験場が存在しており、独自に試験研究を行っています。職員は全都道府県を合計すると約15000人、一方で、国の農林水産試験研究機関は5507人です。また、国から都道府県の試験研究機関への補助金農総額は77億円で、都道府県全体の試験研究費総額は1619億円にのぼります。これは、農林水産省所管の試験研究費1187億円の約1.5倍になります。都道府県間のだぶりこそ膨大だということです。例えば、3倍の人員と1.5倍の費用をかけていますが、各都道府県は銘々の試験研究を行っており、その中には重複して研究している場合があります。例えば、トルコキキョウという花は全ての都道府県で研究を行っていたり、東北6県全てで各々リンゴ・ブドウ・桃などの研究を行っていたりしています。

こうした無駄を省き、例えば青森はリンゴ、福島は桃、といった具合に研究をして、研究結果をそれぞれの県に公開していく等、効率的な分担が必要ではないか、と提案しました。つまり、国がリードしてだぶりをなくし、都道府県も百貨店(何でもやる)ではなく、専門店(得意な分野のみ)になるべきということです。

次いで、国の機関を独法化することで、職員は非公務員になるのですが、地方の研究機関は公務員のままと言うことになり、非公務員から公務員にあれこれ指示するというのもおかしいのではないかという点を指摘しました。これに対しては、「地方公共団体も平成16年4月施行の地方独立行政法人法に基づいて独法化が図れるので、地方ごとに効率的な行政サービスを提供できる」との逃げの答弁しか述べませんでした。

しかし、制度をつくる受け皿ができたとしても、すぐに対応できなければ意味がありません。

地方の研究機関の統合については、私は具体的な例として長崎県を挙げました。

長崎県には、県が用地を提供した長崎大学環東シナ海海洋環境資源研究センター、長崎県総合水産試験場、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所と3つの研究機関が隣接しています。これらの連携ないし統合を検討できないか、と質しました。

しかし、そもそも海には県境どころか国境ですらないのですから、現在都道府県でも行っている水産関係の研究もすべて国が行ってもいいくらいではないか、と質しました。

そもそも試験研究費はWTOでも削減対象にならない補助金です。先進国の研究が数年後には途上国の農業の発展に寄与する場合もあるからです。国際的にも試験研究費への補助金(いわゆる緑の補助金)は認められやすいので、都道府県の事業も含め、国が全部責任を持って果たすべきであり、更にいろいろな補助金を試験研究や同じく削減対象とならない普及事業に衣替えするとか工夫していくべきではないか、と中川農水大臣に見解をただしましたが、大臣も「まずは成果を上げることが一番であり、各研究機関が競争によってインセンティブを挙げていくのにもつながるので、現状のままでよい。」という趣旨の答弁でした。

効率性と、それからそもそも「国の役割とは何か」と言った観点から見れば、農林水産業の試験研究に関しては国がきっちり責任を持って取組むべきとの趣旨で質問をしたのですが、そこまで通じなかったようです。この続きはまたしようと思っております。

戻 る