民主党代表選を降り返って

2006.4.10

<三者三様の代表>

私が民主党の議員になってからの2年4ヶ月余りで、代表が3人辞めました。3人とも皆りっぱな人たちです。

私は、菅さんを本部長とする農林漁業再生本部のもと、民主党農業再生プランを作り、農村行脚に同行しました。プランの法案が審議された4月5日の農林水産委員会で答弁に立った菅さんは、堂々としており、「農村の再生なければ日本の再生なし」と熱っぽく語っていました。

岡田さんは、まじめそのものです。私の投げかけた秘書問題、人事改革問題等についてもプリプリしながらまじめすぎるほど応えてくれました。

前原さんは、去年の総選挙では、小泉マジックで自分の選挙も危うくなっていたのに私の応援に来てくれました。政界では大先輩ですが、大学の後輩でもあり、私も尊敬する高坂正堯先生のゼミに所属していたこともあり、何となく手を差し伸べたくなる人です。

3人の代表とも、私は長くやってほしいと願っていました。

しかし、残念ながら私の思い通りになど運ぶはずがありません。いずれも短命でした。

<2人の重鎮と2人の新顔>

小沢さん、菅さんの他に、代表選に出馬を表明した末松義規さんといつも出たがる河村たかしさんは、2人とも私はたいへん親しく付き合っています。末松さんとは、マクロビオティクの会などいろんな会合に一緒に参加しているほか、以前は同じく配偶者政策秘書を持つ立場にあり、夫婦ぐるみの付き合いです。

河村さんとは、議員会館の隣の部屋ということもあり、日頃から気軽に出入りする仲です。去年の総選挙では、わざわざ泊りがけで応援にきてくれました。大衆感覚もあります。

河村さんは、推薦人20人を10人に下げろ、と両院議員総会で主張しましたが、受け入れられませんでした。自民党では、若手も自民党総裁選の基準について同じ主張をしています。192人と自民党の半分議席の民主党ならなおのこと、私は河村案に賛成です。

それにしても、どうして身近な人が代表選に出ようとするのか不思議です。

代表選に立候補する2人の勇気には敬意を表します。スターをもっと作る必要があります。代表選は、一つのキッカケになりますし、いつまでも鳩・菅、小沢あるいは松下政経塾ばかりでは困りますし、新顔は歓迎です。しかし、9月の代表選ならいざしらず、党が危機的な状況である今は、あまり歓迎できません。案の定、20人以上推薦人が集まらず、予想された2人の重鎮の立候補となりました。

<田中真紀子さんの選挙応援>

4月7日(金)の午前中、外務委員会が開かれました。田中真紀子さんは、わたしの隣の席ですが、質問の合間に、「菅さんの時代がいずれ来るけど、今回は小沢に」と私に選挙運動をしてきました。テレビの発言とおり「自民党が嫌がって手を入れてきてんのよ」と例の真紀子節でまくし立てました。余程小沢さんに入れ込んでいるようです。また、真紀子さんは、民主党会派入りはして同じグループですが、党籍がないため投票権はありません。小沢さんも強い援軍を持ったものです。

<子供じみた選挙戦>

今回の代表選挙における私の思いや小沢新代表への期待は別項で述べました。

それ以外に私が、今回の代表選で感じたことが、いろいろあります。

私が民主党に参画してから選挙による代表選を経験したのは、05年秋と今回の2回で、いずれも国会議員だけの代表選でした。さすが政治家、選挙が好きなようで、いずれの陣営も選挙戦に熱心でした。

私はマスコミには、どっちに投票するという取材には一切答えませんので、よく携帯電話に投票要請の電話ばかりかかってきました。投票後にも、マスコミから「誰に投票しましたか?」という取材が殺到しました。これに答えることになんの意味があるのかわかりません。そもそも無記名投票ですし、私は答えませんでした。今後も答えないことにしています。

<小沢流人事の妙>

とはいえ、このメルマガを書いている最中の4月8日夕方、菅さんも代表代行として執行部入りしました。また、鳩山さんも引き続き幹事長として党務にあたることになり、渡部国対委員長はじめその他の執行部も留任となりました。これで渡部黄門様の突然の委員会訪問も復活するかもしれません。

前に書いたとおり、菅さんが代表代行になりました。うれしい限りです。

国会の会期途中ですし、NC(次の内閣)の担当は各委員会で筆頭理事ですし、代えるのは他党に失礼になります。また、国対委員長も変わったばかりです。小沢さんの趣味は一切出さずに現体制で6ヶ月やり抜くというのです。抑えに抑えた人事であり、知恵です。単純なようでいて、計算し尽くされた人事といえます。これでまとまっていけます。

<懸念を逆手にとって全員留任>

今回新任は、菅代表代行、荒井国対委員長代理のみで、川端、平野、仙谷の3人が緊急事態の兼任が解かれました。つまり退いたのは前原代表、野田国対委員長、永田国対副委員長の3人のみということになります。小沢の排除の手法が出ると心配していた人には拍子抜けの人事ですが、裏をかいた人事です。

前原前代表の問題に例えれば、前原さんのタカ派的体質(?)、強引な手法の象徴となった「中国脅威論」「外交安全保障政策ビジョン」をさっさと取りやめるに等しいことです。つまり、皆の反目の眼が光っていることについて、わざと恭順の意を示し、「代表が変わった」ことを見せつけているのです。前原さんは、こういう手法をとることはできませんでしたが、小沢さんはまさに逆手にとったのです。

これで、反小沢の人たちは、気勢をそがれているはずです。

<新代表の下、政権交代を目指します>

国民の期待にこたえる挙党態勢が出来上がりました。もう一度、政権交代に向けて仕切りなおしのスタートになります。

私も、民主党のために必要だと思うことは、歴代の代表に遠慮しながら進言してきました。この姿勢は今後も変わらずに持ちつづけたいと思います。

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