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PCR検査足りず、ワクチン接種遅れ、医療体制支援不足 -菅政権の失政で日本のコロナ対策は泥沼化- 21.05.20

<PCR検査をほったらかしにして接種に走る日本>
 羽田雄一郎参議院議員が日本のPCR検査の体制の不備により命を奪われている。インドでは今も新規感染者が膨大な数に上っているが、1日あたり30万人の新規感染者がいるということを仮定するとその少なくとも5倍が検査を受けているということになる。つまり1日あたり150~200万の検査体制がインドにはできているということである。日本は1日あたり10万人の検査体制さえもできていない。
 そして検査体制の不備をそのままほったらかしてワクチン接種に走っている。ところがそのワクチン接種もちっとも進まない。そこに変異株が徐々に増え、大阪などは病床が足りず医療体制が危機的状況にある。

<ワクチン接種は万能にあらず>
 私はかねてから、きちんと検査をして感染者を割り出して隔離し、それ以外は何も心配なく経済活動するという形が1番良いのではないかと思っていた。最近言われ出した「ワクチン接種証明書」を「PCR検査証明書」でも使うということである。つまり検査体制を整えれば、皆が疲れ果てるロックダウンなどといった事はしなくて済んだのだ。それが今、まずはワクチンを接種して感染の恐れがないようにして経済活動を自由にできるようにする、という方向に動き出している。
 しかし、ワクチン接種をしたところでウィルスは変異するし、変異ウィルスにはまた新たなワクチンが必要になり、結局イタチごっことなる。だからワクチン接種の終わった段階でもPCR検査はしなければならず、検査体制の確立は今も必要なのだ。

<ワクチン開発に金を注ぎ込まなかったツケが回ってきた>
 日本は新しい薬の製造では、アメリカ等外国の特許に頼っており、世界をリードするような薬はほとんど出来上がっていない。薬学部を4年制から6年制にしたまではいいが、国は研究費をケチり、企業も研究開発投資の手を抜いてきたというのが実態である。
 それに対してアメリカは立派で、薬の世界上位10社のうち5社がアメリカであり、医療機器でも同じように上位10社のうち7社はアメリカが占めている。つまり医療が世界的に重要になってくるということを見越して、軍事産業と同じように、国が相当テコ入れしてきたのである。だからファイザー、モデルナ、ジョンソン&ジョンソンといった大企業が世界にワクチンを提供しているのだ。
 他の先進国もアストラゼネカ(英)、キュアバック、ビオンテック(独)、バルネバ、サノフィ(仏)と、自国でワクチンを製造している。ここに中・ロも加わり、変異株の侵入を許した優等生国・台湾も7月末には自国で開発中のワクチンを提供できるという。こうした中、日本は基礎研究にお金をつぎ込まなかったツケがここで回ってきているのに、いまだなんの改善策も見られない。

<ワクチン接種の結果を実験するイギリス>
 研究開発の遅れを今嘆いても始まらず、最も緊急なことはワクチンを確保して接種することである。ところが必要なワクチンも確保できず日本は遅れに遅れている。
 一方イギリスは、2020年の夏から接種会場の確保に向けて協議を進め、地域の診療所や病院だけでなく、教会、博物館、競馬場、クリケット場まで設置されている。ずっと前から準備に怠りなかったのである、イギリスでは変異株が猛威をふるっているが、5割近くの人が少なくとも1回のワクチン接種が終わり、政府はそうした中、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしで普通の会合を開いたらどうなるか実験までしている。イギリスの著名な歌手が一同に介する音楽祭「ブリット・アワード」の開催(5/11)を許可し、陰性を証明した観客を会場に入れ、どの程度の感染があるかを調査している。悪化する状況に手をこまねいているだけでなく、ワクチン接種と並行して新たなコロナ対策を模索しているのである。

<地方自治体に丸投げする政府と工夫する地方自治体>
 そうした中で政府は焦り、7月末までに高齢者のワクチン接種は終了と言いだしている。そこで5月13日木曜日に加藤久雄長野市長と小林良清保健所長に野党合同ヒアリングにオンラインで参加していただき、長野市の状況をお聞きした。長野市の場合は65歳以上の高齢者にすでにワクチン接種の申し込み用紙が発送済みであり、有資格者の9割が接種を希望することを見込んで計画を立てている。加藤市長は総務省から7月末まで終了してほしいという要請があったと正直に答えていたが、どうも総務省は相当なプレッシャーをかけているようだ。言ってみれば市町村に丸投げであり、市町村が独自に考えていろいろ接種の仕方を考えざるを得なくなっている。
 ところが私の現住所地の中野市からは、さっぱり申し込み用紙が送られてこない。聞くところによると中野市の場合は、とりあえず85歳以上を先行してみて、その後に次のグループというふうに順を踏んでやっているようである。人口の少ない自治体では既に高齢者の接種が終了したところもある。どこも現状に合わせて苦労しているようだ。

<コロナ対策も今だけ金だけの愚かな日本>
 なぜこうなったか。理由は簡単である。Go toトラベルなりGo to イートの経済対策などに金をつぎ込み、本当のコロナ対策、医療関係のコロナ対策をしてこなかったからである。このようなドジなことをしてきた因果が今、如実に現れており、東京・大阪・愛知だけじゃなくて、今や緊急事態宣言は京都、兵庫、福岡、北海道、岡山、広島と、おそらく人口の3分の2位を占めるまでになっている。蔓延防止重点措置も10県に広がっている。
 菅政権のドタバタはとどまるところを知らない。つい先日も専門家の意見を取り入れ一日で重要決定を覆し、緊急事態宣言を北海道・岡山・広島に広げることに変更した。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の中で基本的対処方針分科会がこれだけ影響力を持つのは珍しいことである。コロナの感染拡大のスピートが予想以上であり、聞かざるを得ない状況になっている証拠である。
 切羽詰まった菅首相は、大規模接種センターへの自衛官の医官、看護官の動員を持ち出した。しかし、それに対して河野克俊・前統合幕僚長が危機管理がなっていないと怒りをぶちまけている。これほどさように政府の対策は乱れ狂っているのである。

<ワクチン接種も進まない国でオリンピックなどできるのか>
 いずれにしろ日本のコロナ対策はPCR検査が全く進まずワクチン接種が遅れ、飲食店だとか旅行業界には支援をしたけれども、肝心の医療体制への支援を後回しにしてきた。そのツケが今回ってきているのである。
 このような中でオリンピックなどできるはずがないが、オリンピックオリンピックと言って景気を下支えしてきたのであり、中止となると経済も政権も持たなくなる。折しも20年度のGDPが戦後最大の4.6%の減と発表された。だから政府はこの期に及んでもオリンピックは中止しないと言っているが、国民は冷静に見ており、世論調査ではオリンピック延期、あるいは中止すべきという声が7割に及んでいる。また、NYタイムズ(5/11)は、日本でのワクチン接種が2%に満たず、金、金、金 の危険な茶番はやめるとき、と指摘している。
 このままではとてもじゃないが日本のコロナは終息せず、オリンピックどころの話ではない。