2007.08.24

政治

安倍首相へのお節介アドバイス-岡田元代表と小沢代表の人事をみならうべし-07.08.24

07.8.18記
<若すぎた菅体制>
 03年秋、羽田さんの強い勧めで、民主党衆議院議員として第一歩を歩み始めました。そこで身近で接してみて、まず当時の菅体制の腰弱さにびっくりしました。菅代表の下で、岡田幹事長(50)、枝野幸男政調会長(39)野田佳彦国対委員長(46)といふ布陣でした。率直な話、これではとても狡い自民党とは伍していけず、政権奪取はほど遠いというのが実感でした。つまり次の内閣にこそピッタリのはず。とりまとめ役はできるとして、百戦練磨の自民党議運・国対とせり合うにはいくらなんでも経験不足は否めません。

心配したとおり、04年4月28日に端を発する菅さんの保険料未納問題では、体制を支えることはできませんでした。むしろ、退陣を仄めかしたりした幹部もいた始末です。この件は、当時のブログに書きましたが、(「年金問題と民主党として私の見解」2004.6.3)代表は辞める必要はなかったのです。明らかに社会保険庁の怠慢でした(今消えた年金で皆さんすぐその杜撰さがわかるのではないでしょうか)。これを5月7日は10日の両院議会で主張したのは、石井一さんです。ところがこういう政局を乗り切る役員に鹿野道彦さん、渡部恒三さんといった重鎮は皆無でした。まさに若さを露呈したのです。

<学習した岡田さんの挙党体制>
 その後の代表選びも、小沢さんが一旦は受けたものの、ひっくり返すに及び迷走し、結局、岡田前幹事長が代表になりました。体制を守りきれず崩壊させた張本人が代表になるなんて、自民党ではありえないことです。今の自民党で言えば、安倍首相が退陣した後、中川秀直幹事長が総裁になることですから。岡田さんは、自ら火中にいて、脆い体制に震感したはずです。藤井裕久さん(71)を幹事長にし、9月の本格政権では、川端達夫幹事長、仙谷由人政調会長という重布陣で、次の内閣も菅国土交通相等大物を充てました。若い民主党は、マスコミや国民にはアピールしても実際には、危なっかしいばかりであることを身をもって体験したからです。
菅さんも、一つの仕事を成し遂げて50代で政界に転じた03年の同期生を、すぐ役立ち政権を担える人と持ち上げはじめました。つまり、民主党が、ジャリタレ政治家(?)ばかりでは政権担当能力に欠けることに、ようやく気付いたのです。

<鹿野さんの先見の明を無視して大敗>
 ところが、その岡田代表(体制)も小泉首相の解散への執念を見越した鹿野道彦さんの、郵政民営化に対しての対抗法案を用意すべし、という度重なる忠告も聞かず、ボロ負けしました(詳細は「鹿野道彦さんの確かな政局を見る眼」2005.9.15)。自民党的な策略を見抜ける者が役員にいなかったのです。これに対し、百戦練磨の自民党は万全の準備をして毎日のように新しい女刺客を発表し、マスコミを翻弄し続け、国民もすっかり騙し切ったのです。

<前原体制は元祖仲良しグループ>
 その後を受けた前原誠司体制が、菅体制など問題にならないほど、お友達、仲良しグループ体制でした。そして、案の定、自壊していきました。その直前に前原体制を救ったのは、他ならぬ大重鎮、渡部恒三さん、平成の水戸黄門でした。これで、経験者の知恵の重要性が皆にわかったはずです。
 06年春、前原さんに代わった小沢さんの人事は見事でした。皆がさぞどぎつい人事をするのだろうと固唾を呑んで見守る中、役員室長まで含めほぼ全員留任でした。これで党内は安堵し、小沢体制ができあがったのです。人事がいかに大事かの見本です。小沢色など後から出せばいいのです。

<存在するルールには理由あり>
 一方06年秋、新たに発足した安倍内閣。前原体制とのあまりの類似性にびっくりし、9月下旬に「安倍内閣の前原化現象の予感」という、雑文を書きましたが、秘書からあまりに過激と制止され、ブログ掲載はしませんでした。しかし、12月15日の安倍首相の不信任案提出の日にちょっと加筆しただけで出しました。
 ついこの間まで、総理・総裁の要件は「当選10回、閣僚3回(外務、財務を1回)、党三役1回」でした。小泉首相までは、ほとんどの人がこの要件を満たしていました。
 自民党は選挙に勝たんがため、上記の要件を無視し、人気の小泉・安倍に走ってしまったのです。05年の総選挙までは成功しましたがもう通用はしません。国家の運営よりも政権にしがみつくことを優先したことに天罰が下ったのかもしれません。
さて、結論です。安倍さんが、菅さん、前原さんが同じように犯した過ちを是正するのは、たった一つしか残されていません。小沢さんに倣い、あっと言わせる太っ腹の人事をし、岡田さんに倣い、40代の若手など排除し十分経験を積んだ重鎮だけの内閣にすることです。

<具体的アドバイス>
例えば、
①その道に詳しい経験豊富な族議員の代表を閣僚とし、閣僚の半数以上は、2度目の入閣者とする。民主党よりも人材はずっといるのです。
②仲良し・お友達グループ、少年官邸団からは1人も入閣させない。まず、猛省している姿勢を示す必要があります。
③国民受けを狙った実力の伴わない女性官僚は1人も入閣させない。国民はもう女性閣僚には食傷しているはずです。
④論功行賞とみられる人事は一切しない。その証として自らの出身派閥の町村派からは、党役員は別として1人も入閣させない。政界でもどこでも嫉妬が怖いのです。
⑤問題の農林水産大臣は、政治とカネの問題を避けつつ、思い切った政策転換をするため、学者から選ぶ。ただ、大昔の東畑精一さんのようなふさわしい学者がいるかが問題です。

<民主党に必要な調整役>
これぐらいすれば、党内も国民も、反省したことを認めるでしょう。趣味を出すのは実績を作り、実力を身につけてからにしたらいいのです。安倍さんは少々のぼせ上がりすぎたのです。本当の再チャレンジではありませんが、自らの言に従い、・美・し・い・再・チ・ャ・レ・ン・ジをすべきなのです。
 それにしても、民主党に足らないのは、あうんの呼吸がわかり調整能力に長けた人です。そういう人が2~3人いたらもっと楽々と政権がとれるのですが・・・。

投稿者: しのはら孝

日時: 2007年8月24日 13:52