2009.09.15

政治

鳩山長期政権を望む - 自民党を立て直すために10年は必要 -09.09.14-

<危険な「一度はやらせてみよう民主党」>

民主党は圧勝したが、国民は自民党があまりにだめなので、一度くらい民主党にやらせてみようと思ったというのが現実であろう。何も民主党を熱狂的に支持したわけではない。しかし、これが曲者である。私自身参議院選挙の折に、15道府県を応援して歩いた時「一度はやらせてみよう民主党」「小沢一郎、一度はやらせてみよう、内閣総理大臣」ということを言って聴衆を湧かせていたが、今はしまったと思っている。標語としてはいいが、実は一度民主党が政権をとっただけでは日本の政治はよくならないのだ。

<羽田さんの予言>

この点は、1996年ころから羽田孜元総理から政界に出て民主党の政権獲りに協力してくれ、と何度も何度も言われた時の言葉が耳にこびりついている。恥ずかしながらその当時、羽田さんがどういう意味で言っておられるか理解できなかった。しかし、今はよく理解できるようになった。現実にそのとおりに動いてきているからである。

これを再現してみる。

「民主党は都市政党である。都市の住民に働きかけることにより政権を獲れると皆は思っている。俺も獲れるだろうとは思う。しかし、都市住民はすぐ批判勢力になる。従って都市政党、都市部の議員だけだと政権獲りはできても、その後の最初の総選挙で多くが落選し、政権が自民党なり他の党にいってしまう。それでは元も子もない。

大切なのは政権を獲った後の第一回目の総選挙で必ず民主党が勝利し、自民党を最低で5・6年、うまくいけば10年は野党暮らしをさせること。さもないと自民党は官僚依存体質や政官財の癒着、そういったところから脱しきれない。これを皆分かっていない。

民主党が政権獲りのために、それ以上に民主党が政権を獲ったあとそれを維持するために、君の助けが必要だ。田舎の有権者は都市の有権者に比べて律儀で、一旦心をつかめば支持し続けてくれる。そのためには農政をアピールしなければならない。我が民主党サイドには農林水産大臣経験者は、俺と田名部匡省と鹿野道彦の三人いて、実はこちらのほうが質はいいが、中堅・若手は本当に少ない。特に若手はゼロに近い。
君に民主党の農政を任せる。民主党に参画してくれ。

君が本に書いていることは、役人でもOBになってもそう簡単に実現できないだろう。ところが政治家になれば、君の理想も10倍、100倍のパワーで実現できる。是非長野1区から選挙に出て欲しい」


<羽田見通しがことごとく当たる>

都市の有権者の浮気っぽさは、05年の郵政民営化の選挙で、我が党の都市の議員がぼろぼろに議席を失ったことでいち早く実現してしまった。残念ながら政権を獲る前にそれが検証されたのである。

そして今回の09年総選挙で、都市部は圧勝、05年と全く逆である。長野県は投票率が75%を越え、島根県に次いで全国第2位。全国でもあの郵政選挙を3.5ポイントもしのぐ投票率。これは1994年の政治改革関連四法なり小選挙区比例代表並立制がまさに想定しただとはいえ、あまりにもドラスティックである。有権者は自らの一票で政治を自由に操れる、変えられるという醍醐味を今回の選挙で知ったことになる。従って、この次の選挙でも政治を変えようとするだろう。その証拠に、最近の世論調査では国民の7割近くが次は自民党に政権に戻ってほしいと答えている。


<次の選挙の自民党スローガンは「政権交代」>

「都市の有権者はすぐに批判勢力になる」という羽田さんの言葉が頭をよぎる。郵政民営化選挙でどっと自民党に流れ、今回どっと民主党に流れ、振り子の原理から言えばこの次はどっと自民党に流れることになる。高村正彦元外相は次の選挙における自民党のスローガンは「政権交代」だと言っている。まさにその通りである。

民主党は、少なくとも5・6年、できれば10年ぐらいは政権に居続けなければならない。308議席もあるので4年間やって解散するのがよいと思われている。途中で信を問うてもよいが、いずれにしても羽田さんの言うとおり、次の総選挙では再び民主党が勝たねばならない。民主党政権が一度だけでは駄目なのだ。

羽田さんがなぜ長期政権なり1度目の総選挙にこだわられるかは一目瞭然である。細川・羽田政権が8ヶ月と2ヶ月で計10ヶ月しか続かず、これがかえって自民党しか政権党はないという間違ったイメージを与えてしまったからである。羽田さんの胸には2度と同じ間違いはしたくないという強い思いがあるはずである。


<マニフェストの着実な実行が必須>

しかし、いかんせん日本人はせっかちである。政権が代わり新しい政策が実行されたら、もう半年後には景気が回復していて当然と思っている人たちもいる。1年ぐらい経ち、来年の参議院選挙の時に、なぁんだ民主党は政権獲ったけどたいしたことないじゃないかということを言われるのが心配である。そのためには政権奪取後、半年ないし1年が大切である。マニフェストで約束した政策をきちんと実行していくこと、あるいは霞ヶ関の官僚をどのようにリードしていくかということを国民は注視している。我々民主党は大勝利に浮かれることなく、地道に実績を挙げていくこと以外にない。


<鳩山長期安定政権しかない>

いずれにしても鳩山政権は長期安定政権になってもらわねばならない。ちょっとだけ、一度だけ民主党にやらせてみるのではない。日本の政治を変えるためには、民主党が貯めに貯めた政策を実行し、その間に自民党に再生してもらわないとならないのだ。

投稿者: しのはら孝

日時: 2009年9月15日 10:29