2010.06.14

外交安保

-普天間基地問題と北沢防衛大臣の功績- 10.5.31

※ 6月8日菅直人新総理が誕生し、翌6月9日に行なわれた副大臣指名で、農林水産副大臣を拝命しました。それ以前にブログの原稿は書いていましたが、鳩山総理の辞任・菅新総理の誕生・農水副大臣の就任に伴うドタバタでアップが大変遅れてしまい、読者の皆さんにはご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。遅ればせながら、原稿2本アップさせていただきます。


<東奔西走の激務防衛大臣>
 北沢防衛大臣は激務である。歴代防衛大臣の中でも、ここ数十年の間で最も忙しい大変な大臣になっている。
 5月21日(金)、帰長のあさま車中で久しぶりに同席し、諸々の懸案を話し合った。二人とも初めて招かれた土地家屋調査士会の会合に出席するため、私の場合はいつもよりずっと早い列車だった。
しかし、北沢大臣は翌22日(土)に官邸に呼び戻され、普天間基地問題の関係閣僚会合が開かれ、24日(月)にはゲーツ国防長官との日米合意の交渉のため急遽訪米した。
そこで、6月5日の韓国軍の哨戒艦沈没事件に関する日米韓3カ国の防衛大臣会合(シンガポール)も決められた。27日(木)には、28日(金)の普天間基地問題について安全保障委員会の審議に間に合わせるため帰国し、時差調整もつかない間に9時から14時までに4時間15分の集中審議である。
29日(土)に信濃教育会の会合での挨拶は風邪により声がつぶれていた。傍らでみていると、なんとか支えないとならないという気持ちがますます強まってくる。

<味のある北沢防衛大臣>
 09年9月16日の組閣の日には、防衛大臣にこれほど激しい仕事が待っているとは誰も予測できなかっただろう。ただ、正直な北沢さんは「国土交通大臣なら目をつぶっていてもできるものの、防衛大臣とは驚きだが、頑張ろう」とつぶやいていた。長野市長選も近づきつつあり、候補者の選定を急いでいたその矢先の防衛大臣指名であった。
 前原国土交通大臣は自他ともに認める防衛通である。北沢さんは国土交通政策に深く関わってきていた。そのことを考えると、前原防衛大臣、北沢国交大臣のほうがすっきりしそうだったが、私は今の配置はなかなか考えた人事だと思っている。前原さんは、言い出したら聞かず、閣内の乱れが生じてしまう恐れがあるが、老練な政治家の北沢さんは、鳩山首相、岡田外相、平野官房長官の調整なり、間をとってしかるべき方向に落ち着けるノウハウを持ち合わせているからだ。

<存在感ある重要閣僚>
 民主党政権の中で閣僚経験者は菅さん(厚相)、中井さん(法相)と亀井さん(建設相・運輸相)の3人だけ。他は皆新人初々しくていい面もあるが、よちよち歩きの新政権の脆さも露呈している。そうした中で安定感あふれる北沢防衛大臣の存在は貴重である。
 岡田外務大臣は、嘉手納への統合を言い出し、平野官房長官が慌ててあちこち候補地を口走り、北沢防衛大臣はじっと黙って落ち所を探り、今回の一応の解決である。

<沖縄への負担のつけ回しはやめるべし>
 私は、野党時代の6年間のうち3年間外務委員会に所属していた。2008年、外務委員会の視察で初めて普天間基地を訪問したが、あまりのひどさにびっくり仰天した。我々委員が説明を受けている間も軍用機が轟音を立てて離着陸を繰り返していた。ラムズフェルド元国防長官が、こんなに住宅地に近接した基地なり空港はないと厳しく指摘して帰ったというのもむべなるかな、である。多分、世界中に類例をみない危険な基地なのだろう。近隣の住民や沖縄県民はこうしたことにじっと耐えてきたのである。我々がこれ以上沖縄にだけ負担を強いられないのは自明の理である。
 しかし、内容については触れないが、手馴れた自民党政権が14年かかってのらりくらりしか進めなかったものを、不慣れな鳩山政権が8ヶ月で解決できるはずがなかったのだ。

<築き上げたゲーツ国防長官との信頼関係>
 そうした中、北沢防衛大臣はアメリカのゲーツ国防長官・ルース駐日大使との個人的信頼関係を着々と築き上げていった。2人とも大人の関係なのだ。
 日本の組織はボトムアップ(下から上にあげる)方式で動くが、欧米社会、特に外交は典型的なトップダウン方式で決まっていく。そういう時に重要なのは、トップ同士の信頼関係である。同じことを言っても、あの人の言うことだから信用できるが、あの人の場合はいまひとつ?というのは日本でも同じだが、恐ろしいことに2国間の重要課題も、トップ同士のそうした信頼関係や交渉で決まる。日本のように下のお膳立てですべて決まっていて、あとは儀式だけという仕組みはない。

<普天間問題で損する防衛大臣>
 そういう意味では、北沢防衛大臣は気付かれていないが、鳩山内閣のヒット人事だったのだ。防衛大臣が、あれこれご高説をたれたり原則論ばかり主張する者(野党に多くみられるタイプ)だったら、普天間問題はもっとグチャグチャになっていただろう。
 北沢防衛大臣のスタンスは、我が国の防衛にとって最善の途を探ることである。関係閣僚の中で最もアメリカ寄りとみられるのもしかたがあるまい。沖縄県の負担軽減は痛いほどわかっていても、防衛大臣としての立場を先に出さざるを得ない。

<長野県連が一丸となって取り組む北沢再選>
 2人区に2人擁立ということで、北沢大臣も選挙活動に没頭したいところだが、5月24日の訪米の後、6月4日からシンガポールであり、政務で時間がとられ、それどころではない。
 幸い2人といっても、どこの県も現職国会議員は現職候補(長野の場合は北沢大臣)を優先で、連合ももとから2人擁立の岐阜県を除けば、連合長野を例外としていずれも現職のみの推薦となっており、2人目は党本部主導で無党派層や野党支持層から得票するというように区分けがなされている。従って、我々民主党長野県連は一丸となって北沢大臣の4選に向けて邁進している。
留守を預かる我々は、北沢防衛大臣に新たに生じた韓国軍哨戒艦沈没事件に関するきな臭い問題に専心してもらうべく、気を引き締めているところである。  

投稿者: しのはら孝

日時: 2010年6月14日 15:49