2014.08.06

政治

民主党改革創生会議報告書の早期実現を急ぐべし ―足の引っ張り合いはやめ、政権奪還に向け再スタート― 14.08.06

 7月31日3時間に及ぶ両院議員懇談会が終了した。私は既に2回にわたり代表選の前倒しに反対の意見をブログで述べてきた。発言者の中では前倒しの賛成がやや多かった。海江田代表が続投を宣言し、いびつな代表選は行われないこととなった。国民からまた内紛かと蔑まれずにすみ正直ホッとしている。

<実質海江田降ろしの前倒し論の大合唱>
 115人と数少なくなった民主党議員にコップの中の争いをしているヒマはない。ごく少数の良識ある者から集団的自衛権についてのピシッとしない対応や今後の党改革の問題提起はあったが、次々と前倒し論ばかりが繰り広げられたのにはうんざりした。悲しいかな、民主党の未成熟さを象徴する会合となった。

 海江田代表の1年間の実績がめざましいとは言えないことは、本人も含めて誰しもが認めていた。だからといって、落第点で代表を辞任しろとまではっきりと言った者は1人もいなかった。端的に言ってスレスレの及第点いうことだろう。
 海江田代表が1年前に「目に見える成果」を出さなければ地位にしがみつくことはない、と宣言して続投したのだから、その言葉どおり一旦退き、また代表選に出ればよいというスッキリしない主張が繰り返された。

<まやかしの党活性化のための代表選>
 前倒し論の理由の大半は、今民主党は危機的状況にあり、これを打破するためには代表選をするしかないというものである。私はこれをかつての野田執行部の面々が声高に主張するのを、素直に聞くわけにはいかない。7月27日のブログで触れたとおり、私は全く同じことを12年9月の任期満了の代表選時に、相当汗をかいて主張した。ところが、折角国民が大きな関心をよせる、総理を決める代表選を党の再生のために全く活用しなかった。そればかりか、選挙戦としないように巧妙に邪魔をして、投票率を33%の低さに抑えた。その結果、15%に下がった民主党の支持率も20%スレスレの野田内閣の支持率も微動だにせず、年末の自爆解散、政権明け渡しへと転落していった。この詳細については、その時の一連のブログ「12年9/4・9/15・9/24」を参照されたい。

<任期途中の党員・サポーター代表選に賛成するも、前倒し代表選は絶対反対>
 私は何も言わないでおこうかと思ったが、やはりヘンテコリンな理屈に我慢できず最終場面で発言してしまった。「任期途中でも党員・サポーターを入れた代表選をできるようにするのは、私が1年手前の両院議員総会で提案したしたところであり大賛成するが、この時点での代表選前倒しは国民から足の引っ張り合いだと批判され、更に支持率を下げることは明らかであり絶対反対」と意見を述べた。
以下にその他気になった点をあげておく。

<誰も名乗りを挙げない代表選は説得力ゼロ>
 足の引っ張り合いや権力闘争は政界にはつきものである。しかし、引きずり降ろした後に代わるべき者が用意されているのが常であるが、それを海江田代表のここがおかしい、自分ならこうすると名乗りを上げる者が誰もいない。つまり難癖をつけているだけにすぎず、いくら代表選前倒しを叫んでも迫力を欠き、説得力はゼロである。

<いつも同じメンバーが○○降ろし>
 言っている本人も周りも気づいていないが、○○潰しや○○叩きにはいつも同じメンバーが関与している。花斉会(野田G)、凌雲会(前原G)、自誓会(細野G)の皆さんが前倒し論を述べた。民主党をいわば潰した野田執行部の人たちが今、海江田降ろしをしているにすぎない。前倒しを拒否する議員も国民もこの不条理をちゃんとお見通しである。

<野田執行部は現体制に注文つける資格なし>
  野田元首相は「前社長が現社長に露骨に言うのはよくない」などと格好つけているが、会社(民主党政権)を倒産させた者は完全引退(議員辞職)すべきで、もともと何も言う資格はない。もし罪の意識があるならば、負債を全面的に引き継ぎ悪戦苦闘している現社長に辞めろなどと言えるはずがない。野田執行部のメンバーにも反省の色が全くみられず、平然と海江田降ろしの合唱をしているのは、私には信じがたいことである。もう少し謙虚に考えてもらわないとならない。
 
<珍しく一致した岡田・篠原見解>
 7月31日には、ひな檀から手を挙げた岡田氏のドンデン返し発言には驚かされた。普通はひな壇の者は聞かれなければ発言しない。私のどぎつい発言の直後だったので、反論かと思いきや、全く違って、海江田代表の最終決断に従い、もう議論をやめようというものだった。私はすかさず賛意を表した。岡田氏と意見が一致するのは、本人同士(?)が認めるとおり、珍しいことであった。
 そういうことなら、何も代表選の前倒しなど常任幹事会で言い出さなくてもいいことになる。党と世間を騒がせ民主党の未熟さと内輪揉めという悪癖を天下に晒しただけとなった。

<改革創生会議の報告書の実現こそ重要事項>
 これより先、7月25日に、民主党改革創生会議の報告書がまとめられている。船橋洋一議長は記者会見で「代表の首を変えたら何とかなるということでは、民主党は創生も再生も再建もできない」と協調された。約2ヶ月の大急ぎのとりまとめであるが、個人的にも20数年前から知る船橋議長には、すべて速やかに実行すべしと注文をつけられている。
 後ろ向きの代表選前倒しの議論に3時間半も費やす必要はない。もし、侃々諤々の議論をするとしたら、この「民主党改革創生会議」の報告書の提言にどう取り組むかについてのことである。
 代表選前倒しの論議の中で唐突に主張された党員・サポーターによる代表選については、本提言にも盛り込まれている。さっさと党規約を改正すべきことは言うまでもない。この他に、代表選に予備選導入、シンクタンクの新設、統一地方選挙で県庁所在地の選挙区に女性候補の擁立等の具体的提言もあり、いずれも正当な手続きを経て実行に移していかなければならない。そうでなければ、暑い中汗をかいていただいた皆さんに申し訳が立たない。

<穏健中道の立ち位置の明確化>
 理念的なことでいえば、山口議長代行が記者会見で協調された「穏健中道」という民主党のアイデンティティーが重要であり、安倍政治に正面から対立してほしいと注文を付けている。つまり、野党民主党の立ち位置の明確化である。
我々はこの提言を真摯に受け止め、政権奪還に向けて再スタートを切らなければならない。

投稿者: しのはら孝

日時: 2014年8月 6日 16:39