2016.03.04

政治

3年かかった党名変更決定- 安倍政権打倒には野党大統合しか途はない -2016.03.04

<岡田代表の提案に珍しく(?)全面賛成>
 先週、民主と維新の合流話がやっと決着した。2月24日(水)民主党の臨時常任幹事会が開かれ、岡田代表から経緯が報告され、合流に向けてのスケジュールや基本的な考えが示された。もちろん異論を唱える者もいたが、北陸信越ブロックの幹事として参加していた私は、全面的に支持すると発言した。大体が岡田代表とは違う意見のほうが多いのに、一瞬珍しいこともあるなぁという雰囲気が漂った。後述するように私の長年の願いと一致していたからだ。
 ここまで来るのに鹿野道彦素交会会長、大畠章宏顧問以下、素交会が相当一丸となって陰で一連の動きをリードし支えたことだけを記しておきたい。我々は、水面下で地道に野党統合、名称変更に向けて工作してきており、やっとそれが実を結んだのだ。

<野党統合は必須>
 野党統合は、維新との統一会派から始まった。私は、1強の自民党に対抗するためには維新だけでは足りず、全野党一丸となって安倍自公政権に対峙していかなければならないと考えており、かなり前からその方向で動いてきた。例えばいわゆる海江田降ろしが一段落した後(2014年8月)、すぐに海江田代表に「野党結集を呼びかけるべきだ」と進言した。それを受けて海江田代表は、生活と社民と統合していくという私の進言とはちょっとはずれたことを言い出し、少々物議をかもした。その後、14年末選挙前にも野党統合して安倍政権に立ち向かったほうが、議席数を増加させるとペーパーを書いて一部の人に働きかけた。これが前原、松本、細野、長島の4人が海江田代表への野党統合要請の際に使われていたことを知った。
 私の思いは、野党第一党が全野党に分け隔てなく結集を呼びかけるということだった。それがやっと動き出したのだ。

<全野党統合と党名変更は一対>
 2月26日(金)、民主と維新の党首会談で7項目の確認事項が紙で示されて、新党に向け確実な一歩を踏み出した。しかし、2党だけでは国民にはアピールしない。野党の大半が結集する形にならなければならない。幸いにして国民もそれを望んでいる。野党共闘の声は永田町よりも「戦争をさせないママの会」等の市民団体が中心に叫ばれている。永田町の鈍い(?)政治家よりも一般市民のほうが感度もよく、政治状況がわかっているといえる。野党はこうした声に真摯に応えていかなければならない。ある新聞はやっと民維が民意を汲んだと皮肉りつつ歓迎した。
 岡田代表も松野代表も生活、社民等その他の野党や無所属に幅広く声をかけて、参集していくべきだといろいろな場で明言した。これに連動して後述する名称変更が必要となってくる。民主党は、3年3ヶ月のドジな政権運営の負の遺産から抜け出す道はこれ以外にない。新しいスタートは、新しい名前でないとならない。

<維新のための党名変更ではない>
 2012年末総選挙の大敗北を受けて、私が党名を変更して再スタートするしかない、と真っ先に提案した(「党名変更で国民に民主党の再生をアピール」2013年2月15日ブログ)。その後ずっと主張し続けてきた。そして3年が経ち、やっと多くの人たちが同じことを主張するようになった。それこそ長い道のりだった。
 ところが残念なことに、民主党離党者が半分も占める維新のために党名を変えるなどとんでもないと誤解をする人がいる。離党者に対してわだかまりがあるのはわからないでもないが、出て行かざるを得ないようなまずい運営をしたほうにこそ問題があったのだ。私はむしろ与党からの大量離党を招いた、野田執行部のマネージメントのまずさのほうがずっと罪は重いと考えている。
 安倍政権打倒という大儀に殉じ、かつての仲間割れは水に流してもらわなければならない。民主党以外から新党に加わる人にとっては「民主」の残骸が残るよりも、新しい名前の新党がいいに決まっている。大同団結の証として新しい党名が必要なのだ。未来に向けて新しい名前になるのである。民主党自身が生まれ変わったことを国民に示さなければ、低迷する党勢を回復することもできず、また政権交代の受け皿にもなれない。

<負の遺産の一掃のため「民主」の名は捨てる>
 正直なところ、もう一つ党名を変えなければならないやむをえない理由がある。全国各地で汗をかいている仲間が、民主党という名前だけで強烈な門前払いにあっている。衆議院小選挙区で直に有権者に接する民主党議員が等しく経験していることである。2015年春の統一地方選の際にも、多くの候補者がポスターに民主党の名前をなるべく小さくしたり、民主党とは一切言わないなど、苦労している者も多かった。負の遺産が重くのしかかっているのだ。この人たちを晴れ晴れと政治活動ができるようするためにも傷ついた党名はやはり捨て去るべきである。
 党の幹部は選挙基盤も安定しているし、あまり支持者訪問をしなくてもよくなっているので、その苦しみがわからない。また、参議院議員は有権者との接触の機会が少ないため、幹部と同様にあまりピンとこない。こうした人たちが、党名は民主党でいいじゃないかとか、変えるとしても略称「民主」になるような新党名にしないといけないと主張する。現場の苦しみがわからないのだ。

<生まれ変わったことをアピール>
 維新との統合だけでは、選挙目当てと烙印を押される。いくら全野党に結集を呼びかけたところで、なかなかスムーズに進まないとなると、また批判される。
 この一連の岡田代表のぐずぐずした対応と、野田政権時代と同様に一握りの者だけが、目立つポストに就き続けることへの反発から、岡田代表交代論が広がっていた。野党統合を進めろ、成就した暁には代表交代では、岡田代表が受け入れるわけがない。私は岡田交代論の鎮静化に動いたが、それでもまだくすぶっている。確かに民主党が新しく生まれ変わったことを世間に印象づけるには、3月27日の〇〇党結党大会に新代表を選出し、執行部を一新するのが筋である。厳しい眼を持った国民は、民主党を潰した野田政権の幹部に不快感を持っている。党内融和を図る観点からも岡田代表を除き全く新しい顔ぶれの新執行部とするのがベストである。但し、あまり波風を立てるのはよくないので、そこには自ずと妥協点が見いだせる。
 しかし、確認事項の6番目に、党員等を募集したうえで、参院選後に代表選を行うとされている。こんな時は国会議員だけで選べばいいのに、何という言訳かと思う。今回遅ればせながら汗をかき決断した岡田代表を、27日の党大会の選挙で粛々と選び、新生〇〇党をアピールすればよいだけなのに、それを避けていることが透けて見えてくる。こうした折にずっと役職をたらい回しにしたメリーゴーラウンド人事の悪癖がでてくる。
 私には民主党が変わったことをアピールするためにもっとどきつい腹案があるが、まだ伏せておく。

<理念・政策の完全一致は不可能>
 数合わせのための野合は望ましくない、まず理念・政策の一致が必要だ、とド正論が述べられる。民・維の確認事項でも「理念・政策の一致を前提に野党が結集する」としている。安保法では5党で廃止法を共同提出し、民維は周辺事態法改正法案等3法案を共同提出している。消費税についても軽減税率導入を前提とした2017年4月の引き上げは認められないと統一見解を発表している。また、原発再稼働でも今は反対で共同歩調をとっている。
 これに対してかなり隔たりがある政策もある。維新は行政改革、定数削減、企業団体献金の禁止にこだわりが強いが、民主党も同じ気持ちであり、要は程度の差である。私の大反対するTPPは維新の中の「元みんな」には、TPP推進という人が多い。しかし、多くの元民主党の維新議員にはTPPへの反対の声が多い。ヒラリー・クリントンや民主党と同じく安倍政権の下、甘利担当相が、やみくもに妥協した結果がよくないということでまとめればいい。
 これに生活、社民が加わると更に複雑になっていく。しかし、すべての理念・政策が一致する政治家などおるまい。皆それぞれ異なる考え方をしており、それを一つにまとめていくのが政党である。綱領は一致できる単純明快なものでも十分である。私はこの際多少の政策の違いには目をつぶり、大同団結していくしかないと思っている。まずは一つになることである。衆院で93人、参院も含めると156人、ここに他の野党・無所属が合流すると200人弱のグループとなり、やっと政権交代の受け皿ができあがる。

投稿者: しのはら孝

日時: 2016年3月 4日 10:51