2016.09.10

国会での活動

民進党初の代表選ー前原代表で政権奪還を目指すー16.9.10

 民進党初の代表選が9月2日告示された。9月15日投開票である。

<政策の完璧に合う人はいない>
 野党共闘のときもそうだが、政策が一致しないといけないとか、綱領が違うのでダメだとか、よく言われる。それを代表選に当てはめると、なかなか候補者は探せない。
 例えば私は、TPPは絶対反対、原発も福島第一原発事故のずっと前から事故の発生を予想し、原発を敵対視していたし、憲法9条もむしろ絶対に海外に自衛隊など派遣してはならないと改正すべし等の考えを持っている。こんなどぎつい政策にすべて賛意を表してくれる者は、阿部知子ぐらいである。
 同じ党でも政策がすべて一致する人などいない。その前に、今の3人の候補は一応、今のTPPには皆反対、原発は黙して語らず、憲法改正は9条はともかく議論はしていく、とほとんど変わりはなく、熾烈な論戦は行われていない。だから、とりあえず政策の違いに目をつぶらなければ代表選などやっていられない。

<今回の代表選の考慮事項>
 代表選を巡って私はブログを書いていない。正直すぎる過激すぎる長野駅前限定の街宣ビラは二度ほど配布しているが、ブログ・メルマガは控えてきた。しかし、投票日が近づいてきたので、私の考えを明らかにしなければならない。
 第1に、新生民進党にふさわしい新鮮味のある人でなければならない。増子輝彦参議院議員がいち早く「当選5回以上の衆議院議員」と条件をつけたが、誰もが納得する。第2に、第1の具体化で、3年3ヶ月の政権運営の失敗という負の遺産を背負った者は好ましくない。第3に、これまた第1、第2の延長線上にあるが、今の執行部を一新できる者でなければならない。第4に、これだけガタついた民進党をまとめあげていく力量のある者が望ましい。つまり、経験豊富な政治家が必要なのだ。第5に、やはり世間に向けて政権交代に向けて発信のできる者でなければならない。
 ところが、これまた全てを兼ね備えた者は見当たらない。例えば、第1の新鮮味を重視しすぎると第4の経験豊富と矛盾してくる。だから、結局は何を重視して選ぶかで考えていくしかない。

<政権奪還のための戦闘集団へ更生させる>
 蓮舫VS前原誠司VS玉木雄一郎(最後まで推薦人集めをし20人に達した)の三つ巴の戦いとなった。私は上記の条件をいろいろ考慮し、いろいろな経緯から前原の推薦人になっている。というよりも相当主体的に前原擁立に動いたといってよい。前原はTPPに賛成していたし、いろいろ考え方が違うのに、なぜ推薦人になったのか、というお叱りのメールや電話をいただいている。
 当初は、代表選は行われず、蓮舫独走で無投票という雲行きであった。私は代表選のようなものは嫌いだが、全く逆に代表選をやらずにだらだらと代表が決まるというのはよくないと常々思っていた。特に今の執行部はよく批判の対象となっているが、民主党政権時代と同じ、例のメリーゴーランド人事よろしく、同じ顔ぶれが同じような役に就き、相変わらずの党運営を進めている。こうしたことが続くことは絶対に党のためにも国民のためにもならない。
 今の執行部は、かつての社会党・社民党化している面もみられ、なんとしても政権交代を果たそうという気概が見られなくなっている。自分達が幹部としてそこそこのサイズの野党を牛耳っていけば選挙も安泰、と今の立場に安住してしまっているのだ。私は、ここにこそ、重大な危機感を抱いている。従って今回の代表選は、民主党政権を潰した時のままの今の執行部を一掃し、再び政権奪還に立ち向かう戦闘集団として更生させなければならないというのが出発点である。
 上記の条件でいえば、第3、第4、第5、中でも第4を重視したということになる。

<ニュー前原>
 女性ブームの中、蓮舫の当選の可能性は高い。私も、蓮舫が現執行部と袂を分かち、民進党の再興に全力を尽くすと言うなら一考の余地があった。しかし、民主党を崩壊させた野田元首相他現執行部の姿がちらちらと見える。つまり、蓮舫代表は傀儡にしかならない。蓮舫の有利が報じられる中、チャレンジできるのは前原ぐらいしかいない。
 私は用もないのに酒を飲んだりだべったりといった付き合いはあまりしないので、正直前原とは偽メール事件以来10年、まとまった話はしてこなかった。ところが、私が京都大学の縮小社会研究会の講演で招かれた折に、声をかけたことがきっかけで、昨年の秋頃から交流が再開した。10年ぶりの前原は生意気さばかり目立った当時とは違ってきていた。言ってみれば「ニュー前原」であった。
 2005年、郵政解散の選挙で敗北した岡田代表辞任を受けて行われた代表選で、前原が立候補し、私は推薦人の依頼を受けていたが、「今は早すぎるし失敗する」「10年後に昇り調子のときの代表がふさわしい」と立候補にも反対し、推薦人にならなかった。私の懸念したとおり、上述の偽メール事件で7カ月で辞任に追い込まれた。その時に、10年後の再起を目指せとエールを送ったが、早いものであれから10年経ってしまった(しのはらブログ: 06.4.3『前原代表に10年後の再起を期す』、08.6.17『前原前代表の民主農政批判への反論』、08.8.9『前原問題でもグッとくる応援のお手紙』)。

<幹部で初めての本格的お詫び>
 民主党を潰したのははしゃぎまくった現執行部の人達だ。偽メール事件当時は前原が代表であったが、事件の主犯は野田国対委員長だった。また2012年解散総選挙の惨敗は野田首相がやらかしたことである。そうした意味では重大戦犯は野田であるが、その時執行部に常にいた前原も戦犯であり同罪である。まずはお詫びすることから始めなければならないが、当時の執行部はほとんど国民にお詫びをしていない。あれだけ期待されたのに見事に失敗し、そのトップ達がほとんど反省の色を示していないのは問題である。そのような中、前原は自分が戦犯であること、そして反省を最初に口にした。遅きに失した感があるが、これだけ国民に見放され、選挙で負け続けたのであり、当然のことである。
 前原は、出馬会見等でこの戦犯というフレーズを何度も使った。こうした前原の謙虚な姿勢を評価し、我々素交会のグループから6人もの推薦人を出している。前原が代表を務める凌雲会は、新聞報道では25人とかいわれているが、実際はずっと少なく、凌雲会からは7人しか推薦人になっていない。また、長島昭久の国軸の会から3人、旧維新5人というくらいで、その他3人で24人になっている。
 前原はこの10年間、相当艱難辛苦乗り越えてきており、民主党を壊した経験者が反省の上に立ち、失敗を糧にして民進党を立て直してもらわなければならないと思っている。

<もともと嫌いな代表選>
 振り返ってみると13年間の中で、民主党時代から数えて何と10回目の代表選だが、最初の5回は全くタッチしていない。しかし、最近の4回は擁立に動き回ったり、推薦人となったりしている。
 衆議院議員になりたての頃、議員会館の隣の部屋に河村たかし(現名古屋市長)がいて、いつも代表選に出たがっていた。推薦人が集まらず困っていたので、「一度でいいから河村たかしを代表選に出馬する機会を与える会」の会長だとか言っていたぐらいだった。当時は菅グループ(国のかたち)にも所属していたが、一度も代表選の推薦人になったことも事務局入りしたこともなかった。代表選に冷や水をかけるようだが、私はもともと内輪で争う代表選などは嫌いだからだ。

<ズルズルと代表選に絡む>
 突然代表選に絡み出したのは、2011年の9月からである。当時、このままいくと組織の経験がなく、党運営や政権運営があまり得意ではない未熟な政治家に民主党を潰される、という危機感から、鹿野道彦農水相を代表選に引っ張り出した。ところがなかなか理解していただけず、野田政権が誕生してしまった。心配した通り、民主党は彼らに潰されてしまった。
 野田自爆解散による大敗北後の2012年12月26日の代表選は、私はきちんと党員・サポーターも含めて代表選挙をすべきだと訴えたが、国会議員だけの投票となり、海江田万里に決まった。海江田落選後の2014年12月は、私の名前が出かかったが、突然出馬したいと言い出した長妻昭にさっさと譲った後、長妻の推薦人になっている。今回の玉木雄一郎の出馬への執念と比べると何とあっさりしているのかと思われるが、羽田孜元総理に説得され、受け身で政界入りした者と若くして政界に飛び込んだ野心家との違いである。(14.12.27『民主党代表選に名前が現れた理由』)

<人気で選ばれる党首は?>
 こんなことを言っては何だが、47歳、48歳、54歳というのは正直あまり好ましくない年齢構成だと思っている。なぜならば、民進党に一番求められているのは落ち着きであり信用なのだ。もう少し老長けた、もののわかった人が代表にならないと党をまとめられないと懸念している。ただ、民進党にそうした政治家が本当にいなくなってしまった。ちなみに私が47、48才の頃は、水産庁企画課長として海洋法条約の批准と200海里の設定、海洋資源の保存管理制度の法制化に取り組んでいた。そして国会議員になったのは、55才の時である。そこからすると、3人ともはっきり言ってまだまだ未熟な政治家でしかない。
 私は、代表選を開かれたものにするとか、党員の声を聞くといいつつ、結局人気者しかなれない今の仕組みはあまりよくないと思っている。例えば、今の世の中では鈴木善幸、竹下登のような地味な政治家は総理総裁にはなれないということになる。その意味で政治家だけで、きちんとした人を選ぶということは、一つのやり方ではないかと思っている。そうでないと、いつも選挙の顔ばかりを強調した顔ぶれにしかならない。そうした中、7年の玉木、13年の蓮舫と比べ、23年間も政治家をしている前原が一番ましだというのが私の結論である。

投稿者: しのはら孝

日時: 2016年9月10日 15:37