2017.01.01

環境

平成29年 地元各紙新年号への寄稿文 -16.01.01

各紙新年号への寄稿 『TPPとパリ協定の矛盾(北信ローカル様)』、『地方創生は地元の再発見から(長野経済新聞様)』、『TPPよりパリ協定(長野建設新聞様)』 を以下に掲載します。

『TPPとパリ協定の矛盾』 北信ローカル様(元旦号)
 
昨年秋の臨時国会はTPP国会と呼ばれた。一部の人は気が付いたと思われるが、もう一つ世界196ヶ国が参加した画期的なパリ協定も承認された。
 TPPはいつの間にか、何一つ具体策のないアベノミクスの三本目の矢(経済政策)の目玉にされてしまった。安倍総理はTPPは低迷を続ける日本経済を活性化させる原動力になり、GDPを500兆円から600兆円に増やす、と怪気炎を上げている。
ところが、パリ協定は真逆の方向のものである。このままいくと2100年までに地球の平均気温が2℃上昇し、気候が大きく狂い、地球に大混乱をもたらす。地球の温暖化防止のため炭酸ガス(CO2)の排出量を抑えなければならず、経済成長よりも地球生命全体の危機を救うことを優先しなければならない、という気高いものである。今よりも、お金よりも、将来世代のことを考えたものである。
 それに対して、TPPは20世紀型で、貿易量を増やし経済活動を活発化し、12ヶ国をもっともっと豊かにしようというものである。今だけ、金だけ、自分だけのものである。おまけに、日本社会の仕組みをアメリカ型に変える道具にされるおそれがある。
 世界に責任を持つ日本はどちらの方向を向くか分水嶺に立っている。国際的信用を維持し、日本国民の幸せを願うならば、日本は明らかに21世紀型の政策を選択すべきである。


『地方創生は地元の再発見から』 長野経済新聞様・建設タイムズ様(新春特集号・合併号)

 安倍政権のキャッチフレーズは次々と変わり、今何が目玉なのかわからなくなっている。そうした中、地方創生は担当大臣もいて、今も重点の一つのまま残っている。
 高度経済成長時代は、地方の活性化といえば落下傘企業に頼ることであった。全国各地の市町村が税制上の優遇措置も講ずるなど、工場誘致に血眼になった。今も各地に工場が建てられることがなかった工業団地の残骸がみられる。その代表が今や誰も触れなくなった苫小牧東工業団地(埋立地)だろう。
 ところが、今せっかく誘致した企業も、さらに安い人権費を求めて東南アジアや中国に移転してしまった。そして、今やっと地域に内在する、もとからあるもの(資源)に目が向けられるようになった。その一つが里山である。当代の人気評論家藻谷浩介が、そのものずばりの「里山資本主義の勧め」で身近な資源の有効活用を推奨している。他国に頼るTPPとは全く別の方向である。
 具体的な例を一つ上げるとしたら、間伐材の熱資源としての活用である。
 週末支持者訪問していると、庭先にきれいに積まれた薪を見ることが多くなった。私は嬉しくなって、どなたの趣味でこういうことされているんですか、と必ず尋ねることにしている。りんごや桃の畑を改植や廃園に伴って出てきた薪が多いが、遠い山から調達したものもある。前者はまさにエネルギーの地産地消だが、後者は薪の輸送によるCO2の排出を考えたらあまり賢いこととはいえまい。
近くの山々にいわゆる「切り捨て間伐」の木が眠っているはずである。地球環境に優しい生き方を実践しようと、信州材を使ったログハウスに住み、暖房は薪で賄っている者に、この木を使ってもらうことを考えたらよい。山林所有者にしても、扱いに困っているのだから、週末にサラリーマンが薪を求めて処分してくれるなら大歓迎であろう。省エネになり、山もきれいになり、何年か後の伐採の時もスムーズに搬出できる。やるべきことは行政なり森林組合のマッチングだけである。
 地方活性化は、小さなことから始まる。


『TPPよりパリ協定』 長野建設新聞様(新年号)

 私は過去数年、反TPPで活動を続けてきた。胸には"NO TPP"バッジ、ネクタイのデザインは"STOP TPP"と二つのグッズで武装して国会活動を続けてきた。つい最近まで知らなかったが、「歩く反TPP」という名誉あるあだ名で呼ばれていた。しかし多勢に無勢、秋の臨時国会で無惨にも承認されてしまった。
その一方でアメリカでは大統領就任の日にTPPから離脱する、と公言してきたトランプ大統領は誕生することになった。つまり発効の見込みがないのに日本がマレーシアについて承認し、国内法は真っ先に成立させている。ところが、アメリカのお蔭というよりトランプ新大統領のお蔭でSTOP TPPは実現した。
 私は国会議員になる前から、ずっと成長一辺倒の考え方に疑問を持ち続けてきた。同じ臨時国会で承認されたパリ協定は、炭酸ガスが増えてきて地球が温暖化していることから、成長を抑えてまで地球の環境を守ろうという高邁なものである。ところが日本はパリ協定の発効日前に承認できず、発効の見込みのないTPPの承認を急いだ。世界の環境団体からひんしゅくを買っている。米中が今手を握って、「責任ある大国」を目指しているというのに、日本は「今だけ、金だけ、自分だけ」と突っ走っている。このあたりで立ち止まりもっと謙虚にて生きていくべきではなかろうか。

投稿者: しのはら孝

日時: 2017年1月 1日 10:00