2017.01.12

政治

「丁酉」の年は大きな変化の年 -政界再編により安倍政権が終焉を告げるか- 17.01.12

<"NO TPP"バッジと"STOP TPP"ネクタイ>
 私の政治生活は2003年11月から14年目に入った。この間いろいろなことをしてきたが、2010年秋以降はTPPの粉砕が一つの政治目標だった。それが、今のところ思いがけない形でほぼ実現されようとしている。私は、2013年の春、山口県の参議院補欠選挙に出馬した平岡秀夫の応援に行った際に山口県農協中央会作成の"STOP TPP"ネクタイを購入して以来、お葬式以外ずっと"STOP TPP"ネクタイを締め続けてきた。それより前2012年、韓米FTA調査団長として訪韓した時に"NO FTA"バッジを見てから、日本でも"NO TPP"バッジを作り、ずっと胸につけてきた。こうして、私は首と胸でTPP反対を二重に武装して政治活動をしてきたことになる。この結果、別稿で触れたが「歩く反TPP」という渾名を頂戴することになった。

<1月20日は武装解除の日>
 実は、11月21日にトランプ大統領予定者がビデオメッセージで、「公約どおり大統領就任の日にTPP離脱を宣言する」と公言した時に、ネクタイもバッジも外そうとした。ところが妻に「安倍総理がトランプ大統領を説得する努力を続けると言っているから、まだわからないんじゃない」と口を挟まれた(というかハッパをかけられた)ので、続けることにした。かれこれ4年近く他のネクタイを全くしていないので、1月20日の武装解除の日が待ち遠しいかぎりである。

<「丁酉」の年は動乱の年>
 日本の政治を変えないとならない、とは政治家のよく吐くセリフである。私もその一人だ。今は安倍政治を変えなければならない。なぜか。あまりにも荒っぽいからである。今年の干支は丁酉。識者に言わせると「丁」は下から突き上げがある年、「酉」は騒ぎの多い年という。12年前の2005年は、小泉郵政解散、その12年前の1993年は55年体制が崩れ細川政権が誕生している。つまり動乱の年ということになる。
 その兆しは秋の臨時国会の終盤のカジノ法案の採決にもみられる。公明党の幹部(山口代表、井上幹事長、大口国対委員長等)と心ある議員が、連立与党であるにもかかわらず珍しく反対したことである。多分はじめてのことである。

<立派な公明党と堕落する自民党>
 真面目な創価学会の婦人部がバクチ法案を許すはずがない。政治家は支持者なり国民の声を汲んで行動しなければならず、反対は当然のことである。そうした点では与党自民党も賛成した3分の2の公明党議員も政治の王道をはずれ、迷走しているとしか言いようがない。
 TPPでは、自民党議員たった1人しか造反しなかった、全く情けない話である。大半が農政連の推薦を受け、6割以上は農業団体とTPPは反対するという政策協定に署名して当選してきており、重大な契約違反である。アメリカでは次の選挙で必ず厳しい洗礼を受ける。

<党議拘束はなくすべき>
 アメリカには100紙ほど大きな新聞があるが、全国紙ではなくいずれも地方紙である。いってみれば、全紙が信濃毎日新聞と同じ性格を有している。例えば、ワシントン州のシアトルタイムズは選挙前にはワシントン州選出の上・下院議員緒法案の賛否を詳しい表にして報道する。有権者はそれを見て自分達との約束を果たす採決をしているかどうかを見極める。そして投票するかしないかを決める。
 アメリカには党議拘束がない。だから民主党のオバマ大統領がTPPを自らの遺産にしたいというのに民主党の大半が反対し、共和党が賛成するという、ねじれが生じる。つまり、国会議員は党でなく投票してくれた有権者との契約こそ政治活動の軸となっているのだ。
 日本では党議拘束が有り、党が賛否を決めるので個人の名はほとんど出てこない。その点、公明党がカジノ法案を自主投票、すなわち党議拘束を外したのは異例のことである。こうなるとアメリカ同様に新聞では個々人の賛否が一覧表で報道された。

<恐怖心がはびこる安倍・ジョンウン体制>
 日本の政治家は自らの意思を明確にして政治活動をすべきである。ところが、自民党はほぼそれが許されなくなっている。官房副長官や幹事長として小泉政権を間近に見た安倍総理には、小泉郵政選挙における造反組に対する酷い仕打ちをよく覚えている。造反したら大臣や委員長になれないばかりではない。自民党から除名(除籍)され、刺客を送り込まれるかもしれない。つまり現状の小選挙区制度の下では党幹部が議員の生殺与奪をすべて掌握しているのであり、自民党議員は沈黙せざるをえない。だから、これを私はキム・ジョンウン体制ならぬ、安倍・ジョンウン体制と呼ぶ。

<自らの任期を延長する独裁国家日本>
 かつての自民党には与党としての自制が働いた。与党議員としての矜持もあった。しかし、それも今や昔のことになりつつある。民進党もだらしないことは恥ずべきだが、与党自民党も腐敗体質が漂い始めている。
 自民党総裁の任期は2期6年と決まっていたが、それを3期9年まで延長した。周りは媚安倍なり、総ごますり化している。あの強引なプーチンでさえ、大統領を2000~08年までの2期務めた後、一旦退き、4年間メドベージェフにやらせた後2012年に再び大統領になっている。一旦決められたルールは守っているのだ。それを自ら権力者の地位にありながら、その権力を握る期間を自ら延ばすという悪事をしだしたのである。これを独裁国家といわず何をいうのであろうか。

<決め方が杜撰で強引な民進党>
 民進はバラバラでまとまりがないと批判される。一面事実である。しかし、同じ政党の国会議員がすべて意見や政策が一致することなどありえない。むしろ、それはかえって不自然である。ただ異なる意見を乗り越えて融和を図っていく必要がある。民進党の問題は、いつも決定プロセスが不明確で強引なことである。だから、何を決めても不満が残る。
 きちんと決め、それに従わない者は厳しく処分すべきなのだ。私の自らの体験では、北澤俊美総合安全保障調査会長がまとめた、安全保障についての取りまとめは見事だったが、他はどうもビシッとしない。だから、TPPは見通しを誤り、原発廃止は決められないでいる。

<カジノ法案は悪例>
 その最たる悪例は、今回のカジノ法案に対する態度決定である。私は、大体は主要な意思決定の場に参加しているが、今回だけは他の業務が重なり議論の場にも参加出来なかった。何と衆議院の採決前に態度を決定できず、終わってからやっと反対をまとめるという失態を演じた。見苦しい限りである。そこに参議院の採決容認、修正可決で衆議院への差し戻しという、国民にはよくわからない対応が続いた。これでは多くの国民が民進党は賛成した、と誤解してもしかたあるまい。
 榛葉参議院国対委員長の責任が問われているが、ビシッと態度を決めきれない我が党全体の問題である。

<民進党は公明党とこそ政策が一致する>
 一足飛びに飛ぶが、民進党を政策が最も合致するのは平和と福祉の党公明党である。来るべき衆議院選挙に向けて共産党を含めた野党共闘ばかりが取り沙汰されているが、公明党を忘れてはならない。もっと言えば、苛々し、悶々としている自民党議員もいるはずである。強引すぎる安倍・ジョンウン体制の下、政界再編の時を迎えている。
 そんなことをいっても与党に安住した自民党議員が動くはずがないとか、与党の味を知った公明党は絶対に自民党との連立を解消しないとよく言われる。しかし、自民党と維新の党はお互いにすり寄り始めており、政界はちょっとしたことで揺れ動いていく可能性もある。
 私はそういう機会を見逃さず、政治をしかるべき方向に戻してしまいたいと考えている。来年の1月には、してやったりという年初ブログを書ければというのが私の初夢である。

投稿者: しのはら孝

日時: 2017年1月12日 09:30