2020.04.01

環境

【環境委員会質問2】経済編重が日本の成長の阻害要因 ‐世界は脱炭素、気候変動防止で動いている‐ 20.04.01

 2つ目の大きなテーマとして小泉環境大臣がマドリードで世界から批判された石炭火力発電(以下「石炭火力」)についてやりとりした

<原発にも石炭火力にもこだわる愚かな日本>
 父小泉元首相は原発に絶対反対しているが、石炭火力は原発よりも更にひどいかもしれない。原発は日本では新規増設が認められないのに、原子力協定を作り海外に輸出しようとしたが、どこでも建設されず失敗している(私は、ヨルダン、ベトナム、インド等との原子力協定にも、党の方針に造反して反対し、全ての党役職停止という処分も受けている)。
 世界のG7国で石炭火力を造っているのは日本だけだ。日本は原発も石炭火力も止まったら電力がなくなると言うけれども、ドイツをはじめEU諸国は脱原発と脱炭素を両立している。今や原発と同じように、もう石炭火力もやめるべきではないかと問い質した。小泉大臣はマドリードのCOP25では石炭火力で総攻撃を受けたためか、帰国後に石炭火力輸出の四条件を見直し、なるべく輸出しないようにする、と方針変更に意欲を示した。

<日本の足枷は、経済成長にこだわる者>
 2019年11月、私は日・EU議員交流でフランスのストラスブルグに出張した折、EUの政治がまさに環境に動いていることを目の当たりにした。フォンデアライエン新委員長(初の女性)が決まり、100日以内に欧州New Green Dealを出し、脱炭素社会に向けてEUを引っ張っていくことを明らかにしている。
 それに対し、安倍首相は日本が世界で一番ビジネスのしやすい国にするといい、自分がそれを妨げる岩盤を打ち砕くドリルになるなどと、時代遅れのことを言っている。いつまで経ってもグレタさんのいう、お金、経済成長、ばかりを追い求める経済大国でしかない。このため新型コロナウイルス対策にしても、台湾がきっぱりと中国との行き来を制限したのに、日本は中国からの部品の輸出ストップを恐れて水際対策を怠り、ウイルスの侵入・蔓延を許してしまっている。日本の岩盤は、いまだ経済ばかりにこだわる者、すなわちクラスター(?)だという皮肉に気付いていない。だから、日本はCOPの度に世界の環境NGOから「化石賞」を受賞している。

<石炭中毒の批判は当然>
 世界は日本を厳しく見ている。グテーレス国連事務総長は『日本は石炭中毒』と名指しで批判し、国連環境計画も石炭火力をやめる工程表を作れと言っている。小泉大臣こそこのような国際世論に間近に接したのであり、大臣として改革を行うべきではないかと問い質した。マイボトル・コーヒーを委員会に持ち込むとか、育休を取るとか、環境政策以外で話題を集めているが、もっと本業できちんと世界に向けて発信していくべきであり、小泉大臣には十分可能なことだ。
石炭火力では日本は本当に恥ずかしい限りである。イギリスは2025年、カナダ30年、フランス21年、そしてドイツも38年までに全ての石炭火力をやめることにしている。それを日本はこれから22基も造ると言っているのだ。石炭火力輸出の四条件というのも振るっていて、相手国のエネルギー政策や気候変動政策と整合的ならばよいとか、エネルギー安全保障を経済性の観点から石炭火力を選択せざるを得ない国ならいいとか、それこそ適当な条件でしかない。
 小泉大臣は所信で環境先進国日本の復権を宣言している。それだったら日本は原発も石炭火力も両方とも造らず輸出せず、その代わりに例えばCO2を出さない技術とか、他の国でまだ整っていないゴミの分別収集システムなど環境技術の輸出をすればよい。日本は他の分野でいくらでも世界に貢献できるのだ。

<ゼロ・カーボン・シティー宣言を>
 これに続いて凝った表を作って質問した。(別表参照)200310環境委 質疑資料 2枚目「環境委員会関係議員の地元事情」.pdf
これには小泉大臣に対する嫌味の警鐘も含まれている。
 世界各国は環境に向けて一斉に走り出しており、国も地方自治体もこぞって2つの宣言、ゼロ・エミュッション宣言と気候変動非常事態宣言をしている。
 日本でもゼロ・カーボン・シティー宣言は16都市、73自治体が行っている。それに対し、気候変動非常事態宣言は神奈川と長野の2県と6市町村だけである。我が長野県は両方ともしている。なぜなら長野県は台風19号の水害を被っており、この原因のひとつが気候変動だとわかっているからだ。
 私はこれを皆さんに知らせるために、環境委員がかつて何回(何年)同委員会に在籍していたか、委員のそれぞれの地元にゼロ・カーボン・シティー宣言や気候変動非常事態宣言をしている市町村がどれだけあるのかを一覧表にした(別紙)。次に一番の眼目だけれども右端の備考欄に、それぞれの選挙区の原発や石炭火力を特記した。これにより、小泉大臣の選挙区・横須賀市では大きな石炭火力が建設中であることを浮かび上がらせた。このことも小泉大臣が国連総会やマドリードのCOP25で攻められる理由の一つになっている。環境大臣としてまず足元から身をきれいにするために、石炭火力をやめていくべきだということを、少々手の込んだ表でやんわりと示した。

<政務三役は全員環境委未経験>
 環境委員が、環境委員会に何年(何回)所属したのかをみると、近藤昭一(立民)の13回がダントツで、次が江田康幸(公明)、6回が自民党が2人、そして与党・筆頭理事の伊藤信太郎と私の5回が続いている。驚いたことに小泉大臣以下副大臣2人、政務官2人、誰も環境委員会に1度も所属したことがないことが判明した。私は何もこんなことをあぶり出すために表を作ったわけではないが、安倍政権が環境をいかに軽視しているかの証左である。

<環境大臣を首相への登竜門に>。
 38歳の最年少閣僚の将来に期待して、小泉大臣に立派な大臣になってもらい環境行政を引っ張ってもらうために、得意のヨイショ(兼釘刺し、実はこっちが主目的)を続けた。ドイツのメルケル首相は1994年第5次コール政権で40歳にして環境大臣に抜擢され、コールのお嬢さんと呼ばれていた。4~5年やり、COP3京都会議にも来ており、最後には首相に登りつめた。そして今やコール長期政権を凌ぐ、16年目の超長期政権を維持している。小泉大臣も志願して環境大臣を長くやるべきではないか、と注文した。次は強烈なお世辞と大きな期待。石原副大臣のお兄さん(伸晃元環境大臣)にも言ったが、『環境大臣に就いてからでなければ総理になれない』というコースを作ってほしい、と励ました。

<選挙に強い政治家だから思い切ったことができる>
 次に、新型コロナ対策の会議をすっぽかして地元の後援会の新年会に行っていたことを厳重注意した。小泉大臣は日本で最も選挙に強いといわれている政治家ではないか(実際は得票率で小野寺元防衛相、石破元防衛相・農相の次で3番目)。昔は大臣になったらめったに地元に帰れず、帰省時は「お国入り」とさえ呼ばれていた。育休で子どもの世話をするのは大いに結構、ついでに奥さんと一緒に過ごすのもいい。政治家にはユーモアが必要だし趣味の寄席に行ってもよい。しかし、圧倒的に公務を重視するべきである。横須賀市や三浦市にゼロ・エミッション宣言をさせるために帰るのであればいいけれど、と嫌味を続けた。選挙に滅法強いのだから環境政策で有権者に多少嫌われても、何でも思い切ったことができる。頑張って環境行政を牽引し、総理になってほしいと再度激励し質問を終えた

投稿者: 管理者

日時: 2020年4月 1日 17:34