2022.04.25

環境

真面目な日本人はルールを守り外来種を駆除する - タカ派・防衛族も北米原産の外来種の侵略を許すな - 22.04.25

 私は1日でも早く日本の在来種の危機、ひいては絶滅を食い止めるため、もっとビシバシと規制をしていくべきだ、と環境委員会(4/22)で45分にわたって質問・提案をした。今回は質問の資料とともに一部を紹介・報告する。

<憎き帰化植物セイタカアワダチソウ>
 外来種(昔は帰化植物と言っていたが)といってすぐに思い出すのは、私の場合はセイタカアワダチソウである。秋に道路端に咲き、最後は黒ずんでくる。1960年代までは春になると北信州の平地だけでなく山麓は菜の花で真っ黄色になり、それは美しかった。高野辰之の美しい歌詞「菜の花畠に入日薄れ、見渡す山の端霞深し」(朧月夜)に謳われている。小学校では春には必ず写生会が開かれ、田んぼを埋め尽くすレンゲ(水田酪農が推奨されていた)のピンク色、空の青色と白色、一斉に芽吹き始めた山々の草木の緑色とともに黄色のクレヨンと絵の具の消費量が増えたものだ。ところが、農産物の自由化で油の原料の大豆・菜種は瞬く間にアメリカ・カナダ産に、飼料も自給せずに輸入飼料穀物にとって替わり、日本の農村から菜の花は姿を消した。別にセイタカアワダチソウは直接的な原因ではないが、私は美しい春の花のライバル(?)に苦々しい思いであった。

<生物多様性条約をキッカケに外来種の駆除が始まる>
 1992年生物多様性条約採決、侵略的外来種のリスクを指摘。2002年第6回気候変動枠組条約締約国会議で「生態系・生息地・種を脅かす外来種の予防・導入・影響緩和のための指針原則」を採択。こうした国際的流れに合わせ、2004年我が国でも外来生物法が成立。こうして初めて今まで放置されてきた帰化生物を駆除していく途が開かれた(別紙「外来種対応年表」.pdf)。
 外来生物法は、明治以降に侵入した種を特定対策生物と指定している。それに対して、日本と同じ島国のNZは、1998年以前にNZに存在しなかった種を外来生物として規制している。オーストラリアと同じく固有種が多いからだ。アメリカは、1981年に似たような法律を制定しているが、もともと国民自体が移民中心の国だからなのか、あまり気にしていない(別紙「主要国の外来種対策の概要」.pdf)。

<野外放出を恐れ家庭飼育を容認する軟弱な環境行政の尻を叩く>
 今回外来生物法が改正される。人を殺す恐れもあるヒアリの侵入防止。そして、広く飼育されて手の付けられないアメリカザリガニ(寿命4~5年、65万世帯が540万個体を飼育)、アカミミガメ(寿命20~30年、110万世帯が160万匹を飼育、野外生息930万匹)について、輸入・販売・譲渡は禁止するが、一般家庭の飼育は野外への放出を防ぐために継続して飼育していいことになった。

<アレチウリに覆い尽くされた河川敷は悲劇である>
 私は2008年の夏、犀川河川敷のアレチウリ駆除活動に参加した。一面アレチウリで覆い尽くされた河川敷は見苦しいだけではなく哀れであった(別紙1写真.pdf)。私は久しぶりに草刈り鎌で力を込めて刈り払った。長野県では年間約2万5千人が参加している。しかし、一向に減る気配がない。セイタカアワダチソウと同じく北米原産で2006年に駆除すべき特定外来生物に指定されている(別紙「長野県内における外来生物対策について」.pdf)。交流が深いからか(?)外来種の多くは、友好国アメリカの原産であるのは皮肉である。
 ミサイルで外国から攻撃される前に、日本の野原は固有種を押しのける北米原産外来種に侵略されっぱなしなのだ。日本の安全を守ることや、日本の伝統文化を守ることを信条としているいわゆるタカ派の面々は、強固な日米同盟の裏で展開しているこの無残な光景をどのように感じているのだろうか。

<出でよ環境・防衛族>
 アメリカの政治家ではゴア元副大統領は軍事面の専門家であったが、もう一方で環境問題にも変わらぬ情熱を傾けていた。軍事的侵略と環境の劣化を同列に捉えていたのである。そして今、気候変動により地球の生命全体が危機に晒され、ゴアの認識が正しかったことが証明されている。世界の共通の重要政策課題となっている。
 ところが、声高に軍事安全保障の必要性を叫ぶ日本の防衛族なりタカ派が、環境面での外来種の侵略に対して無関心である。これは「敵基地攻撃能力」を確保するのが大切であれば、それ以上に原発が攻撃対象にされることを心配しなければならないのに、そこには手を付けようとしないのと同じ図式である
 私は1980年食糧安保担当で内閣総合安保担当室に出向した。それ以来、安全保障は私の守備範囲(?)に入っている。何を隠そう、私が環境委員会に10年近く所属する理由はまさにゴアと一緒なのだ。

<日本国民は真面目にルールを守る>
 だから私はまさに環境行政の味方以外何ものでもない。そこで、今回は前述2種の外来種の飼育者についてしばらく様子を見るという、優しすぎる、悪く言えば腰の引けた環境省の態度を改めるべきと発破をかけた。
 まず、国民を信用しない点の追及。日本人が真面目な国民で国がルールを示せば守ることを示した。

「各国のマスクの着用義務、及びワクチン接種義務と国民の反応」.pdfの表により、日本は両方とも義務化しないのに、マスクは全員着用し接種率も高い。
 仏独は法律で義務付けたら、抗議のデモ(独)にもあっている。米英は、公共交通機関ではマスクを義務化していたが、アメリカでは4/18フロリダの連邦地裁は違憲判決をし、航空機関等でも一気に義務化を解いている。その前に大谷翔平の活躍を伝えるニュースでも、球場の観客のほとんどがマスクをしていない。

②ゴミの分別収集
 ゴミの分別収集も644市町村が11~15種類に分けている。びっくりしたことに25以上に分別して収集している市町村が33もあるという。このように律儀で真面目に分別収集している国民は、世界中広しといえども日本だけではないか。

<三重県の1.4%が3年で47%という例がやればできることを示す>
③信号のない横断歩道で車がどの程度止まるかということを、日本交通安全協会が5年前から調べている。2021年度の調査によると止まる確率が、長野県が85.2%と1位で、次は静岡63.8%と20ポイントも引き離している。
 三重県は2018年には、1.4%しか止まらず下位だった。19年は3.4%で最下位。まずいと感じた関係者が19年あたりから、「守ってくれてありがとう」運動を始めたという。すると21年にはベストテン入りの7位になり47%の人が止まるという劇的な変化を遂げた(別表「ランキング2018~2021年」.pdf)。外来種を駆除すべきというルールも周知・徹底を図ればできるということだ。

<繁殖禁止、寿命(5年と20年)で飼育禁止、最後は殺処分>
 2種とも繁殖は禁止に。アメリカザリガニは寿命である5年以内に飼育を禁止に。またアカミミガメについては、寿命が20年~30年と長いので飼育者が高齢化して、環境省が推奨している終生飼養(死ぬまで飼うこと)ができなくなることが考えられる。そうした場合は譲渡も禁止し、行政が犬・猫と同じような殺処分の体制を整えるべきだ、と提案した。

<人造侵略的外来種・自動販売機を国立公園等から消し去る>
 環境大臣には国土の7%を占める国立公園・国定公園の地域では、こういった特定外来生物を含め動植物の放出を規制する権限が与えられている。これは小泉前大臣の時にも提案したことだが、自動販売機が美しい自然の中にあるのは興ざめするので、少なくとも公園の保護地域内は、人造侵略的外来種ともいうべき自販機の設置を禁止するように、と嫌味の提案をして質問を終えた。

投稿者: しのはら孝

日時: 2022年4月25日 21:07