2022.09.07

政治

【旧統一教会シリーズ2】旧統一教会名の公表が投開票日後の7月12日(火)まで遅れたのはなぜか-自民党との桁はずれの癒着を洗い出した後、カルト集団の被害防止制度を急ぐ-22.09.27

 私は7月8日の安倍元首相が狙撃され重体いう報道に接した時に、一瞬血の気が引いた。

<60年振りの政治テロ>
 政治テロというと、1960年17歳の右翼少年・山口二矢が日比谷公会堂で壇上の浅沼稲次郎委員長を刺した事件が思い浮ぶ。今度は右翼の安倍元首相憎しと、左翼が狙ってテロ行為に及んだのだろうと思った。選挙の最終盤に入って左翼テロが明らかになったら、ただでさえ自民党がリードしているのにそれに拍車がかかってしまう。
 事件は8日午前11時32分に発生している。取り押さえられた山上容疑者は直ちに取調べを受け、どういう氏素性の者かすぐ分かっているはずである。詳細な記者発表がなされない中、17時3分安倍元首相の死亡が発表された。

<特定の宗教団体としか報じられない不思議>
 夜、奈良県警は「特定の宗教団体に恨みがあり、安倍元首相が団体とつながっていると思い込んで襲った。安倍氏の政治信条に恨みはなかった」と会見で述べた。大半のことはすぐにわかっただろうが、通常は捜査中のことは黙して語らない。ところが初めから捜査内容の一部を喋り、特定宗教団体と言及するのは異常である。後々わかることだが、山上は安倍元首相と旧統一教会のつながりを、よく知ったうえでの犯行であり、「(間違って)思い込んで」などいない。安倍元首相のビデオ動画や岸首相と文鮮明の会談等すべてを知った上での凶行である。
 短いコメントに、二つのゆがんだ目的があったように思う。一つは、安倍元首相の擁護と政府・自民党への忖度であり、もう一つは警備の失態から目をそらし、矛先を山上の背景、すなわち旧統一教会に向けることである。
 9日の朝刊各紙は、宗教団体名は明らかにしなかった。山上が爆弾作りをしていたとか、家族入信で生活苦であったとか余計なことばかり報じて、どこの誰が何のためにやったのかはボヤーッとした記事であった。私はこの時点で、右寄りの者の仕業と直感した。一番先に思い浮かぶのが国際勝共連合と結びつく旧統一教会である。

<8日(金)の夜のTVニュースが旧統一教会と報じていたら自民党は敗北していた>
 9日夜、現代ビジネスが旧統一教会の名を報じたが、5大全国紙は、投開票が終わった11日(月)になっても依然として旧統一教会の名を出していない。田中富広・旧統一教会会長が記者会見で弁明し、翌12日になって初めて名前を明らかにした。
 報道は、捜査中は慎重でなければならない。しかし、この時は旧統一教会を隠したとしか思えない。
 もし、8日の夕刊や夜のニュースで、あるいは遅くとも投票日前日9日朝に山上の旧統一教会への恨みが犯行の原因と知られたら、多くの国民は自民党に疑いの目を向けただろう。少なくとも無党派層は自民党へは投票しなかっただろう。なぜなら多くの人があくどい霊感商法を思い浮かべ、更に70年代~90年代に学生生活を送った多くの人は、原理運動・旧統一教会・勝共連合のつながりを知っており、旧統一教会には嫌悪感を抱いているからである。

<マスコミの良心か警察の政府・与党への忖度か>
 1992年の合同結婚式が大々的に取り上げられて以来、全国霊感商法対策弁護士連絡会の地道な活動にもかかわらず、マスコミは旧統一教会の問題をほとんど取り上げなかった。1995年地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教に関心が移ってしまい、今、盛んにいわれる「空白の30年」が続いた。

<私の描いたシナリオ以上の展開>
 ただ、「天網恢恢疎にして漏らさず」、7月中旬やや日刊カルト新聞が112名の旧統一教会の関係国会議員リストをSNS掲載するに及び、事態が急展開する。その後の一連の展開は、政府・自民党の怠慢や不正義を許さない方向に動いている。参院選に大勝利し、「黄金の3年間」などと浮かれ始めていた岸田政権がアタフタし、8月10日に慌てて内閣改造で目くらましを試みたものの、閣内の4割近い33人もが旧統一教会との関係性を持つことがわかり、しらばっくれていられなくなった。
 私自身が前述のSNSで指摘された立憲民主党の6人の中の1人だったが、幹事長代行として率先して党が調査し、それを公表してきた。我が党が率先して襟を正すことにより、自民党に同様のことをすべしと追及できると確信したからである。7月26日茂木自民党幹事長は、当初、党が組織的に関係しているわけではない、という理屈で個人の説明に任せていたものが、1ヶ月後の8月26日方針を転換し全自民党議員に9月2日までにアンケートを出させ公表するという展開となった。国葬への批判も旧統一教会のスキャンダルにより増すばかりであり、何よりも支持率の急落に恐れおののいたからだ。

<国会議員の調査だけでは終わらせない>
 他党のことながら、私は、自民党にとっては最大の危機だと思う。今から34年前の1988年のリクルート事件では、転職、住宅情報の大手リクルート社が事業拡大のため自民党の実力者などに、公開後値上がりが確実な関係関連会社の未公開株をばらまき、藤波孝生元官房長官等が有罪となり、政界を震撼させた。あの時に汚れたのは派閥の領袖等大物だけだったが、今回は上から下まで軒並みである。更に根深いのは、保守系地方自治体議員のみならず、地方自治体自体も知らず知らずのうちに関係を持たれていることである。国会議員だけで終わりにさせてはならないし、これを機会に、政界の浄化の一歩を踏み出さないとならない。さもなければ政治不信が増すばかりである。
(私は我が党の10数人の調査でも(事実を明確に公表するため)相当のエネルギーを費やした。自民党の調査結果の公表は手間取り9月7日現在、公表されていない。)

<マスコミは魔女狩りになり、政府は付け焼刃の対応>
 私はマスコミが旧統一教会の自民党との関係には飛びついてくれ、追求してくれることは予想していた。ところが、献金、選挙応援、会合出席あいさつ等の濃いものと、世界日報インタビュー記事と祝電のような薄いものをいっしょくたにして批判しており、「魔女狩り」的になってしまっているのはあまり感心しない。もっと巨悪の追及に力を注いでほしいと思っている。
 政府はそれこそ付け焼刃で法務大臣の下、関係省庁連絡会議を設けたが何も進んでいない。パフォーマンス上手の河野消費者担当相の下、霊感商法対策に関する検討会が設けられたが巨額献金は商取引ではなく対象になるかわからない。やっている振りばかりで法整備に結び付く気配が感じられない。

<立憲民主党はカルト集団の被害の防止に全力で取り組む>
 我が立憲民主党は、迅速な調査後に14名の関係した者を公表し、今後一切旧統一教会と関係を持たないことを決めている。更に、7月25日に30年前にもジャーナリストとして旧統一教会問題を追及していた有田芳生前参議院議員を講師にして「旧統一教会被害防止対策本部」(西村智奈美本部長)を設置し、精力的に会合を重ねている。私も大半の会合に出ているが、脱会者や二世信者の苦悩を聞くにつけ、そんなバカなという驚きの連続である。一刻も早く、カルト的集金システムを規制し、山上家のような不幸な家庭を生まないようにしないとならない。

投稿者: 管理者

日時: 2022年9月 7日 13:08