2023.05.17

【平岡秀夫シリーズ③】反原発、反軍備増強で善戦した平岡の示唆する我が党の立ち位置 -自公政権にすり寄ったり、他の野党に秋波を送らず、野党の旗幟を鮮明にする- 23.05.17

<見苦しい3野党の自民党すり寄り競争>
 今の政治状況を見ると、立憲民主党、維新、国民民主党の3野党(とも言えない党だが?)が、ともかくこぞって政権与党にすり寄る姿勢を見せている。
 維新は、かつていろんな新党がチャレンジしてことごとく失敗した第二保守を目指している。防衛とか憲法改正等では、自民党よりもっと右寄りに位置づけられている。国民民主党はあっちに寄ったり、こっちに寄ったりと訳がわからない主張だが似たようなもので、野党で世政権交代ができないとみたのか、自民へのすり寄り度合いは維新をはるかに超えている。維新は22年の参院選に続いて統一地方選挙や補欠選挙で自信をつけ、自民党にとって代わる政党だということを前面に出して戦おうとしている。

<立憲民主党の立ち位置>
 そうした中で、我が立憲民主党の立ち位置が問題となってくる。提案する野党とかを打ち出したけれども、有権者には全くアピールできていない。他の野党と同様、保守層の支持を受けたいといったナマクラな考え方で、いろんな所で腰砕けになっている。
 例えば原発である。驚いたことに我が党にも「国民民主党との融和は、原発についての姿勢を改めればできる」などといっている幹部もいる。しかし、玉木国民民主党代表は、小さくとも代表であることに拘り、はなから我が党と一緒になる気など全くない。
 また、維新は、国会内では共闘しているが選挙協力はしないとしている。

<他の野党に媚びるなどもってのほか>
 特に国民民主党の玉木代表は、小西参議院議員のサル発言に対し、立憲民主党はとても野党第一党とは呼べないと言い、立憲民主党は政権与党にはなれないとまで極言している。また、野党第一党は日本維新の会になるなどということも平然と言っているのである。立憲民主党が補欠選挙で全敗しながら責任を問う声も出ないということに対して、維新も国民民主党も冷ややかな態度を示している。メディアは立憲民主党にはそうしたエネルギーもないと酷評している。25日の記者会見で、憲法、安全保障、エネルギーの3つの政策が一致しないと、一緒にはやっていけないと明言している。それにもかかわらず、我が党の幹部が、連合の相手をする政党が2つある必要はない。一番近いのは国民民主党だ、とか秋波を送り続けている。私はとても賛成できない。切るべき相手である。

<政策をきちんと実行する信頼できる政治家、政党を望んでいる>
 立憲民主党の支持率は一向に上がる気配がない。泉健太という若く活きのいい代表で支持率を上げようという魂胆があったが、国民はそんな甘い考えにはだまされなかった。我が党に期待されているのは、むしろ落ち着いて着実に政策を実行することではないかと思う。
 そういう点では、山口2区における平岡秀夫の善戦が今後の我が党の行く末を暗示している。

<平岡の明確な野党的主張>
 平岡は、山口2区は日本の政治の縮図だとずっと主張し続けた。
 ①まず岩国基地がある。敵基地反撃能力などと言っているが、真っ先に
  攻撃対象になるのはこの岩国である。
 ②上関原発建設を進める動きがあるが、事故が起これば瀬戸内海全体が
  汚染されてしまう。また、攻撃対象にもされかねない。
 ③岸・安倍と続く旧統一教会との関係が密接な自民党地盤は問題あり。
 ④家系図で選挙をすべきではなく、未来を描く未来図で選ぶべき。
 ⑤過疎化と少子化で地方は疲弊して困っている。
と続けた。

<保守層にすり寄らず、野党の本道の主張を貫いた平岡>
 何一つ、保守層、中間層におもねる主張はしていない。思い切り軍拡に反対し、きっぱりと原発を拒否し、保守の権化の山口県ですんでのところで勝利する状況だったのだ。北朝鮮のミサイル発射を考えたらある程度軍備増強も仕方ないとか、これだけ電気料金が上がったのだから、原発の再稼働や新設もやむなしなどといった迎合的主張は何一つしていない。それにもかかわらず、25%近くいる無党派から75%も支持を獲得し(出口調査)、岸信千世61,369票(得票率52.5%)に対して、僅か5,768票差の55,601票(47.5%)に迫ることができた。惜敗率の90.60%は、2021年の衆院選に当てはめると、中国ブロックでは2位となり比例復活できることになる。
 平岡69歳、岸信千世31歳、若さがモノをいう選挙で平岡は圧倒的に不利のはずだった。山口2区の有権者は若さや家系図よりも平岡の行政官・政治家としての経験・実績と地元を本当に知り愛する姿勢を重んじて票を投じたのである。立憲民主党は候補者数の目標を150人から200人へと上げて公認していくというが、候補者選びは平岡の善戦から多くを学ばなければならない。

<政策を実行できる熟練政治家を待っている>
 8年のブランクがあり、とても集会など持てず、ひたすら街宣するだけのいわば「空中戦」だった。
 有権者は、自民党の危うい政策に危機感を抱いているのだ。経済問題は、「家系図」より「家計簿」と触れたぐらいで、物価高にも今関心の少子化対策にも触れずに戦い抜いた。
 立憲民主党はすぐ、若手新人、女性に走る。私は、女性議員を増やすことに力を入れてきているし、女性擁立に反対しているわけではない。しかし、若くて政治家志望という薄っぺらな理由で軽々に衆議院公認候補とすべきではない。私はかなり前に、国会議員の被選挙権は40歳以上にすべしと主張し、あるところからこっぴどく叩かれたが、今でもこの考えは変わらない。つまり、国会議員はそれなりの経験を経てから、この分野の政策を何とかしたいという意欲を持つ者こそ国政政治家にふさわしいと考えている。40歳から国会議員を30年間務めても70歳である。それで十分ではないか。

<立憲民主党のコアの支持者を大切にし、無党派層に訴える政策・主張が実を結ぶ>
 我が党の一部は保守層の票も奪うということを標榜してきている。私もこの考えには反対しないし、大賛成である。しかし、その保守層は、共産党や公明党と同じく候補者は誰であろうと自民党としか書かない固定層が大半である。だから我が党のスタンスとしては、コアの支持者にきちんと投票してもらうことを第一に考えていくべきであり、次はリベラル傾向の強い無党派層に対し、自民党とは違うことを明確に示すことである。それをコアの支持者が戸惑うような主張をし、自公政権の延命に資するような主張をしていては始まらない。
 今回の平岡秀夫の大方の予想を覆しての善戦は、まさに野党の主張をきっちりと掲げたからに他ならない。多くの有権者は反自民、反政府の考え方で今の政府のやり方に疑問を感じているのであり、その点を厳しく追及していくことが、我が党の支持者なり国民の信頼を得ることに繋がるのではないかと思っている。
平岡・篠原 街頭演説告知ポスター.jpg13人の国会議員が駆けつけた中での出発式:岩国市.jpg

投稿者: しのはら孝

日時: 2023年5月17日 11:56