2023.07.10

野球を早く世界のスポーツにし再びオリンピック種目へ ―アメリカは大谷翔平、長野は牧秀悟で復活してほしい日本の野球人気―23.07.10

 いろいろと気が滅入ることが多いが、アメリカでの大谷の活躍は日本人を元気づけてくれている。私はもともと野球少年だったので、解散総選挙が延びたので、恥ずかしながら政治のニュースなどそっちのけで大谷の一球一打に気をとられている。
 そしてもう一人、国内では何といってもDeNAの牧である。私の地元中の地元、中野市の出身なのだ。その活躍を信濃毎日新聞も北信ローカルも大きく報じている。本当は大谷よりもこっちが気になるのだ。
 長野県(ないし北信)では、現職県議が殺人容疑で逮捕された事件、青木島遊園地のゴタゴタ、そして中野市の4人の殺人事件と嫌な話題ばかりが目立っているが、牧の活躍がそうしたふさぎ込んだ長野県人なかんずく中野市民の気持ちを癒してくれている。

<大谷のアメリカでの大活躍>
 大谷は今年のオールスターファン投票で264万6307票の1位、2001~3年のイチロー以来20年振り、3年連続で、21年と同様二刀流(Two Way Player)が見られるかもしれない。今ア・ナ両リーグを通じてもホームランは32本(7月10日現在)とトップだ。日米通算200号も達成した。とうとう打点もトップに立ち7月1日現在二冠王である。

<チャンスに強い牧も大活躍>
 一方、牧はハマの番長三浦監督の信頼を得て、絶不調(?)の時でも4番に据わり、ホームランは村上と同じく14本、打点は1位の52、打率も0.28で13位(7/10現在)、と堂々の成績である。オールスターファン投票で選出されても不思議ではない。ただ今年は阪神ファンの組織票で選ばれず、選手間投票で出場が決まっている。私の好きな毎日川柳に、「午前ベースボール 夕方野球」とあったが、日米時差の違いで朝夕野球中継を楽しめることを冷かしたのだ。50年前ロバート・ホワイティングが名著「菊とバット」で、日本の野球人気、野球一辺倒振りを羨ましがっていたが、今一時的に同じ状態かもしれない。

<サッカー人気も上昇中>
 しかし、世界と同じく日本のサッカーのプロリーグも人気上昇中である。(ブログ「故岡野俊一郎氏の嬉しい誤算17.02.19)を参照)。
 私のような団塊の世代には、力道山のいるプロレスも観るプロスポーツとしては人気だったが、自らするスポーツの中では野球が突出していた。もちろんバスケット、卓球、バレーボールもあったが、サッカーは体育の授業でさえ取り上げられていなかった。陸上のコーチが「オリンピックに出場してメダルも狙える運動神経のいい人たちが皆、野球に行ってしまう」と嘆いていた。

<旧態依然とした野球界にも変化の兆し>
 私は田麦のお宮兼公会堂の狭い庭の三角ベース、そして時々収穫後の田んぼで白球を追った。夕方になるとSBC(TBS系)のラジオの懐かしいテーマ音楽で始まる実況中継に聞き入り、「実況担当渡辺謙太郎」の声にワクワクし、翌日信濃毎日新聞はスポーツ欄から読み始めた。
 ところが全盛を誇った野球もスポーツの多様性なのか昔の面影が徐々になくなってきている。多分コロナ禍の甲子園の中止がその流れに拍車をかけたと思う。高校野球の登録選手数は、少子化もあるが2014年の17万人から2022年には13万人に減っている。部員数も10人未満が5年前の7.8 %から13.4%に増え、監督の50.6%が部員不足と嘆いている。リトルリーグから始まる前時代的な強権指導が嫌われたのかもしれない。
 ところが高野連と朝日新聞の5年に1度の調査によると硬式野球部のある高校のうち、前回は5年前の76.9%(3025校)から26.4%(1000校)と激減した。逆に何も決めず長髪可とするのが14.2%(559校)から59.3%(2246校)と大幅に増えた。野球部の練習時間も1日3時間前後が5年前の50.4%から68.1%と増えている。要は、野球部の民主化が進んでいるのである。私は微笑ましい丸刈りが好きだが、これで野球部員が増えるなら大歓迎である。

<アメリカが本腰を入れ始めたWBC>
 世界のサッカー界は、1930年代に4年に1度のワールドカップが定着し、オリンピック並みの一大行事になっている。2006年に野球のグローバル化を目指して後からスタートしたWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)も、少なくとも日本では大人気だったが、アメリカの大リーグは今までは中途半端な対応だった。ところが、今年はMVP3度のトラウトが自ら声をかけ、アメリカもオールスター布陣で臨んでいた。国際的にみても、人気に偏りがあり、オリンピックからも外されてしまった。だからアメリカもWBCに本腰を入れ始めたのだろう。

<日本のWBCの活躍が野球人気を盛り上げる>
 東京ドームの1次ラウンドは4戦全勝、アメリカに渡った。メキシコとの準決勝は不振の村上の逆転サヨナラ決勝打で勝利。メキシコ監督に「熱戦を生んだ野球界の勝利」と言わしめた。アメリカとのフロリダ州ローンデポ・パークの決勝戦は、ダルビッシュ、大谷の豪華リレーとなり、9回二死で登場した、大谷の同僚トラウトが空振り三振で日本の14年ぶりの優勝で試合終了。野球漫画よりも現実の方が劇的な展開となり、野球の面白さを知ったファンが多いのではないか。SNSの活用が奏功し公式インスタグラムのフォロアー93万人もあり、合計130万人の観客動員を達成した。今回のWBC大谷のワンマンショーと位置付け、日本に厳しい韓国メディアも「大谷に始まり、大谷に終わった」と総括している。
 決勝戦は、平日の午前中にかかわらず、TV視聴率は42.4%と驚異的な数字となった。3度目の優勝はいつもの小技を駆使しての勝利ではなく、ホームランや長打もあり、日本がトップレベルになったことを証明している。

<野球に日本の紳士的ルールを広め再びオリンピック種目に>
 他のスポーツも盛んになるのは大いに歓迎だが、野球人気も続いて欲しい。それに、日米に偏る人気を指摘され、オリンピック競技から外されてしまったが、是非復活させて欲しいものだ。これだけ人気のプロスポーツでオリンピック種目に入ってないのは、どこかおかしいと言わざるを得ない。
 ただ私は、デットボールを与えた佐々木朗希が、帽子をとって謝り、翌日に菓子を届けるといった紳士的、日本式のルールも広めて欲しいと思う。アメリカでは、故意じゃないからと絶対に謝ることはしない。その代わり危険球で退場である。しかし、私は故意でないとしても謝る日本式が広まって欲しいと思っている。

<WBCをきっかけに野球人気の復活を>
 私は今回のWBC、そして大谷の活躍を見るにつけ、大谷に二刀流を許した栗山日本ハム監督の炯眼に感謝したい。張本勲もアメリカの評論家も当初はこぞって二刀流を批判していたが、今の活躍をみるとどっちの眼が肥えていたか明白である。大体高校野球は、エースで4番のチームが沢山あったし、私のような少々ひねくれた素人からすると、大学より上に二刀流がいないのはむしろ不思議だった。
 今回のWBCの優勝や大谷の活躍が子供たちに好影響を与えて欲しい。村上も少年時代の2004年のWBC大会に興奮し、卒業文集にWBCに選ばれて世界で活躍したいと書き、見事それを実現させている。多くの少年に続いて欲しいと願っている。

<勝負強い牧には球界を代表する選手を望む>
 一方、日本の「セ・パ交流戦」では、MVPは8ホームラン、19打点の岡本に譲ったが、牧が優勝したDeNAを引っ張り最多27安打を放ち、セリーグの優秀選手に選ばれている(両リーグから1人)。
 7月10日0対0で迎えた巨人戦の12回、打った瞬間それとわかる豪快なソロホームランを打ち試合を決めた。これぞ4番の働き。チャンスやここぞという時に決める牧の勝負強さがよく表れている。

投稿者: しのはら孝

日時: 2023年7月10日 15:34