2024.02.11

政治

【政治とカネシリーズ⑪収支報告書】 政治資金収支報告書を国民にわかりやすくすべし -透明性を増して、国民に判断材料を与えないとならない- 24.02.11

 岸田首相や自民党は、予算委の審議において「裏金」という言葉を嫌がったが、収支報告書に出てこないのは、「裏金」以外に何と呼ぶのだろうか。幾度かの改善努力の成果であろう、今の収支報告書は相当詳細に記載されている。ただ、欠点だらけである。
 まず、ふぁっとした欄があるが、記載の用語がまちまちである。目を凝らして見ないと、どこに何があるのかよくわからない。問題のパーティー券にしても、組織活動費の渉外費として記載されているが、「パーティー費」も「会費」もある。支出が政治資金管理団体からもあり、どちらか一つにすべきだろう。
 パーティーも、西村のようにセミナー等という別の名で同じことをしている場合もある。とやかく言う前に、もうやめるべきだが、わけがわからない。岸田首相の首相就任祝いも別団体がやっているが、自分のではないと言い張り、320万円寄付してもらっていた。紛れもないパーティー・ロンダリングである。ともかくわかりやすくすべきである。

<100頁を超える政治資金収支報告書は読みこなせない>
 キックバックの裏金問題でよく、使途のチェックもと正論が吐かれるが、今のいわば公開されている「表金」の使途の透明性はそれなりに高く、そのいびつな使われ方は一目瞭然である。
ところが、こうした事実が一般の目に届くことはあまりない。なぜなら、寄付者の名前がズラッと続き、また金の配り先も1人1人記入され、頁数は総支部と資金管理団体で100頁はゆうに超える。とてもではないが読み切るのに疲れ果てる。長すぎるのだ。
 長野県の若林健太と宮下一郎に典型的に見られるが、月に5,000円ないし月1万円の寄付が定型化しているが、入金ごとに記載というルールになっていることから、1社が年に12回も登場する。仮に100社あれば100×12=1,200項目が続き、これだけでも100頁になってしまう。デジタル化の時代にこれはない。もっと実情が容易に伝わるように工夫すべきだろう。

<子分作り、派閥作りが政治活動なのか>
 私は今回、裏金問題を追いながら、あまり表に出ない(?)表金にちょっと目を通してみた。予想されたことだが、表金の大半が自らの政治活動というより、子分作りに費やされている実態が浮かび上がってくる。つまり結局、自民党の権力闘争に使われているのかもしれない。もっともそれこそ政治活動だというなら、それまでだが、国民の大半は政策の勉強会なり海外も含めた現地視察に使ってほしいと思っているのではないか。
 コロナ禍で海外視察が皆無だが、無役の場合は2~3回行くと数百万円になる。5人とも政府や党の要職にあり、政府や党の金で海外に出かけており、自らの出費はなくて済んでいる。

<デジタル化で透明性を確保>
 私のように政治とカネの問題を常日頃から考えている者を除けば、国会議員でもきちんと収支報告書を見る人は少ないと思う。パソコンとにらめっこしながら、じっくり見るには覚悟が必要であり、今回のキックバック騒動のように粗探し(?)の情熱を相当持たない限りそんなに時間をかけられない。
 それを克服するには簡便にデジタル化し、いつでも気軽に閲覧できるようにすることである。更に、閲覧期間を3年にしているが、今どきサーバーが容量オーバーになることなどないのだから、最低限公訴時効期間と同じ5年にするのが当然である。もっと言えば政治家は透明性が求められているのであり、辞めるまで、誰もが見られるようにしておくべきであろう。
 それから、個人の政治資金管理団体が、総務省と都道府県選挙管理委員会に二分されて見にくくなっているが、地元に一本化し、且つ、いくつもあるものを一回のクリックで見られるように連結決算にすべきである。

<飲食費はどこに行ったのか>
 国民が目くじらを立てる飲食費の記載があまり見られない。すぐにわかってしまうからである。
 世耕の収支報告書にはどこを見ても見当たらない。それに対して西村では、宿泊費、交際費、勉強会の中に潜り込ませるという意地らしい工夫がなされている。地元のホテルに宿泊費で50万円を超える経費が計上されたり、会議費の支払い先に料亭、ホテル、レストラン等があったり、大半が飲食代であることがわかる。西村は何のためかわからないが、土産代に927万円も使っている。
 他の者にも贈答代、土産代、花代といった項目がずらりと並ぶ。いずれも当人には大した金額ではないかもしれないが、一般庶民感覚からすればだいぶ贅沢に映る。それでも記載されているだけマシであり、裏金を政治活動に使ったというならば、それがどのような政治活動であったのか明らかにしてほしいものだ。大半が表に出せない支出だろう。
(全体は資料『安倍派5人衆の2022年の収支報告概要.pdf』、項目別は資料『2022年5人衆と篠原の項目別(寄附・交付金・パー券・飲食・贈答・花代)支出一覧.pdf』を参照)

<裏金はどこに使われたのか>
 私はあえて飲食費や会食費を記載しなかったが、意外に少ないのだ。国会議員には、政治活動の他に使途が明らかにしなくてよい議員報酬(約1,800万円)と旧文通費・調査研究広報滞在費(1,200万円)がある。私はこの大半を政党支部と緑政会(資金管理団体)に寄付し、使途を二本化(?)して使っているが、大半の国会議員は別会計で使っていると思う。安倍派5人衆の政治活動費の中に国会議員への寄付があるくらいだから、通常の表に出せる政治活動は全て賄えているはずである。その中にも、大義名分がつく飲食費や会合費が料亭やレストラン、ホテルの名前が登場している。これなら許せるという金額(大体10万円以下)と店の名前である。コロナ期に禁を破って高級バー、キャバレーの類に行っていた3人の議員が離党させられており、こうした店名や数十万円の費用はさすが全く出てこない。
 つまり、一部の裏金は行かないはずがない銀座、赤坂、六本木等の高級店での飲食費、特に「飲」に使われていると見てよい。こんなことを許してはならない。

<自民党に自浄作用はなく、究極の解決策は政権交代以外にない>
 このように自民党の政治は金まみれになっているのだ。この悪の連鎖は2月上旬に行われた2問しかないなまくらな党内調査アンケートや、追及しきれていない国会審議だけではとても断ち切れない。自民党の身内調査がいい加減かは、盛山文科相が22年秋の旧統一教会の調査では何も答えず、今になって予算委員会で21年の旧統一教会関連団体による選挙応援問題が発覚して炎上していることからもわかるとおりであり、党内調査などでは膿を出し切れるはずがない。
 一番の近道は、これをきっかけにして自民党が潰れて出直すことだが、それは簡単にはできないだろうから、やはり手っ取り早い解決策は政権交代である。この膿を出しきり、次の政権が同じことをせず政党同士がチェックし合うしかあるまい。そのためにも、野党が一致団結して自民党に対峙することである。
 韓国と同じく、毎度政権交代していればこんな悪事はすぐにばれて続かない。国民の皆様に3年3ヶ月の稚拙な政権運営の記憶は忘れていただき、野党第一党の立憲民主党に政権をもう一度担わせていただく広い度量をお願いする以外にない。

投稿者: しのはら孝

日時: 2024年2月11日 19:23