2024.02.10

政治

【政治とカネシリーズ⑦支出】与えられた年4,000万円以内の政治活動を続けて20年 ―「政治に金がかかる」は嘘、余計なところに使っているだけではないか― 24.02.10

<4,000万円の範囲内で政治活動>
 私はこんなに長く政治家を続けるとは思わなかった。羽田孜等から懇請されてこの世界に入ったものの、落選したらリターンマッチ・再挑戦などする気はサラサラなかった。だからやれるところまでやれればいいと思って、いつも後がないという捨て身の姿勢で政治活動をしてきた。政治活動は、国会議員歳費(議員報酬)が大体1,800万円ぐらい、政党助成金1,000万円、調査研究広報滞在費1,200万円、年間合計約4,000万円の範囲で政治活動を続けてきている。そもそも、妻からは公務員時代に貯金したお金に手をつけたら離婚だと脅されてきている。
(資料『2023年篠原孝の政治資金の収支報告(簡略版).pdf』)

<カレンダーも作らず、後援会旅行もなし>
 だから私は皆がしているような、篠原孝杯争奪ゴルフコンペとか、篠原孝後援会の旅行とかいうものを一切していない。慣習上認められているカレンダーを配ることもしていない。国会見学だけは手厚く案内している。だから夏休みの間に海外の視察に行くというようなことも、当初の4~5年に衆議院や党がお金を出してくれていた場合を除き、行ったことがなかった。
 当初は、選挙のない年に節約してお金を貯めて、選挙の年に備えたり、選挙の年の赤字の穴埋めを翌年にしたりするなどして工夫しながら凌いだ。

<安い給料で地元私設秘書は4~5人、配布物は人並み以上>
 だからといって、けちった地元活動をしているかというと、決してそうではない。3人の公設秘書のうち2人を地元に置いているが、それ以外に、私設秘書を常に4人から5人抱えていた。当然十分な給料は出せないが、それなりの給料で働いてもらっていたのではないかと思っている。

<国政報告の配布だけで旧文通費はすぐになくなる>
 配布物等にお金がかかる。印刷よりもお金がかかるのは、有権者にどうやって届けるかである。いろいろ苦労し、5万件ほどの名簿は出来上がったが、その半分位は地域の支持者の方々が近所の他の支持者のお宅に届けてくださる配布ネットワークで届けている。しかし、残りの半分は郵送である。半分の2万5千通が一通あたり100円とすると、そこで既に約250万円の郵送料がかかることになる。調査研究広報滞在費の1,200万円が他の用途に使えないという不満のある人も多いが、私の場合は、2回の国政報告の配布と毎週月曜日の朝の街宣のビラ、それからあちこちに訪問するためのビラの印刷費等の広報で1,200万円はすぐにオーバーしてしまう。だからその使い道を明らかにすることに全く違和感はない。

<多くは高額の飲食費に使っている>
 どこに金をかけているか。私の場合は情報交換のためにあちこちで宴席を設けるなどしたことがほとんどない。何故ならば、それなりの料理屋で開いたら一回10数万円から数10万円とかかかるからだ。そんなところにお金を注ぎ込んでいたら、いくらあっても足りない。しかし、この金について普通の人は公然とは収支報告書に書かないでいる。
 私は、非常に悪いと思っているが、役人と夜一杯飲むというようなこともほとんどしたことがない。そもそも役人を呼んで説明させるということを極力避けている。特に私の出身省である農林水産省など、先輩面することを避ける意味もあり、極力呼びつけるようなことを避けるようにしている。

<地方自治体議員への陣中見舞いは買収と同じではないか>
 私には理解できないが、地方自治体議員に陣中見舞いと称して選挙のための資金を提供することが許されている。自民党議員の収支報告書を見ると「○○市支部」「○○後援会」に数10万円ずつ均等に配布されているのが手にとるようにわかる。このような「カネ」のつながりが、選挙の協力を呼んでいることは明らかである。私はそんな事はただの一度もしたことがない。しかし、自民党ではそれが常識のようであり、今で言えば柿沢未途が摘発され、その前にも広島県の河井克行衆議院議員・案里参議院議員の関係でそのことが問題になっていた。そうしたことに金を使っていったら、際限がなくなってしまう。
(資料『2022年5人衆と篠原の項目別(寄附・交付金・パーティー券・飲食・贈答・花代)支出一覧.pdf』参照)

<出口もしっかり規制し、公開する>
 どうも政治資金というと入り口だけに関心が集るが、問題は出口にもある。私は4,000万円で政治活動を続けて20年、選挙の年にはそこに1,500万円が加わるだけである。そして法律で決められたとおり、政治資金収支報告書にきちんと書き入れている。別記したとおり、私のような政治活動には金はかからないというより、当初からその範囲に収めることとしている。

<政治に金がかかるという言い分は真っ赤な嘘>
 第一に、地方自治体議員や首長に対して選挙の陣中見舞いお金を配ることなど考えたこともない。そんな余裕がないからだ。安倍派5人組の支出をみたら、数100万円(西村1,250、萩生田453,世耕250,高木(自らの後援会のみ)、松野430(うち松風会100)をこれに使っている。
 第二に、銀座・赤坂・六本木といった界隈で高級な店に何人も引き連れて行くことなどない。「政治は夜つくられる」といったことを本気にして、なるべく多くの議員同士で懇親を深めるのが大切だと、せっせせっせと夜の会合日程を埋めて悦に入っている政治家も多くいる。
 よく官僚を誘って宴席を設けている者もいるが、私はこれも皆無に近い。本当にすまないと思うが、農林水産省の後輩と会食をする時も割り勘である。先方もよくしたもので、私にそんなお金がないことを知っているからだ。私が現役の農水省の役人だった時は、それほど頻繁ではないが、議員の皆さんに誘われ何度となくご馳走になっている。決まってお土産もついており、いつもすまないと思っていた。立場が逆になったが、ただの一度もお土産付きの接待宴など設営したことはない。だからパーティーで何千万円も稼ぐ必要はない。
 いや、そんなお金がないからこそ高額な会合を設営できないといったほうが正確かもしれない。ともかく、キックバックや派閥に出しもせずプールする(こっちのほうがゴマカシ度はより酷い)裏金は、多分大半がこうした飲み食いに使われているのだろう。

<支出こそ厳しくチェックすべし>
 政治家に政治資金をまっとうに使わせるためには、入口のチェックをする以上に出口をきちんと収支報告書に書かせることである。私はたまに同僚議員の報告書を見ることがある。正直な者は、一晩数十万円の飲食費を正々堂々と書き留めている。立派なものであり、皆そうしたらいいのだ。ただ、一般の寄付・献金者がこの支出を見たら、二度と寄付したり献金したりする気にならなくなるのではないか。
 紙数が多くなっても、企業献金額、そしてどこにどれだけ使ったかを載せるべきなのだ。

投稿者: しのはら孝

日時: 2024年2月10日 15:05