2024.09.20

虚しさが漂う党首選-自民:9人は多すぎでは? 立憲:代表経験3人は異様では?-24.09.20

 巨大与党自民党と野党第一党の立憲民主党の党首選が同時進行中である。新聞もTVも追いかけており、連日報道されている。
私は、前号で述べた通り、代表選は嫌いである。
 できれば関わり合いたくない。だからかもしれないが、2つの選挙ともどうも身が入らない。理由を考えてみた。

<議院内閣制の下では国会議員が中心で選んでよいのではないか>
 まず、日本は議員内閣制の国であり、首相は国会議員が国会で記名投票選により選ぶことになっている。与党自民党の総裁が首相に選出されることはほぼ確実であり、自民党総裁選は事実上の首相選である。そこに9人と史上最多の立候補者となっている。
 しかし、その選出権者(つまり投票できる者)は、自民党員でなければならず、約100万人と全人口の1%に満たない。それにもかかわらず、総選挙がTV、新聞を席巻している。このことに国民は何の疑問も挟まない。立憲民主党の選出権者である党員・サポーターは、そのまた10分の1ぐらいであり、もっと限られた人しか投票できない。

<世界は選出権者拡大の傾向にあるも、不自然ではないか>
 議院内閣制をとる13か国の主要政党の党首選では、選出権者が地域支部の代表とかにも拡大、拡充の傾向にある。1965年には代議員によるものが最も多く、一般党員による選出は皆無だった。ところが、2012年になると代議員によるものが多いが、全ての党員が参加する党も4割に達している。ただ、日本のように全国の党員(サポーター)に向けて、派手派手しく討論会をしている国はないのではないか。
 アメリカのような大統領制の国は、国民が直接選ぶ。だから1年間民主・共和両党で大統領候補を選ぶ予備選が行われる。候補が決定してからも1年かけて国民に政策を訴え、討論会も開いて大統領選の日を迎える。今、ハリスとトランプがののしり合い討論を繰り広げている。
 しかし、議員内閣制の我が国では、原点に戻り、基本的に国会議員が党首を選定するのが自然ではなかろうか。さもなければ、党員(サポーター)が重きをなし、半分大統領選に近くなり、チグハグといえる。

<自民、立民 同時並行は国民が混乱>
 両党とも任期は3年となり、しかも同じ秋に任期切れとなる。これでは、与党自民党総裁選の陰に隠れて、野党立憲民主党の代表選は、二の次になってしまう。立憲民主党はずらす工夫が必要ではないか。野党に不利である。
 立憲は、途中交代でも同じ残任期間というルールになっているが、党規約で交代時期を初夏なり、晩秋にするのが賢明である。
 イギリスは、保守党も労働党も任期がない。ドイツは2年、フランスは共和国前進(マクロン)が任期3年で2期まで。共和党は、大統領と同じ5年。

<自民の9人は賑やかではあるが、選択に困るではないか>
 統一教会に続き、裏金という政治とカネのいつもの自民党お得意の不始末が明らかとなり、本当かどうかは別にして取り敢えず今のところ派閥は解散した。従って推薦人集めに当たり、派閥の締め付けは、従来よりずっと少なくなった。その結果、4期生の小林鷹之も立候補できている。

<何人の立候補が適当かせいぜい4~5人まで>
 しかし、9人は多過ぎである。二択(?)にまで絞らなくともよいが、せいぜい3~4人ぐらいが一般党員が選別できる限度ではないか。そのためには、推薦人をもっと増やし、現在の20人から30~40人にして、あまりに多い出馬に縛りをかけるべきではないか。
 立憲民主党の代表選は、20人の推薦人集めに四苦八苦する3人の候補がいた。新人はともかく現代表が推薦人を集められないということは、同僚議員から不信任を突き付けられたのであり、由々しき事態と言わねばなるまい。通常はありえないことである。
イギリス労働党は、現職党首は推薦人不要としているが、現職に敬意を表してか、役職ほしさに、推薦人が集まりすぎて新人が出にくくなるからか、と勝手に推測している。

<これ以上党首選に出馬しやすくする必要はない>
 その最中、有志が、国会議員の10%のいずれか低いほうにして、出馬しやすいように改善すべし、という提案をした。前からくすぶる考え方であり、137人の今は、14人と6人少なくてすむ。
 実際、どのくらいの推薦人が集まっていたかわからないが、それだと、江田憲司と吉田晴美の二人とも出馬できたかもしれない。
 ただ私は、9人もの乱立を防ぐためには、300人(自民は368)を超える場合は20人から増やして10%以上、つまり35人以上として乱立を防ぐのも必要ではないか。討論会でも冒頭1分以内発言、その後も政策論戦など深まるはずがなく、言いっぱなしで討論会がアッという間に終わってしまう。全く討論会の意味をなしていない。

<下手くそな討論>
 何もアメリカのトランプ前大統領のような罵りがいいというのではないが、我が国の討論会はあまりにおしとやかすぎるのではないか。もともと討論の風習がそれほどない国である。党首選は、小、中、高校の生徒会長選ではないのに、いいこと、つまり美辞麗句のオンパレードであり、どれも変わり映えがしない。聞いていてもすぐ飽きてしまう。
 一応司会が、候補者間の質問を促すが、どうも穏やかなありきたりの質問で、言い合いに至っていない。
 例えば、自民党では、解散時期、解雇規制がちょっと対立点になったくらいで、とても白熱化(?)していない。一般大衆にとって何が面白いかといって、内輪揉めが一番関心を呼ぶというのに、それがほとんど見られない。

<2014年民主党代表選で例外的に闘う討論があった>
 2014年末の総選挙において、海江田万里代表が思いがけず落選、新代表を選ぶ選挙戦に、岡田克也と細野豪志が名乗りを上げていた。
 TVのトーク番組で、細野が現執行部の岡田(代表代行、国政選挙担当)に対して、総選挙に負けたと指摘した。それに対して、岡田は57議席から73議席に増えたので負けていないと応戦した。
 そして、岡田は、細野は派閥をなくすと言っていたのに、派閥(自誓会)を造り、資金パーティもやっており二枚舌だと逆襲した。
 どちらも指摘していることは正しい。16議席ぐらいの増ではとても勝ったとはいえない。なぜならその前々回は308議席だったからだ。後者は、細野は今や自民党に行っており、もともと節操がなく、岡田の言うとおりだった。
 私は、日本の討論としては面白くなったと思ったが、残念ながら政策論議ではなかった。すぐこれではまずいから、3人目の候補を立て、中和していかなくてはという動きが生じ、いろいろあって長妻昭が3人目として立候補したが、何も変わらずそれが今も続いている。

<与野党、平等の紙面の割合、TV放映時間の平等>
 通常は野党候補者は知名度不足を指摘される。当たり前である。与党は大臣、副大臣、政務官と多くの役職があるが、野党はほんの僅かの党の役職と、TV中継される予算委等ぐらいしか、大衆に知られる機会がない。
 こうなると民報はともかくせめてNHKくらいは、野党に多くの時間を割くべきだと思うが、そんな配慮がなされたことがあるだろうか。

<立憲は内輪でもっと熾烈な政策議論(この国をどういう方向に持って行くか)をすべきだった>
 今回はよく4人がこぞって、自民党批判をしていた。自民党ではなく対立候補の政策に質問して議論すべきなのに、4人とも予算委で政府に質問しているような形になってしまっている。
 ことほど左様にどうも日本にはこのシステムは向いていない。両党とも党首選のあり方を根本から問い直す時期がきているような気がする。

投稿者: 管理者

日時: 2024年9月20日 17:20