今回の政局で公明党は日本の政治を変えるキッカケ作ってくれた-自民党の分裂を防ぐために石破降ろしをして逆に墓穴を掘った自民党現主流派-25.10.31
<高市総裁は想定外でも公明離脱は予想できた>
高市早苗総裁は予想外だとよく言われる。一般的には小泉進次郎新総裁と言われていた。しかしもう一つの公明党の連立離脱が予想外に受け止められ右往左往したが、私にとっては当然予想されることだった。流動的な政局についていろいろなことが言われ書かれていたが、公明党の連立離脱を本格的に予測したものはお目にかからなかった。私は地元で続けているミニ集会のレジメに、高市早苗総裁の場合は公明党が連立離脱と書いていた。
<度重なる斉藤代表の警告>
こんな単純な事がわからなかったのが、私には不思議でならない。斉藤哲夫代表は常々警告発していた。その記者会見やインタビューでの言動を見れば、公明党が自民党の右傾化に徐々に堪え切れなくなりつつあるのは一目瞭然だった。
今はまことしやかに言われている「政治とカネ」、「靖国参拝」、「過度な外国人排斥」といった諸々のことである。相当厳しい口調だった。ただ高市・斉藤会談で、「私がなったから離脱したのか」という問いに対して、斉藤代表は明確にノーと答えている。その通りである。仮に小泉総裁が誕生し、スムーズに維新との新連立ができたとしても公明党は離脱したに違いない。なぜならば、維新と公明党とは考え方がもっと異なるからである。維新の聖地(?)大阪でも2党の小選挙区は完全にバッティングしている。
今も残る公明党のポスターに「やると言ったらやり切る」と書かれているが、斉藤代表はその通り振る舞った。まさに有言実行である。
<堪忍袋の緒が切れた公明党>
公明党は、自民党にくっついていくしかないとして、「下駄の雪」とか不名誉なことを言われてきたが、その屈辱にずっと耐えてきたのである。たくさんの恩恵を受けてきたにしても、26年間もよく我慢したなぁと思う。従って、今回の離脱は私は拍手を送りたい。比例の票は800万票が500万票に減っている。この危機は相当なことをしなければ脱せられないだろう。与党自民党との連立離脱の決断が凶と出るか吉と出るか私もわからないが、少なくともこのままダラダラ行くよりはよっぽどマシではないかと思う。その証拠に離脱後公明党の支持率が少しだが上がっている。
<6勝23敗で安倍降ろしが起きず、たった数議席で石破降ろしは全く辻褄が合わず>
その反対に無様だったのは、自民党の今の主流派である。石破続投では党が危うくなる。党のために総裁を辞すべきだとし、石破首相を引きずり下ろした。私は2007年第一次安倍政権時、参院選で、農業者戸別所得補償により一人区6勝23敗と大敗し、参議院は完全に逆転し、ねじれ国会となってしまったが、安倍降ろしは起きなかった。政治勘の鋭い安倍首相は、9月の臨時国会で所信表明を終えたのに代表質問の前に退陣した。この勇気ある撤退から5年後の復活、そして8年弱(2822日)に及ぶ長期政権に導いたのだ。
それをたった数議席の敗北なのに、こぞって石破を降ろした。衆院選、都議選と続く3連敗のケジメが必要という。それではいつも負け続けている野党党首は毎度交代しないとならない。敗因は、アベノミクスによる経済停滞と政治とカネ、特に裏金にあり、石破にだけあったのではない。だから異例の「石破やめるな」デモが行われたのだ。やたら右傾化し国を危うくする自民党に恐れを抱く一方、石破なら変な事をしないという期待感があったに違いない。
<政局に現を抜かす自民党に公明党が天罰を下す>
その愚かな動きに対し、天罰が下ったのかもしれない。せっかく高市早苗総裁が総裁が誕生したというのに、公明党の予告通りの連立離脱で、それこそ大混乱に陥った。もしも石破政権が存続していたら、公明党は離脱しなかっただろう。またせめて小泉進次郎政権なら、公明党の離脱があったとしてもこれほどにはバタバタしなかったであろう。石破を降ろしたがための大混乱である。関係者がこの政局が読めないのか、私には不思議でならない。
更に驚くべきことは、自民党内に石破降ろしの反省が全く見られないことだ。そしてさんざん石破降ろしに加勢した政治評論家、マスコミが、このドジな矛盾を少しもあげつらわないことである。もつとも恥ずかしくてしばらくはご高説を垂れられまい。
<有頂天の今が「衰退〇年」の初年度か?>
安倍後継ということでトランプ大統領は高市首相に好感を持ち、やたらベタベタした関係になっている。訪日の成果をアピールしたいというトランプ大統領の術中にはまっているだけで、来年の中間選挙前には、アメリカ経済は相当歪んでしまい、そこから脱するため、少し強く出れば何でも言うことを聞く日本にきつい要求を突き付けて来ることも考えられる。アメリカはそんな「ヤワ」な国ではなく、それこそ勝手な国なのだ。
【【25夏中国シリーズ④】中国の行き過ぎたプロパガンダには日本は抗議すべき25.10.07】
【【25夏中国シリーズ③】大国アメリカと中国のそっくりな驕り25.10.06】
また、強硬な高市外交は対中・対韓外交で窮地に追い込まれる可能性も高い。
有頂天の今、冷静に先を見ないとならないが、それが出来る者はあまり見当たらない。日本は再び、竹下首相の戯れ歌のように「雑巾1年総理2年の使い捨て」になりつつある。石破政権は長く続いてほしかった。私が見るに短命に終わったのは一に石破色を強烈に出せなかったこと。二には日頃の言動に反し、首相就任後すぐに解散したことである。思い切った政策ができないにしても、生来正直な石破の振舞いが全国民に伝わり、じわじわと支持率が上がり、石破色を出せるようになっていたかもしれないのに、誠に残念でならない。
このまま放っておくと今年は日本は立ち上がれなくなる記念すべき「衰退の〇〇年」の初年度になってしまうかもしれない。
<与野党の幹部クラスははしゃぎ過ぎ>
この後のドタバタは我が党のこともいろいろ論じることになり、刺激が強いのであまり触れないようにする。野党共闘のメインプレーヤーは、一言で言うと見苦しい限りで、なっていない。右往左往し、国民のためとか政策の実行とか格好つけたことを言ってるけれども、自分の党のことだけ、あるいは自分が目立つことだけを考えているような行動、言動ばかりでウンザリした。追いかけるマスコミに乗っかって、私には関係者がはしゃいでいるとしか思えなかった。
<筋を通した連合は、与党入りせんとする国民民主党に、それなら支持しないと警告したら>
連合の吉野会長が常に言ってるとおり、野党の団結はド正論である。今回、国民民主党が自民党にすり寄っていったことを苦々しく思い、斉藤公明党代表と同じように、常に警告を発していた。与党入りしたらこの次は推薦はしないし、手伝うこともないと最後通告をしたらもっと見事だった。そうすれば、ボケっとして勝手に右往左往する野党にもくさびが入り、しまりがよくなるキッカケになったかもしれない。
ともかく自民党がまた生きながらえようとしている。自民党のしぶとさにはほとほと感心する。政権維持のために何でもすることが、今回も露骨に表れている。しかし、徐々に力が弱っていることは誰の目にも明らかである。こんなの時に野党がしっかりしないとならないが、内輪揉めをしているのは悲しい限りである。ここは野党第一党の立憲民主党はガタガタせずに、筋を通す政策を訴えていくしかあるまい。そして政権交代して、日本の政治を変えていくしかない。