悪い臭いは元から断たなきゃダメ3題 1.物価高-円安、2.熊出没-食料がなく森にとどまれず、3.米価高騰-米農家が減少 25.11.11
1. 物価高
食料価格が3年ぐらい前から値上がりし、新聞紙上で〇月には、〇〇品目が値上がりと毎回報じられた。特にほとんど輸入に頼る小麦製品、油を使った加工食品がひどかった。そうしたなか農家のためには上がってほしい米価格だけは微動だにしなかった。なぜなら国内自給率がほぼ100%だからだ。食料自給率38%ということは、62%が輸入だということであり、輸入品が値上がりしていることに他ならない。
2013年時1ドル=80円台だったものが、150円台と倍になったら値上がりするのは当然である。
ガソリン価格が値上がりし、既に8兆円もの補助を出し、更に暫定税率廃止を全党賛成で年内に成立させるという、ガソリンが高いのも全て円安のせいである。それを他の所を是正したところで影響は微々たるものである。多くの国はCO2の排出量を減らすために、自動車を減らしガソリンの使用量を減らしているというのに、日本は全く無責任なことをしているのだ。フランスなどは、町部に車を入れず、公共交通機関なかんずく路面電車を復活させている。
日本がCOPで毎回化石賞の常連となるのはむべなるかなである。
円安では、輸出企業すなわち大企業が潤う。政府は円高になると対策を講ずるが、円安は放っておくだけであり、ガソリンへの補助はこれまた消費者に対するものでなく、元売り等企業に行くこの悪循環を断つためにも企業献金の禁止は絶対に必要である。これだから石油関連企業は、自民党に政治献金をし、裏金も生ずることになる。
悪い臭いの元は円安であり、これを是正する金融政策、すなわちアベノミクスの悪弊を駆逐すべく、日銀は金融を引き締めるのが仕事(利上げ)である。
円安で一般庶民が少しは恩恵に浴しているのは、外国人観光客の激増である。これとて安い日本製品を多く輸入するのと同じで、安い日本をたたき売りしているにすぎない。
輸出しやすくするよりも、外国人を多く受け入れるよりも、国民の生活を第一に考えて円安を是正すべきである。
2. 熊出没
今年は熊の食料の一つであるブナの実が不作だという。ドングリはまあまあのようなので、ブナの多い東北にやたら熊が出没し、西日本はそれほどでもない。もっともブナもドングリも豊凶の変動が激しく、凶作が普通だと思わないとならないという。つまり、人間でいうと森の中はコメ不足に陥ったのである。だから、街にまで食料をあさりに出没するようになったのだ。駆除(打ち殺す)するしか人間の命を守る術はない。しかし、ハンター不足、人材不足でとても対応しきれないでいる。そして、自衛隊の出動である。日本でそんなことをしたら大騒ぎとなるが、熊退治は自衛隊を国民に近づけることになる。つまり、外敵の侵入の前に内敵から守ってくれるからだ。
海の向こうアメリカでは、移民のデモ、そして反トランプデモの鎮圧に州兵が動員されている。日本が熊退治に自衛隊を導入するというのは、多分世界に類例が見られないことだろう。日本はのどかな国なのである。
人間が熊を森の中に閉じ込めのはいいとして、その住処の森を杉、松、落葉樹といった熊の餌にならない人間向けの針葉樹ばかりにしてしまったツケがいま回ってきているのだ。森林率が6割を超え、フィンランド並みであるが、中身は全く異なり、日本は自然林、雑木林が圧倒的に少ない。野生動物の餌にならない人工林が幅を効かせている。
苗木は軽い。勤勉な私の祖父母世代(明治末生まれ)、父母の世代(大正・昭和)の農民は、戦中のやみくもな伐採で、禿山になった近くの山々に政府の命でせっせとかに金になる木を植えたのである。それが今一斉に伐採時期を迎えているが、木材価格は低く、伐採し運び出すと赤字になり採算が合わない。だから間伐もろくにせず放置されたままである。
森を野生動物に返してやればいいのだ。せっかく太くなった木はどんどん伐採し,住宅にもう何でも国産材を徹底的に使うのだ。すったもんだして終えた2025大阪万博は木材のリングが象徴だったし、8階建ての木造ビルが出来ている。何よりも、コンクリートの瓦礫も残さない木材はサスティナブルでる。アメリカ、カナダ、Nz、豪州、ロシア等から輸入される木材に押され、国産材は使われなくなり、林業がすっかり衰退してしまった。だから日本中の中山間地域は疲弊してしまった。輸入品で衰退したアメリカのラストベルトと同じである。トランプが高関税で外国製品を締め出して、工業の復活をするなら、日本も同様に木材や林産物に100%の関税をかけて、それを元手に中山間地域の復興をし、熊の住処と餌を再生してやることである。
伐採した後の山林は、半分は雑木林、すなわちその地に昔からある木を植えて(つまり複層林)、100年前の山林を復活してやることである。ガソリンに8兆円かけるなら、ご先祖様の植林した木の有効活用と熊の生育場所の確保に1兆円を注ぎ込んでも罰が当たらない。
そしてその後は、山ごとの熊の数を把握し、増え過ぎて餌が足りなくなり、里に出没する危険が生じたら頭数を減らすのだ。つまり、漁業資源管理と同様に管理をして熊と人間の共存を図ることだ。今は取り敢えず、それこそ緊急事態であり、緊急銃猟するしかないが、政府は先を見て投資をしないとならない。
3. 米価高騰
2023年、他の食料品が音上がる中、コメ価格だけは上がらなかった。ところが、24年突然スーパーの棚からコメが消えて、それ以降大騒ぎになり、それが今も続いている。
この対策のため、石破政権の小泉農相の下で増産決定がなされたのに、鈴木憲和新農相は、それを打ち消し需要に合った生産にし、政府はコメ価格に介入した方針を方針を打ち出した。コメが過剰になり、どっと価格が下落することを防ぐためである。
この件はあちこち論じたので【2025.05.09令和の米騒動シリーズ①~2025.06.21⑤】もう繰り返さないが、長期的にはコメは必ず不足していくと思う。なぜならコメを作る農業戸数が急激に減っているからだ。農林水産省もコメ不足でないと言い張っていたものを、ようやく40万tほど不足していたと認めた。だから、増産へ舵を切った小泉農相は正しかったのだ。本来はそれこそ大不足のために備えた備蓄米は、米価が上がったからといって放出するものではなかったが、緊急事態で始めた放出した。ただし、だからといってずっと増産していいというわけにもいくまい。
国内需要を満たしたら、余った分は輸出すればよいと勝手なことをのたまうが、そんなあやふやな輸出をされたら、輸入国は大迷惑である。逆の立場になったらすぐにわかることである。日本は日本国内で決着をつけてなければならない。農産物、特に土地利用作物を外国人用に作るほど、日本の農地は広くない。声高に叫ばれる農産物輸出も、軽くて高い果物(例えばシャインマスカット等)に限られる。
日本の食料安全保障のためには、野菜や果物の前にコメ、麦、大豆、ナタネ、そば等の生産をがっちり獲得しないとならず、そのためには国は援助を惜しんではならない。
作っても赤字の時代が長く続いているので、同じ農作物でもコメは別格で、あらゆる手段を講じて、日本で作り続けなければならない。そのためにはコメ農家を絶対維持しないとならない。それは農村を守ることにも国民小生命を守ることにもつながる。農村やコメ農家が生き残れるように万全を期すことである。