2024.05.29

政治

【政治とカネシリーズ⑬立憲民主党 】政治資金規正法改正は理想を貫くべし-幹部に政治資金パーティー中止と提言した若手にホっとする-

 政治資金については、昔からしょっちゅう議論されている。1994年すったもんだの挙句、政党助成法が成立、5年後に企業団体献金の見直しについて議論することになっていた。ところがずっとそれが続いていた。

<名前隠しに丁度いい政治資金パーティー>
 企業の政治家への献金は自由だったが政治家個人への献金は禁止され、その代わりに政党支部や派閥や政党(〇〇党第1区総支部、安倍派、自民党党)への献金は認められるということになった。公明正大にしなければいけないのだが、企業が購入したことを隠すために20万円以下は購入した企業の名前を一切公表しなくて済む政治資金パーティーというのが横行するようになった。そこで派閥の政治資金パーティーが全盛期を迎えることになる。その挙句、今回裏金問題が生じたことは皆さんご承知の通りである。

<企業の政治献金が本丸>
 そこでこの解決をどうするかということが問題になって、今いろいろ議論されているが、方向はしっちゃかめっちゃかである。巧妙なことに途中から出てきた政策活動費に焦点が移されたりして、混迷の度合いが増している。幹事長が全権限をもって各議員に渡る政策活動費が、自民党で1年で15億円ぐらいになり、二階幹事長が思いのままに使っていたことが大袈裟に取り上げられる。誰かがこうして問題をすり替えているのではないかとすら思う。
しかし、核心は企業がどのように政治家に金を渡すかである。なぜパーティーという手法を使ってまで隠そうとするかというと癒着がばれるからである。

<寝耳に水の岡田、大串の政治資金パーティー>
 そこに降って湧いたのが岡田克也幹事長と大串博志選対委員長の政治資金パーティーの問題である。今回立憲民主党は裏金問題の中心となった派閥のパーティーのみならず政治家個人の政治資金パーティーも禁止という法案も出しているが、まだ通っていないし、自民党は公然とパーティーをやっているのだから、立憲民主党も法案が通るまでは政治資金パーティーを続行するというのである。まさに屁理屈である。そしてあろうことか、この方針が当初から決まっていたというのだ。私は全ての議論の過程に参加していたわけではなかったので、そんな重大な判断ミスをしているとは露知らずだった。
 その点では小沢一郎は立憲民主党の一議員だが、そんな綺麗事を言ったって通用しない、と法案には明確に反対している。だから小沢や一部の議員が政治資金パーティーをやることは、党の結束を乱すことにはなるが致し方がないところがある。ところが幹事長や選対委員長といった幹部が法案の審議まっただ中で、与野党入り乱れて折衝中というのに、我が党の法案の内容に全く抵触することをするというのは常識外れである。その理由が、自民党がパーティーで金集めをしているのだから、我が党もやらないと不利になるからというイコールフィティングの屁理屈を打ち出している。自民党は禁止法案を出しておらず、やっていいことになっている。だから今までどおりにやっているだけに過ぎない。それに対して我が党は全面禁止法案を出しているのだ。しかも、いつもと違い、自民党案と同等に審議されているのだ。
 当然の如く、審議の過程でも与党から問題としてつっつかれ、提案者の本庄知史が汗だくの言訳答弁を強いられていた。その後マスコミからも身内からも反対され2人ともパーティーの中止に追い込まれている。当然のことである。

<10数年前と矛盾する岡田幹事長の言い訳>
 10数年前、秘書給与疑惑問題が生じ、法律で配偶者だけが公設秘書になれなくなったが、岡田代表(当時)は、民主党の襟を正すべく3親等以内(つまり、子、兄弟、甥姪まで禁止という内規を作って押し付けた。今と全く逆のことをしていたのだ。お金持ちの岡田さんはいくらでも私設秘書を雇えるが・・・と反発をくらった。このルールはそのまま残された。
 それが、今回は自民党と同じ条件でないといけないと逆のことを言っていたのだ。私は開いた口が塞がらなかった。

<自民党政治家と一緒にされる悲しさ>
 これにより我が党のコアの支持者からも相当冷たい目で見られるようになってしまったのではないかと思う。地元を歩いていると、今回の件で支持者にも一般の有権者からも、政治家なんてみんな同じだ、と罵声を浴びさせられることがある。それに対して私は、いや違う、立憲民主党は違うし、少なくとも私はもっと違う、政治資金パーティーは開いておらず企業団体からの献金も恥ずかしながらゼロだ、政党助成金と歳費と調査研究広報滞在費の約4,000万円で政治活動をしている、とケンカ腰に反論している。
 ところが岡田、大串がしゃあしゃあと政治資金パーティーをやろうとしたことで、結局自民党と同じであるということを示すことになってしまった。撤回したので少しはましになったが、もう手遅れである。立憲民主党もできない理想論を言っているが、本音は同じだと見透かされてしまった。今回のこの騒動は、執行部の大チョンボである。

<政権交代のチャンスが逃げていく!>
 今は、政治資金規正法をめぐる自民党のていたらくで巡ってきた政権交代の絶好のチャンスである。我々もそう感じるし、国民もそう思いつつあった。ところがそうした動きに対して、泉代表も、自民党がやっていることだから立憲民主党もやっていいと、追い打ちをかけて(?)支持発言をして冷や水を浴びせてしまった。これでは我が党の支持率は上がるどころか下がってしまう。せっかくの機会なのに支持を失いつつあるということは嘆かわしいことである。

<昨年4月我が党の将来に不安を感じていた>
 実は私は昨年4月の補欠選挙の我が党の人情味に欠ける体質に愕然として将来に不安を覚えていた。大分県の吉田忠智の参院選と山口1区の有田芳生の衆院選、そして我が地元の精鋭秘書2人を1か月送り込み、私自身も15日応援入りした山口2区の平岡秀夫の衆院選での同僚議員のそれこそしみったれた忖度した行動に失望していたからだ。公認候補の吉田と有田のところには多くの同僚議員が応援に駆け付けたが、推薦もされなかった平岡のところには同じ山口県の下関(1区)と岩田(2区)とすぐ隣りなのにもかかわらず、かつての同僚さえもほとんど応援に来なかったのだ。
 安倍長期政権では、強大な権力者安倍に対する霞ヶ関の役人や自民党議員の見苦しい忖度が横行したが、実は野党第一党の我が党こそ忖度だらけだったのだ。何も応援を禁止されているわけではないのに、幹部の顔色をうかがって睨まれるのを恐れて平岡の応援に立ち寄ることもしなかったのだ。

<若手の提言に拍手>
 そうした中、私はホッとしたことが1つだけある。この狂った動きに対して、桜井周、中島克仁、中谷一馬、伊藤俊輔の4人の若手が政治資金パーティーの中止を正々堂々と提言したのである。あっぱれである。今回は党の将来に思いを馳せた勇気のある若手議員が幹部に睨まれて人事で冷遇されることも顧みずに良識を示したのである。心ある野党支持者も、立憲民主党にまともな議員がいることにホッとしたに違いない。私はこの4人に心から拍手を送りたい。

投稿者: 管理者

日時: 2024年5月29日 15:01